章別会話/外伝１０　聖魔の世界

外伝１０　聖魔の世界†

[ヴェロニカ]: アメリア、がんばってね。
うまくやっつけたら…
契約からかいほうしてあげる。▼
[アメリア]: うん。
が、がんばるぞ！▼
[ヴェロニカ]: ゼト、あなたもね。
ちゃんとあたしの言うこと
きかなくちゃいけないのよ？▼
[ゼト]: …ヴェロニカ皇女。
貴方はなぜこのような児戯を？▼
[ヴェロニカ]: こえがおしえてくれるの。
こうしたらおもしろい、って。▼
なあに？
戦いはいけませんって
言いたいの？▼
[ゼト]: …いえ。それが真に国と民のためならば、
戦も否定致しません。
だが、貴方は民を顧みておられない。▼
[ヴェロニカ]: 民…？▼
[ゼト]: 王は民のためにあるもの。
ただわがままを許されるだけの
存在ではありません。▼
王は民を守るという、
人の身に余る重責を負う…
人を越えた王の器が求められます。▼
我が主君、エフラム様と
エイリーク様は、王の器です。
しかしながら貴方は…▼
[ヴェロニカ]: もう、お説教はたくさん。
さっさといって。▼

[マークス]: ここまでだ、ゼト将軍。
ヴェロニカ皇女から
撤退命令が出ている。▼
[ゼト]: …承知しました。
この身が契約に抗えぬ以上、
どのような相手でも従う他ありません。▼
[マークス]: どのような相手でも…か。▼
…だが、ゼト将軍も
ヴェロニカ皇女を
王と認めてはいるようだ。▼
[ゼト]: 私が？▼
[マークス]: 忠臣は、王が名君となることを願い、
耳に痛い諌言を続ける。
王に疎まれると知りながら。▼
王が聞く耳のない暗愚なら、
路傍の石に説くのと同じ…
時間の無駄だ。▼
ヴェロニカ皇女を
王と認めていなければ、
言う必要のない言葉だ。▼
[ゼト]: ……撤退致します。▼

[ターナ]: まってー、お兄さまー。▼
[ヒーニアス]: ターナ…
お前は後方に残れと
言ったはずだぞ。▼
[ターナ]: でも、お兄さま。
わたしもお兄さまをお助けしたくて…▼
[ヒーニアス]: 足手まといだ。▼
[ターナ]: ひどいわ、
そんな言い方しなくたって…▼
お兄さまったらいつもそう。
わたしを子供扱いして…▼
[ヒーニアス]: くだらない話をする暇はない。
お前は後方に下がれ。
私の戦いの邪魔をするな。▼
[ターナ]: あ、待って、お兄さま…！
もう、お兄さまったら…▼
エフラムとエイリークは
兄妹であんなに仲良しなのに…。
どうして、お兄さまとわたしは…▼

[ヒーニアス]: ここまでだ、ターナ。
退くぞ。▼
[ターナ]: 待って、わたしまだ戦えるわ。
わたしだってお兄さまの
お役に立てるんだもの…▼
[ヒーニアス]: …まったく。▼
いいかターナ…
一度だけ言うぞ。
私はお前の力は認めている。▼
だが、お前は…私の妹だ。
私にとっては特別な存在だ。▼
万が一にも…
お前を失いたくないのだ。▼
[ターナ]: お兄さま…▼
[ヒーニアス]: だから、頼むから無理はするな。
行くぞ。▼
[ターナ]: はい、お兄さま！▼

[ヴェロニカ]: これがさいごよ、ゼト。
この戦いに勝ったら、
あなたをかいほうしてあげる。▼
あたしがそうしなくても、
契約の力がとけて…
そうなっちゃうけど…▼
そうしたらのぞみどおり、
エフラムとエイリークのもとに
いけるかも。うれしいでしょ？▼
[ゼト]: 確かに、それは私の望みです。▼
…ヴェロニカ皇女、
最後に一つだけ申し上げます。
私は貴国の騎士ではありませんが…▼
いつか貴方が良き王と
なられることを願っております。
貴国の民と、貴方のために。▼

[ヒーニアス]: 力は示された、というわけか…
異国の者たちに救われた形になったのは
不本意だが…▼
だが、助力の礼は言っておこう。
次に会った時は…
我が力を貸してやらないでもない。▼

（暗転。エンブラの宮殿へ）

[ロキ]: あら、おかえりなさい。
首尾はどうかしら？▼
[ヴェロニカ]: ……。
あなたが言ってたのって…
これ…？▼
[ロキ]: まあ…ありがとう。
そう、これよ。
【魔書ナグルファル】の写本…▼
これで、
我らが王の船は漕ぎ出せる…
あとは南海に橋をかけるだけ…▼
私たち、
いい友達になれそうねえ？▼
[ヴェロニカ]: ……。
あなたの、王……▼
あなたの王さまは、
良い王さまなの？▼
[ロキ]: あらん。
もしかして、ゼト将軍の言葉を
気にしているのかしらん？▼
[ヴェロニカ]: べつに…
やっぱり、いいわ。
そんなこと、どうでもいい…▼
それより…▼
[ロキ]: ええ。ちゃんと約束は守るわ。
我らが王と軍勢のすべてが
あなたに力を貸す…▼
アスク王国と召喚師を
焼き滅ぼすために…ねえ？▼