[広告]

章別会話
もうひとつの夜明け†
もうひとつの夜明け†
オープニング†
- [エーデルガルト]
- ……▼
- [ディミトリ]
- ……▼
- [クロード]
- うーむ…▼
- [シャロン]
- えーと…みなさん、ずいぶん
空気が重たいみたいですけど…▼
- [クロード]
- ああ、空気ね。
どうしたもんかな。▼
- [リシテア]
- どうしたもんかな…じゃ
ありませんよ、クロード。▼
ここはフォドラとは違うんです。
アスク王国でも凄惨な争いを
繰り返すつもりですか?▼
- [エーデルガルト]
- そうね、リシテアの言うとおり
ここは異界の地。▼
- [ディミトリ]
- この地にフォドラの遺恨を
持ち込む必要はないだろう。▼
- [クロード]
- そういやディミトリ…
マトモに話せるようになったのか?
なんだか妙に落ち着いているし。▼
- [エーデルガルト]
- たしかに。私が最後に…
貴方と戦ったときとは
まるで別人のようだわ。▼
- [ディミトリ]
- お前たちの世界にいた俺が
どのような人物かは知らないが…▼
俺の知るファーガスは
アドラステア帝国を打倒し、
俺は王として即位した。▼
- [クロード]
- ファーガスが覇権を握った?
うーん、俺のいたフォドラとは
歴史が違うようだな…▼
そっちの皇女様、いや…
エーデルガルト皇帝陛下の世界では
あんたがフォドラを支配したってんだろ?▼
- [エーデルガルト]
- 私の力だけではないわ。
師が傍にいてくれたからこそ
私の覇道は成ったのよ。▼
なるほど。クロードの世界では
レスター諸侯同盟が覇権を握り
貴方がフォドラの王となったのね?▼
- [リシテア]
- 違いますよ。わたしたちがいた世界では
アドラステア帝国との戦いのあと
フォドラに統一王国が成立します。▼
この人は故郷のパルミラに戻って
王子様として暮らしていたみたいです。▼
- [ディミトリ]
- クロードが隣国パルミラの王子?▼
どういうことだ…リーガン公爵家の
嫡男ではなかったのか?▼
- [クロード]
- まあまあ…とりあえず今は
細かい話はあとにして
二人に相談がある。▼
シャロン王女も心配していることだしさ。
アスク王国では不戦条約を結ばないか?▼
- [シャロン]
- そ、そうですね!
英雄同士でケンカは良くないです!▼
- [ディミトリ]
- 俺に異存はない。
この地に来たのはアスクの民を
救うためと理解している。▼
- [エーデルガルト]
- 承知したわ。
この世界でなにをなすべきか
私もわかっているつもりよ。▼
- [クロード]
- ありがとう。そしてもうひとつ
二人に相談があるんだ…▼
この世界には5年前の
自分たちも存在しているらしい。▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
- [クロード]
- エーデルガルトもディミトリも
「あの事件」が起こる前の自分たちに
極力、接触しないでほしいんだ…▼
(この会話の登場キャラは全て士官学校編の通常版)
- [ヒルダ]
- ねっねっ、
聞いたクロードくん!?▼
アスク王国に5年後の
クロードくんたちが
召喚されてきたらしいよ!▼
- [クロード]
- ああ、そうらしいな。
アルフォンス王子に聞いたよ。▼
- [リシテア]
- 5年後の私も、一緒に
召喚されてきたみたいですね。▼
- [ヒルダ]
- 気になるよねー! 5年後!
あたし、戦いとは無縁なところで
ゴロゴロできているといいな…▼
リシテアちゃんは5年後の自分と
なにかお話しした?▼
- [リシテア]
- …いえ。城でもなかなか
会えませんし、訓練や出撃でも
一緒になることがないので。▼
そもそもわたしは、
5年後のわたしに
あまり興味がありません。▼
5年後も生きている…
その事実がわかれば十分です。▼
- [ヒルダ]
- えー、あたしは気になるけどなー。
クロードくんも気になるよね?▼
- [クロード]
- んー、気にならないと言えば
嘘になるかな。▼
…まあ、
成り行きは予想できるけどな…▼
- [メルセデス]
- 5年後の私か~。
ちょっと想像つかないわね~。▼
- [アネット]
- でも、メーチェは今よりもっと
綺麗になっていると思うよ!▼
- [メルセデス]
- ふふっ、ありがとう~。
でも、アンだってきっと素敵な
レディになっているはずよ。▼
- [アネット]
- そ、そうかな?
今より頑張れているといいんだけど。▼
殿下も、きっと立派な王に
なられているはずですよね!▼
- [ディミトリ]
- ……▼
- [アネット]
- あの…殿下?
