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章別会話
選んだ道の先で†
選んだ道の先で†
オープニング†
- [ヒルダ]
- うう、予定どおりシェズちゃんと
合流できるかなー。▼
…あっ!
シェズ…▼
- [シェズ(男)]
- お、いたか、ヒルダ。▼
- [ヒルダ]
- …くん?
何であなたがこっちに?▼
- [シェズ(男)]
- もう一人に頼まれてな。
別件の依頼が、男が苦手なフロリーナからで
こっちを俺がやったほうがいいだろうって。▼
- [ヒルダ]
- まだ二人一組で、仕事を請けてるの?
なんだか不思議ねー。▼
- [シェズ(男)]
- そうか?
性別以外、まったく同じなんだから、
それを利用しない手はないだろ。▼
- [ヒルダ]
- そうかなー?
シェズちゃんも同じ考えってことよね。
本当に不思議だわー。▼
(暗転)
- [モニカ]
- いいですか?
シェズに少し頼み事がありまして…▼
- [シェズ(女)]
- どっちの?
いや、どっちでも大丈夫だから
私が聞くわ。▼
- [モニカ]
- まあ男のほうでしたけど、
大丈夫ってことならお願いします。▼
………………。
…ここって男のシェズの部屋じゃ
ありませんでしたっけ?▼
- [シェズ(女)]
- そうだけど、気にしてないわ。
互いに城にいないことも多いし、
どちらも同じように動けるんだから。▼
使えるものは何でも使う、
それが傭兵の掟よ。▼
- [モニカ]
- なるほど…。
あなたは、いえ、あなたたちは、
根っからの傭兵ですもんね。▼
このアスクで出会った性別の違う自分を
あっさりと受け入れて、傭兵の仕事に
活かすなんて…流石というか何というか。▼
- [アルフォンス]
- 君たちはすごいね…。
異界の自分と出会っても、疑うどころか
早々と受け入れて協力し合うなんて。▼
- [シェズ(男)]
- まあ、自分が二人いるようなもんだ。
仕事が早く片づいて、助かってるさ。▼
- [シェズ(女)]
- 同感よ。 …それに、
彼が「もう一人の自分」であることは、
疑いようもなかったわ。▼
自分しか持っていないはずの剣を、
こっちのシェズも持ってたから。▼
- [アルフォンス]
- 剣…? 神器のようなものなのかな。▼
- [シェズ(男)]
- さあな。
そういった情報はまったくない。▼
- [シェズ(女)]
- ただ虚空から生み出せる、
私たちだけの剣よ。▼
- [ヒルダ]
- あたしたちのフォドラには、
“英雄の遺産”っていう伝承に名を残す
武具があるけれど…▼
シェズちゃんたちの剣は、
そういうのとは違うのよねー。▼
- [モニカ]
- ええ、ヒューベルトも調べていましたが、
どちらかというと、それらと対極にある
ような存在ではないかと…。▼
- [アルフォンス]
- どういう意味だろう…。
ただの傭兵というわけではないのかな。▼
- [シャロン]
- 当然ですよ、お兄様。
アスク王国に呼ばれた英雄なんですから。
すごい傭兵なのは間違いありません!▼
- [モニカ]
- あれ…どうかしたんですか。
微妙な空気ですけど。▼
- [ヒルダ]
- それがね、シェズくんとシェズちゃんが…▼
(暗転)
- [モニカ]
- …ふむ、つまりお二人はほとんどすべてで
気が合うけれど、最後の最後、肝心な部分で
致命的にすれ違うことが判明したと。▼
- [シェズ(女)]
- ええ、そうよ。
互いに根っこの部分は同じはずなのに、
辿ってきた道筋が違ったみたいね。▼
- [シェズ(男)]
- 人生の岐路にあって、
別の選択をした自分ってことだ。
性別なんかよりそこが問題だとはな。▼
- [ヒルダ]
- ふーん。▼
まあ、そういういものかもねー。▼
あたしなんて、二人いたら、
あっちもこっちも押し付け合って
物事が収拾つかなくなっちゃうよ。▼
…まあ、兄さんがいたら
両方とも片付けちゃいそうだけどー。▼
- [モニカ]
