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章別会話

闇色の可能性

闇色の可能性

オープニング

[アルフォンス]
急ごう! 兵からの報告だと
大変なことになっているようだ!▼
[アンナ]
これ以上の被害は
なんとしても食い止めるわよ!▼
[シャロン]
でも、本当なんでしょうか?
英雄の皆さんが暴れているって…。▼
[アンナ]
ちょっと信じられないわよね。
なにが起きてるのかしら…。▼
[アルフォンス]
煙が見える!
あそこにいるのは……。▼
[シャロン]
ええっ!? あ、あれは確かに…
英雄の皆さん!?▼
[ベレト]
地虫どもが!
目の前をうろつくでない!▼
(白く光る)
[エルフ]
愚かなる人間たちよ。
その命、暗黒神ロプトウスに捧げるのです。▼
(白く光る)
[ティバーン]
俺に近寄るなよ…
もういい加減…
抑えがきかねえんでな……▼
(白く光る)
[アイビー]
貴方たちの命、無駄にはしないわ。
美しいこの私のため、そして
ソンブル様復活のために使ってあげる!▼
(白く光る)
[アンナ]
なんてこと…街が滅茶苦茶に…。
想像以上にまずいことになってるわ。▼
[シャロン]
ど、どうしちゃったんでしょう!?
召喚されたときに
なにか間違いでもあったのでしょうか…。▼
[アルフォンス]
わからない。
だけど、僕たちが知っている彼らとは
まるで人が違うように見える。▼
迷っている時間はない。
とにかく彼らを止めるんだ!▼

C

[アルフォンス]
みんな、落ち着いてくれ!
なにがあったんだ!?▼
[ベレト]
なんじゃ、おぬしは?
気安く声をかけるでない!
命令される筋合いもないわ!▼
(白く光る)
[アルフォンス]
くっ…!
話すら聞いてくれないのか…!?▼
[シャロン]
やめてください、サラさん!
武器を納めてください!▼
[エルフ]
サラ…? 誰でしょうか。▼
私はエルフ…
暗黒神にすべてを捧げた魔将。
あなた方も贄となりなさい…。▼
(白く光る)
[シャロン]
きゃあ…!▼
[ティバーン]
奴を殺るまで…終わらねえ…▼
(白く光る)
[アイビー]
なぜ怯えるの? 逃げるの?
私の美貌を称えてくれないの!?▼
(白く光る)
[アンナ]
ちょ、ちょっと!? 危ないじゃない!▼
くうっ、間一髪…。
ダメね、取り付く島もないわ!▼
[アルフォンス]
英雄たちに武器は向けたくないけれど…
でも、放っておくわけにはいかない!▼
[シャロン]
まさかわたしたちが
英雄たちと戦うことに…?
そんなのはいけません!▼
[アンナ]
でも、彼らが暴れ続ければ
英雄という存在を
誰も信じられなくなってしまうわ。▼
[シャロン]
どうか…どうか話を聞いてください!
ベレトさん、エルフさん、
ティバーンさん、アイビーさん!▼
[ベレト]
喚くでないわ、この痴れ者が!▼
(白く光る)
[アルフォンス]
シャロン、危ないっ!▼
[バルドル]
させなくてよ! はぁっ!▼
(白く光る)
[シャロン]
あなたは…バルドルさん!▼
[バルドル]
おーっほっほっほっ!
騒がしいと思って来てみれば…
もう好き勝手に暴れさせませんわ!▼

B

[シャロン]
あ、ありがとうございますっ!
助かりました!▼
[バルドル]
無事でなによりですわ。▼
それよりも、どういうことですの!?▼
そこの英雄たち! 街を踏みにじる
あなた方に正義はありません。▼
誤った力の使い方…
見過ごすわけにはいきませんわ!▼
[アルフォンス]
力を貸してくれるのか? ありがたい!▼
[ベレト]
ほう…わしを止められるとでも?
おごり高ぶるのも大概にせい。
愚か者が…塵となり消えよ!▼
(白く光る)
[バルドル]
道に迷い、正義を失った英雄たちよ。
私が止めてみせますわ!▼
(白く光る)
[アルフォンス]
ここは僕とバルドルに任せて!
アンナ隊長はシャロンと一緒に
民を避難させてください!▼
[アンナ]
わかったわ!
急ぎましょう、シャロン!▼
[ティバーン]
俺の邪魔をするな…
死にたくなけりゃな…!▼
(白く光る)
[アルフォンス]
くっ! させない!▼
[アイビー]
あら、贄たちが逃げてしまったわ。
イルシオン王に歯向かうなど重罪よ?▼
(白く光る)
[エルフ]
暗黒神の意志に従うのみ…
ロプトウスの牙の前に散りなさい。▼
(白く光る)
[バルドル]
天日の神たるこの私は
この程度で怯みはしませんわ!▼
…それにしても解せませんわね。
正義を失った英雄たちが
なぜ召喚されましたの?▼
[アルフォンス]
僕たちにもわからないんだ。
エクラからも
聞いていないし…。▼
[バルドル]
しかし、この有り様は…。▼
(白く光る)
[バルドル]
!? この気配…何者?▼
[ルーン]
それは、ぼくからお伝えします。▼

