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章別会話
矜持は鉱石の如く†
矜持は鉱石の如く†
オープニング†
- [ディアマンド]
- 異界の敵も、
なかなかの手練れのようだな…▼
ここを切り抜ければ本隊、
そして神竜様と合流できるはずだ。
平気か、スタルーク、ラピス、シトリニカ。▼
- [スタルーク]
- は、はいっ…▼
- [ラピス]
- 無論です。▼
- [シトリニカ]
- 平気よディアマンド。
お気遣いありがとう。▼
- [ディアマンド]
- 皆、気を引き締めろ。
武力の国ブロディアの矜持は
この国でも健在であると信じているぞ。▼
- [スタルーク]
- 兄上はさすが落ち着いていらっしゃる…
それに比べて僕の駄目っぷりときたら。▼
足手まといで存在する価値がないうえに
皆の士気すら下げている。
いざとなったら囮となり役目を果たそう…▼
- [ラピス]
- ダメですよスタルーク様!!
そのような任務は我々にお任せを!▼
- [シトリニカ]
- あなたは王族なのだから。
臣下であるわたしたちの役目を
取らないでちょうだい。▼
- [スタルーク]
- そんなああ、ラピスもシトリニカも
僕より立派で素晴らしい人間です!
僕に守らせてくださああい!▼
- [シトリニカ]
- スタルークのそういうところは、
どこの世界でも変わらないようね。▼
- [ラピス]
- ディアマンド様。
ブロディア勢でまとまって
来られたことは幸いですが▼
ここにディアマンド様の臣下はいません。
あなた様の御身、忠臣に代わって
我々がお守りすることをお許しください。▼
- [ディアマンド]
- 礼を言う、ラピス。
頼りにさせてもらうぞ。▼
- [スタルーク]
- 兄上。
後方から敵が接近しています。
数は多くありませんが、手練れの者かと。▼
- [ディアマンド]
- よく見つけたぞ、スタルーク。
総員、戦闘準備!▼
- [ラピス]
- 承知しました。
残さず殲滅します!▼
- [シトリニカ]
- ディナーの時間までには
神竜様と合流できるといいわね。▼
- [ディアマンド]
- 敵を退けることができたな。
皆、ご苦労だった。▼
- [ラピス]
- 異界の軍と戦うのはまだ慣れませんが、
お二人をお守りできて良かったです。▼
- [シトリニカ]
- このままゆったりと小休憩…
といきたいところだけれど、
どうやら、まだ気配があるようね。▼
- [スタルーク]
- 木立の方向から人影が接近。
ですが、敵意は感じません。▼
- [ディアマンド]
- 神竜様か?▼
- [スタルーク]
- いえ、そうではないようですが…
何処か見覚えが。▼
- [ロイ]
- 良かった、みんな無事のようだね。▼
- [スタルーク]
- も、紋章士ロイ!?▼
- [ディアマンド]
- 紋章士が単独で現れるなど、
そのようなことが…
誰か神竜様から指輪を渡されていたのか?▼
- [ロイ]
- 落ち着いてくれ。
僕は君たちの知る紋章士ではない。
本来の姿の僕なんだ。▼
- [ディアマンド]
- 本来の?▼
- [ロイ]
- 僕はフェレ侯爵家の嫡男、ロイ。
エレブ大陸で生き、ここに喚ばれた身だ。▼
リュールから聞いているよ。
僕たちのいるエレオス大陸には
紋章士と呼ばれる僕がいることを。▼
最初は半信半疑だったけれど、
君たちの反応を見る限り…
それは真実のようだね。▼
- [ディアマンド]
- 我がブロディアにとって、
あなたは特別な紋章士だ。
ここにいる全員が同じ思いだろう。▼
祖国に託された紋章士、
その元になった存在と
相まみえることができるとは光栄だ。▼
- [ロイ]
- 照れくさいけれど、嬉しいよ。
紋章士と呼ばれる僕自身も、
君の言葉を誇りに思うだろう。▼
- [ディアマンド]
- 名乗るのが遅れてしまった。
私はブロディア王国王太子、
ディアマンドだ。▼
私にとっては旧知の仲のような
心持ちだが…改めて、
以後よろしく頼む。ロイ。▼
- [ロイ]
- こちらこそ。▼
- [スタルーク]
- 兄上。再び気配が。
今度こそ敵襲かと。▼
- [ロイ]
- 行こう、ディアマンド。
僕と力を合わせて、この場を乗り切るんだ!▼
- [ディアマンド]
- ああ!▼
- [ディアマンド]
- 流石はロイだ。
あっという間に片付いてしまったな。▼
- [ロイ]
- 不思議だな。君たちと共に戦うのは
初めてのはずなのに、ずっと前から
こうして共闘していたような気がする。▼
- [スタルーク]
- 勿体ないお言葉です。
もしここに父上がいたら…
きっと喜ばれたでしょうね。▼
- [ディアマンド]
- そうだな。▼
- [ロイ]
- 君たちの父上というのは、
ブロディア国王か。
きっと素晴らしい御方なのだろうね。▼
- [ディアマンド]
- ロイの父君は、どの様な方なんだ?▼
- [ロイ]
- ええと…▼
ああ、丁度いい所に。
もう一人援軍が来てくれたようだよ。▼
- [エリウッド]
- 合流が遅くなってすまない。
皆、無事のようだね。▼
- [ロイ]
- 彼はフェレ侯爵エリウッド。
僕の父だよ。▼
- [ディアマンド]
- ロイの、父君だと!?▼
- [スタルーク]
- ええっ!? でも随分と、
お若いのではないでしょうか?