- あたしも、陛下の右腕の座を奪い合って、
ヒューベルトに鼻で笑われそうです。
気が合う自分は想像できません。▼
- [シェズ(男)]
- そこは同じ自分なんだから、
助け合えばいいだろ…って、
思っていたんだがな。▼
- [シェズ(女)]
- こうなっちゃったら何も言えないわね。▼
…それで、あなたは
そっちを選んだの?▼
- [シェズ(男)]
- むしろなんでお前は、
あっちを選んだのかを聞きたいが。▼
- [ヒルダ]
- 待って待って。
二人とも、落ち着いてー。▼
- [モニカ]
- そうですよ。
でも、珍しいですね。
シェズがそんなに気にするなんて。▼
- [ヒルダ]
- うーん、あれから
シェズくんとシェズちゃん、
どうもぎくしゃくしてるのよねー。▼
- [モニカ]
- ええ。
しかし、あたしたちに何かできる
問題ではないように思いますよ。▼
同じようでいてまったく別物だった、
二人の生き方の違いなんですから。▼
- [ヒルダ]
- …まあ、人ってそういうものなのかも。
誰と出会うか、どこで暮らすか、
そういう周りの環境で変わっちゃう。▼
それも、所属する学級が違うとか、
その程度の差でも、人生のすべてが
きまっちゃったりするのよね。▼
- [モニカ]
- 選択した時には、それが大きな岐路になる
なんて気づけないこともありますからね。
そんなつもりはなかったのに、とか。▼
- [ヒルダ]
- 何にせよ、今までどおり
仲よくしてくれたらいいんだけどなー。▼
- [モニカ]
- ん? あれは…シェズとシェズ?▼
(暗転)
- [シェズ(男)]
- ――ま、違うなら違うでやりようはある。
相手を知って、己の成長に繋がるものを
見つけるとかな。▼
- [シェズ(女)]
- ええ、違う自分を観察することで、
己の欠点に気づけたり、とかもありそうよ。▼
- [シェズ(男)]
- 使える者は何でも使う。
- [シェズ(女)]
- それが、傭兵の掟、だものね。▼
(暗転)
- [ヒルダ]
- あれー…全然、平気そうじゃない。
あたしたちの心配は何だったのかしら。▼
- [モニカ]
- でも、それこそがシェズじゃないですか?
あたしたちの、頼もしい仲間、
なんですからね。▼
新進気鋭の傭兵 シェズ†
- [アルフォンス]
- おや、シェズ。
何をしていたんだい?▼
- [シェズ]
- ん、ちょっと勧誘の張り紙をな。▼
実はこのアスク王国で
近々、傭兵団を立ち上げようと
思ってるんだ。▼
- [アルフォンス]
- 傭兵団…
どういう風の吹き回しか、
尋ねてもいいかな。▼
- [シェズ]
- はは、たいした話でもないんだが…▼
(暗転)
- [セーバー]
- …へえ、ならあんたは元々、
傭兵団の一員だったってわけか。▼
- [シェズ]
- ああ。
生憎と、一番長く身を置いた傭兵団は
あっさり壊滅しちまったが。▼
- [テティス]
- そうだったの…。
苦労してきたのでしょうね。▼
- [シェズ]
- 苦労ってほどの苦労はしてないさ。
けど、強いて言うなら…▼
一人での傭兵業ってのは骨が折れる。
仕事一つ請けるのにも一苦労だ。▼
- [セーバー]
- それを知りながら、
アスクに来ても孤独に傭兵業とはな。▼
いっそ自分の傭兵団でも
立ち上げてみりゃあいいんじゃないか?▼
- [テティス]
- あら、面白そうじゃない。
勧誘する人材には困らなさそうだわ。▼
- [セーバー]
- ははは、立ち上げの折には、
俺も末席に加えて貰おうかね。▼
- [シェズ]
- 俺の、傭兵団か…
…ああ、悪くない。▼
(暗転)
- [シェズ]
- …なんてことがあってな。▼
- [アルフォンス]
- なるほど。
それで、人は集まりそうかい?▼
- [シェズ]
- いや。
始めたばかりだし、気長に――▼
- [???]
- …すまない。
傭兵を募集していると聞いてきたのだが。▼
- [シェズ]
- お、噂をすればなんとやらだ。
早速、詳しい話を…▼
――ん!?