A

[アルフォンス]
君はルーン…いや…。▼
[バルドル]
創造主アルフォズル…!▼
[ルーン]
彼らを喚ぼうと考えたのは、
ぼくなんです。▼
ぼくが憧れているのは
あなたたちのような…
物語に出てくるような英雄です。▼
そんな英雄たちと
闇に染まった英雄との
対決…▼
どんな戦いになるのでしょうか?
それとも、戦いの末に
絆が芽生えたりするのかも…?▼
ぼくはそれを
見たかったんです。▼
[アルフォンス]
自分の欲求を満たすためだけに
こんな真似を…?▼
[バルドル]
許されることではありませんわ!▼
[ルーン]
闇に染まった英雄たちに
果敢にあらがう皆さんの姿…
ぼくの思い描く英雄そのものでした。▼
ありがとうございます。
今日はもう満足です。▼
(白く光る)
[バルドル]
消えた…。
英雄たちを連れて
いなくなったようですわね。▼
[アルフォンス]
なんとか乗り切れたか…。
どうなることかと思ったけど
彼の好きにさせるわけにはいかない。▼
[バルドル]
ええ。創造主の意志であっても
このような行いに正義はありませんわ。▼
[アルフォンス]
僕たちの手で、必ず止めてみせる!▼

凶つ預言の魔将 エルフ

C

[リーフ]
はぁ、はぁ…!
この森で襲われるなんて…
敵はいないはずだったのに…▼
斥候が見落としたのか?
それとも新手の…くっ!▼
(白く光る)
[???]
…………▼
(白く光る)
[リーフ]
闇に紛れての魔法攻撃…
狙いも正確だ。
殺す気で来ている!▼
(白く光る)
[リーフ]
ぼくを追い立てるように
木の陰から蔭へ…
獲物を狙うような動きだな。▼
[???]
…………▼
[リーフ]
…敵の気配は一人?
手強い相手だが
振り切って味方と合流すれば…▼
? 攻撃が止まった…
今だ!
一気に駆け抜けて…!▼
[???]
…………▼
(暗転)
[リーフ]
はぁ、はぁ…。
なんとか撒けたか?
それにしても何者だったんだ。▼
[???]
…………▼
(白く光る)
[リーフ]
何!? 追いつかれた?▼
[エルフ]
逃しません。▼
[リーフ]
きみは…サラ?▼

B

[エルフ]
……▼
[リーフ]
サラ…? いや、違う。
こんなに冷たい目のはずがない。
他人の空似か…?▼
それともマリータのように
誰かに操られて…▼
[エルフ]
……▼
[リーフ]
きみは誰だ?
なぜぼくを狙う!?▼
[エルフ]
…暗黒神復活のため、その命を捧げよ…▼
(白く光る)
[リーフ]
くっ…まるで話が通じない!
それにしても、声までサラに
そっくりだなんて…▼
もしサラだったらお願いだ。
正気に戻ってくれ!▼
[エルフ]
…暗黒神に命を捧げよ…
…暗黒神に命を捧げよ…▼
(白く光る)
[リーフ]
サラに刃は向けられない…!
でも、傷つけずに逃げ切るなんて無理だ。
どうすれば…!?▼
[エルフ]
…暗黒神に…すべてを…▼
[???]
させないわ。▼
(白く光る)
[リーフ]
魔法!? 今の攻撃は…!?▼
[サラ]
ずいぶん騒がしいから
見に来たんだけど。
面白いのに絡まれているのね?▼
[リーフ]
サラ!? きみなのか!
じゃあ、あの子は…▼
[エルフ]
……▼

A

[サラ]
はじめまして、でいいのかしら?▼
[エルフ]
……▼
[サラ]
あなたは…ああ、ふーん。
そういうこと…▼
[リーフ]
何かわかったのか?
ぼくにも説明してくれるかい。▼
[サラ]
あの子はたぶん…あたし。
あたしと同じ「サラ」。▼
[リーフ]
…あ…もしかして…
異界から来た
もう一人のサラなのか?▼
[サラ]
たぶんね。
ねえ、そこのあなた。
救われなかった異界のあたし、でしょ?▼
リーフさまにつきまとったのも
自分を助けてくれなかった
逆恨みなんじゃない?▼
[エルフ]
…サ…ラ…?
そんな記憶は…ありません…▼
私は暗黒神に仕える魔将…
過去も未来も捧げました…!▼
[リーフ]
!! サラ、危ない!▼
(白く光る)
[サラ]
ごまかしても無駄よ。
あたしには声が聞こえるもの。
あなたの声が…▼
[エルフ]
…う、うう…!
黙りなさい!▼
[サラ]
聞きなさい。もう一人のあたし。
あなたの異界にいたリーフさまも
ここにいるリーフさまと同じように…。▼
命を懸けて仲間のために戦っていた。
あなたを救うため、必死だった。
そうじゃないの?▼
[エルフ]
…う…ううう…、リーフ…▼
[サラ]
でも、救えなかった。
それはリーフさまのせいかしら?
逆恨みするのは筋が違うわ。▼
[エルフ]
ち、ちが……そんなわけは…
…そんな記憶は…存在しません…▼
[サラ]
あなた自身、わかっているはずよ。
自分の痛みを誤魔化すために
リーフさまを恨んでるだけだって…▼
[エルフ]
…う…ううう…
…ああああ…!▼