どうかしましたか?▼
- [ディミトリ]
- あ、ああ…なんでもない。▼
そうだな。ファーガスを背負って立つ
立派な王になれていると信じよう。▼
……
5年後の俺、か。▼
(暗転)
- [ヒューベルト]
- エーデルガルト様…▼
エクラ殿が
5年後の貴方様を
召喚された件ですが…▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
5年後の私がなにをしているか…
帝国がどういう状況下に置かれていようが
今、ここにいる私には関係ない。▼
私はなすべきことを成す。
その決意は微塵も揺るがないわ。▼
- [ヒューベルト]
- 承知しました。
ならば私は、エーデルガルト様の
歩む道に寄り添うまでです。▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
- [ディミトリ]
- クロード、話がある…▼
- [クロード]
- 相談事なら遠慮は無用だぜ。▼
あんな事があったとは言え…
俺たちは同じ食堂の
飯を食った仲だからな。▼
- [ディミトリ]
- ふっ、お前は相変わらずだな。
5年経っても…根っこの部分は
まったく変わっていない。▼
- [クロード]
- それはお互い様だろ。
で、話っていうのは…▼
- [ディミトリ]
- 5年前の真実を…
彼らに話すべきではないのか。▼
ガルク=マクでなにが起こるのか。
そして、先生の身になにが起こるのかを。▼
- [クロード]
- ……▼
きょうだい…先生のことは
俺も迷ったよ。▼
まさか、5年前の先生まで
この世界にいるなんてなあ…▼
- [ディミトリ]
- みなに真実を話すことで
防げる悲劇もあるんじゃないか?
そして、救える命も…▼
- [リシテア]
- クロード、わたしもそう思います。▼
- [クロード]
- ……▼
- [リシテア]
- むしろこれは、悲劇を回避する
好機なのではないでしょうか?▼
過去のわたしたちに真実を伝える。
そのために、わたしたちはアスク王国に
呼ばれた可能性もありますよ。▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
- [クロード]
- あんたもいたのか
エーデルガルト。▼
- [エーデルガルト]
- 私たちが話そうが話すまいが…▼
5年前の私はおそらく
フォドラになにが起きたのか
気づいている。▼
- [ディミトリ]
- ……▼
- [エーデルガルト]
- むしろ、5年後の私を見たことで
己の内にある意思を確固たるものにし
躊躇なく未来へと突き進むはずよ▼
真実を話そうが話すまいが
未来…いや、過去は変えられない。▼
- [クロード]
- だとしても、だ。俺は真実を
話すべきではないと考えている。▼
なぜなら…俺は
もうひとつの可能性に
賭けているからさ。▼
- [ディミトリ]
- もうひとつの可能性に
賭けているだと…?▼
- [クロード]
- ああ、そうだ。▼
俺たちはそれぞれが
信じる道を歩んだために
対立する運命から逃れられなかった。▼
なにが正しくて間違っているかなんて
問題じゃない。▼
俺たちは…与えられた選択肢の中で
精一杯のことをやっただけなんだ。▼
- [リシテア]
- ……▼
- [クロード]
- 5年前の俺たちに
その後の運命を教えたところで
結局、同じ道を歩んでしまうだろう。▼
- [エーデルガルト]
- そのとおりね。▼
きっと私はなにがあっても、
なにを聞いたとしても、
理想のために戦うことをやめないわ▼
- [クロード]
- しかし、だ。
俺たちと5年前の俺たちには
明確な違いがある。わかるか?▼
- [ディミトリ]
- アスク王国に召喚されている…
ということか?▼
- [クロード]
- そのとおりだよ、嵐の王。
あいつらがアスク王国でなにかを学び
俺たちとは違う関係を築けるとしたら…。▼
- [リシテア]
- フォドラの未来は
変わるかもしれない…ですか?▼
- [クロード]
- ああ。だから、俺は
その可能性を潰したくないのさ。▼
ゆえに、あいつらには
未来になにが起こるのかを
最期まで話さずにおきたい。▼
もちろん…先生にも、な。▼
- [リシテア]
- そう簡単にいくとは思えませんが。▼
でも、可能性は…
まったく無いわけではないと思います。▼
- [ディミトリ]
- 俺たちが歩めなかった
もうひとつの可能性…か。▼
- [エーデルガルト]
- 私の決意は
そう簡単に揺るぎはしない。▼
しかし、そのうえで…
私が見出せなかった道に
出会えるとしたら…▼
- [クロード]
- あいつらは俺たちとは違う
もうひとつの夜明けを
見ることができるかもしれないな…▼
- [シャロン]
- あっ! みなさんここにいたんですね!
もうすぐ訓練がはじまりますよ!▼
- [クロード]
- おっと、もうそんな時間か▼
どうだ、黒鷲、青獅子、金鹿で
どこが一番好成績を残せるか
久しぶりに競ってみないか?▼
- [ディミトリ]
- 今の俺は級長ではなく
国全体を背負う立場なのだが…▼
いいだろう。父から受け継いだ
この槍の冴え、存分に見るがいい。▼
- [エーデルガルト]
- 勝負というなら…容赦はしないわ。
師にも、成長した私の姿を
見てもらいたいから。▼
- [クロード]
- よし、決まりだな!
リシテア、先に行くぞ!▼
- [リシテア]
- あっ! ちょっと…!
級長が駆け足で行ってしまうなんて
まだまだ子どもですね。▼
- [シャロン]
- なーんだ。
最初は心配してましたけど
みなさん、仲良しなんですねっ!▼
- [リシテア]
- 仲良しに見えますか。
それはなによりです。▼
……▼
…そうですね…
同じ学び舎で過ごした時間が
途切れることなく、未来を紡げば…▼
…もうひとつの夜明けに
たどり着くことができるかも
しれませんね…▼
真摯なる求道者 リシテア †
- [フィヨルム]
- うーん、リシテアさん…
ここにもいらっしゃいませんね。▼
しかし、この城の図書館って
どうしてこんなに広いのでしょうか。
外から見るとそうでもなさそうなのに。▼
あ…ちょうどいいところに!