- [ベレト]
- …何か?▼
- [シェズ]
- は…は…▼
灰色の、悪魔ーっ!?▼
- [ベレト]
- …ああ。
報酬さえ払ってくれるのならば、
護衛から砦の攻略まで請け負う。▼
- [アンナ]
- 本当!? ありがたいわ!
なら早速仕事を頼んじゃおうかしら。
もちろん安くしてくれるわよね?▼
(暗転)
- [アネット]
- えっ、先生が傭兵団に!?▼
- [リシテア]
- そういえば、元々傭兵でしたからね。
ここに来て復帰したというわけですか。▼
- [ベレト]
- そういうことになる。
何かあったら、気兼ねなく依頼してほしい。▼
- [フレン]
- ま、楽しそうですわね!
わたくしも加えてもらいたいものですわ。▼
- [ベレト]
- いつでも歓迎だ。
まだ団員の数も揃っていないから。▼
- [シェズ]
- ………………。▼
(暗転)
- [アルフォンス]
- どうしたんだい、シェズ。
ぼうっとして。▼
- [シェズ]
- いや…
あいつ、本当に俺の知る
“灰色の悪魔”なのかなと思って。▼
- [アルフォンス]
- “灰色の悪魔”…
確か、彼の異名だったかな。▼
- [シェズ]
- そうだ。
傭兵の間じゃ、すごく恐れられてた。
眉一つ動かさず命を刈り取ってくってな。▼
俺のいた傭兵団も、
あいつに壊滅させられたようなもんだ。▼
だから今のあいつは、こう…
人らしいというか、
“悪魔”らしくないというか…▼
- [シェズ]
- …ええと、つまり?
明日の仕事は、
朝から晩まで猫探し、と…▼
…傭兵というか、
何でも屋って感じだな?▼
- [ベレト]
- 不味かっただろうか。▼
- [シェズ]
- いや。
駆け出しの傭兵団なんてそんなもん――▼
- [アルフォンス]
- ――すまない!
君たちに依頼があるんだ。▼
先ほど、エンブラとの国境で
小規模な衝突が起こったらしい。▼
兵の数は多くないから
アスクの軍だけで対処するつもりだが、
長引けばエンブラの本軍が出てきかねない。▼
そこで、君たち傭兵団の力を借りたい。
先行したアスクの部隊に合流して、
戦いを決着させてきてくれないか?▼
- [シェズ]
- 了解だ。
猫探しはフレンに任せよう。
ベレト、行くぞ!▼
- [ベレト]
- いや、待つんだ。▼
- [シェズ]
- な、何だよ。▼
- [ベレト]
- …アルフォンス王子。
この衝突そのものが、
敵の陽動という可能性もある。▼
- [アルフォンス]
- …!▼
- [ベレト]
- 国境の他の箇所も警戒するよう、
各部隊に伝達してほしい。
それと…▼
- [シェズ]
- お、おお…。▼
- [ベレト]
- …どうした、シェズ?▼
- [シェズ]
- いや…
これが人を教え導くものか、と
感心しただけさ。▼
俺は前線に出てばかりというか…
契約どおり、命令どおりに戦うことが
常だったから。▼
俺にも、あんたみたいな先生がいたら
よかったんだがな。▼
- [ベレト]
- ………………▼
- [セーバー]
- よう。
楽しんでるか、功労者さんよ!▼
- [シェズ]
- よしてくれよ。
お前らが救援に来てくれなけりゃ、
きっと大変なことになってた。▼
本当の功労者は俺じゃなく、
お前らを向かわせてくれた…▼
…あれ?
あいつ、どこ行った?▼
おい、戦勝の宴だってのに
なんでこんな隅っこで飯食ってるんだよ。▼
- [ベレト]
- 理由はないが…食事に集中していた。▼
- [シェズ]
- …あんたって、
実は結構食い意地張ってるよな。▼
- [ベレト]
- そうか?