S

[エルフ]
…私は…私は…
…暗黒神に…▼
[リーフ]
大丈夫か、しっかりしろ!▼
[サラ]
待って、誰かが来るわ。
この気配はたぶん…▼
(白く光る)
[ベルド]
ふむ、暗黒魔法の気配を感じて来てみれば
なかなか興味深い見世物だったぞ。▼
[リーフ]
お前は…!?
その子をどうする気だ。
今すぐ手を放せ!▼
[ベルド]
そうはいかぬ。
この者は、わしが預からせてもらおう。
まだ使い道があるのでな。▼
[エルフ]
…ううう…▼
[リーフ]
待て! 逃がすものか!▼
[ベルド]
…さらばだ。▼
(白く光る)
[リーフ]
くそっ、逃げられたか!
あの子を連れて行かれた…▼
[サラ]
そんなに悔やまなくても大丈夫よ。
あの男もここでは
ヴァイス・ブレイヴの一員だもの。▼
あの子に危害を加えはしないはず。
助け出す機会はきっとあるわ。▼
[リーフ]
そうだね…。
ところで、さっきの話はどこまで
本当なんだ?▼
あの子が別の世界のサラで、
ぼくを恨んでいるとか…▼
[サラ]
さあ? あの子の声が全て
本当かなんてわからないわ。▼
でも、あたしには
あの子の反応が答えに見えた。▼
あの子の世界のリーフさまも
きっとあなたと同じ。
サラという子を救おうとした…▼
[リーフ]
……▼
[サラ]
助けたくても助けられなかった。
あの子は暗黒神の手に落ち、
記憶のほとんどを奪われた。▼
傷ついて、運命を呪って
「どうして自分だけ」って
誰かを恨むようになったんだと思う。▼
[リーフ]
もしそうだとしたら
とても悲しい話だ…▼
[サラ]
あの子がああなったのは
あなたのせいではないでしょ。▼
[リーフ]
わかってる。
でも…▼
サラ。ぼくは強くなるよ。
この手で仲間を守れるように…▼
これから先、あの子のような
存在を増やさないためにも──▼

濃艶なる王 アイビー

C

[アイビー]
紋章士セネリオ!!
そこの貴方、我が国に託されていた
紋章士セネリオね!?▼
[セネリオ]
…はい?▼
[アイビー]
聞いて頂戴!
見知った顔の者たちが、
みんな別人のようで気味が悪いの!▼
好戦的だったセリーヌがやけに穏やかだし、
高慢だったスタルークが過剰に卑屈だし、
他にもね…!▼
[セネリオ]
ちょっと、
縋りつかないで下さい!▼
あなたは…イルシオン王のアイビーですね。
話なら聞こえています。
それに僕は、紋章士ではありません。▼
紋章士の僕が存在することは
知識として知っていますが、
ここにいる僕とは別人です。▼
[アイビー]
えっ、そうなの?
…確かに貴方は、
光って浮いてはいないわね。▼
でも良かった。
紋章士ではなくとも、その話し方。
貴方は私の知るセネリオのままだわ。▼
[セネリオ]
あなたのいたエレオス大陸は、
もう一つのエレオス大陸の者とは
性格が異なっているそうですよ。▼
ここにいるエレオス大陸の英雄の殆どは
あなたと違う世界の者たちですので、
違和感が起きるのはそのせいかと。▼
[アイビー]
そうなの?
どうして紋章士ではない貴方が、
事情を承知しているのよ?▼
[セネリオ]
以前、ミスティラ王女から伺いました。▼
[アイビー]
ミスティラ!?
あの堅物のソルム王も
ここにいるというの!?▼
[セネリオ]
ここにいる彼女はまだ王ではありませんし、
堅物とは程遠いですかね。▼
いつもそのあたりで野宿をし、
肉を焼いては歌を歌っていますよ。
聞くに堪えない音程で。▼
[アイビー]
…………▼
…………▼
え?▼
[セネリオ]
そうなりますよね。
理解を超える話を聞くと。▼
[アイビー]
あの女が野宿……それに歌を!?
でも、そう。
ここでは…そうなのね。▼
セネリオ。
知っているのなら教えて頂戴。
私と同じ世界から来た英雄はいないの?▼
[セネリオ]
異界のエレオス大陸より召喚されたのは、
エル、セレスティア、それから…
ラファールという名の英雄だったかと。▼
[アイビー]
エルとセレスティアはわかるけれど、
ラファールは知らない名だわ。
それに、イルはいないのね。▼
[セネリオ]
イル…そうですね。
その名の英雄はいない筈です。▼
[アイビー]
あはは! いつも姉の陰に隠れていた
弱弱しい子だったから、
英雄になれないのも無理ないわね!▼
でもまあ、その面子ならいいわ。
別に会わなくても。▼
[セネリオ]
そうですか。▼
[アイビー]
何よ、その興味なさそうな顔。
会いたいと思える人がいなかったのよ?
私が可哀想だと思わないの?▼
同じ世界から来た英雄が沢山いる
貴方にはわからないでしょうね。▼
記憶にある姿の者たちがみんな、
全くの別人になっていることが
どれだけ寂しく空しいか。▼
まるで世界から私一人
置き去りにされたみたいなのに!▼
[セネリオ]
…………
理解できなくはありません。
そういう気持ちは。▼
[アイビー]
じゃあもう少し歩み寄りなさいよ!
王たる私に何か策はないの?▼
考えてちょうだい、セネリオ!
我が国の危機を何度も救ってくれた
あの時みたいに!▼
[セネリオ]
それは別の僕ですので知りませんが、
策というのならひとつ。▼
慣れてしまうことです。▼
[アイビー]
慣れですって?▼
[セネリオ]
相手の行動や性格を変えることは
現実的ではありません。
変えられるのは自分の認識のみ。▼
であれば彼らとの接触を重ね、
自身の認識を改めるのです。
今の彼らは…いえ、▼
彼らは元より、こういう人格だったのだと。▼
[アイビー]
つまり、これまでの相手に抱いていた
印象や人物像を新しいものに
書き換えてしまうということ?▼
[セネリオ]
そういう認識でも問題ありません。▼
[アイビー]
ふうん。
試してみるに価値はありそうね。
さすがは我が国の擁する紋章士。▼
貴方は実体もあることだし、
褒美として特別に抱擁してあげるわ!▼
[セネリオ]
遠慮しておきます。▼

