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章別会話
高め合う魂たち†
高め合う魂たち†
オープニング†
- [ミリエル]
- なるほど。つまりは、私たち4人を
アスク王国の特務機関――
ヴァイス・ブレイヴの指揮下にと。▼
- [アルフォンス]
- この国のために、民の未来のために
力を貸してほしいんだ。▼
- [パリス]
- 国のため、民の未来のために…か。▼
- [バジーリオ]
- …と、王子様は仰せだが、
どうするよ、フラヴィア?▼
- [フラヴィア]
- どうするもなにも今
アンタが考えていることと同じだよ。▼
- [シャロン]
- それじゃ、わたしたちに
力を貸してくれ…▼
- [フラヴィア]
- ちょいと待っておくれ。▼
民や未来を守るために
戦わなくちゃいけないって
事情は理解したよ。▼
だけどね…
私たちがヴァイス・ブレイヴとやらに
力を貸すかは別問題さ。▼
- [ミリエル]
- ……▼
- [フラヴィア]
- あんたらが戦うために
異界の英雄頼みって連中なら
力を貸すのは願い下げだ。▼
そういうことなら
私たちは私たちで好き勝手にやって
この国を救うだけさ。▼
- [シャロン]
- わ、わたしたちは
決して他力本願なわけでは…!
ただ、みなさんの力をお借りしたくて。▼
- [バジーリオ]
- 俺たちを仲間にしたいんだったら
話は簡単だ。▼
お前たちの力を
俺たちに示せばいい。▼
- [アルフォンス]
- 力を…示す?▼
- [バジーリオ]
- 俺たちフェリアの民は蛮族の出だ。
もっともらしい言葉より
力で説き伏せてみな。▼
- [アンナ]
- それは、あなたたちと
戦えってことかしら?▼
- [バジーリオ]
- そのとおり。
どうせなら団体戦といこうぜ。▼
こっちにはロンクーもいるんだろう?
あいつは俺の後継に考えてる奴だからな
ちょっと借りるぜ。▼
- [フラヴィア]
- そいつは面白そうだね。
私とバジーリオ、ロンクー
そしてパリスとミリエルで5人だ。▼
- [パリス]
- ……▼
- [ミリエル]
- 私はそもそも、蛮族でも
フェリアの民でもないのですが?▼
- [バジーリオ]
- 固いこと言うなって。
同じ頃合いにアスク王国に
呼ばれたよしみじゃねえか。▼
- [フラヴィア]
- んじゃあ、アルフォンス王子。
そっちも明日までに
腕っこきを5人集めな。▼
- [パリス]
- どうせなら
倒し甲斐のある相手を頼むぞ。▼
- [シャロン]
- あっ! 待ってくださいっ!
みなさん、行っちゃいましたね…。▼
- [アンナ]
- どうするのよ、アルフォンス。
向こうの提案に従うの?▼
- [アルフォンス]
- 戦いは望みませんが、
彼らの信頼を勝ち得るには
それしかなさそうです…▼
- [バジーリオ]
- うーっし! 天気もいいし
暴れるにはもってこいの日だな。▼
- [フラヴィア]
- 逃げずに来たみたいだね。
その勇気は褒めてあげるよ。
そっちは誰が戦うんだい?▼
- [アルフォンス]
- ヴァイス・ブレイヴを代表して
僕とシャロン、アンナ隊長。
それと…。▼
- [フィヨルム]
- ニフル王国第二王女
フィヨルムと申します!
よろしくお願いいたします!▼
- [ピアニー]
- 私、ピアニー。
アルフォンスさんたちと
一緒にがんばるわ。▼
- [バジーリオ]
- おうおう、活きの良さそうなのが
いるじゃねえか。▼
- [ロンクー]
- 油断しないほうがいい。
彼らはまがりなりにも
厳しい戦いを生き抜いた英雄だ。▼
- [パリス]
- なるほどな。
それでこそ、倒しがいもある。▼
最初は俺に行かせてくれ。
そっちは5人まとめて
かかってきてもかまわんぞ。▼
- [シャロン]
- はいはいはーいっ!
先鋒はこのシャロンにお任せを!▼
- [エイル]
- 審判役は私が務めるわ…
安心して。どちらかが
死ぬ前には止めるから。▼
それでは先鋒戦…
シャロン王女対パリス、はじめ。▼
- [シャロン]
- 勢いでは負けませんよ!
たりゃぁぁぁーっ!
せいせいっ! はぁぁぁーっ!▼
- [パリス]
- ほぉ、気迫が乗ったいい槍さばきだ。
だが…。▼
勢いだけでは勝てんぞ、王女様!
ふんっ!▼
- [シャロン]
- あう!? いったぁーっ!
くうう、1本、取られちゃいました…。▼
- [バジーリオ]
- だーっはっはっ! まずは俺たちの1勝!
幸先いい出だしだな!▼
- [シャロン]
- す、すみません…
いけそうな気はしたのですが。▼
- [フィヨルム]
- 大丈夫です、取り返しますから!
次は私が参ります!▼
- [ロンクー]
- このような茶番
そぐに終わらせる。▼
- [エイル]
- それでは次鋒戦…
フィヨルム王女対ロンクー、はじめ。▼
- [フィヨルム]
- 焦らず落ち着いて相手の動きをよく見て
はぁぁぁっ!▼
- [ロンクー]
- ……▼
- [フィヨルム]
- 気持ちでは負けません!
