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章別会話
その手が守る明日†
その手が守る明日†
オープニング†
- [ティータ]
- アスク王国ってすごいのね…。
あんなにたくさんの英雄を
見たのははじめて…▼
- [パオラ]
- 私もいくつかの戦いに
参加したことがあるけど…▼
あれほどの名だたる英雄たちが
揃っているところは見たことないわ。
なんとも壮観ね。▼
- [リュート]
- 裏を返せば、それだけの
英雄が集まっているというのに
危機は去っていないということだろう。▼
この世界での戦い…
さぞや厳しいものになるだろうな。▼
- [ティータ]
- ……▼
- [ジーク]
- どうしたティータ。
珍しいな。君が神妙な顔をするなんて。
- [ティータ]
- あのね、ジーク…
私、思ったの。▼
これだけ英雄がいるなら
ジークの素性を知っている人も
いるんじゃないか、って。▼
- [ジーク]
- ……▼
- [リュート]
- ジーク、お前…
記憶を失っていたんだったな。▼
- [ティータ]
- 傷を負って海岸で倒れていた
ジークを、私が見つけたの。▼
命は助かったけど…
怪我のせいか、記憶は戻らなかった…▼
- [ジーク]
- このジークという名前も
ルドルフ皇帝に付けていただいたもの。▼
私が唯一覚えているのは…
槍の使い方だけだった。▼
- [パオラ]
- ……▼
- [ティータ]
- 私ね、こう願ったことがあるの。
ジークの記憶が戻らなければ
ずっと一緒にいられるかもしれないって。▼
でも、シスターがそんなこと
願っちゃダメだよね。
きっと神様は、許してくれないよ。▼
- [ジーク]
- ティータ…▼
- [ティータ]
- だから、ジークのことを知っている
英雄を探してみようと思うの。▼
リュート、パオラ。力を貸して!
ね? ダメかな?▼
- [リュート]
- お、俺は別にかまわんが…
特段知り合いもいないし
あまり力にはなれないと思うぞ。▼
- [ティータ]
- パオラはどう?
バレンシア大陸だけじゃなく
隣の大陸のことも詳しいんだよね?▼
- [パオラ]
- そ、そうね…いいわよ。
私でよければ、力になるわ。▼
……▼
…私の記憶が正しければ…
…ジークが失った過去というのは…▼
- [パオラ]
- ミネルバ様…!▼
- [ミネルバ]
- パオラか。
アスク王国にはもう慣れたか?▼
- [パオラ]
- はい、アンナ隊長や異界の姉妹たちにも
とてもよくしてもらっています。
あの、ミネルバ様にお伺いしたいことが…▼
私と一緒にバレンシア大陸から
呼ばれた騎士のこと…
存じておられますか?▼
- [ミネルバ]
- ジーク殿か。
記憶をなくしておられるようだが
彼は間違いなく…▼
- [パオラ]
- やはり…そうですよね。▼
ティータというシスターが
ジークの過去を求めているようです。
真実を…教えるべきなのでしょうか。▼
- [ミネルバ]
- パオラたちはバレンシア大陸から
来たのだったな。▼
- [パオラ]
- は、はい。海賊にさらわれた
エストを助けるため、カチュアと一緒に
バレンシア大陸へと渡っていたのです。▼
- [ミネルバ]
- 少し未来の話になるが、
お前たちがアカネイア大陸に戻ったあと…
大きな戦いが起こる。▼
- [パオラ]
- ……!?
また戦争が起こるのですか!▼
- [ミネルバ]
- しかし、これはあくまで
私がいた異界の話。お前のいた異界でも
同じことが起こるとは限らない。▼
その戦いで…私はおそらく
未来のジーク殿と出会っている。▼
- [パオラ]
- そのとき、ジークの記憶は
戻っていたのでしょうか?▼
- [ミネルバ]
- 記憶が戻っていたかどうかは
定かではないが…。▼
彼は名前を変え、顔を仮面で隠し
マルス王子に力を貸してくれた。▼
- [パオラ]
- ということは…記憶は
戻られていたのですね。▼
このことを、ジークに
伝えた方がいいのでしょうか?▼
- [ミネルバ]
- いや、私はそうは思わぬ。
彼の「過去」も「未来」も
アスク王国には存在している。▼
必要とあらば、彼らが動くだろう。
我々が口を出す必要は
ないのかもしれない。▼
- [パオラ]
- そう…ですね。
ミネルバ様、相談にのっていただき
ありがとうございます。▼
- [リュート]
- …というわけで
ジークの記憶を取り戻す
手伝いをすることになったのだ。▼
- [デューテ]
- ふーん、記憶ねえ…。▼
ヴァイス・ブレイヴにも
記憶喪失の英雄が何人かいるけど
特に困ってる様子はないよ?▼
- [リュート]
- 困る困らないは
お前が決めることではないだろう。▼
もしかすると、記憶を呼び戻す
魔道も存在するかもしれん。▼
デューテ、お前は魔道の才能があるのだ。
その才能を活かすために
ともに研究を進めてみようじゃないか。▼
- [デューテ]
- 他人のお手伝いをするよりも
お兄ちゃんは、ともだちの一人でも
作ったほうがいいんじゃない?▼
ヴァイス・ブレイヴに来てから
お兄ちゃん、いつも食堂の隅で
ご飯を一人で食べてるじゃない。▼
- [リュート]
- うっ…! それとこれとは
別問題だろう!▼
- [デューテ]
- あっ、ボク遊びに行く約束してたんだった。
じゃあ頑張ってね、お兄ちゃん!▼
- [リュート]
- あっ! こら待てっ!