B

[ゼルコバ]
…………▼
[アイビー]
…………▼
貴方、ゼルコバよね。▼
[ゼルコバ]
はい。▼
[アイビー]
その恰好はどういうこと?▼
[ゼルコバ]
「どういうこと?」と申されましても。
俺は「冬祭り」の贈り物を
「子供たち」に配る途中でして。▼
[アイビー]
子供たちにですって!?
やだ、おかしい! あはははっ!
貴方ってば子供なんか大嫌いだったのに!▼
[ゼルコバ]
好きなだけ「笑って」いただいて構いません。
この「仕事」に恥じることは何も
ありはしませんので。▼
[アイビー]
ああ、そう。
そんなに真面目に返されると
私が悪いみたいになるじゃない。▼
全く…これじゃあ、
折角のセネリオの策を
実践するのには骨が折れそうね。▼
恰好も勿論だけれど、
態度と話し方が違いすぎて…
どうしたって比べてしまうもの。▼
私のゼルコバは
柔和で、従順で、情熱的で、
いつも愛の言葉をくれていたから。▼
[ゼルコバ]
あ、「愛の言葉」!!?
「そっちの俺」がですか!?▼
[アイビー]
素晴らしい臣下だったわ。
美しい私をいつも愛でてくれて、
化粧を変えたらすぐに気づいてくれた。▼
うふふ…今も思い出すわ。
この髪を撫でて、口付けて、
綺麗だって毎日言ってくれたこと。▼
[ゼルコバ]
はあ……聞く限りでは
眩暈がするほど「甘美」な
「関係」だったようですが……▼
[アイビー]
甘美なだけじゃなく、献身的でもあったの。
こちらの世界では貴方は死んでいる。
私のために死んでくれたのよ。▼
[ゼルコバ]
そうですか。
「立派」だったと思いはすれど、
俺自身は何の「感慨」もわきません。▼
[アイビー]
私も、思ったよりも動じないわ。
喪った臣下と再会できたら
あつーい抱擁をと思っていたのだけれど…▼
その姿を見たら悲しむのも馬鹿らしい。▼
[ゼルコバ]
なら、もう「行って」いいですか?
「子供たち」が待っているので。▼
[アイビー]
ええ。どうぞご自由に。
精々大好きな子供たちと戯れて来なさいな。▼
[ゼルコバ]
「そう」させて貰います。
では、俺はこれで。▼
[アイビー]
…ふん。
期待した私が馬鹿だったわ。▼
近しかった人物ともう一度話せれば
寂しさが紛れるかもだなんて。▼
もしかしたらあの日みたいに、
私に甘い言葉をかけて
笑ってくれるのではと思ってしまった。▼
喪った臣下が目の前にいるのは、
胸が痛くなるものなのね…▼
…ねえゼルコバ。
私のために死んでしまった貴方。▼
貴方が残ってくれたお陰で
我が軍の犠牲は最小限となったけれど…▼
有象無象の兵たちよりも、
私は貴方に生き残ってほしかったの。▼
妙な装束のお陰で、
落涙しなかったことだけは
不幸中の幸いね……▼
(暗転)
[ゼルコバ]
…………▼
はぁー……
「念のため」去った「ふり」をして
「本音」を聞き出そうと思ったら…▼
まったく。
素直に「寂しい」と言ってくだされば
こちらも「打つ手」があるというのに。▼
「アイビー王」も結局は、
こちらの「アイビー様」と根は同じなのか?▼
仕方がない。
ものすごく「癪」だが、
「あいつ」に話をさせてみるか。▼