傭兵は体が何より大事、と
父に教わったからかも知れない。▼
- [シェズ]
- とはいえ、
仲間と信頼を築くのだって
傭兵の仕事の一環だろ?▼
- [ベレト]
- 善処する。
が、あまり上手くいった記憶は…。▼
- [シェズ]
- ま…傭兵らしい冗談は言わない、
無表情で考えも読みにくい、とくればな。▼
- [ベレト]
- その点、君は傭兵団にとっての
「かすがい」とでも言おうか。
流石は団長だ。▼
- [シェズ]
- 何だよ、こっ恥ずかしい…。▼
…というか、ずっと思ってたんだ。
団長には俺よりも、お前の方が
相応しいんじゃないかって。▼
- [ベレト]
- 買い被りだ。▼
- [シェズ(男)]
- いやいや、本当に…▼
- [セーバー]
- ――ほほう。
そういうことなら、
俺が団長になっちまおうか。▼
- [シェズ]
- うわっ、セーバー!?▼
- [フレン]
- お待ちになってくださる?
わたくしも団長の座に興味がありますわ!▼
- [ベレト]
- そうか…ならば、
自分も名乗り出ないわけには…▼
- [シェズ]
- え、何だこの流れ。
それなら俺も…▼
- [セーバー]
- ははは、やっと手を挙げやがったな。
シェズ団長。▼
- [ベレト]
- ああ。頼りにさせてもらおう。▼
- [シェズ]
- ええ…あれ?
結局そうなるのか…。▼
前途有為な傭兵 シェズ†
- [クリス]
- …やはり、迷ったか。▼
- [シェズ]
- …ええ、完全にね。▼
- [クリス]
- 参ったな…
森の方に煙が見えたからと言って、
慌てて森に入るべきじゃなかったか。▼
- [シェズ]
- 蓋を開けてみれば、
味方の軍勢どころか、
人っ子一人見えないものね…。▼
- [クリス]
- …それで、これからどうする?
このまま助けを待つか?▼
- [シェズ]
- ええ。
迷ったら下手に動くな、と
よく言われるし。▼
とはいえ、
いつまでも助けが来なければ
どうなってしまうことやら。▼
- [クリス]
- 手元の糧食にも限りがある。
いざとなれば獣を狩って、とも思ったが
この森…獣の姿も見当たらないな…。▼
- [シェズ]
- 実のなった草木…も、
そう都合よく生えてないわよね。▼
………………。▼
…前に、ディミトリが
雑草にも食べられるものがあるって
話してたんだけど。▼
- [クリス]
- 雑草…。▼
…そういえば。
以前サクラ王女に、野草の揚げ物を
振る舞っていただいたことがある。▼
てんぷら…といったか。
白夜王国の伝統料理らしいんだが、
独特の苦みとほのかな甘みが最高だった。▼
- [シェズ]
- 揚げ物…。
…油を使うんだった?
それなら持ってるけど。▼
- [クリス]
- ありがたい。
あとは小麦の粉だが…なぜか俺が持ってる。
出立前にシルク殿が分けてくれたものだ。▼
- [シェズ]
- それじゃ食材さえあれば…
早速、集めに行きましょ。▼
- [クリス]
- 採ってきたぞ、シェズ。
どれも毒はないはずだ。▼
- [シェズ]
- 助かるわ、流石は山育ちね。
- [クリス]
- 祖父に叩き込まれたからな。
そういうシェズこそ、随分とたくさん
採ってきたじゃないか。▼
- [シェズ]
- まあ、私も山村で育ったから…
雑草の種類を見分けるのも、
人並み以上には出来るつもりよ。▼
それじゃ、料理に取りかかるわ。
クリス、手伝ってもらえる?▼
- [クリス]
- む、俺が…?
…大丈夫だろうか。▼
(暗転)
- [シェズ]
- こ、これは…▼
何と言うか、その…
…人を、選びそうな味ね?
食材が雑草だから、って話でもなさそう。▼
- [クリス]
- すまない、
俺が手を出したからだろう。
…あまり気を遣わないでくれ。▼
昔から、料理だけはするなと
祖父にも言い含められていた。▼
「お前の料理は鋼の味がする」と…。▼
- [シェズ]
- 鋼の味…。
言い得て妙ね。▼
- [クリス]
- くっ…オスカー殿の薫陶を受けて、
少しはましになったと思ったんだが…▼
- [シェズ]
- でも、小麦の粉のおかげで
お腹には溜まりそう。
泥土を食べるよりはずっといいわ。▼
- [クリス]
- そう言ってもらえると救われる。
…間もなく日が暮れるが、明日の朝は
シェズだけで作ってもらえないか。▼
- [シェズ]
- それが賢明みたいね。▼
ちょっと試したい工夫もあるし…
ふふっ、きっと最高に美味しい
雑草料理を作ってみせるわ…!▼
- [クリス]
- ああ、頼りにしているぞ!▼
- [シェズ]
- …ということで、
できたのがこの料理ってわけ。
どう? アンナ隊長。▼
- [アンナ]
- 本当にこれ、雑草だけで作ったの?