行ってしまった…。▼
ふん。俺だってやればできる。
記憶を呼び戻す魔道のひとつやふたつ。▼
……。▼
だめだ、まったく思い浮かばん。▼
そうそう都合のいい方法は
転がってはいないか…。▼
……。▼
ティータに頼まれて承諾はしたものの
そもそも、ジーク本人は
記憶を取り戻したがっているのか?▼
人と話すのは得意ではないが…
このままでは寝覚めが悪い。
本人に直接聞いてみるか…。▼
- [ジーク]
- 本当に過去を取り戻したいのか。
過去を取り戻す意味があるのか…。
私自身、測りかねているところがあるのだ。▼
- [リュート]
- ……。▼
- [ジーク]
- 記憶を取り戻したいという気持ちはあるが
過去を知ることへの恐れもある。▼
すまないな。ティータに頼まれて
私の過去を探してくれているというのに。▼
- [リュート]
- いや、それについてはその…。▼
頼まれたから、ではなく
俺自身も気になっていたので
手を貸しているだけだ。▼
あとひとつだけ、聞きたいのだが…
もし記憶が戻ったら
お前はどうするつもりだ?▼
- [ジーク]
- 記憶を取り戻そうが取り戻せまいが
おそらく、私のやることは変わらない。▼
この命をかけて…
大切な存在を守るだけだ。▼
- [リュート]
- そうか…。▼
やるべきことが明確に見えているなら
別に過去にこだわらなくても
いいような気もするな。▼
その手が守る明日へと
まっすぐ歩いていけばいいじゃないか。
振り返る必要もなかろう。▼
- [ジーク]
- ……。▼
ああ、私もそう思う。▼
背中を押してくれて感謝する、リュート。
君は、善良な魂の持ち主なのだな。▼
もしよければ、今後は友人として
接してもらえないだろうか。▼
- [リュート]
- ゆ、友人…!? そ、そうか、友人か。
べ、別に構わないぞ。友人は…
何人いても困らないからな。▼
- (暗転)
- [ティータ]
- パオラ…!
よかった、探してたの。▼
- [パオラ]
- ティータ…。
ジークの記憶のことなんだけど…。▼
- [ティータ]
- それはね、もういいの…
ジークが話してくれたの。▼
今は過去にこだわらず
アスク王国のため、今の彼が守りたい
大切な明日のために戦うんだって。▼
- [パオラ]
- 明日のために…。▼
それが今のジークの本心なのね。▼
- [ティータ]
- 私も…ジークについていきたい。▼
たとえ過去になにがあったとしても
なにを思い出したとしても…
ジークへの想いは変わらないから!▼
- [パオラ]
- ティータ、あなたは強い人ね。
自分の心を偽ることなく
未来へと進んでいける。▼
その想いは、きっとあなたと
ジークの未来を
照らしてくれると思うわ。▼
- [ティータ]
- ありがとう、パオラ。
私、負けないから…
どんな過去にも、どんな未来にも。▼
ジークと一緒なら…
乗り越えられるって信じてる!▼
優しき長女 パオラ†
- [パオラ]
- さきほど見かけた
うさぎの耳をつけたカチュア…。▼
あの子も、異界から来た
カチュアだったの?▼
- [フィヨルム]
- 春のお祭りに参加されていた
カチュアさんですね。
たぶん、違う世界の妹さんかと。▼
春のお祭りのときは
うさぎの耳をつけたパオラさんも
お見かけしましたよ。▼
- [パオラ]
- まあ…! 私がそんな
祭りに参加した記憶はないから
間違いなく異界の私ね…▼
- [フィヨルム]
- みなさん、はじめはビックリされますね。
私も違う自分と出会って
何度か気を失いそうになりました。▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- あっ! 異界のパオラ姉さまだ!▼
- [パオラ]
- あら? この子たちは…。▼
- [パオラ(幼少)]
- はじめてお目にかかります…
で、いいのでしょうか?
未来の私…ですよね?▼
- [パオラ]
- そう…! そうです!