前へ、前へっ!▼
- [ロンクー]
- くっ…! 近い!?▼
- [フラヴィア]
- んん…? 気のせいか。
ロンクーの動き、ちと固いね。▼
- [バジーリオ]
- ふぅむ。▼
- [フィヨルム]
- そこです…! せいっ!▼
- [ロンクー]
- つうっ…!▼
- [エイル]
- …それまで。
勝者、フィヨルム王女。▼
- [ロンクー]
- くっ、捌き切れなかったか。▼
- [バジーリオ]
- あの様子じゃ、あいつの女嫌いは
まだ治ってなかったってかぁ。▼
- [フラヴィア]
- 女嫌い? なんだいそりゃ?▼
- [バジーリオ]
- ロンクーは女に近づかれると
緊張して身体が固まっちまうのさ。▼
剣の腕は申し分ないけどな。
女嫌いさえ克服できれば
もう一回り成長できるんだがなあ。▼
- [シャロン]
- やりましたね、フィヨルム王女!
これで1対1です!
わたしたちは負けませんよー!▼
- [エイル]
- 次の試合は中堅戦…
ピアニーとミリエル、前へ。▼
- [ピアニー]
- きゃっ、私が呼ばれたのね。
何して遊ぶのかしら?
わくわく。▼
- [バジーリオ]
- おう、ミリエル!
クロム自警団仕込みの魔道を
ぶちかましてやれ!▼
- [ミリエル]
- そんな野蛮なことはしません。
ピアニー、
ここに2冊の同じ本があります。▼
アスク王国の大図書館から借りて来た
魔道理論の本です。▼
どちらが早く読破して
より深く理解できるのか、勝負です。▼
- [ピアニー]
- えっ!?
な、なに、この分厚い本?
文字ばっかりで挿絵がぜんぜん…▼
- [バジーリオ]
- おいおいっ!
いきなり読書の時間たぁ
どういうことだ!?▼
- [ミリエル]
- 戦いとは武力によるものとは限りません。
知力を尽くして戦うのもまた戦い…▼
- [パリス]
- なるほどな。勝負は勝負。
肉の早食い競争だって
立派な勝負になるだろうしな。▼
- [ミリエル]
- では、エイル王女。
試合開始の合図を。▼
- [エイル]
- …それには及ばないわ。
ピアニーを見て。▼
- [ピアニー]
- すぅー…すぅぅ…むにゃ…
おやすみなさい…▼
- [ミリエル]
- …本を開いた瞬間
眠りはじめましたか。▼
- [フィヨルム]
- ピアニーさん! ピアニーさんっ!
ダメです、
ルピナスさんばりに寝てます…▼
- [エイル]
- ピアニーの試合放棄と見なすわ。
勝者、ミリエル。▼
- [ミリエル]
- 本気を出すまでも
ありませんでしたね。▼
- [フラヴィア]
- これで私たちの2勝だね!
さあ、このまま決めるよ!▼
- [バジーリオ]
- 任せろ! ここは俺が行く!
そっちの副将はアンナ隊長かい?▼
同じ斧使い同士、力と力
正面からぶつかり合おうじゃねえか!▼
- [アンナ(正月)]
- じゃあエイル王女。
副将戦、はじめてちょうだい!▼
- [バジーリオ]
- …は? アンナ隊長
いつのまにあんな遠くに…▼
って、斧じゃなくて
弓を持ってるじゃねえか!▼
- [エイル]
- …はじめ。▼
- [アンナ(正月)]
- それーっ! それそれっ!
遠距離から先手必勝!▼
- [バジーリオ]
- いてっ! いててててて!
お、斧はっ、さっきまで持ってた
斧はどこにやったんだ!?▼
- [アンナ(正月)]
- 問答無用!
これでトドメーっ! せいっ!▼
- [バジーリオ]
- ぐはっ!
な、なんだ…そりゃあ…▼
- [エイル]
- 勝者、アンナ隊長。▼
- [アンナ]
- ふっふっふ! 恐れ入ったかしら。
どう? アスク王国には
異界の自分が何人もいるのよ!▼
副将として戦ったのは
私と同じアンナだし、問題ないわよね!▼
- [アンナ(正月)]
- 勝つためにはあらゆる手を使う。
それがヴァイス・ブレイヴ!▼
- [バジーリオ]
- ぐぅっ、勝ちにこだわるその姿勢。
なんてぇ執念だ…▼
- [アルフォンス]
- いいのかな、これで…▼
- [フラヴィア]
- ったく、それでもフェリアの西の王かい!
だらしがないね!▼
- [バジーリオ]
- いてて、めんぼくねえ。
不意をつかれちまった。▼
- [フラヴィア]
- しょうがないね。
私がビシっと決めてやるさ。
大将戦で決着だよ!▼
- [アンナ]
- あとは任せたわよ、アルフォンス!▼
- [シャロン]
- お兄様、頑張ってくださいっ!▼
- [アルフォンス]
- 彼らの力はヴァイス・ブレイヴに必要だ。
負けるわけには…いかない!▼
- [エイル]
- では、大将戦をはじめるわ。
アルフォンス王子、フラヴィア王、前へ。▼
- [フラヴィア]
- 私の剣はお上品とは程遠いからね。
あとで泣き言は言わないでおくれよ。▼
- [アルフォンス]
- 僕もこの剣を
信念をかけて振るいます。▼
- [エイル]
- それでは大将戦、はじめ。▼
- [フラヴィア]
- はぁぁっ!