兄君ぐらいの年代とお見受けしますが…▼
- [ロイ]
- ご名答。こちらの父上は、
まだ僕が生まれる前のお姿なんだ。▼
アスク王国には、召喚師の手によって
様々な年代や世界から英雄が召喚される。▼
見知った人であっても、
年齢や姿が違うことは珍しくない。▼
まさか若い父上に会えるだなんて、
最初はすごく驚いたよ。▼
- [エリウッド]
- 僕も初めて聞いた時には驚いたさ。
将来の息子とこうして、
戦うことになるとはね。▼
- [スタルーク]
- そんなことが…▼
なら、兄上。
もしかしたら僕たちの父上も、
いつか…▼
- [ディアマンド]
- ………▼
ああ。
その時はまた、昔のように…
手合わせをしていただこう。▼
- [スタルーク]
- はい!▼
- [ディアマンド]
- エリウッド殿。
此度の戦ではよろしく頼みます。▼
あなたのご子息は
我がブロディア王国の紋章士として、
我々を立派に守ってくださいました。▼
- [エリウッド]
- そうか…
まるで自分のことのように誇らしいよ。▼
さあ、もうひと踏ん張りだ!
ここを抜ければすぐに、
本隊へと合流できる!▼
- [ディアマンド]
- 行くぞ、皆!▼
- [リュール]
- ディアマンド、みんな!
無事でいてくださってよかったです。▼
- [ディアマンド]
- 神竜様!▼
- [ラピス]
- 良かった…
神竜様もご無事で何よりです!▼
- [シトリニカ]
- ディナーまでに間に合って、
安心したわ。▼
- [スタルーク]
- ロイ様、エリウッド様。
援軍としてお力を賜り感謝します。
お陰様で本隊に帰還できました。▼
- [ロイ]
- 礼には及ばないよ。
僕も、君たちと話せて嬉しかった。▼
個人的に興味があったんだ。
紋章士となった僕が、
一体どんな人たちと旅をしたのか。▼
- [エリウッド]
- 役目を果たせたのなら良かったよ。
ぜひまた話をしよう。
行こうか、ロイ。▼
- [ロイ]
- はい、父上!▼
- [ディアマンド]
- 仲睦まじいな。▼
- [リュール]
- ロイのお父君は元の世界でも
ご存命のようですが、こちらの彼のことも
父のように慕っておられるようですね。▼
- [ディアマンド]
- 神竜様。
今回のことで思い至ったのだが、
ここに居れば会えるかもしないのだな。▼
我が父上や…
亡くなったルミエル様にも▼
- [リュール]
- …そうですね。
合えたら嬉しいでしょう。とても。▼
果たせなかった約束を、
果たすことだってできるかもしれません。▼
けれど、私の母さん…やっぱり、
あの時に死んでしまった母さんだけです。▼
それに、ここでどんな母さんに会っても、
きっといるはずなんです。
彼女にとっての「リュール」が。
それは…
私ではありませんから。▼
- [ディアマンド]
- 神竜様…▼
- [リュール]
- なんて。
捻くれているでしょうか。▼
- [ディアマンド]
- …そうは思わない。
私も同感だ。▼
だが…もしも、
いつか父上がここに来て、
言葉を交わすことが叶うのであれば…▼
その時は、一人の戦士として、
もう一度剣を交えたい。▼
全盛期の父との手合わせであれば、
これ以上のことはない。
元の世界ではできなかったからな。▼
- [リュール]
- ディアマンドらしいですね。
その時は私も、
モリオン王とお手合わせ願いたいです。
どれだけ強くても負ける気はありません。▼
どデカい竜になって、
グワーッと攻撃するかもしれませんよ。▼
- [ディアマンド]
- ああ。それは…
父上も喜ぶだろう。▼
立ち向かう黒鉄 ディアマンド†
- [ディアマンド]
- こちらの世界でもあえて嬉しいぞ、
アルフレッド王子。▼
- [アルフレッド]
- 僕もだよ、ディアマンド王子。
一足先に来ていたから、案内は任せてくれ。▼
- [ディアマンド]
- ここでの戦も苛烈なものなのだろう。
一刻も早く特務機関の戦い方に慣れねば…▼
- [アルフレッド]
- 気負いすぎるのも良くないさ。
折角来たのだから楽しむといい。
異界の英雄たちの様子をみるとかね。▼
- [ディアマンド]
- 英雄たちの様子…か。▼
- [ピエリ]
- マークス様! 待ってなのーっ!
まだお買い物の途中だったのよーっ!▼
- [ラズワルド]
- すみませんマークス様―っ!
ギリギリまで女の子たちと
話してたのは謝りますから―っ!▼
- [マークス]
- 出撃前に信じられん…!
もっと気を引き締めろ!▼
- [アルフレッド]
- あれは暗夜王国という世界の英雄だね。
確か、主君と臣下たちのはずだ。▼
エレオス大陸の王族と同じく、
王族一人につき二名の臣下を擁するのが
習わしだと聞いたことがある。▼
- [ディアマンド]
- 主君は怒っていたようだが、
随分仲が良さそうだったな。▼
- [アルフレッド]
- ディアマンド王子の隊だって、
すごく仲が良いじゃないか。▼
- [ディアマンド]
- ………▼
- [アルフレッド]
- どうしたんだい?▼
- [ディアマンド]
- 今は二人とも近くにいないせいか、
どうにも、妙な心持ちだと思ってな。▼
- [アルフレッド]
- きっとすぐに来てくれるさ。
それまで筋肉鍛錬に励み、
待つ幸せを楽しむといい。▼
- [ディアマンド]
- アルフレッド王子らしいな。
…鍛錬というのはいい考えだ。
私も早速実践してみることにしよう。▼
案内の件は、また後日頼む。
では。▼
- [アルフレッド]
- ふむ…
彼は意外と寂しがり屋なのかな?