マリクさん!▼
- [マリク]
- やあ、フィヨルム王女。
あなたも図書館で勉強ですか?▼
- [フィヨルム]
- い、いえ、実はその…
リシテアさんを探していまして。
図書館にいると聞いたのですけど。▼
- [ルーテ]
- 彼女なら植物学の部屋にいましたよ。▼
- [カナス]
- 勉強熱心ですね、彼女は。
最近、図書館で
見かけない日はないですよ。▼
- [フィヨルム]
- ありがとうございます
ルーテさんにカナスさん!
さっそく行ってみますね。▼
(暗転)
- [リシテア]
- ふむふむ…なるほど…
多肉植物ひとつとっても
フォドラとは違う進化を遂げている…▼
こっちはアスク王国とは違う
異界の植物図鑑ですね…
このようなものまで収蔵しているとは…▼
- [フィヨルム]
- ようやく見つけました!
リシテアさん!▼
- [リシテア]
- ん? フィヨルム王女。
わたしになにか用でしょうか?▼
- [フィヨルム]
- 昨日の夕食と今日の朝食の時間
食堂に来られなかったようでしたから
なにかあったのかと…心配しまして。▼
- [リシテア]
- え? そんなはずは…▼
もしかして日付は変わっていますか?▼
- [フィヨルム]
- え、ええ、リシテアさんが
図書館に入ってから、おそらく
丸一日は経っているかと…▼
- [リシテア]
- つい夢中になってしまったわ…▼
しかし、この図書館は素晴らしい。
求めるほど新しい知識が得られる。
まさに知の宝庫です。▼
- [フィヨルム]
- たしかに、この図書館はすごいです…
地下にも何階層もあるんですよね?▼
でも、リシテアさん。無理はダメですよ。
ちゃんと休んで、食事をして
体調管理に気を配ってくださいね。▼
- [リシテア]
- そうですね。
ありがとうございます、フィヨルム王女。▼
……▼
- [リシテア]
- んっ、んんっ…
ここ…は…? わたしの…部屋?▼
- [フィヨルム]
- あっ、リシテアさん。
気がつきましたか!?▼
- [リシテア]
- フィヨルム王女…
わたし…図書館にいたはずだけど…▼
- [フィヨルム]
- 訓練の時間になっても
リシテアさんが現れないので
様子を見に行ったんです…▼
- [ガイア]
- 要するに図書館で倒れていた
おまえさんをフィヨルム王女が
見つけてくれたってわけだ。▼
そら、このカゴには
俺が厳選に厳選を重ねた
アスク王国の特選甘味が入っている。▼
- [リシテア]
- こ、これは…!
とても甘くて美味しそうな宝の山!▼
それにしても、どうしてわたしが
甘いものが好きだと…?▼
ああ、なるほど。もう一人の
「わたし」から聞いたのですね。▼
- [フィヨルム]
- は、はい、それで
甘いもの好きなガイアさんに相談して
急ぎ用意していただいたのです。▼
- [ガイア]
- まあ、糖分補給もいいが
しっかり食事も取らないと
身体が持たんぜ。▼
それじゃフィヨルム王女…
あとは任せた。▼
- [フィヨルム]
- は、はい! ガイアさん
ありがとうございます!▼
- [リシテア]
- もぐもぐもぐもぐ…
なんですかこの焼き菓子!
外はサクサクで、中はしっとり…▼
こちらのケーキも
クリームの濃厚なこと。
もぐもぐもぐ…▼
- [フィヨルム]
- お口にあうようで良かったです!
で、でも、一気に食べずに
少しずつ召し上がってくださいね。▼
あ、あの…リシテアさん。
少し無理をされているのでは…?▼
学問や研究に没頭することは
とても素晴らしいと思いますが
あまり根を詰めすぎるのも…▼
- [リシテア]
- フィヨルム王女…▼
心配してくれてありがとうございます。
しかし、わたしには…
無理をする必要があるのです。▼
- [フィヨルム]
- 無理をする…必要?▼
- [リシテア]
- フィヨルム王女には
お話しておきましょう。▼
わたしたちフォドラの民には
始祖である女神ソティスを
源流とする力の象徴…▼
紋章と呼ばれる印を
身体に宿している者がいます。▼
- [フィヨルム]
- 聞いたことがあります。
エーデルガルトさんやディミトリさん
クロードさんも紋章をお持ちですよね?▼
いろいろと不思議な力を起こせる
奇跡の象徴とか…▼
- [リシテア]
- 紋章は一人にひとつが原則。
しかし稀に、ふたつの紋章を宿した
人間が存在しています。▼
その一人が…わたしです。▼
そして、ふたつの紋章を得た代償として
わたしは長くは生きられない。
そう…言われているのです。▼
- [フィヨルム]
- ……!?▼
- [リシテア]
- わたしには、時間がないのです。▼
普通の人と同じように
悠長に学んでいる余裕はない…▼
一刻も早く結果を出して
わたしを育ててくれた両親を
喜ばせてあげたいのです。▼
- [フィヨルム]
- そんな理由があったのですね。▼
でも、その気持ちは…わかります。
私も似たようなものですから…▼
- [リシテア]
- 似たようなもの…
フィヨルム王女が…?▼
- [フィヨルム]
- ……▼
私はかつて祖国を救うために
ある儀式を行いました。▼
そも供物として
命を捧げたのです。▼
- [リシテア]
- ……!?▼
- [フィヨルム]
- 命が尽きるのは明日か…
そう遠くない未来かも…しれません。▼
私が今、こうして生きているのは
奇跡のようなものなのです。▼
- [リシテア]
- フィヨルム王女…▼
でも、不思議ですね…
王女には焦っている様子が
まったく感じられません。▼