しょっぱなから全力でいくよ!
そらっ、そらそらっ!▼
- [アルフォンス]
- くっ…! 速い…!
そして一撃一撃が重い!?▼
- [ピアニー]
- アルフォンスさん、頑張って!▼
- [パリス]
- さすが戦士たちの国を治める女傑。
いい剣さばきだ。▼
そして、それを受け止める王子もな。
なかなかに見どころがある。▼
- [ロンクー]
- だが、徐々に押されている。
アルフォンス王子は…
受け止めるので精一杯だ。▼
- [フラヴィア]
- どうしたどうした!
こんなんじゃ、あんたらに
力は貸せないね!▼
- [アルフォンス]
- ぐっ、ううっ!▼
- (画面が白く光る)
- [グスタフ]
- ……▼
- (画面が白く光る)
- [アルフォンス]
- …父上!▼
僕は…僕がこの手で
なすべきことは…!▼
負けない、負けはしない!
この国の未来のためにも…
あなた方の力は必要だ!▼
- [フラヴィア]
- なにっ…!?
押し返してきた!?▼
- [バジーリオ]
- ほお、やるじゃねえか。▼
- [アルフォンス]
- はぁぁぁっ!▼
- [フラヴィア]
- やらせはしないよ! そらぁぁっ!▼
- [エイル]
- ……!? そこまでよ。
この勝負、引き分けのようね。▼
- [アルフォンス]
- はぁ、はぁっ、はぁっ…。▼
- [フラヴィア]
- ちっ、しょうがないね。▼
- [シャロン]
- えっえっ!? じゃ、じゃあ
2勝2敗1引き分け…
決着はつかずってことですか?▼
- [バジーリオ]
- いーや、勝負はお前たちの勝ちだ。▼
- [アンナ]
- え!?
勝負は引き分けよね?▼
- [フラヴィア]
- あんたたちが勝てば力を貸す、と
条件を出したわけじゃないよ。▼
私たちはあんたらに
力を示せと言ったんだ。▼
合格だ。あんたたちは他人頼みじゃなく
自分たちも血を流す覚悟を持っている。
剣を通じて、そいつが伝わってきたよ。▼
- [パリス]
- 誰かの下で戦うのは本意ではないが
俺は俺のやり方で
お前たちに力を貸すことにしよう。▼
- [ミリエル]
- まあ、私は最初から
手を貸すつもりでしたが…▼
私たちクロム自警団も
こうやって試されたのです。
フェリアの国を訪れたときに。▼
- [バジーリオ]
- そんなわけで。フェリアの東の王
西の王ともども力を貸すぜ!
よろしくな…!▼
- [アルフォンス]
- ありがとう…
この国の未来のため、民のために
その力が役立つことを願っているよ。▼
蒼炎の末裔 パリス†
- [アイク]
- はっ…!
ぬぅぅんっ!▼
……。
誰だ、そこにいるのは。
俺になにか用か。▼
- [パリス]
- なるほどな…。
よい呼吸をしている。▼
練り上げられた気が刀身に宿り
気迫の乗った一撃を生むか。▼
- [アイク]
- あんたは…▼
- [パリス]
- 戦士が剣を抜いて
姿を見せたとなれば
やることはひとつだ。▼
俺と戦え。▼
- [アイク]
- ……▼
来い。▼
- [パリス]
- 感謝する。いくぞ…!▼
- [アイク]
- むっ!
はぁぁっ!▼
- [パリス]
- 俺の打ち込みを正面から受けるか!
ならば…!▼
- [アイク]
- せいっ!▼
- [パリス]
- っ! この剛剣!
なるほど…これが
蒼炎の勇者の一撃!▼
- [セネリオ]
- ……!?
アイク! どうしました!?▼
- [パリス]
- 邪魔が入ったようだな。▼
- [アイク]
- ……▼
- [セネリオ]
- アイク! いったい
なにがあったんですか…!?
あの男は…▼
- [アイク]
- 去ったようだな。
もう気配を感じない。▼
- [セネリオ]
- 先ほど響いていた剣の音…
あれは訓練とは思えぬ
打ち込みでした。▼
- [アイク]
- だろうな。あいつは本気で
俺を倒すつもりだった。▼
- [セネリオ]
- まさか、アスク王国に
敵対する勢力の刺客…?