匂いも悪くないし、見た目も綺麗。
お味の程は…▼
…まあ当然、草ではあるわね。
けど、草の種類さえ選べば
もっと美味しい料理に化けるかも…。▼
- [シェズ]
- ええ、私もそう思う。
行軍中、食糧が尽きた時に食べる分には
十分だと思うし、皆にも作り方を――▼
- [アンナ]
- …成程、お肉に添えるのも悪くないわね。
あとはパンと一緒に食べるのもいいし…
あ、煮込んで汁物の具にしちゃうのも…▼
- [シェズ]
- 隊長、聞いてる?
皆にも作り方を教えようと
思ってるんだけど。▼
- [アンナ]
- ――駄目よ。
広めるのはもうちょっと待ちなさい。▼
だってまとまったお金になりそ…
…じゃなかった、そのほら、
まだ研究の余地がありそうじゃない。▼
- [シェズ]
- 研究の余地…。
まあ、それはそうかも。▼
- [アンナ]
- そうでしょ、そうでしょ?
ということで、私のほうでも
いろいろ他の調理法を考えてみるわ!▼
雑草料理を広めるのは、
それからにしましょ!▼
- [シェズ]
- え、ええ…わかったわ。▼
…そんなに勿体ぶるようなものかしら?▼
- [アンナ]
- シェズ、大変よ!▼
- [シェズ]
- そんなに慌てて、どうしたの?▼
- [アンナ]
- あなたの雑草料理で大儲けしようと
思ってたのに、その計画が水の泡に…!▼
- [シェズ]
- アンナ隊長…
そんなことを企んでいたの?
それで広めるのを後回しにしてたのね。▼
- [アンナ]
- も、勿論、
後で説明するつもりだったのよ……▼
- [シェズ]
- まあいいわ。
それで、原因は何?▼
- [アンナ]
- それが、あなたの教えてくれた調理法を、
他にも知っている人がいて…
それも、大勢よ!▼
(暗転)
- [ンン]
- その葉っぱは、ちょっと苦いけれど
まあまあ美味しいのです。
噛んでる間はお腹も空かないのです。▼
(暗転)
- [イングリット]
- その草、きちんと下茹でしてから
刻んで麦粥に入れた方が美味しいですよ。
何より、お腹も膨れますし…。▼
(暗転)
- [ピエリ]
- 美味しいけど、物足りない感じがするの…
この花は、お肉と一緒にえいってすれば
もっと美味しくなると思うの!▼
(暗転)
- [アンナ]
- ――という感じで…▼
- [シェズ]
- あー…考えてみればそうかも。
どこの世界にも、雑草を食べようって
思う人はいるわよね。▼
- [アンナ]
- このアスクにはいないわよ!
異界っていうのは、本当に大変なところが
多いのね…。▼
- [シェズ]
- 私は他の異界を知っているわけじゃないけど、
“英雄”っていうのは一様に
戦う力を持ってるわけでしょ?▼
争いのない、誰も食べ物に困らないような
平和な世界には…
きっと英雄なんて生まれないのよ。▼
- [アンナ]
- ええ、アスク王国だって、
争いがなければ英雄を必要としないのに…
何と言うか、切ない因果ね…。▼
一肌脱ぎますか! ヒルダ†
- [ヒルダ]
- …そしたら、兄さんったら
魔物の群れに突っ込んでっちゃって。
あの時はほんとどうなることかとー。▼
- [シャロン]
- あはは…でも、それが笑い話で済むなんて
本当にすごい人なんですね。
わたしもお会いしてみたいです!▼
- [ヒルダ]
- 暑苦しくって、びっくりしちゃうかもねー。
物静かで優しいアルフォンス王子とは
もう大違いなんだから。▼
- [シャロン]
- いやいやいや!