A

[カゲツ]
アイビー様ーっ!
お散歩楽しいのう!▼
[アイビー]
え、ええ。カゲツ。▼
[カゲツ]
おおっ!
あちらに珍妙な花があるぞ!▼
紫と濃紅色で、
色合いがアイビー様にそっくりじゃな!▼
[アイビー]
はあ!? あれは毒花よ!
あんまり人に対して似ているとか
言わないでくれる!?▼
ああ、こっちはこっちで調子が狂うわ。
「でーとしようぞ」なんて言うものだから、
興味本位で了承してみたけれど。▼
私のカゲツは寡黙で、愛想が無くて、
剣以外に興味を示さない人だったのに。
はしゃぎ回る姿に違和感しかないわ。▼
[カゲツ]
むむ。こっちのアイビー様は、
なーんかずっと苛々しておるのう。
もしや腹が減っておるのか?▼
こういう時は…じゃじゃーん!
余特製、おにぎりじゃ!▼
[アイビー]
おにぎり?
ああ、三角の形をした携帯食のこと。
こちらのカゲツはもよく持ち歩いていたわ。▼
欲しいと言ってもくれなかったから
無理やり奪って食べたことがあるけれど、
対して美味しくなかったわね。▼
[カゲツ]
ほおー、そっちの余は
料理が下手くそだったのじゃな!▼
[アイビー]
ちょっと!
私のカゲツを馬鹿にしないで!▼
[カゲツ]
な、難儀じゃのう……▼
まあつべこべ言わず食べてみよ。
余は衆目一致のおにぎり名人じゃ!
ほっぺたが落ちる程うまいぞ?▼
[アイビー]
そこまで言うなら、
食べてあげてもいいわ。▼
もぐ……▼
[カゲツ]
どうじゃ?▼
[アイビー]
…同じ味…▼
どうして?
貴方は私のカゲツじゃないのに…
どうして、同じ味がするの。▼
[カゲツ]
それは奇々怪々じゃな!
性格は違っても、作るおにぎりの味は
変わらんということか。▼
む? ということはつまり、
余のおにぎりもアイビー様には
大して美味しくないということに…▼
[アイビー]
……美味しいわ。
本当は美味しかったのよ、あの時だって。▼
ううっ…ぐすっ…▼
[カゲツ]
!?
泣いておるのか?▼
[アイビー]
そうよ!
こんなの食べたら…
思い出しちゃったじゃない!▼
素直になれなかったの、ずっと!
カゲツが私を嫌いだったから!▼
どれだけ着飾って甘い声を使っても、
大好きよって言っても、
微笑むことすらしてくれなかった!▼
本当は、今日みたいに笑って、
一緒に…他愛ない時間を
過ごしたかったのに!!▼
[カゲツ]
そんなにも、
余は冷酷非道な男だったのか…▼
[アイビー]
いつも鍛錬ばっかりで、
私のことなんて二の次だったわ。▼
笑顔で話しかけたって、
目も合わせてくれなかった…!▼
[カゲツ]
そちらの余はもう死んだのじゃろう?
どのようにしていなくなったのじゃ?▼
[アイビー]
戦場で、私を庇ったのよ。
主従関係だもの。私の為に…いえ、
王の為に命を散らすのは当然かもしれない。▼
でも、わからないの。
どうして一度も笑ってくれなかったのに、
あの時だけは笑顔を見せたの?▼
どうして最期に…
あんなに優しい声で、
怪我は無いかなんて聞いたの?▼
不甲斐ない王への皮肉だったのかしら。
嫌いな人のために命を投げ打つなんて、
私には理解できないもの。▼
ねえ、姿の似た貴方になら、
わかるのかしら…?▼
[カゲツ]
…………▼
それは…
そちらの余は、本当は、
アイビー様が好きだったのではないか?▼
[アイビー]
え?▼
[カゲツ]
最期に笑顔を見せたのは、
アイビー様がご無事で安心したんじゃろう。▼
余はきっと、
主君を守りきるという一念で、
一生懸命に鍛錬に励んでいたのじゃ。▼
よいか、アイビー様。
どれだけ忠実な臣下であろうと、
厭う者の為に死ぬ者などそうはおらぬ。▼
[アイビー]
嘘よ……▼
[カゲツ]
嘘ではない。
そりゃあ、中にはそういう者も
おるかもしれぬが…余は絶対に違う。▼
信念を曲げ、嫌いな者のために
死んでみせるような男であれば、
世界がどんなに違ったとしても…▼
それは、カゲツという人物ではない。▼
[アイビー]
な……何よそれ……▼
今わかったって、遅いわよ!
何の意味もない!
だってもう死んじゃった!▼
貴方私を置いて死んじゃったじゃない!▼
[カゲツ]
そうじゃな。
それは余にはどうにもできぬ。
だが、異界であれど本人じゃ。▼
話を聞いていたらある程度わかる。
そちらの余もゼルコバも、
アイビー様のことを想っておったと思うぞ。▼
その命を散らしても惜しくないほどに。▼
[アイビー]
…そんなの、もう永遠にわからないわ。
貴方がどう言ったって、
死人に確認する術はないのだもの。▼
でも……
もし、本当にそうだったなら……▼
どんなに、素敵かしらね……▼
[カゲツ]
…………▼
[アイビー]
ありがとう…▼
ここで、カゲツと、ゼルコバと……
また話せて…よかったわ。▼