何者なのですか、あの男は…▼
- [アイク]
- 知らん。
だが、ひとつだけ
わかったことがある。▼
- [セネリオ]
- わかったこと…?▼
- [アイク]
- あいつが持っていた
ボロボロの剣。▼
あれは俺が持つものと同じ…
ラグネルだ。▼
- [セネリオ]
- ……!▼
- [パリス]
- 先日は世話になったな。▼
- [アイク]
- ……▼
- [パリス]
- 今日は戦いに来たわけではない。
剣を抜くつもりもない。▼
俺の名はパリス。
一度、お前と剣を交えてみたかった。▼
- [アイク]
- あんたのことは聞いた。
クロムたちと同じ
イーリス大陸から来たそうだな。▼
- [パリス]
- そうだ。向こうでは
ひたすらに剣の腕を磨き
強者を求めて旅をしていた。▼
蒼炎の勇者アイク。
お前の剣の腕は
伝え聞いた伝承どおり…。▼
いや、伝承を上回る重みを持つ
目の覚めるような一撃だった。▼
- [アイク]
- 俺の伝承…
後世にはそんなものが
残っているのか。▼
- [パリス]
- 聞きたいのなら話すが?▼
- [アイク]
- いや、いい。▼
- [パリス]
- 話が逸れたようだな。
お前と戦いたかった理由は
手合わせがしたかっただけではない。▼
この剣が本来の輝きを放つさまを
一度、見てみたかった。▼
- [アイク]
- その剣はやはり、ラグネルか?▼
- [パリス]
- そうだ。俺の大切な相棒。▼
これまで幾多の戦いをくぐり抜け
共に歩んで来た、大切な剣。
いや、武器を超えた武器だ。▼
- [アイク]
- ……▼
- [パリス]
- 伝承によると
この剣は神話の時代から
輝きを放ち続けていたというが…▼
- [アイク]
- 元は【三雄】の一人、オルティナが
神剣エタルドとともに
振るっていたと聞いた。▼
それ以来、テリウス大陸の動乱を
この剣は戦い抜いてきた。▼
- [パリス]
- 伝承どおりだな。▼
そして、ラグネルはお前の手に渡り
お前はテリウス大陸の種族をまとめ上げ
神との戦いに勝利した…▼
それが俺の知る
蒼炎の勇者にまつわる伝承だ。▼
- [アイク]
- …▼
- [パリス]
- ラグネルは特別な剣。
お前と手合わせして
それがよくわかった。▼
異国の伝説に
愛着を持って使い続ける品には
魂が宿るというものがある。▼
このラグネルこそ
魂を宿した、まさしく奇跡の武器。▼
使い手との絆をつなぎ
想いを力に変え
時代を超えて受け継がれていく。▼
武器を超えた武器…
このラグネルには
そのような言葉がふさわしいと俺は思う。▼
- [アイク]
- …意外に饒舌だな。▼
- [パリス]
- ん? なにか言ったか?▼
- [アイク]
- いや、なにも。▼
- [パリス]
- 武器とは実に繊細なものでもある。▼
俺はラグネルを手にして以来
1日たりとも手入れを
欠かしたことはない…。▼
- [アイク]
- だろうな。
だが…▼
- [パリス]
- ああ。どんなに手入れをしても
朽ちゆくラグネルを止められない。▼
武器としての
寿命が近づいているのかもしれん。▼
- [アイク]
- ラグネルが朽ちると言うのならば
それでいい。▼
- [パリス]
- それはどう言う意味だ?▼
- [アイク]
- ラグネルが役目を終えようとしているのは
世界から戦いがなくなりつつある
証かもしれん。▼
- [パリス]
- ……▼
- [アイク]
- ラグネルが無用となる世界…
平和な世界の到来が近いことを
ラグネルも感じているのかもしれない。▼
- [パリス]
- だが、俺は
ラグネルを携えたままこの異界…
アスク王国に召喚された。▼
つまり、この世界には
俺とラグネルに果たすべき役割がある。▼
ラグネルが最後の使命を果たすために
俺たちは流れ着いたのかもしれんな。▼
- [アイク]
- ……。▼
パリス。あんたさえよければ
グレイル傭兵団に来ないか。
この世界にいる間だけでもな。▼
- [パリス]
- ……。
誘ってくれたことについては
感謝する。▼
- [パリス]
- だが俺は、誰かの下で働くのは
性に合わんのでな。▼
- [アイク]
- そうか。▼
- [パリス]
- 俺はこの世界でも
自分の足で強いやつを探し歩く。
これまでそうしてきたようにな。▼
しかし、俺もお前も
歩む方向は同じはずだ…▼
- [アイク]
- ……▼
- [パリス]
- また会おう、蒼炎の勇者。▼
- [アイク]
- ああ。また会おう。▼
同じ剣を握る宿命を持った
異界の戦士よ。▼
フェリアの東王 フラヴィア†
- [フラヴィア]
- エイル王女、こんなところにいたのかい?
ほお、ここはずいぶんと
見晴らしのいい丘だね。▼
- [エイル]
- 気に入ってくれたのなら、うれしいわ。
ここは…私の大切な場所だから。▼
…なにか御用かしら?▼
- [フラヴィア]
- 王女が、死の国の出身だと聞いてさ。
人の生き死にには詳しいんだろ?
聞きたいことがあってね。▼
- [エイル]
- 私に答えられることなら。▼
- [フラヴィア]
- 私と一緒に、アスク王国に
召喚されて来たバジーリオ…▼
あいつは生きてんのかい?
それとも死んでんのかい?▼
- [エイル]
- どういう意味…かしら。▼
- [フラヴィア]
- あいつはね…
死んじまったんだよ。▼
信じたくはないけどさ
助かりっこない状況で
我を通しちまったんだ。▼
- [エイル]
- …▼
- [フラヴィア]
- 私たちとクロムが
ヴァルハルトと戦ったときのことさ。▼
私らはヴァルハルトに力負けし
全滅の危機に陥った。▼
あいつは私を逃がすために
自分を囮にしてヴァルハルトに
向かって行ったんだ。▼
そして…。▼
- [エイル]
- それが…あなたが見た
バジーリオの最後だった、と。▼
- [フラヴィア]
- ……。
それなのにさ、この国では
昔みたいにイキイキとしてやがる。▼
ガサツで大雑把で、すぐに調子に乗るけど
戦うことに対しては誰よりも真剣な…
私の知ってるバジーリオだ。▼
それはそれで結構なことなんだけど
私の中では、バジーリオは
一度死んでいるんだ。▼
何事もなかったかのように
振舞っているけど…
どう接していいかわからなくてさ。▼
- [エイル]
- そう。それが…
私に聞きたかったことなのね。▼
- [エイル]
- 異界から召喚される英雄たちは
たとえ同じ人物だとしても…
召喚される時期が違う者がいる。▼
英雄としての全盛期に召喚される者
まだ名を成す前に召喚される者…。▼
果ては、己の命運が尽きる寸前や
死の運命を受け入れたあとに
召喚される者も存在するわ。▼
- [フラヴィア]
- ここにいるバジーリオは
自分が死ぬ運命を知らない
バジーリオ…なのかい?▼
- [エイル]
- その可能性は高いわね。▼
- [フラヴィア]
- …まいったね、本人に
聞くわけにもいかないだろうしね…。▼
そうだ…!