いつ果てるともしれない命を
抱えて生きる恐ろしさは
わたしもよく知っています。なのに…▼
- [フィヨルム]
- 最初は…私も恐れていたんです。▼
国を救うために命を捨てる覚悟で
儀式を行ったはずなのに…▼
いざ生き残ってしまうと
途端に命が惜しくなってしまいます。▼
大切な人や
ヴァイス・ブレイヴのみなさんと
別れるのは…とても辛い。▼
生きたい、死にたくない。
もっと一緒にいたいと
一人悩んでいることもありました。▼
- [リシテア]
- ……▼
- [フィヨルム]
- ですが、さっきも言ったように…
今の私が生きているのは
奇跡のようなもの。▼
だからこそ死を恐れるのではなく
いつもどおりの自分でいようと
思ったのです。▼
残された時間で、
ひとつでも多くの
笑顔に出会えるように。▼
- [リシテア]
- それが…フィヨルム王女の
人を思いやる優しさに
つながっているんですね。▼
- [フィヨルム]
- 私がいつまで生きられるかは
わかりませんが…▼
エクラ様や
みなさんと一緒に支え合い、前に進む。
それが、私が生きた証になると思うのです。▼
だから、リシテアさんも
研鑽に励み、結果を出すことは
大事だと思いますが…▼
ちゃんと食べて、ときには休んで
ご自身の人生を豊かなものに
してくれるといいなと…そう願います。▼
- [リシテア]
- フィヨルム王女…▼
同じ境遇だからこそ
その言葉は深く響きました。
この胸に刻んでおきます。▼
- [フィヨルム]
- あ、あのっ、リシテアさん…!▼
- [リシテア]
- フィヨルム王女?
どうしました、血相を変えて。▼
- [フィヨルム]
- 先日、無理をなさらないように
お話ししたばかりなのに、前よりずっと
頑張ってしまっているではないですか!▼
ここはその、体調を気遣いながら
抑え気味に頑張るようになった…
そういう流れになるはずでは!?▼
- [リシテア]
- 残念ながらそうはいきませんよ。▼
でも、ご安心を!
ちゃんと甘いものを食べて
最低限の睡眠はとっています。▼
ただ、新しくやることが増えたので
ますます時間が惜しいのです。▼
- [フィヨルム]
- はい? 新しく…やること?▼
- [リシテア]
- わたしが邁進する目的は
自己研鑽だけではありません。▼
フィヨルム王女の命も…
みんなで必ず元に戻してみせます。▼
- [フィヨルム]
- え? 私の命を…ですか?▼
- [マリク]
- 実は僕たちも折を見て
その方法を探していてね。▼
- [フィヨルム]
- マリクさん…?
それにカナスさんに
ルーテさんまで…▼
- [カナス]
- リシテア女史の相談を受けて
せっかくだから僕たちも一緒に
研究成果を出してみようと。▼
- [ルーテ]
- 私が優秀なのは間違いありませんが
ここにいるメンバーは掛け値なしの
秀才揃いです。▼
なので、フィヨルム王女じゃ大船に
乗ったつもりでいてもらって結構。▼
もういやというほど寿命を延ばして
差し上げることになるでしょう。
私たち、優秀ですから。▼
- [フィヨルム]
- みなさん…▼
みなさんの心遣いに
感謝の言葉もありません…
本当にありがとうございます。▼
ですが、くれぐれも無理は禁物です。
適度に休んで、美味しいものを食べて、
ご自身の人生も大切にしてくださいね。▼
- [リシテア]
- 任せてください。
万事うまくやってみせます。▼
なにしろ、わたしは…
わたしたちは天才ですから!▼
パルミラ国王 クロード†
- [クロード]
- うーん…しかし見れば見るほど
ガルグ=マク大修道院にいた
行商人にそっくりだな。▼
アンナ隊長、あんた本当に
フォドラの出身じゃないのかい?▼
- [アンナ]
- その質問…士官学校出身の
生徒さんたちに何十回もされたわよ。▼
名前は同じで見た目も似てるけど
その女性と私は別人よ。▼
- [クロード]
- まあ、それはそれとして…
ちょっと聞きたいことがあるんだが。▼
- [アンナ]
- なにかしら?▼
- [クロード]
- 「手段を選ばずに…
なにがなんでも勝ちたい」▼
ヴァイス・ブレイヴの中でも
とりわけ勝利に貪欲な英雄がいたら
紹介してほしいんだ。▼
- [アンナ]
- 手段を選ばずに
勝ちにこだわる英雄ねぇ…▼
うーん、別にいいけど…
思い当たる奴らは
一癖も二癖もある英雄ばかりよ?▼
- [クロード]
- ああ、それこそが
俺が望んでいる人材さ。▼
まっとうな手段で
正々堂々と戦う英雄は
掛け値なしに素晴らしい。▼
しかし…ここには
いろんな異界の英雄がいるんだ。▼
せっかくだから
型にとらわれない戦い方を
学んでおこうと思ってさ。▼
- [アンナ]
- そういうことなら
力になれないこともないけど。▼
いい? さっきも言ったように
一癖も二癖もある英雄ばかりよ。
くれぐれも悶着を起こさないようにね?▼
- [クロード]
- 今の俺もアスク王国にとっては
異物みたいな存在だからな。
わきまえてるさ。▼
…さあて、どんな話が聞けるやら…▼
- [ナーシェン]
- 戦いとはなんたるかを
私に聞きたいと…?▼
- [クロード]
- ああ。ベルンが誇る三竜将…
ナーシェン殿の勝利にかける情熱は
並々ならぬものがあると聞いてね。▼
- [ナーシェン]
- 賢く強く、そして常に正しい私に
教えを乞いにくるとは!▼
キミはなかなか見どころがあるよ。
いいだろう、勝つための鉄則を
キミに教授しようじゃないか!▼
いいかい?