お兄様は確かに物静かですけど、
ああ見えて結構無茶をすることも…▼
…あれ?▼
- [スラシル]
- …………▼
- [シャロン]
- スラシルさん?
あんなところでどうしたんでしょう。▼
スラシルさーん!
折角ですし、一緒にお茶しませんかー?▼
- [スラシル]
- …悪いけど、構わないで。
別に、何か用があったわけでもないの。▼
- [シャロン]
- あっ…いっちゃいましたね。▼
- [ヒルダ]
- 何か考え込んでるみたいだけど…
どうしたのかしら―。▼
- [スラシル]
- …この間はごめんなさい。
折角のお茶会に、
水を差すような真似をしてしまって。▼
- [ヒルダ]
- ううん、全然気にしてませんって。
むしろ、ずっと心配してたっていうか…
何か悩みがあるんですか?▼
- [スラシル]
- …悩みというほどのものではないわ。▼
あの時、アルフォンス王子や
あなたのお兄様の話をしていたでしょう。
私にも、兄がいたの。▼
- [ヒルダ]
- スラシルさまのお兄様…
っていうと、ブルーノさまのこと?▼
- [スラシル]
- そうね。けれど彼はあくまで、
過去の私…「ヴェロニカ」の兄よ。▼
私の兄は死んでしまった。
感謝の一つも伝えられないままに。
助けると約束したのに、結局私は…▼
- [ヒルダ]
- なるほど、なるほどー…。
お兄さまに感謝を伝えたかった、と。▼
そういうことならこのヒルダちゃんが、
人肌脱いじゃいますか。▼
- [スラシル]
- …えっ?▼
- [ヒルダ]
- スラシルさま。
明日、またここに来てくれません?
あたしも準備しときますから。▼
- [スラシル]
- ちょっと、ヒルダ…何をするつもり?▼
- [ヒルダ]
- ふっふっふっ、
それは明日のお楽しみですよー。▼
- [エイリーク]
- …やはり、武具でしょうか?
何にせよ、家族同士の贈り物ならば
気を遣いない品のほうがよいかと…。▼
- [リズ]
- あ、この仮面なんかどうかな?
いつもブルーノさんがつけてるやつより、
ちょっと派手だけど、似合いそうだよ!▼
- [ラケシス]
- 日頃から身に着けるものならば尚更、
相手の趣味に合わせた品を
お贈りするのが一番ではないかしら?▼
- [シャロン]
- ザ――ブルーノさんなら、
何でも喜んでくれると思いますけど…
向こうのお店も見てみましょうか!▼
(暗転)
- [スラシル]
- …呼ばれて来てみれば、
「彼」への贈り物を選ぼう、だなんて。
シャロン王女たちまで巻き込んで…▼
- [ヒルダ]
- もー、堅いこと言っちゃってー。
みんな折角「手伝わせて」って
言ってくれたんですからね。▼
- [スラシル]
- …この世界の彼に思いを伝えても、
私の「お兄様」には伝わらない。
…私の自己満足にしかならないわ。▼
- [ヒルダ]
- いいんじゃないですか、自己満足だって。
スラシルさまの中の
「ヴェロニカ皇女」が、
ちょっとは報われると思えば。▼
- [スラシル]
- …………
…世話焼きね、あなた。▼
- [シャロン]
- あのあの、スラシルさん!
この本なんてどうですか?
あとは、こっちのお店の武具とか…▼
- [スラシル]
- !
…この本…
…わかった、私も見に行くわ。▼
- [ブルーノ]
- …この本は?▼
- [スラシル]
- いつも、世話になっているから。
そのお礼を伝えたかっただけ。▼
そのうち、ヴェロニカに読んであげて。
何も知らない、ばかなあの子に。
…それじゃあ。▼
- [ブルーノ]
- 待ってくれ、ヴェロ――▼
- [スラシル]
- 勘違いしないで。
私はスラシル。死の国ヘルの将にして、
今はアスク王国の将の…スラシルよ。▼
(暗転)
- [ヒルダ]
- (…なんてことがあったの。
ほんと、素直じゃないんだから)▼
(でも、贈り物を渡した後の
スラシルさまは、ちょっと
スッキリした顔に見えたかなー)▼
(昔から、兄さんには
感謝は伝えられるうちに伝えておけ
って言われてきたけど…)▼
(その意味が、身に染みて
わかったようなきがするよ)▼
(そんなわけで、あたしもたまには
兄さんに感謝の手紙でも
書いてみようと筆を執ったんだけど――)▼
(暗転)
- [シャロン]
- …あれ、ヒルダさん?