意外な一面を見た気分だね。▼
よし、ここは友人である僕が、
一肌脱ごうではないか!▼
- [アルフレッド]
- ディアマンド王子。
君の臣下が来るまでの間、
臨時臣下になりたいという人を連れて来たよ。▼
- [ディアマンド]
- 臨時臣下だと?▼
- [アルフレッド]
- ああ!
以前の会話から、君が臣下不在で
寂しがっているのではと思ってね。▼
じゃーん!
アルフォンス王子と、シャロン王子だ!▼
- [アルフォンス]
- ど、どうも。▼
- [シャロン]
- ディアマンドさんの臣下になれると聞いて!▼
- [ディアマンド]
- 臣下って…
二人とも王族ではないか!▼
- [アルフレッド]
- 僕がここに来たばかりの頃、
シャロン王女に悩みを聞いてもらっていてね。
その際、すっきり解決したものだから…▼
畏れながら今回も相談したところ、
このように見事な解決法を
示してくれたというわけさ!▼
- [シャロン]
- やだアルフレッドさんったら!
見事な解決だなんてそんな本当のことを!▼
ええと、ディアマンドさん…
じゃなかった、ディアマンド様。
当面の臣下役はお任せくださいっ!▼
わたしは基本的には英雄さんと
お友達になりたい派なのですが、
臣下という関係性は新しいなと。▼
なんだかそれって、
面白そうだなーっと思いまして!▼
- [アルフォンス]
- 僕は人数合わせと思ってくれ。
エレオス大陸の慣習として、
臣下は二人と定められているそうだからね。▼
- [シャロン]
- アンナ隊長にも頼んだんですが、
今は資金繰りで忙しいからって
逃げられてたんです!▼
- [ディアマンド]
- いや…駄目だろう。
二人はこのアスク王国の王族だ。▼
少なくともその領地内に於いては
異邦の者である私よりも、
その命は優先されるべきなのではないか?▼
…なんだか弟のスタルークのようなことを
言ってしまっているが…
事実、私はそう思うぞ。▼
- [アルフレッド]
- うーん。ではこうしよう。
臨時臣下は戦闘時以外のみ。
これなら文句ないだろう?▼
戦闘中は今までどおり、
己の身は己で守る方針だ!▼
- [ディアマンド]
- まあそれなら…▼
- [シャロン]
- じゃあ決まりですね!
よろしくお願いします、ディアマンド様っ!
ほらお兄様も!▼
- [アルフォンス]
- よろしく、ディアマンド様…▼
- [ディアマンド]
- あ、ああ。
なんだか申し訳ないな。▼
- [シャロン]
- さーて、ディアマンド様、お兄様!
本日は我々臨時ディアマンド隊
初めての活動ですよ―っ!▼
元気よく行きましょう!
えいえいお―!
- [ディアマンド]
- え、えいえいお―。▼
- [アルフォンス]
- 張り切るのはいいけれど、シャロン。
今から何をするんだい?▼
- [シャロン]
- とりあえず集まってみましたけど、
何をするかまでは考えてませんでした。▼
実はわたし…
お恥ずかしながら、
一度も臣下になったことがないので。▼
- [ディアマンド]
- それはそうだろうな…
- [アルフォンス]
- アルフレッド王子の話を聞く限り、
臨時臣下の目的はディアマンド様の
寂しさを軽減することにあるはずだ▼
ならば元の臣下の情報が必要だね。
今日はディアマンド様から
話しを聞く会にするのはどうだろう。▼
- [シャロン]
- さっすがお兄様!
今日の活動はお茶でも飲みながら
親睦を深める会ですね!▼
ディアマンド様の臣下のお二人は、
どんな方たちだったんですか?▼
- [ディアマンド]
- 一人はジェーデという重騎士だ。▼
物静かな人物だが文筆の心得があり、
『おとぼけ☆アンバーくん』という
物語を執筆していた。▼
- [シャロン]
- おとぼけ☆アンバーくん?▼
- [ディアマンド]
- 好評につき、現在五巻まで出ている。▼
もう一人はアンバーという騎士だ。
手練れの忠臣だが少し抜けていて、
行く先々で珍騒動を巻き起こす。▼
- [シャロン]
- どう考えてもさっきの物語の
題材になってる人ですよね。▼
- [アルフォンス]
- 成程…
シャロン、これは難しい任務だよ。▼
- [シャロン]
- へっ?
どういうことです?▼
- [アルフォンス]
- 臣下のうち一方は物語という間接手段、
もう一方は直接的手段を用いて日常的に
主君を楽しませていることがわかった。▼
これは…
確かに不在時の喪失感は多大なものだ。
僕達で埋められるかどうか。▼
- [シャロン]
- 今の情報だけでよくそんなに
分析できましたね!?▼
- [アルフォンス]
- ディアマンド様。少し時間をくれないか。
情報を持ち帰り、対策を講じてくるよ。▼
- [ディアマンド]
- 了解した。
手間をかけさせて申し訳ない。▼
- [アルフォンス]
- ヴァイス・ブレイヴの一員として、
臨時臣下の任務、最後まで遂行しよう。▼
- [シャロン]
- いつの間にかお兄様の方が
乗り気になってきてません?▼
- [シャロン]
- ディアマンド様、見てくださいっ。
私なりにお話を書いてきました!▼
- [ディアマンド]
- 話…物語ということか?