己の武を無闇やたらにひけらかし
正面から挑むなど、まさしく愚の骨頂。▼
戦いとは、戦力を
いかに減らさずに勝つか。
その一点に尽きるのだからね。▼
- [クロード]
- ふむふむ。なるほど…▼
- [ナーシェン]
- そのために必要なのは
徹底的な懐柔さ。▼
寝返らせ、仲間に引き込んでいく…
そうすれば敵も減るうえ
味方も増える…!▼
- [クロード]
- 一石二鳥と言うわけだな。▼
- [ナーシェン]
- そのとおり!▼
あとは自分の失敗を
すべて押し付けられる
都合のいい部下がいれば完璧だな。▼
そうすれば、失敗なしの
人生を送れること間違いなしだ。▼
まあ、私に限ってそうそう
失敗などするはずがないがね!
天才とは常に備えるものなのだよ。▼
- [クロード]
- 敵を寝返らせ…
失敗を押し付けられる部下の確保、か。
なかなかに鋭い策だ。▼
ありがとう。
とても参考になった。▼
- [ナーシェン]
- 礼には及ばんよ。
キミも早く私のレベルまで到達したまえ。
はははは…!▼
- [マクベス]
- 勝つための方法を
教えてほしい…と?▼
- [クロード]
- ああ。暗夜王ガロンの軍師として
辣腕を振るったマクベス殿に
勝利の法則を説いてほしいのさ。▼
- [マクベス]
- 生き残った者が勝者であり
敗れ去る者はすべからく敗者である。▼
この法則は…どのような
異界でも変わりはしません。▼
- [クロード]
- そうだな。
墓からいくら恨み言を叫んでも
生者には届かないからな。▼
- [マクベス]
- 生き続けるというのは勝ち続けること。
そのためには…
手段など選んでいられません。▼
いいでしょう。勝ち残るための条件を
あなたに教授して差し上げましょう…▼
敵を欺き、同士討ちを誘う…
それが理想的な戦い方です。▼
成功すれば
自らの手を汚すことなく
勝利にありつけますからねぇ…▼
- [クロード]
- そのためには念入りな準備が
必要…というわけだな。▼
- [マクベス]
- そのとおり。ニセの情報を流し
敵の心に味方への
疑心暗鬼を植え付ける。▼
あとはほんの少し…
幻術の心得さえあれば
同士討ちを誘うなど造作もないこと。▼
- [クロード]
- なるほど…
味方への不信感を芽生えさせ
それを後押しする…と。▼
- [マクベス]
- それと、民の犠牲を気にしていては
大きな勝利は得られませんよ。▼
勝つためにはどんな手も使う。
これが私の信条です。▼
もっとも…ヴァイス・ブレイヴでは
そうした作戦は禁じ手なので
活躍の機会が限られるのは残念ですが…▼
- [クロード]
- いやぁ、実にためになった…!▼
さすがマクベス殿。
なにがなんでも勝とうという姿勢…
頭が下がる思いだ!▼
- [マクベス]
- フフフ…理解いただけたようで
うれしいですよ。▼
人道を重んじても
負ければ終わりです。
敗者になりたくないものですねぇ…▼
- [ギャンレル]
- 簡単なことじゃねぇか。
勝ちてぇなら、相手に
一切の手出しをさせねぇことだ。▼
反撃の目を潰し、一方的に叩き潰す!
それが最上の手だぜ。ヒャハハハ!▼
- [クロード]
- そのための一番の策が
人質をとって戦う…か。▼
勝利を確実にものにするには
それはたしかに有効だな。▼
- [ギャンレル]
- ……▼
おっと、俺の話はここまでだ。
今度はてめぇの話を聞かせろや。▼
- [クロード]
- ん? 俺の話なんて聞いても
面白くもなんともないぜ?▼
- [ギャンレル]
- ぬかせ。てめぇ…
なにを企んでやがる?▼
他の奴らにも
同じような話を聞いてたろ?
言えよ…なにが目的だ?▼
- [クロード]
- 策には上等も下等もない。
勝たなきゃ意味がないんだからな。▼
言うだろ?