S

[ゼルコバ]
「友達になった」だと!?▼
[カゲツ]
うむ!
余と異界のアイビー様は
無二の友となったのじゃ!▼
[アイビー]
聡明な私は理解したの。
同じ人物だと思うから辛いだけ。
実は片割れがいたと思えばいいのだとね。▼
ねえ、カゲツ……ええと、
呼び名が同じなのでは紛らわしいわね。
カゲちゃん、でどうかしら?▼
[カゲツ]
おお、良き響きじゃ!▼
[アイビー]
で、貴方はゼルちゃんね。▼
[ゼルコバ]
「頭痛」がしてきた……▼
[アイビー(恒常)]
全く…
人の臣下を変な風に呼ばないで。▼
[カゲツ]
アイビー様!▼
[アイビー]
あらぁ、もう一人の私!
逢いたくてずうっと探していたのよ?▼
ああ、その顔、身体、上気した頬も
とっても素敵…
やっぱり私は、どの世界でも美しいわね。▼
[アイビー(恒常)]
勘弁して頂戴……
これだから会いたくなかったのよ。▼
[アイビー]
話は聞いていたわよね?
貴方も私の片割れのようなものだわ。▼
べつに敵同士という訳でもないのだし、
ここでは仲良くしましょう?▼
[アイビー(恒常)]
遠慮しておくわ。▼
異界とはいえ、お父様を手にかけ、
オルテンシアに辛く当たった貴方とは
仲良くできる筈がないもの。▼
[アイビー]
ふうん。私が何をしてきたかは、
承知しているというわけ。
じゃあ勝手にさせてもらうわ。▼
勝手に貴方のこと、陰ながら守ってあげる。
美しい私が、同じく美しい貴方を
守るのは自明の理だもの。▼
[アイビー(恒常)]
私の仲間たちを害しないのなら、
好きにすればいいわ。
行くわよ、二人とも…▼
[ゼルコバ]
はい。「速やか」に立ち去りましょう…
「元気」になったのなら、
「何より」ですよ……▼
[カゲツ]
またな、異界のアイビー様ーっ!▼
[アイビー]
またね、
カゲちゃん、ゼルちゃん!
それから、美しいもう一人の私!▼
……ふふ。
三人揃った後ろ姿が可愛いわ。
私も昔は、あんな風だったのかしら。▼
貴方も、随分熱い視線ねえ。
セネリオ?▼
[セネリオ]
厄介事が起きては困りますので。▼
[アイビー]
ずっと見守っていたということ?
傍にいてくれてうれしいわ!▼
やっぱり私は、
我が国の紋章士セネリオと寸分違わない
貴方と話している時が一番安らぐもの。▼
[セネリオ]
そうですか。▼
[アイビー]
貴方の策、役に立ったわ。
でも私には、新しい人物との出会いと
してしまうほうが良かったみたい。▼
元の人物なんて忘れてしまった方が
楽になると思っていたのだけれど、
忘れられない人もいるみたいだから。▼
[セネリオ]
好きにすれば良いと思います。
策が絶対ではありませんので。▼
[アイビー]
優しいじゃない。
喪った臣下の幻影と戯れる私のこと、
哀れだと思ってくれたのかしら?▼
[セネリオ]
いえ……▼
[アイビー]
それじゃあ私は、こちらのセリーヌちゃんや
スタルークちゃんとも親交を深めてくるから。▼
うふふ、楽しみだわ!
これからも私を見守っていて頂戴ね!▼
[セネリオ]
…………
見守る、ですか。
そうしているのは僕ではありませんがね。▼
彼女はもう行きましたよ、ラファール王子。
それとも…
イル王子、でしたでしょうか。▼
[ラファール]
あのアイビーにとっては、
そういうことになるな。▼
[セネリオ]
名の違いを問い質しはしませんが、
同じ世界の英雄であるのなら
名乗り出れば良いのでは?▼
[ラファール]
そうできぬ事情があるのだ。▼
セネリオ。貴様は、死した人間が
生前と違わぬ姿で動くことをどう思う。▼
[セネリオ]
俄かには信じがたい話ですが、
そういった存在がいるのは事実です。▼
例えば、屍兵や、モルフ。
エレオス大陸であれば、
異形兵がそれに該当するのでしょうか。▼
[ラファール]
流石、博識だな。
先ほど貴様と話していたアイビー王…▼
あれは、我の作った異形兵だ。▼
[セネリオ]
…………▼
[ラファール]
臣下を喪い、邪竜に傾倒した彼女が
そう望んだからというのもあるが…我は
戦の渦中、最初にあの者を異形兵とした。▼
ずっと謝罪をしたいと思っていた。
彼女がここに来たと聞いたときは
即座に様子を見に行ったものだ。▼
だが、そも自身が異形兵となっていることに
気づいていない様子を見て、
我は近づくべきではないと判断した。▼
謝罪をすることで、
現実を突きつけてしまう。
それだけは…避けねばならん。▼
[セネリオ]
賢明かと。
彼女が気づいていない真実は、敵であれば
叩き落とすための有効な手札ですが…▼
味方である状況でむざむざ開示するのは
愚か者のすることです。▼
[ラファール]
セネリオ、礼を言う。▼
[セネリオ]
礼? なぜ。▼
[ラファール]
貴様は我がアイビー王を見ているのを
承知したうえで、それを彼女には
気取らせぬよう立ち回った。感謝する。▼
それから、謝罪を。かつて我は、
紋章士セネリオに辛い戦いを強いた。
その件を……▼
[セネリオ]
それは僕ではありませんので。
礼は受け取りますが、謝罪は不要です。▼
[ラファール]
…そうか。▼
[セネリオ]
彼女の真実については、
他言しませんからご安心を。
では。▼
[ラファール]
ふっ。
セネリオは変わらぬな。
昔から、あの毅然さが好ましい。▼
さて、これで我の指針は決した。
顔を合わせることがあれば、
我は異なる世界のイルとでも言っておこう。▼
…なあ、アイビー。
それでもお前が真実に到達したときは、
我はこの身の総てを以て、贖罪を行おう。▼
この世界に希望はある。
かつての世界で、叶わなかった分まで…
我が奪った、未来の分まで…▼
どうか、幸せでいてくれ。▼