エクラなら
詳しいことを知ってそうだね。▼
- [エイル]
- どうかしら…。▼
エクラは
アスク王国に必要な英雄と絆を結び
召喚するだけだから…▼
- [フラヴィア]
- そうか…。
英雄の事情なんて
知らないってことか…▼
- [エイル]
- ……。
なにか胸につかえていることが…?▼
- [フラヴィア]
- 私はさ、バジーリオが
いなくなっちまってから…。▼
あいつの仇を取るために
その感情に後押しされて
剣を振るってきたんだよ。▼
もちろん、それだけが理由じゃない。
フェリアのため、大陸の平和のため
そして、戦士としての意地もある。▼
だけど、一番の理由は…
バジーリオの仇だったんだよ。▼
あの馬鹿…
死ぬのはわかりきってたのに
最後の最後で身体を張りやがって…▼
- [エイル]
- ……。▼
- [フラヴィア]
- でも、ここじゃ
あいつは何事もなかったように生きて
大暴れしているだろ?▼
なんか、安心しちまってさ。▼
- [エイル]
- だから私に、ここにいるバジーリオ王が
生きているのか死んでいるのかを
尋ねた、と。▼
- [フラヴィア]
- そのとおりだよ。▼
魔道かなんかで無理やり動かされている
屍兵みたいな存在だったら…
どうしてやろうかと思ってさ。▼
- [エイル]
- ……▼
- [エイル]
- 自分が死んでいるのか
生きているのか。▼
それを決めるのは
他人の目でも自然の摂理でもなく
自分自身かもしれないわ。▼
- [フラヴィア]
- ……?▼
- [エイル]
- なにも成さず
死んだように生きる者もいれば…▼
肉体は滅んでいても
世界に影響を与え続ける者もいる。▼
- [フラヴィア]
- イーリス大陸に伝わる
数々の英雄たちの伝承…
まさにそういうことだね。▼
- [エイル]
- アスク王国にいる
バジーリオ王に限って言えば…
死から遠いところにいるように感じる。▼
生き抜こうという意思に
あふれているように見えるわ。▼
- [フラヴィア]
- ……▼
- [エイル]
- たとえ、明日死ぬという
運命を知ったとしても
彼は自分を貫くのではないかしら。▼
- [フラヴィア]
- 自分を貫く、か…
そうだね、違いない。▼
あいつが生きてようが死んでようが
そもそも関係なかったんだ。▼
なにがあろうと私は自分を鍛え
上を目指し、強くなっていくだけさ。▼
- [エイル]
- 誰かの死を受け入れることで
前に進む決意を固める
人間もいるかもしれない。▼
だけど、きっかけがなければ
前に進めない人間は…
今を必死に生きてはいない。▼
- [フラヴィア]
- そうだな…
うん、そのとおりさ。▼
私は私の力で剣を振るう…
もうブレないよ。▼
話を聞いてくれて感謝するよ、エイル王女。
あんた、イイ女だね!▼
- [エイル]
- そういう褒められ方をしたのは
はじめてよ。▼
- [フラヴィア]
- よし、迷いも消えたことだし
いっちょ鍛え直すかね!▼
- [クロム]
- リズから聞いた。
ヴァイス・ブレイヴに手を貸すか否かを
武闘大会で決めたんだってな。▼
- [フラヴィア]
- あんたのときと同じさ。
相手を知るには
そうするのが一番だからね。▼
- [クロム]
- なんにせよ、この世界でも
フェリアの新旧二人の王たちと
共に戦えるのは心強い。▼
- [フラヴィア]
- ああ、任せておくれよ。▼
イーリス大陸での戦いじゃ
バジーリオは最後まで
あんたの力になれなかったけど…▼
ここでは二度と
あんな目にはあわせやしないさ。▼
- [クロム]
- …バジーリオが最後まで
俺の力になれなかった?▼
- [フラヴィア]
- あ、ああ。そのはずだろ。
バジーリオは、私を逃がすために
ヴァルハルトに討たれて…▼
- [クロム]
- そうか…。
まだ真実を知らなかったんだな。▼
- [フラヴィア]
- 真実? なにを言ってんだい?▼
- [クロム]
- 実は…フラヴィア。
バジーリオは死んではいなかったんだ。▼
- [フラヴィア]
- な…! なんだってえ!?▼
- [クロム]
- 話せば長くなるが…
ともかく、バジーリオは生きている。
安心してくれ。▼
- [フラヴィア]
- はぁぁぁぁぁっ!?
なんだいそりゃ!▼
じゃ、じゃあなにかい?
私の仇討ちやフェリアの連中の涙は…▼
- [クロム]
- まあ、そういうことだ…。
運命は変わったんだ。▼
- [フラヴィア]
- なんだい…そうか…▼
- [クロム]
- ん…?