- [シャロン]
- はいっ。あのあとお兄様と
臨時臣下の会議を開きまして…▼
わたしはジェーデさんを真似るところから
始めようということになったんです。▼
- [ディアマンド]
- エクラと一緒に
味覚狩りをしに行った話か。▼
ふむ、ふむふむ…
シャロン王女が栗拾いとはまた珍妙な。
しかしこれは…日記か?▼
- [シャロン]
- あ、やっぱりそうですよね。▼
いきなり架空の物語は難しいので
事実に基づいた話に挑戦したんですが…
途中から日記になっちゃいました。▼
- [アルフォンス]
- ディ、ディアマンド様…▼
- [シャロン]
- お兄様、どうしたんですか、
そんなにドロドロな姿で!!
ま、まさか敵襲…!!▼
- [アルフォンス]
- いや、穴に落ちたんだ。
自分から。▼
- [ディアマンド]
- なに?▼
- [アルフォンス]
- 僕はアンバーを真似ようとしたのだけど、
行く先々で珍騒動を起こすことは
僕には無理だと早々に悟ってね。▼
ならば自ら切っ掛けを作ろうと
自分で落とし穴を作って落ちてみた。
そうしたら…▼
その様子を見ていた
皆が真剣に心配をしてしまって。
事情を理解してもらうのが大変だったよ…▼
- [シャロン]
- 可哀想なお兄様。
普段から真面目だからそんなことに…▼
- [ディアマンド]
- …ふっ。▼
- [シャロン]
- ディアマンド様?▼
- [ディアマンド]
- くくく…
あははははははははははは!
いや…面白い。傑作だ。▼
この日記も、アルフォンス王子の行動も、
愉快で笑いが止まらないよ。
…まるで私の臣下といる時のようだ。▼
- [シャロン]
- ほ、本当ですか!▼
- [ディアマンド]
- ああ。しかし…似せれば似せるほど、
やはり違うのだと思ってしまう。▼
- [アルフォンス]
- すまない。やはり安易に
行動を真似るべきではなかったかな。▼
- [ディアマンド]
- いや、お陰で寂しさが紛れた。
だがそれは臣下の穴が埋まったというよりは、
私のためにそこまでしてくれる、
素晴らしい相手に出会ったからだ▼
ありがとう…
アルフォンス王子、シャロン王女。▼
これからはどうか、臨時の臣下ではなく
友人として接してはくれないか?▼
- [アルフォンス]
- 勿論だよ、ディアマンド王子。
そして本当の臣下が来た時には、
心から祝わせてほしい。▼
- [シャロン]
- これにて臨時ディアマンド隊は、
華麗に解散ですね! 寂しいですが、
お役目を果たせて光栄です!▼
ではディアマンドさん、
これからは友人として末永-く
よろしくお願いしますね!▼
屈強な野花 ラピス†
- [ラピス]
- すごい、大漁だわ。
食べられそうな草がこんなに沢山!▼
違う世界に来て不安だったけど、
何とかやっていけそうね。
戻ったらこれを甘く煮て、それから…▼
- [フレデリク]
- 草むしりですか。▼
- [ラピス]
- ひぇっ!?▼
- [フレデリク]
- 驚かせてしまってすみません。
私はイーリス聖王国の騎士、
フレデリクと申します。▼
- [ラピス]
- あ、あたしはラピスです。
ブロディア王国…王城兵の。▼
- [フレデリク]
- あなたも王家に仕える方でしたか。
道理でその佇まいから、
品格と忠義を感じるわけです。▼
我が主君はイーリス王国の第一王子
クロム様という御方なのですが、
ラピスさんの主はどの様な?▼
- [ラピス]
- スタルーク様といって、ブロディア王国の
第二王子であらせられます。
謙虚で、とても優しい方なんですよ。▼
- [フレデリク]
- 素晴らしい。
ではラピスさんも、主君のために
草むしりをされていたのですね。▼
- [ラピス]
- 主君のため?▼
- [フレデリク]
- いついかなる時も主君の御身を
お守りするのが我々の務め。▼
主君に仇名す曲者は戦場にのみ
潜んでいるとは限りません。
例えばそう、雑草!▼
主君の御御足に絡みつき転倒させるやも。
それゆえ進行方向に生える雑草は全て
排除しておきたいのが騎士の性。▼
そうですよね?▼
- [ラピス]
- はあ…▼
- [フレデリク]
- いやあ、一人では限界を感じていたので、
貴方のような方がいらして幸甚(※)です。
以降は共に頑張ろうではありませんか。▼
私はクロム様の為に!
ラピスさんはスタルーク様のために!