灰色の悪夢 ベレト

C

[エーデルガルト]
街を襲っているのが
師だというのは
本当なのよね?▼
[クロード]
ああ、残念ながらな。
斥候隊の報告を見る限り
先生で間違いなさそうだ。▼
[ディミトリ]
信じられないな。
先生が暴れ回るなんて…。
いったいなんのために?▼
[エーデルガルト]
その話はあとよ。
ここで考えても推測でしかない。
まずはこの目で確かめる。▼
[クロード]
おい、いいから急ぐぞ!▼
(暗転)
[エーデルガルト]
これは酷い…。
どんな暴れ方をしたのかしら。▼
[ディミトリ]
今のところ死傷者は見当たらないな。
避難が間に合ったのは
不幸中の幸いだ…。▼
[クロード]
ッ!?
危ない、二人とも! 伏せろ!▼
(白く光る)
[ベレト]
ふむ、避けたか。
勘の良いやつらよのう。▼
[エーデルガルト]
師…なの?▼
[ディミトリ]
姿は先生なのに、様子が違う。
この威圧感、人のものではない…。▼
[ベレト]
聞くがよい、小童ども。
死にたくなくば立ち去るのじゃ。
邪魔をするならば、容赦はせぬぞ。▼

B

[エーデルガルト]
くっ、この殺気!
冗談や脅しで言ってるわけでは
なさそうね。▼
[ディミトリ]
退くわけにはいかない。
この惨状…先生を止めねば。▼
[クロード]
やれやれ、俺としては尻尾を巻いて
逃げたいところだが
そうも言ってられないか。▼
[ベレト]
失せろと言ったのが聞こえなんだか?
そこに立っておったら
おぬしらも、このようになるぞ。▼
(白く光る)
[クロード]
うわっ!
家が一軒吹き飛んだぞ!?
冗談抜きで洒落にならねえ。▼
[ディミトリ]
感心してる場合か!
先生、やめてくれ!▼
[エーデルガルト]
どうしてこんな…!?
理由があるなら説明して!▼
[ベレト]
はぁ…呆れた連中じゃのう…。▼
止めたいのなら…
実力で止めてみせよ!▼
[ディミトリ]
仕方ない。
エーデルガルト、クロード、腹を括れ。
俺たちで先生を止めるぞ。▼
[エーデルガルト]
わかったわ。▼
[クロード]
三人がかりでも
勝てる保証はないが…
やるしかないよな。▼

A

[ディミトリ]
そこだ!▼
[エーデルガルト]
はあああっ!▼
(白く光る)
[ベレト]
本気を出してその程度か?
余興にすらならんわ。
脆弱なる者たちよ。消えるがよい!▼
[クロード]
させるかよ! そこだ!▼
(白く光る)
[ベレト]
ふむ、仲間二人に隙を作らせ
死角から狙った一撃、か。
今のはなかなかじゃな。褒めてやるぞ。▼
[クロード]
チッ、本当に化け物だな…。
おい、先生! 一つだけ教えてくれ!
どうして街を壊して回ってるんだ?▼
[ベレト]
なぜか、じゃと?
そんなの決まっておろう。
おぬしらの愚かさに対する怒りじゃ!▼
[エーデルガルト]
怒り? それは一体?▼
[ベレト]
地上にはびこる地虫たち…。
愚か者どもが戦いに明け暮れたせいで、
フォドラの大地には怒りと憎しみが満ちた。▼
わしは"はじまりのもの"の名において
道を誤ったおぬしらを余すことなく
この手で直々に裁かねばならぬ!▼
[エーデルガルト]
"はじまりのもの"? 裁く?
師はいったいなにを…。▼
[ディミトリ]
ここはフォドラじゃない。
アスクの民を傷つける理由はないはずだ!▼
[ベレト]
この地もまた穢れに満ちておる!
許すわけにはいかぬわ!▼
[クロード]
なあ、俺たちの知っている先生って
こんな芝居がかったことを
言う人だったっけ?▼
[ディミトリ]
いや、違う。
これはまるで何者かが
先生に乗り移ったような…。▼
[ベレト]
さて、時間稼ぎは終わりか?
おぬしらにはもう飽きた。
そろそろ終わりにするかのう。▼
(白く光る)
[クロード]
くそっ、援軍も期待できないか!
もう少し引っ張れると思ったが
これは本気でヤバい!▼
[エーデルガルト]
気を付けて、二人とも…!
次の一撃は防げないかもしれない!▼
[ディミトリ]
一か八か、相打ちを狙うしか…
ん? いや、待て!
先生の様子が!▼
[ベレト]
…愚か者どもに…罰を…!
…ぐっ、ぬぬぬ…!▼
[エーデルガルト]
苦しみ出した?
いったいなにが?▼
[クロード]
先生、しっかりしてくれ!
正気に戻ってくれよ!▼
[ベレト]
ぐぅっ、また…邪魔を…する…か!▼