フラヴィア、これから訓練だが
どこに行く?▼
- [フラヴィア]
- ちょっと用事ができた。
ぶん殴りたいやつがいるんでね。▼
- [クロム]
- まあ、ほどほどにな。▼
- [フラヴィア]
- あの寝ぼけた中年に
一発かましてやらないと
私の気が済まないよ!▼
ふふ…はははっ!
死の運命を変えちまうなんざ
まったくしぶとい男だねえ!▼
フェリアの西王 バジーリオ†
- [バジーリオ]
- ……。▼
- [ムスタファー]
- ……。▼
- [バジーリオ]
- ムスタファー将軍、あんたの噂は
フェリアにも響いていた。▼
戦いは豪胆で苛烈。
しかし、その振る舞いは清廉で
部下からの人望も厚い。▼
まさかこうして組んで
一緒に焚き火を囲むことになるとはな。▼
- [ムスタファー]
- 勇猛なるフェリアを治める東西二人の王
フラヴィア王とバジーリオ王。▼
武を志すものならば
避けては通れぬ名。▼
こちらこそ、一人の武人として
お会いできて光栄だ。▼
- [バジーリオ]
- イーリス大陸じゃ、不幸な巡り合わせで
敵同士になっちまったが…。▼
なんの因果かアスク王国じゃ
こうして共に戦うことができる。▼
- [ムスタファー]
- 私も今は、この国の平和のために
子の斧を振るう身。
王の腕、存分に頼らせていただく。▼
- [バジーリオ]
- だけどよ、なんか不思議なんだよな。
あんたとは
他人のような気がしねえ。▼
いろんなところが
似ている気がするんだよ。▼
- [ムスタファー]
- …ふむ。▼
戦場に身を置き続けた者が持つ
独特な気迫…たしかにそれは
似ているような気がする。▼
- [バジーリオ]
- いや、それもそうなんだが
もっとこう…なんというか。▼
- [リフ]
- お二方。焚き火の番、ご苦労様でした。
そろそろ交代しましょう。▼
- [マリナス]
- 王と将軍は馬車でお休みくだされ。
あとはわしらが見張りをやりますぞ。▼
- [バジーリオ]
- おう、すまないな。▼
- [ムスタファー]
- なにかあれば
遠慮なく起こすといい。▼
- [マリナス]
- お気遣い、ありがとうございます。
では、おやすみなさいませ。▼
- [バジーリオ]
- お前たちも体力を
温存しておけよ。▼
- [オリヴァー]
- うむむ、納得がいかぬ!
どうして可憐で美しい私が
このような遠征に同行せねばならんのだ!▼
- [マリナス]
- まあまあ、オリヴァー殿。
戦いに巻き込まれた村に物資を届けるのも
やりがいのあるお仕事ですぞ。▼
- [オリヴァー]
- ふん。どうせならもっと
まろやかで美しい者たちと
組ませてほしいものだ。▼
ああ、これも完璧な私を妬む
神の試練なのか…。
だが負けぬ、負けませぬぞー!▼
- [バジーリオ]
- しかし、どうして
エクラは
俺たちにこの任務を任せたんだろうな。▼
ムスタファー将軍はともかく
ほかの面子は出身地も兵種も
バラバラなのによ。▼
- [ムスタファー]
- ……▼
- [リフ]
- きっと、私たちに
信を置いてくれているからでしょう。▼
異界の英雄たちが
民のために力をあわせる…▼
この巡り合わせ…
神のお導きに感謝しましょう。▼
- [ムスタファー]
- 本当ならゴルドア王国の
デギンハンザー王も
同行される予定だったらしいが…▼
- [マリナス]
- 別用でご不在だったと
聞き及んでおりますな。▼
- [バジーリオ]
- ラグズの民ってのも
かなり強いんだろ?
その腕前、見てみたかったぜ。▼
- [オリヴァー]
- デギンハンザー王は神に次ぐ力を持つ
【三雄】の一人なのだぞ。▼
そのような豪の者と馬車に揺られるなぞ
硝子細工のように繊細な
私の寿命がメキメキと縮むわい。▼
- [マリナス]
- そういえば…▼
- [バジーリオ]
- どうしたマリナス。
そんなに頭を撫でて。
虫にでも刺されたか?▼
- [マリナス]
- い、いえ、そのようなわけでは…
村まではあと半日ほど。
もうひとふんばりですじゃ。▼
- [バジーリオ]
- おう、気を抜かずに行こうぜ!▼
- [ムスタファー]
- そろそろ、話に聞いていた。
盗賊たちの縄張りだな。▼
- [マリナス]
- 村まではあと半日ほど…
何事もなく通り過ぎることが
できればいいのですが…。▼
- [オリヴァー]
- ふん、こんな辺境の賊など
私の美しさに腰を抜かしてひれ伏すわ。▼
- [バジーリオ]
- 俺とムスタファー将軍がいるんだ。
百人の賊が押し寄せてきても
負ける気はしねえけどよ…。▼
問題は、馬車と積み荷を守りながら
戦わなけりゃいけねえってことだな。▼
- [マリナス]
- 賊も、積み荷を狙って来るとは
思いますが…。▼
破れかぶれになった賊は
なにをしでかすか
わかりませんからのう。▼
- [ムスタファー]
- ……!