御足もとの雑草は全て取り除きましょう!▼
- [ラピス]
- は、はい…▼
…どうしよう。
食べるために草をむしってたって、
すっごく言いづらいわ…▼
※幸甚(こうじん)―――非常に幸いなこと。
- [ラピス]
- すごい、こっちも大漁だわ。
工作に仕えそうな石がいっぱい。
特にこの小石なんか…▼
- [フレデリク]
- 今度は石拾いですか。▼
- [ラピス]
- ひゃあっ!?▼
- [フレデリク]
- また驚かせてしまいすみません。▼
話脚は今、猛烈に感動しています。
草むしりに加え、石拾いまで
実践していらっしゃるとは。▼
わかります…わかりますとも。
主君の足元の危険は雑草だけでなく
小石が元凶の場合もありますよね。▼
- [ラピス]
- あ、あの…▼
- [フレデリク]
- 何たる細やかな心遣い。
主君の移動経路を予想し動く行動力。
脱帽です。▼
- [ラピス]
- 違うんです。
フレデリクさん、聞いてください!▼
- [フレデリク]
- なんでしょう。▼
- [ラピス]
- ごめんあさい。
言いだせなかったんですが…
あたし…あたし、▼
貧乏なんです!▼
- [フレデリク]
- ………▼
はい?▼
- [ラピス]
- 草むしりは主君の…
スタルーク様のためではなく、
あたしの非常食の調達なんです。▼
石拾いも、スタルーク様が躓くからとか
そういう考えではなく、ただただ、
工作の材料にしたいからで…▼
- [フレデリク]
- これまでの行動は主君のためではなく、
ご自身のためだと?▼
- [ラピス]
- 幻滅されたでしょうか。▼
- [フレデリク]
- そんな。
こちらこそ早合点をして、
申し訳ありません。▼
私は主君に対する行動が行き過ぎだと
周囲から言われることがありまして…
同志が来たと喜びすぎてしまいました。▼
主君に迷惑をかけず、自己を研鑽する。
良き臣下、良き騎士であるのは
寧ろラピスさんの方ですよ▼
- [ラピス]
- フレデリクさん…▼
- [フレデリク]
- お話ししていただき楽しかったです。
それではこれで失礼いたしますね。▼
- [ラピス]
- ………▼
- [フレデリク]
- よし。
これならクロム様も安全でしょう。▼
- [ラピス]
- 草むしりですか?▼
- [フレデリク]
- ラピスさん。▼
- [ラピス]
- 先日はがっかりさせてしまいすみません。
最初に違うんですって、
はっきり言うべきでした。▼
あたし、いつもこうなんです。
貧乏なことも、本当の出身も、
相手に会わせて隠してしまう。▼
でも、フレデリクさんとのお話は
とっても楽しかったんです。だから…
良かったら今後も仲良くしてくれませんか。▼
- [フレデリク]
- それは私の台詞ですよ。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
ラピスさん。▼
- [ラピス]
- えへへ…▼
そうだ。
今日は隠し事をしていたお詫びの品を
持ってきたんです。▼
- [フレデリク]
- これは?▼
- [ラピス]
- 熊肉です。▼
- [フレデリク]
- なぜ!!?▼
- [ラピス]
- あたし、熊をしとめるのが得意で。
熊肉はあたしの村ではとっても貴重かつ
これ以上ない贅沢品なんです。▼
だからこれをフレデリクさんに。
これまでのお詫びと
親愛の気持ちを込めて…▼
- [フレデリク]
- …い、言いにくい。
私は熊肉が苦手だとはとても言えない。▼
あ、ありがとうございます。
帰ってから大切にゆっくりと、
いただきますね。▼
- [ラピス]
- 今食べてください。▼
- [フレデリク]
- えっ。▼
- [ラピス]
- 新鮮なうちに召しあがれるよう、
拾った石で窯を作って、
軽く焼いてきたんです。▼
熊肉は鮮度が命。
干し肉であればまだしも、
帰ってゆっくりとなると風味が落ちます!▼
- [フレデリク]
- いや、ですが、しかし…▼
- [ラピス]
- フレデリクさん。▼
- [フレデリク]
- う、うううううううう…
いただきます!▼
もぐもぐ…
うん、とても美味しいですよ。▼
仕留めたばかりの、新鮮な血肉と…
獣の香りが…
口いっぱいに………▼
ううっ…!▼
- [ラピス]
- きゃ―――っ!
フレデリクさんが倒れた!!▼
大丈夫ですか、お気を確かに!!
衛生兵! 衛生兵―――っ!!▼
- [フレデリク]
- この前は突然倒れてしまい、
申し訳ありませんでした。▼
- [ラピス]
- 熊肉、苦手だったんですね。▼
言ってくだされば…
いえ、あたしが言いにくくしたんです。
ごめんなさい。▼
- [フレデリク]
- 私がはっきりと言うべきでした。
あの時はつい隠してしましい…▼
- [ラピス]
- ふふっ。
なんだか、この前と逆ですね。
あたしたち、似ているのかもしれません。▼
- [フレデリク]
- 草むしりと石拾いが日課の者など
我々の他にいないでしょう。▼
自分の弱みを隠してします、
という点も付け加えておきましょうか。
- [ラピス]
- でも、隠す弱みはもうありません。
今後は互いを尊重し共存しましょう。▼
フレデリクさんの苦手な熊肉は
あたしを読んでくださればすぐに
代わりに食べて差し上げます。▼
- [フレデリク]
- むしった草と拾った石は、
良さそうなのを選りすぐって
ラピスさんに差し上げますね。▼
- [ラピス]
- ありがとうございます
それ、すごく助かります。▼
- [フレデリク]
- そういえば…
この前石窯を作ったと仰っていましたが
他にも何か作れるのですか?▼
- [ラピス]
- 材料としてその辺りのゴミや石、
木の枝なんかがあれば大抵のものは。▼
- [フレデリク]
- では「クロム様絶対死守」と記された、
光る垂れ幕など作れますか?
無論ただでとは言いません。▼
- [ラピス]
- …何かくださるんですか?▼
- [フレデリク]
- 報酬として私のへそくり17ゴールドを
差し上げます、と言いたいところですが
この世界では貨幣価値を持ちませんので…▼
向こう5日間、私の夕食のおかずから
どれでも好きな物を差し上げます。
という条件で如何でしょう。▼
- [ラピス]
- その話乗りました!