敵を知り己を知れば
百戦危うからずってな。▼
だから俺は、ひとつでも
たくさんの策を知ることで
その対策を考えておきたかったのさ。▼
そういうわけで奇策が得意なお歴々に
お話を聞いて回っていた…と。
それだけさ。▼
- [ギャンレル]
- ……▼
- [クロード]
- 優等生の俺なんかじゃ
まるで考えもつかないような
卑劣な策ばかりでタメになったよ。▼
- [ギャンレル]
- ふん。どれもてめぇが一度は考えて
実行に移さなかっただけだろうが。▼
大方、そうした策が
実際にどの程度有効だったのかを
推し量ってただけじゃねぇのか?▼
- [クロード]
- どうだろうな?▼
- [ギャンレル]
- しかも俺たちゃ
ヴァイス・ブレイヴでもいわば
鼻つまみ者みてぇな存在だ。▼
そいつらと関係を作っておくことで
後々なにかあったときに利用しようとか
考えてんじゃねぇだろうな? ああん?▼
- [クロード]
- ご想像にお任せするよ…▼
なんにせよ、ためになった。
この経験は戦場で活かすことにするさ。
それじゃ、失礼する。▼
- [ギャンレル]
- ケッ、食えねぇやつだ…▼
…のらりくらりとかわしやがったが
一番勝利にこだわってるのは
てめぇじゃねぇか…▼
…なんにせよ…敵に回すと
面倒くせぇことになりそうだな…▼
クロード…あいつの動きは
ちぃとばかし気にかけとくか…▼
アドラステア皇帝 エーデルガルト†
- [アルフォンス]
- ごきげんよう、エーデルガルト陛下。
もうここでの暮らしは慣れましたか?▼
- [エーデルガルト]
- ごきげんよう、アルフォンス王子。
異界と言っても
生活様式もフォドラとほぼ同じ…▼
アドラステア皇帝としての
務めに注力しないでもいいから
肩の荷はむしろ軽いわね。▼
- [アルフォンス]
- 先日の訓練での戦いぶり
実に見事でした。▼
ご自身の修練と
一部のフォドラの民が
宿すという紋章の力…▼
そのふたつが噛み合った
結果なのでしょうね。▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
アルフォンス王子は
フォドラの紋章について
どの程度ご存知かしら?▼
- [アルフォンス]
- フォドラを形作ったと言われる
始祖の女神から受け継いだ力だと…▼
- [エーデルガルト]
- 一般的には「フォドラ十傑」と
呼ばれた英雄が女神やその眷属から
授かった力と言われているわ。▼
そしてその力は
血族やそれぞれの家系に受け継がれ…▼
紋章の有無で
家柄や地位が決まることがあるのよ。▼
……▼
- [アルフォンス]
- なるほど…
紋章には力の象徴としてだけでなく
別の意味合いもあるのですね。▼
そういえば、フォドラの紋章とは
違いますが…▼
ヴァイス・ブレイヴにも
血族や家系で受け継がれた印を持つ
英雄が何人か存在しますね。▼
- [エーデルガルト]
- 受け継がれた印を持つ者…?▼
アルフォンス王子、よければ
名前を教えていただけるかしら。▼
- [アルフォンス]
- ええ、いいですよ。▼
- [エーデルガルト]
- …異界にも、フォドラの民と同じように
血統で生き方を背負わされる英雄がいる。
興味深いわね…▼
- [エーデルガルト]
- リズ王女…ですね?
私はアドラステア帝国のエーデルガルト。
少しお話しても?▼
- [リズ]
- あっ…!噂の5年後の
エーデルガルトさん!▼
いいですよ、お話しましょう!▼
- [エーデルガルト]
- 貴方の家…イーリス聖王国王家には
代々受け継がれる、聖痕なるものが
あると聞いたのだけれど…▼
- [リズ]
- うん! ありますよ。▼
イーリスの王族は1000年前に
邪竜を封印した聖王の子孫で
身体にその証の聖痕が現れるの。でも…▼
- [エーデルガルト]
- 聖王の子孫であるにもかかわらず
リズ王女…貴方には聖痕がない。▼
- [リズ]
- えへへ。おかしいよね。
お姉ちゃんやお兄ちゃんには
ちゃんと聖痕があるのに…▼
- [エーデルガルト]
- 気を悪くしたならごめんなさい。
謝るわ。▼
- [リズ]
- そんな、謝らなくていいですよ。
エーデルガルトさん。▼
悩んだことはあったけど…
考えてもしょうがないことだしね。▼
- [エーデルガルト]
- 聖痕がないことが
貴方の悩みだったのね。▼
- [リズ]
- 悩みというか…▼
「聖痕があるからすごい!」とか
「聖痕があるからつよい!」とか
そういうことを考えたことはないけれど…▼
お姉ちゃんとお兄ちゃんとわたしが
本当の家族じゃなかったらどうしようって
そんな心配をしてたんだー。▼
- [エーデルガルト]
- なるほど…▼
しかし、貴方の姉や兄も
自ら望んでその身に聖痕が
刻まれたわけではないはずでは?▼
- [リズ]
- うん。でも、王家に生まれたのは
神様の思し召しのようなものだし!▼
- [エーデルガルト]
- 王族に生まれたというだけで
責務と宿命を背負わされ…
危険な戦いに身を投じることになった。▼
リズ王女…貴方はそのことで
苦しんだことはないの?▼
- [エーデルガルト]
- これまでイーリス聖王国は
数々の試練に見舞われるたびに
王家の人間が立ち向かったと聞いたわ。▼
- [リズ]
- う、うん…
お姉ちゃんもお兄ちゃんも…