この気配、囲まれている。▼
- [リフ]
- かなりの数ですね。
私にも感じます…。▼
- [マリナス]
- あわ、あわわ…
噂をすればなんとやらですぞ!▼
- [バジーリオ]
- やっぱり、すんなりとは
通してはくれねえか。▼
俺とムスタファー将軍は
馬車から賊を遠ざけるように戦う。▼
馬車の守りはオリヴァー
あんたに任せるぜ。
その魔道書は飾りじゃないんだろ?▼
- [オリヴァー]
- 誰に言っておるのですかな!?
芸術を解せぬ辺境の賊に
この美の化身が後れを取るとでも!?▼
- [バジーリオ]
- そいつぁ頼もしい。
俺も芸術とかはさっぱりだが
戦えるのならそれでいい。▼
- [リフ]
- 怪我をなさったときには
馬車までお戻りください。
私が手当をいたします。▼
- [ムスタファー]
- かたじけない。
もしものときは力をお借りする。▼
- [バジーリオ]
- んじゃあ、ひと暴れするか!
積み荷は腹を空かした
村人に届けるものだ。▼
盗賊たちには
指一本触れさせねえぜ!▼
- [バジーリオ]
- はぁぁぁっ! せやぁぁっ!▼
- [ムスタファー]
- ふんっ…!▼
- [オリヴァー]
- ええい、寄るでない!
私の美しい顔に
傷でもついたらどうする!▼
- [バジーリオ]
- くそっ、ひとり一人は
大したことはないが
こう数で押されてはな…!▼
- [ムスタファー]
- 馬車を守りながらの戦い…
なかなかに手強い!▼
- [マリナス]
- 皆様方、頑張ってくだされ!▼
- [バジーリオ]
- ちっ、ここで積み荷を
奪われでもしたら…。▼
俺たちを信頼してくれた
エクラにも
申し訳が立たねえ!▼
- [リフ]
- 神よ、どうかご加護を!▼
- [オリヴァー]
- くぅぅぅ、美しい私が
ここで倒れてしまえば
誰がアスク王国の美を守るのか!▼
止むを得ぬ! 秘中の秘である
【寵愛の書】を使うしかない!▼
さあ、美しき光を放つのです!
【寵愛の書】よ! むんっ!▼
- (画面が白く光る)
- [バジーリオ]
- うおっ!?
な、なんだっ、この光は!?▼
- [ムスタファー]
- むぅっ!?▼
- [リフ]
- お、おお…これは
神の御来光でしょうか!▼
- [オリヴァー]
- 道理をわきまえぬ賊どもよ!
見るがいい! この華麗な光を!▼
…って、ま、眩しすぎるっ!?
こ、これはいったい何ごとー!?▼
- [マリナス]
- は、はわーっ!
魔道書から放たれた光が
何かに反射しておるような…!▼
- [バジーリオ]
- よくわかんねえが
賊はひるんでやがる!
好機を逃すな、一気に押し返す!▼
- [ムスタファー]
- 承知!▼
- (画面が白く光る)
- [バジーリオ]
- ふぅ…なんとかなったみたいだな。
ちょっとだけ肝が冷えたぜ。▼
- [リフ]
- 皆様、お怪我がないようで
なによりです。▼
- [オリヴァー]
- しかし、さきほどの輝きはいったい…。
【寵愛の書】があれほどまで
光るはずはないのだが…▼
私の美を愛する心が高まったゆえに
魔道書がさらなる光を発したのでは!?▼
- [バジーリオ]
- ま、なんにせよ。
力を合わせて乗り切れたんだ。
これで胸を張って城に戻れるな・▼
- [リフ]
- 村人たちも喜ぶでしょう。
この行いが、世の闇を照らす光の
一助になれば幸いです。▼
- [ムスタファー]
- うむ。民のまばゆい未来のために。▼
- [オリヴァー]
- 私の輝く笑顔で、これからも
世を照らしてみせようではないか!▼
- [バジーリオ]
- 俺もまだまだいけるな!
これからもアスク王国で
輝いてやろうじゃねえか!▼
理知の瞳 ミリエル†
- [ミリエル]
- ふむ…なるほど…。
イーリス聖王国での観測と
寸分の違いもないようですね…。▼
- [アルフォンス]
- ?
あそこにいるのは…ミリエルか。▼
さっきから袋を地面に落として
拾っては落として…
なにをしてるんだろう?▼
- [ミリエル]
- …引力の確認です。▼
- [アルフォンス]
- わっ、聞こえてたのかい…!?
す、すまない。
君の様子が気になってつい…▼
- [ミリエル]
- この異界…
アスク王国にも引力が存在するのか
確認していました。▼
ああ、引力というのはですね。
すべての物体が必ず大地に
引かれて落ちる現象を指します。▼
大地が物体を引き寄せるこの力を
私の母は引力と呼んだのです。▼
- [アルフォンス]
- 引力…か。
そういえばエクラが
言っていたような…▼
- [ミリエル]
- !
この力のことを…
既に知っていたというのですか?▼
- [アルフォンス]
- 詳しいことは僕も知らないんだ。
ただ、以前
満月だった時に…▼
- [ミリエル]
- ……!?
夜空に浮かぶあの月も…
引力に関係しているのですか?▼
その話が本当だとしたら
いったいどうやって調べたのです?