肉を主にいただきますが
途中で文句は言わないでくださいね。▼
- [フレデリク]
- 騎士に二言はございません。
光る垂れ幕、楽しみにしておりますよ。▼
- [ラピス]
- あたしもフレデリクさんに倣って
スタルーク様死守の垂れ幕を作ろうかしら。▼
- [フレデリク]
- ブロディア勢の士気が上がること
うけあいかと。▼
そろいの垂れ幕にしてくだされば、
イーリスとブロディアの連帯感も
出るかもしれませんね。▼
- [ラピス]
- ではそうしましょう。改めて今後とも
よろしくお願いしますね。似た者同士…
そして、主君を守る騎士同士として。▼
- [フレデリク]
- ええ!
クロム様絶対死守!▼
- [ラピス]
- スタルーク様はあたしが守ります!▼
繊細なる射手 スタルーク†
- [スタルーク]
- エクラさん。
はい、平気ですよ。
体調は万全です。▼
なんだかすみません…
義務とはいえ、こんな根暗な人間まで
生存確認のお手間をかけさせてしまい。▼
召喚されてすみません。
アスクの大地よごめんなさい。
僕なんかに吸われる空気に申し訳ない…▼
そこまで卑下しなくても、と言われても。
卑下でなく事実ですので。▼
偉大な英雄様方の中にいると
自分の不甲斐なさ、汚さ、力不足を
嫌と言うほど思い知らされるんです。▼
ええ、そうです。
気後れしているんです。
すっかり委縮してしまっているんです。▼
…え?
では気後れせず過ごせるよう、
似た立場の英雄を見つけてくる?▼
色んな弟王子を知っているから
任せてくれって…?▼
お、お気遣いありがとうございます。
ですが、僕はお察しの通り人見知りで。▼
エクラさんと
こうして話せているのすら奇跡なんですよ。
すみませんが、この話はお断りしま…▼
いない!?▼
エクラさん!?
行ってしまわれたんですか!?▼
あわわわわ…
どうしよう。▼
僕はこれから初対面の、
しかも王族の方と、できるだけ陽気に
話さないといけないってことですか…!?▼
き、気が重いぃぃ…!!!!▼
- [レオン]
- 失礼。
あなたがスタルーク王子かい?▼
- [スタルーク]
- は…はい、そうですが。
あなたは…▼
- [レオン]
- 僕はレオン。暗夜王国の王子だ。
あなたと同じ、兄を持つ立場のね。▼
- [スタルーク]
- で、出た―――っ!!!!!!▼
- [レオン]
- 出たとは何だよ失礼だな。
召喚師に頼まれてわざわざこうして
話をしに来たっていうのに。▼
- [スタルーク]
- やっぱり。
兄を持つ立場と聞いた瞬間に察しました。▼
年頃も同じぐらいでしょうか…
でも纏っている雰囲気的なものが
明らかに違う…っ!!!!!▼
ま、まぶしい。直視できない。
同じ王子でありながらこの輝き。
似た立場だからこそ比べてしまいます!▼
- [レオン]
- 何をブツブツ言ってるんだ?▼
- [スタルーク]
- レオン王子があまりにご立派なお方で、
どうしようかと…▼
- [レオン]
- へえ、出会うなりおべっかを使うんだ?
何が目的? 僕に気に入られて
暗夜王国の情報でも得ようっていうの?▼
そうやって油断させて寝首を掻くようなら、
僕がこの神器ブリュンヒルデで
塵にしてやるからね。▼
- [スタルーク]
- ………….▼
ぜひお願いします!▼
- [レオン]
- は?▼
- [スタルーク]
- 僕はもうゴミのようなもので、
ゴミが塵になったところで同じです。
それで人の役に立てるのなら、喜んで。▼
どうぞ、今すぐ塵にしてください!▼
- [レオン]
- な、なんだよ!
調子が狂うな!▼
- [スタルーク]
- すみません
レオン王子の調子を狂わせて
なんとお詫びしたらよいか…▼
- [レオン]
- 詫びなんて必要ない。
もう戻るよ。▼
召喚師に頼まれた、君と話をするという
目的は達したわけだからね。▼
部屋でゆっくりトマトでも食べよう…▼
- [スタルーク]
- あ、レオン王子。
行ってしまわれた…▼
- [スタルーク]
- 弦を張って、弓幹を磨いて…
僕なんかに使われてくれているんです、
せめて念入りに磨いてあげないと。▼
- [タクミ]
- あんたがスタルーク王子か?▼
- [スタルーク]
- へっ、あ、はい。
あなたは…▼
- [タクミ]
- タクミ。白夜王国の王子、タクミだ。
あんたと同じように、上に兄がいる。▼
- [スタルーク]
- また出た――――――っ!▼
- [タクミ]
- エクラに頼まれて、
話をしに来たよ。▼
ふうん、弓の手入れをしているってことは、
弓使いという点でも僕と同じみたいだね。
悪いけど、負けるつもりはないから。▼
- [スタルーク]
- 僕があなたに勝つなんて、
滅相もありません。よろしければ今後は
負け犬とでも呼んでください…▼
- [タクミ]
- は?▼
- [スタルーク]
- ごめんなさい、ごめんなさい。
そりゃあ僕みたいなやつが同じ武器を
扱っていたら不愉快ですよねすみません…▼
気に障ったようでしたら、
僕はこれにて失礼します。
可及的速やかに視界より離脱します!▼
- [タクミ]
- まだ話は終わってないんだけど。▼
- [スタルーク]
- これ以上ご自身の時間を
無駄にするのはお勧めしませんが。▼
- [タクミ]
- なんなんだ。こいつは。▼
…いや、僕の声掛けの仕方が良くなくて、
委縮させてしまったのかもしれないな。
まだ新入りなんだから優しくしないと。▼
兄さんならきっと、こういう時
相手が安心できる言葉をかけるんだろうな。
同じ王子だって言うのに僕ときたら…▼
- [スタルーク]
- ん?▼
- [タクミ]
- はあ…やっぱり僕なんて、
兄さんには敵わないのか…▼
- [スタルーク]
- あれ? あれれ? この方は
もしかして、少しだけ僕と…▼
…あの、タクミ王子。
良かったらもう少しだけ、
お話させていただけませんか。▼
先輩として、弓の手入れの方法など
お教えいただけると嬉しいです…▼
- [タクミ]
- そ、そうか。
スタルーク王子の頼みなら仕方がないね。▼
同じ弓使いのよしみで、
僕が色々教えてあげるよ。▼
- [スタルーク]
- ありがとうございます。
よろしくお願いしますね。▼
- [スタルーク]
- エクラさん。
はい、お話できました…
レオン王子と、タクミ王子と言う方と。▼
お二人とも僕なんかのために
大変貴重なお時間を割いて
来てくださったんですよ。▼
レオン王子は最初はすぐに
帰ってしまわれたのですが…
その後も何度か気にかけてくださって。▼
暫くは会話も少なかったものの、
ブロディアに自生するトマトの話をしたら
なぜか急速に仲良くなれました。▼
タクミ王子は一見堂々としつつも
実は繊細で優しい心をお持ちの方で…
丁寧に弓の手解きをしてくださいました。▼
たまに自信を無くされる姿は
少し僕とにているところが
あるかもしれないなとおもったり…▼
って、僕なんかと比べたらいけないほど
素晴らしい御方ですけれど!!