イーリスを救うために命を賭けて戦ったよ。▼
- [エーデルガルト]
- 王族に生まれたというだけで
貴方たちは危険な戦いに駆り出され
戦乱の中に身を置くことになった。▼
リズ王女は神の思し召しと言ったけれど
貴方は神の行いといって
簡単に受け入れることができるの?▼
- [リズ]
- うーん…
難しいことはわからないけれど…▼
たしかに聖痕があることで
お姉ちゃんもお兄ちゃんも
危ない目にたくさんあったよ。▼
でも、受け継がれた力を使って
多くの人たちを救うことができた。▼
だから、わたしはやっぱり
神様に感謝したい…かな?▼
エーデルガルトさんも
代々受け継がれた力、えーっと
紋章の力を持っているんだよね?▼
- [エーデルガルト]
- …ええ、そうよ。▼
- [リズ]
- じゃあ、エーデルガルトさんも
紋章の力で、たくさんの人を
救ったんじゃないのかな?▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
生まれながらに持っていたのは
とても小さな力…▼
そして私は口にするのも
はばかられるような方法で…
もうひとつの紋章をこの身体に宿した。▼
神より賜った紋章の有無と
力の優劣で人間の値打ちが決まる。▼
そんな価値観がはびこる世界で
生まれたのが…この私なのよ。▼
- [リズ]
- もしかしてエーデルガルトさん
自分の力が…紋章のことが
嫌い…なのかな?▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
お話できてよかったです。
リズ王女、それでは…▼
- [リズ]
- あ、あのっ、エーデルガルトさん!
さっきも言ったけど…▼
わたし、神様を恨んでないよ!
王族が宿命を背負うことも
自分に聖痕がないことも…▼
神様がくれた力があったから
たくさんの命を救えたと思うから…▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
- [リズ]
- あっ、エーデルガルトさん!
こんにちはー!▼
- [エーデルガルト]
- リズ王女、ごきげんよう。
今日も元気ね。▼
- [リズ]
- うんっ! 元気なのが
わたしの取り柄だからね!▼
- [エーデルガルト]
- ……▼
あれから聖痕を持つ英雄…
アルムやセリカ王女にも
話を聞いてみたの。▼
- [リズ]
- そっか、バレンシア大陸の
アルムさんたちも
聖痕を持ってるんだよね。▼
- [エーデルガルト]
- 私は同じ質問…
望まぬ運命と力を背負わす神を
恨まなかったかと聞いてみたの。▼
彼らの答えは…
リズ王女と同じだったわ。▼
その力があったからこそ
多くの人を救うことができたと。
彼らははっきりと、そう言ったわ。▼
- [リズ]
- そうだったんですね…
わたしの考えと同じだ!▼
- [エーデルガルト]
- 私は人が自らの足で立ち
支え合う世界が、神の裁量で
左右されてはいけないと思うの。▼
生まれながらに
望まぬ力と役割を与えられ
力の有無で人の価値を決める…▼
そういった価値観を
私は廃絶していきたい。▼
- [リズ]
- ……▼
- [エーデルガルト]
- その考えは
アスク王国でも変わらないわ。
だけど…▼
アルムもセリカ王女も
そして、イーリスの王家の人々も…▼
血筋におごることなく
受け継がれた力を
民のために使おうと考えていた。▼
力を与えられた人間次第で
未来に繋がる選択肢は
いくつも生まれるのかもしれない…▼
- [リズ]
- うん、エーデルガルトさんの
言うとおりだよ。▼
力そのものが悪いんじゃなくて
どう使うかが大事なんじゃないかな。▼
世界は人間だけの者じゃなくて
そこで暮らすいろいろな命のものだから。▼
みんなが幸せになれるように
受け継がれた力を
大事に使っていけるといいよね!▼
- [エーデルガルト]
- みんなが幸せになれるように…ね。▼
ありがとう、リズ王女。
貴方の考えを聞けてうれしかったわ。▼
私ももう少し…学んでみようと思う。
人間の可能性をね。▼
- [リズ]
- ちなみに、ヴァイス・ブレイヴには
ときどき本物の神様がやってきて
力を貸してくれることがあるの。▼
神様になにか聞きたいことがあったら
直接聞いてみるといいよ!▼
そういえば、フォドラの神様も
来てくれたような気がするけど…▼
- [エーデルガルト]
- え? そ、そうなの…?▼
師…
この世界は私の想像以上に
学ぶべきことが多そうだわ…▼
ファーガス王 ディミトリ†
- [ディミトリ]
- ……!▼
また…この頭痛…
ファーガスの王位についてから
しばらく治まっていたと思ったが…▼
アスク王国に来て
再発するとは…▼
- [???]
- 「とどのつまり、同じ人殺しだ。
化け物同士仲良くしようじゃないか、
なあ?」▼
「…あの女は、必ず殺してやる。必ずだ」▼
「殺し尽くしてやる…!」▼
- [ディミトリ]
- くっ…! ううっ!▼
これは…過去の俺か…▼
ぬぐえぬ…記憶…
全身に染み付いた…血の匂い…▼
俺が生き続ける限り
いつまでも消えることは無いか…▼
……
しかし、俺は…
ここで折れるわけにはいかない。▼
約束したのだ。仲間に、民に…
そして先生に。▼
ファーガスの王として
前に…進むと…▼
- [???]