この子は、マケドニア白騎士団を
目指していたころの私…。▼
カチュアもエストもまだ小さくて。
まあ、まあっ! こんな可愛らしい
英雄も召喚されているのね。▼
- [フィヨルム]
- ええ。お城には、子どもの頃の
マルス王子やシーダ王女、マリクさんも
ミネルバ王女もいらっしゃいますよ。▼
彼らも立派な英雄です。
もちろん、ここにいる小さな
パオラさんたちも!▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- よろしくおねがいします。
未来のパオラ姉様。▼
- [パオラ]
- こちらこそよろしくね。
私でよければ力になるから
遠慮なく声をかけてね。▼
- [パオラ(幼少)]
- はい、ありがとうございます。
頼らせていただきますね。
ご指導いただけるとうれしいです!▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- おおきいパオラねえさま!
槍のにぎりかたはこれでいいの?▼
- [パオラ]
- ええ、握り方はいい感じね。
あとはもう少し脇を締めて…
はい、こんな感じかしら。▼
- [パオラ(幼少)]
- すみません、妹たちまで
お世話になってしまって…。▼
- [パオラ]
- いいのよ、気にしないで。
異界のあなたたちも
大切な妹だもの。▼
- [フィヨルム]
- みんな、すっかり懐いちゃいましたね。▼
- [パオラ(幼少)]
- はい。妹たちだけでなく
私にまでよくしていただき…
姉がいたら、このような感じでしょうか。▼
- [パオラ]
- 本当にお姉さんだと思って
頼ってくれていいのよ?▼
- [パオラ(幼少)]
- そ、それはさすがに…
年齢は違えども、同じ私ですし。▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- パオラねえさまも
おおきいパオラねえさまに
あまえちゃえー!▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- こら、よしなさいエスト。
未来のパオラ姉さまを
困らせてはダメよ。▼
- [フィヨルム]
- ……▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- フィヨルムおうじょ、どうしたの?
なんだかさびしそう…▼
- [フィヨルム]
- いえ、なんでもありません。▼
私もその…兄様と姉様と妹がいるので
なんだか昔を思い出してしまって…▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- ねえさまと、いもうと…
わたしたちとおなじ
さんしまいだね…!▼
- [フィヨルム]
- 兄様はニフル王国にいるのですが…
姉様は少し、遠いところにいて…▼
- [パオラ]
- ……▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- だから、フィヨルムおうじょ、
すこしさびしそうだったんだ…▼
- [フィヨルム]
- 大丈夫ですよ。ここには
たくさんの英雄のみなさんがいますし
毎日にぎやかで寂しくありません。▼
心配してくれてありがとう。
エストさんは優しいですね。▼
- [パオラ]
- ええ。カチュアもエストも…
とても優しく育ってくれたわ。
ね? そうでしょう?▼
- [パオラ(幼少)]
- はい。二人とも自慢の妹です。▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- やだー! わたしも
パオラねえさまと同じお花がいいー!▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- エスト、わがまま言って
パオラ姉さまを困らせてはダメよ。▼
- [パオラ]
- あら…どうしたのかしら?
なにかあったの?▼
- [パオラ(幼少)]
- 実は、シャロン王女から
それぞれ違うお花を
いただいたのですが…。▼
エストも、私と同じお花を
気に入ってしまったみたいで。▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- わたしがもらってお花もきれいだけど
パオラねえさまがもらった
お花のほうがすきなのー!▼
- [パオラ(幼少)]
- はい、じゃあエストには
これをあげるわ。大切にしてね。▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- やったー!▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- パオラ姉さまは甘すぎます。
エストにはもっと
我慢させることを教えないと…!▼
- [パオラ]
- あら…懐かしいわ。▼
そうそう、カチュアは
この頃からとっても真面目で
いつも私を助けてくれていたわね。▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- ま、真面目というか…私は
当たり前のことを言っているだけです。
未来のパオラ姉さま。▼
- [パオラ(幼少)]
- でも最近、妹と好きなものが
同じになってしまうことが多いんです。▼
こういう時、未来の私は
どうしていたのでしょう?▼
- [パオラ]
- そうね、私は…▼
- [パオラ]
- あなたもきっと
同じだと思うけど…▼
私の一番の幸せは
妹たちの笑顔を見ること。▼
- [パオラ(幼少)]
- はい、マケドニアのために
白騎士団に入ることが
私の夢ではありますが…。▼
妹たちが笑顔であり続けることは
私の譲れない夢です。▼
そのためなら
どんな苦労もいといません。▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- パオラ姉さま…。▼
- [パオラ]
- 妹たちのために、できることは
なんでもしてあげたい。▼
ときにその決意は…
寂しさを伴うことがあるかもしれない。▼
- [パオラ(幼少)]
- ……。▼
- [パオラ]
- でも、自分が信じる道を選べば
妹たちの笑顔はいつまでも輝くはずよ。▼
- [パオラ(幼少)]
- はい…!