今の言葉は忘れてください!▼
実は、タクミ王子とは
これから一緒に弓の稽古なんです。▼
その後は、レオン王子に
野生種のトマトの話をすることに
なっていまして。▼
あなたのおかげで、英雄の中にも
友人と呼んでもいいほどの
存在ができました。▼
あ、ああ誤解しないでください。
僕が勝手に友人だなどと
思いあがっているだけで…▼
お二人にとって僕はその大勢、いえ、
言葉を話す不思議なホコリとでも
思っていてくだされば御の字です!▼
でも、以前よりは随分肩の力を抜いて
日々を過ごせている気がします。▼
ありがとうございます…
エクラさん。▼
え? じゃあ次は、
違うタイプの英雄たちを呼んでくるから、
もっと友達を増やすといい?▼
お、お気持ちはありがたいのですが、
もうしばらくはこのままで。今回は遠慮しますね、
エクラさ……▼
…いない!!!!▼
富める友愛 シトリニカ†
- [アンナ]
- うーん、うーん、▼
- [シトリニカ]
- アンナ隊長。
そんなに唸って、どうされたの。▼
- [アンナ]
- シトリニカ。
実は…財政難で…▼
- [シトリニカ]
- 財政難?▼
- [アンナ]
- 今に始まったことじゃないけど、
特務機関の出費が多いのよ!▼
勿論活動費はアスク王国から
有難~く頂戴しているわ!
でも、やりくりが大変なの!▼
設備の維持費、装備や備蓄の購入費、
その他諸々、事事物物…
最近は英雄たちも増えたから余計にね。▼
- [シトリニカ]
- まあ。わたしたちのせいね。
ごめんなさい。▼
- [アンナ]
- 英雄が増えることは喜ばしいわ。
だからシトリニカが謝ることではないの。▼
そう、これは全て、
私のやりくりのせい!
そしてお金がないのが悪い!▼
- [シトリニカ]
- 新参者とはいえ、
わたしも特務機関の一員だわ。
なにか財政難を解消する方法は…▼
そうだわ。アンナ隊長。
わたしに考えがあるの。
少しお時間をくださらない?▼
- [アンナ]
- 来て早々気を遣わせて悪いわね。▼
でも今は正直、藁にも縋りたい思いなの。
いい案を期待しているわ。
シトリニカ。▼
- [シトリニカ]
- ゆったりと待っていらして。▼
- [シトリニカ]
- アンナ隊長。
以前の財政難のお話だけど
これを受け取っていただける▼
- [アンナ]
- さ、札束!!?▼
きゃ――すご―――い!
こんな分厚い紙幣の束、
久々に見たわ!▼
- [シトリニカ]
- この世界に来るときに
持っていた分だけなのだけれど。
お気に召したのならうれしいわ。▼
- [アンナ]
- 流石は大公家のご令嬢ね。
下手をしたら王族よりも自由なお金が
あるということ…▼
あら、でもこれってもしかして、
エレオス大陸の紙幣?▼
だとしたら申し訳ないんだけど、
アスク王国では使えないわね。▼
- [シトリニカ]
- まあ、残念。
貨幣が違う可能性を失念していたわ。
わたしったら…ごめんなさい。▼
- 「アンナ]
- いいのよ。
札束をタダで受け取るのは、
流石の私も気が引けるし。▼
- [シトリニカ]
- ではこの宝石では如何?▼
- [アンナ]
- た、確かに宝石なら
このアスク王国のお金に
換えることはできるけど…▼
- [シトリニカ]
- 良かった。
ならこれを差し上げるわ。▼
- [アンナ]
- だ、ダメよ、こんなに!
大切なものでしょう!▼
- [シトリニカ]
- ブロディア王国は鉱石の採掘が主な産業。
我が大公家は鉱山を多数保有していて
宝石が安定して手に入るの。▼
この品質の意思なら沢山持っているから
どうぞ遠慮なさらないで。▼
わたしとしても、これからお世話になる
特務機関が潤うことは利になるのだもの。▼
- [アンナ]
- そ、そこまで言ってくれるのなら…
いえ、でもこれは…▼
- [シトリニカ]
- 受け取ってくださってうれしいわ。
また何かあったらぜひ仰ってね。▼
- [アンナ]
- あ、ちょっとシトリニカ!?▼
…行ってしまった。▼
な、なんということ…
アンナ隊長の財政難解消大作戦が
早くも「完」という趣なのだけれど。
でも、これでいいの…?