誰か月へ赴いたのですか?▼
- [アルフォンス]
- さ、さあ…
エクラに
聞いてみるのはどうかな?▼
- [ミリエル]
- …確かに、そうですね。▼
エクラさんは
おそらく、私たちより遥かに優れた
文明の存在なのでしょう。▼
尋ねれば、引力のことも…
私の知りたい知識も
すぐに得られるのかもしれません。▼
………▼
- [ミリエル]
- …………▼
- [シャロン]
- ミリエルさん。
もしかして、
何か悩みごとですか?▼
- [ミリエル]
- …はい。▼
シャロン王女、
なぜ私の考えが
わかったのですか?▼
- [シャロン]
- わかりますよ!
だってミリエルさん、
すごく難しい顔してましてから。▼
- [ミリエル]
- …難しい、顔?
それはどんな顔ですか?
詳しく話してください。▼
目の大きさや角度ですか?
それとも鼻?
あるいは口の結び方が…▼
- [シャロン]
- え、えーと…
なんとなくです!▼
そ、それより悩み事ですよね!
良かったら
わたしに話してみませんか?▼
悩み事は誰かに話すと
気持ちがすっきりするんです。▼
あ、でも難しい話は
わたし、苦手ですから、
わかりやすくお願いします!▼
- [ミリエル]
- ……。
そうですね、
例えるなら…▼
母と私が長年
答えを追い求めていた…
大いなる謎があるとします。▼
- [シャロン]
- うんうん、
なぞなぞですね!▼
- [ミリエル]
- 答えに近づくための知識は、
母から私へと受け継がれ…▼
私は生涯をかけて、
謎を解き明かそうとしていました。▼
- [シャロン]
- お母様の代からの悲願を
ミリエルさんが叶える…
すばらしいと思います!▼
- [ミリエル]
- ところが…です。
その答えは隣国の人々にとっては
誰でも知っているような常識だったのです。▼
私は隣国に行き、
あっさりと答えを知ります…▼
この謎を解くために
母や私が費やしてきた歳月に…
意味はあるのでしょうか?▼
- [シャロン]
- え、えーと…▼
意味はあります!
だってミリエルさんは、自分自身の力で
考え続けてきたんですから!▼
- [ミリエル]
- …もし意味があるとするなら。▼
私は隣国に答えがあると知っていても
あえて耳を塞ぎ、みずから
考え続けるべきなのでしょうか?▼
それは、知識を求める私が…
真理を目指す者が
とるべき行動なのでしょうか?▼
- [シャロン]
- え、えーと…
わ、わかりません、ごめんなさい!▼
すみません、
お悩み解決できませんでした…▼
- [ミリエル]
- …いえ。
やはりこれは、私自身が
決めるべきことなのでしょう…▼
- [アンナ]
- 物資の補給に、
特務機関の財政管理に…
あー忙しい忙しい!▼
あ、ミリエル、良いところに。
これ、届けといてくれないかしら?▼
- [ミリエル]
- これは…
魔道理論の書ですか。
ごく初歩のもののようですが…▼
- [アンナ]
- それ、エクラが
読むのよ。▼
- [ミリエル]
- …?
エクラさんが
なぜこのような魔道の初歩を?▼
もしや、誰でも理解できると
思われていたこの初歩の知識にこそ
秘められた真理への扉が…▼
- [アンナ]
- いいえ、
そういうのじゃなくて。▼
エクラが
元いた世界にはね、
魔法は存在しないらしいのよ。▼
- [ミリエル]
- 魔法が…存在しない?▼
それは、例えば
炎や風を生み出すような、
ごく初歩的な魔道さえも?▼
- [アンナ]
- ええ、だから
完全に知識ゼロってわけね。▼
- [ミリエル]
- …それは、意外でした。
エクラさんといえば…▼
ありとあらゆる世界の知識を蓄え
時を超越した彼方の文明に住まう
全知の化身のはず…▼
- [アンナ]
- あなたの中の
エクラ像が
どうなってるのか気になるけど…▼
まあ、エクラも
私たちと同じ人間ってことね。
知ってることも知らないこともあるのよ。▼
- [ミリエル]
- …………▼
- [ミリエル]
- …………▼
- [アルフォンス]
- やあ、ミリエル。
その袋は…
また調べものかい?▼
あ、そういえば…
あれから
エクラとは話を?▼
- [ミリエル]
- …………▼
引力…
そう母が呼んだ力の謎は、
母から私に受け継がれたものです。▼
ある意味では、
この知識は、母と私の
絆といえるでしょう…▼
ですが、だからこそ…
私は知ることを拒みません。▼
- [アルフォンス]
- …………▼
- [ミリエル]
- 私は知りたいことがあれば、
考え、人に尋ね、書を読み、
時に実験を行ってきました。▼
あらゆる方法で知を深める…
それこそが母と私が目指す、
真理の探究です。▼
そうであるならば、
知ることを放棄するのは、
知に対する冒涜です。▼
私は今までと何も変わることなく
知りたい知識を得て、
真理に近づきます。▼
- [アルフォンス]
- …シャロンからは
君が悩んでいるみたいだと
聞いていたけれど。▼
どうやらもう、
迷いは消えたみたいだね。▼
- [ミリエル]
- はい。
答えは既に出ていました。▼
エクラさんが
私の問いにどこまで答えてくれるか、
私が理解できるかはわかりませんが…▼
いずれにせよ、
私は何らかの知識を
得ることができるでしょう。▼
そして私が得た知識は…
私の子、あるいは私の書を
読んだ者に受け継がれ…▼
いつか、真理に到達する。
私は今日も、その道標に
向かって進むだけです…▼
コメント†
Last-modified: 2021-12-21 (火) 13:47:04