お手紙を書いてるんですか?
珍しいですね。▼
- [ヒルダ]
- あはは、ちょっと兄さんに。
いつか機会が来たら、送ろうかなーと。▼
スラシルさまのこともあったし、
改めて感謝の気持ちを
伝えなきゃいけないな、って思って。▼
- [シャロン]
- わあ、素敵です! それじゃ
早くホルストさんを召喚してくださいって、
エクラさんに…▼
- [ヒルダ]
- わわ、待って待って-!
直接渡すと、喜んだ兄さんが絶対に
大騒ぎ起こすからダメー!▼
女帝いちの家臣 モニカ†
- [エーデルガルト]
- はあ…ようやく戻れたわ。
まだ雑事は残っているけれど、
これで一息つけるというものでしょう。▼
- [ヒューベルト]
- エーデルガルト様は、
今のうちに休息を取られては?
荷解きは私が。▼
- [エーデルガルト]
- お願いできる? 悪いわね。▼
- [ヒューベルト]
- …さて、私も早く始末して、
テフの一杯でも楽しみたいところですが。▼
…む?
これは…。▼
(暗転)
- [ヒューベルト]
- これが、エーデルガルト様の荷から
見つかった呪符です。▼
- [モニカ]
- あ…そ、そうなんですか。
陛下に危害を加える不届き者など、
許してはおけませんね…。▼
- [ヒューベルト]
- おや…どうしたのです、モニカ殿。
まさか犯人に心当たりでも?
であれば教えていただきたいものですな。▼
- [モニカ]
- い、いえ、ありません。
ありませんよ。▼
- [ヒューベルト]
- …左様ですか。▼
では、モニカ殿。
貴殿にも助力を頼むこととしましょう。▼
呪符を忍ばせた不届き者を見つけるのに、
貴殿の記憶力は大いに役立つかと。▼
さ、まずは荷物に近づけた者を集め、
話を聞いてみようではありませんか。▼
- [モニカ]
- …………。▼
(暗転)
- [フィヨルム]
- モニカさん…。
た、大変なことに
なってしまいました……!▼
- [クロード]
- 呪符ねえ…。
薬ならともかく、呪いには詳しくなくてね。
心当たりはないが…ディミトリはどうだ?▼
- [ディミトリ]
- 俺もだ。そもそも
俺たちはずっと城を出払っていたし…
力になれず、すまない。▼
(暗転)
- [バアトル]
- むっ、貴様! 我ら斧の会が、
見えざる斧の会を危険視していると!?
笑止千万も甚だしいわ!▼
- [ドルカス]
- …仮にそうだったとしても、
おれたちはそんな小細工を弄せるほど
器用ではない。▼
(暗転)
- [ニュクス]
- …馴染みのない術式ね。
どんな呪いなのかも判然としないわ。▼
- [ルフレ]
- 書かれている文字を見る限り、
ペレジアの呪術…でしょうか?
どことなく、既視感があるような…▼
(暗転)
- [ヒューベルト]
- さて。
いまだ犯人は見つかっていませんが、
一つ重要な情報があったようです。▼
ペレジアの呪術師、でしたか。
見つけ出して尋問することとしましょう。▼
- [モニカ]
- その、まだ早くはないでしょうか。
あやふやな情報で動いては、
陛下に迷惑をかけるかもしれませんよ。▼
- [ヒューベルト]
- くく…私にしてみれば、
この世界からしてあやふやなものです。
犯人と目される相手がそこにいるならば――▼
- [フィヨルム]
- ま、待ってください!▼
- [ヒューベルト]
- …おや、フィヨルム殿。
どうしましたかな?▼
- [フィヨルム]
- ええと…その…
その呪符…邪悪なものだとは
限らないのではないでしょうか…?▼
- [ヒューベルト]
- ほう…
何かご存じのようですな。▼
- [フィヨルム]
- ひっ!?