- 苦悶し続ける王に
民はついてくると思うか…?▼
- [ディミトリ]
- ……!?
これは幻聴ではない…
何者だ!?▼
- [???]
- 俺が何者であろうと
どうでもいいことだ…▼
- [リーヴ]
- だが、問われたのならば答えよう。
俺の名は…リーヴ。▼
- [リーヴ]
- ……▼
- [ディミトリ]
- 貴様…
現世のものではないな?▼
- [リーヴ]
- そのとおりだ。
俺にもはや
人としての命はない。▼
心も…
そして未来もない…▼
- [ディミトリ]
- 俺になんの用だ。
- [リーヴ]
- お前の内にある闇は…
まだ完全には消えてはいない。▼
- [ディミトリ]
- ……!▼
- [リーヴ]
- お前が立つ場所はそこではない。
むしろお前は…
俺と同じ側の人間だ。▼
- [ディミトリ]
- 俺が…お前と同じだと?
いったいなにを言っている。▼
- [リーヴ]
- …………▼
- [???]
- 「今は、ただ憎い…すぐにでも
あの女を引き裂いてやりたいよ」▼
- [ディミトリ]
- くっ…! うっ、うううっ…!▼
- [???]
- 「く、くく。あっははははッ!
ああ、傑作だなあ、先生!」▼
「俺はもう、お前の知る俺じゃない。
醜悪で血なまぐさい化け物だよ、先生」▼
- [ディミトリ]
- なぜ…あのときの光景が…
頭の中に…▼
- [リーヴ]
- かつて俺は…
ある国の王子だった。▼
だが、国を襲った厄災に
すべてを奪われた。いや…
俺の過ちがすべてを奪った…▼
- [ディミトリ]
- ……▼
- [リーヴ]
- 家族も、友も。
民の命も、国そのものも。
すべて、失った。▼
狂うには…十分だ。
お前にはわかるはずだ。
この痛みが…▼
- [ディミトリ]
- 他人の痛みを
すべて理解しようなどと
それこそ傲慢な思い上がりだ。▼
だが、その苦しみがどれほどのものか
俺にも察することは…できる。▼
- [リーヴ]
- 俺とお前が見た闇は同じ…
お前はこちら側の人間だ。▼
…俺もお前も、変わらない…▼
- [ディミトリ]
- くっ…ううっ…!▼
- [???]
- 「ふふ…ふっ、あははははは!
少しは後ろに注意されたらどうです、
殿下?」▼
「ねえ、痛いですか。痛いでしょうね?
でも、兄さんは…もっと…」▼
「…許さない。
絶対に…許さないッ!」▼
「このおぞましい化け物が…!
死ねッ! 死んでしまええええッ」▼
- [ディミトリ]
- ぐっ、うううっ…あ、あああっ!▼
- [リーヴ]
- …………▼
- [ディミトリ]
- たしかに俺は、憎悪に染まり
怒りに駆られて狂奔し
多くの命を奪った。▼
幾多の命乞いの声も、未来を望む声も
そして…愛する者の名を呼ぶ声も
俺は…この手で掻き消してきた。▼
- [リーヴ]
- …………▼
- [ディミトリ]
- どれだけ後悔しようが
自分を責めようが、この罪は
一生消えることはないだろう。▼
だが俺は…その罪から
目を背けるつもりはない。▼
俺が背負った罪は、一生をかけて
償い続けていかなくては
ならないんだ…▼
- [リーヴ]
- 償い続ける…か。
聞こえがいい言葉だが…▼
- [ディミトリ]
- 聞こえが良かろうが悪かろうが
それが…今の俺の生き方だ。▼
生き残った者が、死んだ者の
意思と無念…そして憎悪を
背負わなくてはならない。▼
そのうえで、俺は信念のために生きる。
過ちを…正しい行いで償うためにな。▼
- [リーヴ]
- そうか…▼
ならば痛みとともにあり続けるがいい。
その命が尽きるまで。▼
- [ディミトリ]
- もとより覚悟のうえだ。▼
- [リーヴ]
- かつて俺は…
他国の一人を殺せば
自国の一人を救えると信じた…▼
そうして、
死者の帳尻を合わせようとした…▼
お前はどう帳尻を合わせる…
獅子の心持つ王よ?▼
- [ディミトリ]
- 失われた命は二度と戻らない。
俺が奪った多くの命は、もう二度とな。
だが、帳尻を合わせろと言うのなら…▼
俺が奪った命の倍……いや
もっと多くの命を救ってみせる。
一生をかけて…支えてみせる。▼
- [リーヴ]
- ……▼
…ならば、そう足掻いてみるがいい…▼
- [ディミトリ]
- 消えた…か。▼
リーヴ…彼は何者だったんだ。
俺の過去が見せた幻覚か、
それとも…▼
……▼
奪った命の倍……いや
もっと多くの命を救う、か。▼
どんなに困難で険しい道のりでも
俺は進まなくてはならない。
それが…俺の心に従うということだ。▼
俺を信じている民が、仲間が
一人でもいる限り…▼
俺はもう逃げない。
それが俺がたどり着いた答えだよ、
先生…▼
コメント†
Last-modified: 2024-07-15 (月) 22:17:11