S

[ベレト]
…ううう…君たち…
だ、大丈夫か…?▼
[エーデルガルト]
師から殺気が消えた。
正気に戻ったの?▼
[ディミトリ]
先生を操った何者かが
退いたのか?▼
[クロード]
さあな。
ただ、今の先生は
さっきとは明らかに違う。▼
[ベレト]
君たち…
すぐにここを離れるんだ。▼
[ディミトリ]
先生、なにがあったんだ!?▼
[ベレト]
先生…? 何のことだ…?▼
とにかく説明している時間は…ない。
ただ、これだけは忘れるな。▼
君たちも怒りに身を任せれば、
負の感情に飲まれる。▼
戦いは悲しみと憎しみを広げ…
憎しみはさらに…争いを生む。ぐぅっ…。▼
[エーデルガルト]
師、しっかりして!
今助けるわ!▼
[ベレト]
来るな!▼
君たちは…こうなっていはいけない…!▼
たとえこの先、なにがあっても…
怒りに身を任せるな…。
自分を見失うな…。▼
[ディミトリ]
先生、待ってくれ! どこに行くんだ!▼
[ベレト]
長くは…保たない…。
あいつが目を覚ます前に遠くへ…。▼
[クロード]
追うな、ディミトリ!
また「あいつ」が出てきたら
俺たちに勝ち目はない。▼
[エーデルガルト]
悔しいけど、クロードの言う通りね…。
今は、師の意識が
また吞まれないように祈るしか…。▼
[ディミトリ]
ひとまず城に戻ろう…。
ヴァイス・ブレイヴに報告し
対応を協議すべきだ。▼
[クロード]
それにしても先生の言葉、重いな。
怒りに身を任せるな、か。▼
[エーデルガルト]
(師は難しいことを言うのね…。
私の心の奥底には、いつも怒りがある。
今の私はそれを律せているのかしら)▼
[ディミトリ]
(もしダスカーの悲劇を起こした者が
目の前に現れたなら…
俺は怒りを抑えられるだろうか…)▼
[クロード]
おいおい、早く城に戻ろうぜ!
深刻な顔をして突っ立ってたって
なにも変わらないだろ?▼
まったく…俺たちの先生ときたら
難しい宿題を残してくれたもんだ。▼
(怒りってのは目を曇らせちまう…
俺も自分に言い聞かせないとな)▼

逆巻く天空の王 ティバーン

C

[ティバーン(恒常)]
ネサラ!▼
[ネサラ]
やれやれ…騒がしいと思ったら
あんたかよ、タカ王。▼
[ティバーン(恒常)]
お前に聞きたいんだが…
「俺」と戦ったそうじゃねえか?▼
別の異界から召喚された…
【負】の気に吞まれちまった俺とな。▼
[ネサラ]
耳が早いねえ。
情報が欲しいんなら、
払うもん払ってもらうところだが…▼
特別にタダで話してやるよ。
あんたにはこの大怪我の
責任を取ってもらいたいしな。▼
[ティバーン(恒常)]
その傷…
異界の俺が?▼
[ネサラ]
ああ、まったくとんだ災難だったぜ。
何日か前に、
街に出たときだ…▼

B

[ネサラ]
異界ってのは、なかなか
珍しいものが売られてるな。▼
…ん? なんだこりゃ。
テリウス大陸で見かける
薄汚いコインまで…▼
[アンナ(覚醒)]
いらっしゃい!
なにかお探しかしら?▼
(白く光る)
[アンナ(覚醒)]
きゃあっ!?
なんなの? 今の大きな音は!▼
[ネサラ]
…喧嘩かなにかか?▼
[ティバーン]
奴はどこだ…?
どこに逃げ隠れやがった…▼
(白く光る)
[ネサラ]
おいおい…ティバーンかよ。
しかもあの様子…
前に見たことがあるような…▼
セリノスの虐殺を仕組んだ
ガドゥス公ルカン…
奴の命が目当てってわけか。▼
…参ったね。
ありゃもう大嵐と同じ天災だ。
下手すりゃこの街にも被害が出る…▼
さて、どうするかね…▼

A

[ネサラ]
よう、タカ王。
奇遇だな、まさかこんなとこで
あんたに会うとはね。▼
[ティバーン]
ネサラ…
奴はどこだ?▼
[ネサラ]
奴?
ああ、ガドゥス公ルカン殿のことかい?
悪いが、タダじゃ教えられないね。▼
なにせルカン殿は俺に大金を払ってくれた。
おっかないあんたから
身を隠す場所が欲しいってさ。▼
[ティバーン]
ネサラ…
てめえ、まさか…▼
[ネサラ]
俺のことはよく知ってるだろ?
報酬さえ払ってくれれば、
どんな汚いことだってやる。▼
金を積めないってんなら、
ルカン殿のことは諦めてくれ。
じゃ、悪いが俺は次の用があってね…▼
[ティバーン]
…ネサラ…▼
…奴はどこだ?▼
[ネサラ]
……。
…やれやれ、大嵐の中に
頭から突っ込むようなもんだ…▼
この俺が
街を守ってやった謝礼は
後でいただくとして…▼
さあて…
あのティバーンから
逃げ切れるかねえ、俺は?▼

S

[ネサラ]
で、こいつが
そのときに出来た名誉の大怪我だ。
あんたが代わりに責任取ってくれるのか?▼
[ティバーン(恒常)]
…ネサラよ。
【負】の気ってのは、多かれ少なかれ
誰だって持ってるもんだ。▼
【負】の気が多いラグズは、
いつ呑まれてもおかしくねえ。▼
[ネサラ]
ああ、そうだろうよ。
その可能性のひとつが、俺が出会った
異界のあんただろうからな。▼
[ティバーン(恒常)]
もし同じように異界の俺やお前が現れたら
俺が責任を持って止めてやる。
…それで今回はチャラにしておけ。▼
[ネサラ]
異界のあんたはともかく、俺?
おいおい、血の気の多いあんたと違って
俺は【負】の気になんか呑まれねえ。▼
[ティバーン(恒常)]
いいや。
俺たちラグズは戦いの種族だ。▼
戦いの中で、
絶対に許せねえ仇を目の前にすりゃ…
理性なんてもんじゃ収まらねえ。▼
殺す。
それ以外は
何にも考えられなくなる…▼
[ネサラ]
…………▼
ちっ、まあ、こいつは貸しにしとくさ。
その時はちゃんと俺を守ってくれよ?
そうならないことを願うがな。▼

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Last-modified: 2026-05-20 (水) 22:19:33
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