あの…ええと…▼
…す、すみません、モニカさん!
私、もう隠し通せそうにありません…!▼
- [カミラ]
- …ふふっ、あなたは本当に
エーデルガルトを慕っているのね。▼
- [モニカ]
- 慕っているなんてもんじゃありません。
あたしにとって、エーデルガルト様は
すべてを捧げる存在。まさに愛なのです。▼
- [フィヨルム]
- そんなふうに自分の想いを、
素直に言葉にできるなんて…。
少し、羨ましいくらいです。▼
- [サーリャ]
- ところで、モニカ…
悩み事があるって話だったけれど…?▼
- [モニカ]
- …はい。
あたしはかつて、
エーデルガルト様に命を救われました。▼
けれど、あの方のいたフォドラでは、
あたしは敵に体を奪われて命を落とし、
陛下をも危険にさらした存在らしく…▼
せめてこのアスクでは、
死んだ異界のあたしの分まで
エーデルガルト様をお守りしたい…。▼
そう思っているんです。
皆さんに何かお知恵を――▼
- [サーリャ]
- ふふ…そういうことなら、
とっておきのおまじないがあるわ…▼
- [モニカ]
- …おまじない?▼
- [サーリャ]
- このお守りを、
エーデルガルトの荷物に忍ばせておくの…▼
そうすれば、
彼女はどんな災難からも守られるはずよ…▼
- [カミラ]
- まあ、すごいわね…!
私もあの子にかけてあげたいくらいだわ。▼
- [モニカ]
- サーリャさん…
そんなに凄いお守りを、どうしてあたしに?▼
- [サーリャ]
- 別に…
他人と思えなかっただけよ…。
…そうだ、一つ伝え忘れていたわ。▼
お守りを忍ばせたのがあなたであると、
相手に悟られてはいけない…
おまじないの力が失われてしまうから…。▼
- [モニカ]
- 悟られてはいけない…わかりました。
やってみます!▼
- [フィヨルム]
- う、うーん?
これでよかったのでしょうか?▼
- [モニカ]
- そんな…フィヨルム王女…!▼
- [フィヨルム]
- ごめんなさい!
でも、これ以上皆さんを
心配させるのもどうかと思いまして…!▼
- [ヒューベルト]
- くくく…構いませんよ。
どうせそのようなことだろうと
思っておりました。▼
呪術に頼るというのが些か情けないですが…
主のためなら手段を選ばず、というのは
至極当然のことですので。▼
- [モニカ]
- ヒューベルト…。
でも、あたしは…▼
- [ヒューベルト]
- とは言いつつも、判断を下すのは
全て我が主です。
いかがですか、エーデルガルト様。▼
- [エーデルガルト]
- …………。▼
- [モニカ]
- …! エーデルガルト様!
申し訳ありません!▼
このモニカ=フォン=オックス、
どのような罰でもお受けいたします!▼
- [エーデルガルト]
- …そうね。
貴方にしては、少し浅慮が過ぎる
行動だったかもしれないわ。▼
- [モニカ]
- い、いえ、そんなことは…
でも万が一はありますし…。▼
- [エーデルガルト]
- ふふ…確かにそうかもしれない。
私は貴方一人守れなかった皇帝。
貴方が心配するのも当然よね。▼
- [モニカ]
- そんなことをおっしゃらないでください!
あたしにとって、陛下は…!▼
- [エーデルガルト]
- ごめんなさい、意地悪を言ったわ。
モニカ、呪符をありがとう。
私は貴方を罰したりはしない。▼
その資格があるのは、
“あなたを助けた私”だけでしょう。
私も、あなたを頼りにさせてもらうわ。▼
- [モニカ]
- エーデルガルト様…!
ありがとうございます!▼
- [フィヨルム]
- ほっ…何はともあれ、
丸く収まったようで一安心ですね。▼
- [ヒューベルト]
- ええ、良かったのではないですか。
互いのために、ね。▼
コメント†
- モニカB ドルカス 小細工を弄せるほど こざいくをろうせるほど、底の浅い計略で何とかしようとすること -- フルート
Last-modified: 2024-01-04 (木) 15:16:22