本当に、これでいいの…?▼
- [アンナ]
- シトリニカ!▼
- [シトリニカ]
- アンナ隊長。
どうされたの?
まさか、財政難が悪化を…▼
- [アンナ]
- ちが―う!▼
って、財政難は違わないんだけど。
あれからよく考えて、
解消方法がこれではダメだと思ったの。▼
結論から言うと、この宝石は返すわ。
シトリニカの気持ちは本当に嬉しいし、
有難かったんだけど…▼
私はタダでお金をもらいたいんじゃなくて、
お金儲けそのものがしたいみたいなの。▼
努力に見合わない利を得るのに
抵抗があるっていう厄介な性分が、
どうにも邪魔をしてくるのよ!▼
- [シトリニカ]
- なるほど、理解したわ。
つまりアンナ隊長は、お金を得るという
同一の結果にたどり着くとしても…▼
お金儲けを企て、成功させ、
報酬に対しての喜びが得られる方を
選択するということね。▼
- [アンナ]
- 流石シトリニカ、話が早いわ。▼
- [シトリニカ]
- それなら確かに、
私の方法は的外れだわ。▼
宝石の返却を受け入れるわね。▼
- [アンナ]
- 返すとなると惜しい気がしてしまうのも
私の厄介な性分だけど…
ありがとう、シトリニカ!▼
- [シトリニカ]
- それで、何か利益を得られる
商売の算段はおありなの?▼
- [アンナ]
- それが、まださっぱり。▼
- [シトリニカ]
- なら今度は商材の観点から
お役に立てることを探すことにするわ。
まずはお客が飛びつくような商品が必要ね…
私の持ち物で何か役に立てそうな
ものはないかしら。▼
- [アンナ]
- 力になってくれてありがとう。▼
あら、これは?
何かの書類のようね。▼
- [シトリニカ]
- エレオス大陸北西に位置する、
ブロディア王国内の領地の権利書を。
風光明媚な高原を含む山岳地帯なの。▼
でも、ここから観光に行けるわけでもなし、
アスク王国に於いては
何の役にも立たないわね。▼
- [アンナ]
- いえ…シトリニカ。
これはいける。いけるわ。
いい商売を思いついた!▼
この権利書を貸してもらっていい?
莫大な利益を生み出してみせるわ!▼
- [シトリニカ]
- なんて煌びやかな笑顔。
良い報せをお待ちしているわね。▼
- [アンナ]
- ありがとうシトリニカ!
特務機関の財政難、
当面はバッチリ解消よ-っ!!▼
- [シトリニカ]
- まあ、アンナ隊長。
商売がうまくいったの?▼
- [アンナ]
- 権利書を借りた土地なんだけど、
「エレオス大陸永住権」と銘打って
権利を切り売りしたのよ。▼
小さいものだと羊皮紙一枚分から、
大きいものだと特務機関の敷地分まで、
多種多様なサイズと価格帯を用意してね。▼
そしたらこれが英雄たちに大ウケ!
飛ぶように売れたのよ―っ!▼
- [シトリニカ]
- それはよかったわ。
でも、羊皮紙一枚分の土地に
永住だなんてできるのかしら。▼
- [アンナ]
- 実際には購入者の皆様が
エレオスを訪れることはできないから、
永住と言っても名ばかりのものよ。▼
- [シトリニカ]
- 英雄のみなさんに、永住権という夢を
お売りしたということね。▼
- [アンナ]
- その通り!▼
行くことの叶わない異界の地に、
形式上とはいえ自分の土地がある。
みんな、そのロマンを買ったということね。▼
野心のある王族なんかは
幾許かの異世界に領地ができた―って
大喜びしていたし、▼
違う世界から来た英雄たちが、
隣同士で土地を買ったりもしていたわ。▼
もしここに家を建てられたら、
エレオス大陸ではお隣さんだねって、
嬉しそうに笑ってた。▼
- [シトリニカ]
- 素敵なお話だわ。
本当に来ることは叶わずとも、
あの土地に、英雄のみんながいるのね。▼
機会があれば、話して差し上げたいわ。
かの土地がどれだけ美しく雄大で、
素晴らしい景色なのかを。▼
アンナ隊長。もし誰がどの土地の土地を
どれだけ買ったかの分布図があれば、
わたしにも共有してくださる?▼
- [アンナ]
- 勿論よ。
元々あなたのおかげでできた商売だし、
売り上げも分配するわね。▼
- [シトリニカ]
- それは機関のお金にしてくださいな。
私はアンナ隊長がお金儲けをして
喜ぶ笑顔が何よりの報酬だもの。▼
よろしければ、アンナ隊長の土地も
何処かに記しておいてくださらない?▼
例え名ばかりでも、
ここはアンナ隊長の土地なのだと、
戻った時にそう思いたいから▼
- [アンナ]
- シトリニカ…
泣かせることを言うじゃない。▼
よーしわかったわ!
売り上げもあることだし、
どど―んと大きいのを買っちゃうわよ!▼
あら…? その場合お金は
どこに払うのかしら。シトリニカに?▼
- [シトリニカ]
- うふふ、私に払ってしまっては、
また財政難になってしまうわね。▼
その時はまた、こんな風に
一緒にお金儲けを考えましょうか。▼
コメント†
Last-modified: 2025-08-16 (土) 12:01:24