その言葉、胸に刻んでおきます。▼
- [パオラ]
- あとは…
なにがあっても、姉妹で手を取り合って
進むことを忘れないで。▼
そうすれば、必ず道は開けるから。▼
誰かがピンチになったら
姉妹で助け合う。今も私たちは
そうやって支え合っているの。▼
- [カチュア(イラスト:幼少パオラ)]
- もしかして、未来でもエストが
パオラ姉さまに迷惑をかけているのでは…。▼
- [エスト(イラスト:幼少パオラ)]
- えー! エストいい子にするもん!
カチュアねえさまのいじわる!▼
- [パオラ(幼少)]
- こら、ケンカしちゃダメでしょ。
未来の私も言ってるじゃない。
姉妹で助け合わないとって。▼
- [パオラ]
- 姉妹の絆こそが
あなたたちの大きな武器になる。
そのことを覚えておいてね。▼
- [パオラ(幼少)]
- はい…! 未来の私から
受け取ったその言葉…
必ず依頼に活かしてみせます。▼
我が道を往く リュート†
- [リュート]
- ここが、アスク王国の大図書館…!▼
なんという広さ、なんという数の書物!
これだけの本を読み尽くすのに
何年…いや、何十年かかることか…!▼
- [ソフィーヤ]
- ……。▼
- [サイアス]
- ……。▼
- [リュート]
- ここに集う魔道士たちも
さぞ名のある連中なのだろう。
誰も彼もただならぬ雰囲気だな…▼
- [ラインハルト]
- 失礼。▼
- [リュート]
- …!? 誰だあんたは…▼
- [ラインハルト]
- ご挨拶が遅れた非礼、
どうかお許しいただきたい。▼
私はフリージ公爵家に仕える
ラインハルトと申します。▼
- [リュート]
- お、俺はリュート。
魔道を究めんとするものだ。
ええと…よろしく頼む。▼
- [ラインハルト]
- やはりデューテの兄上でしたか。
話は聞き及んでおります。▼
私にも魔道を志す妹がおります。
どうか、よろしく願いたい。▼
- [リュート]
- デューテから…そ、そうか。▼
ここはすごい図書館だな。
魔道士にとっては宝の山だ。▼
- [ラインハルト]
- アスク王国に呼ばれた魔道士はみな
この図書館に感動し
感銘を受けるのではないでしょうか。▼
- [リュート]
- デューテもここには
よく来るのだろうか?▼
- [ラインハルト]
- …デューテは素晴らしい
魔道の素質の持ち主ですね。▼
彼女は座学に励まずとも
戦場で戦うたびに強くなっている。▼
- [リュート]
- ということは…
あいつは、あまり図書館には
姿を見せないということか。▼
- [ラインハルト]
- 魔道士にはそれぞれ自分に合った
成長の仕方があります。▼
彼女にとってみれば
図書館よりも、外の世界や戦場に
学びの機会があるのでしょう。▼
- [リュート]
- ……。▼
- [ルーテ]
- いえ、そこは真水を加えるべきです。
こちらの緑の書を見てください。▼
- [リシテア]
- なるほど。試す価値はありますね。
では、もう一度最初から
術式を組み直してみましょう。▼
- [リュート]
- ……。
今日は活発に議論している
魔道士連中がいるな…▼
- [ノール]
- ……▼
- [クリフ]
- ……▼
- [リュート]
- と思えば、一人で黙々と
書を読み続ける魔道士もいる。▼
この図書館、誰と馴れ合うこともなく
一人で通ってもよさそうだな…。▼
- [カナス]
- おや…? あなたは
デューテちゃんのお兄さんですね。▼
- [リュート]
- うわっ! ま、また出た…!?▼
- [カナス]
- 僕はカナスと言います。
専門分野は闇魔法ですが
魔道全般を研究する元学者です。▼
- [リュート]
- 闇魔法の使い手か…
悪いが、あまりいい印象がないな。▼
- [カナス]
- はは。無理もありませんね。
闇魔法は闇と向かい合い
研鑽を深めていくもの。▼
本人に闇の影響が及ぶことも
多々ありますから…その使い手も
個性的な英雄が多いです。▼
- [リュート]
- 個性的、か…。
うまいこと言い換えたな。▼
- [カナス]
- デューテちゃんは元気な子ですが
お兄さんは、落ちついていますね。▼
- [リュート]
- 似ていないとはよく言われる。
まあ、似ていないのは
外見や振る舞いだけではないがな。▼
- [カナス]
- ……?
と、言うと…?▼
- [リュート]
- デューテは俺とは
比べものにならないほどに
魔道の才能…素質があるのだ。▼
アスク王国にはこのような
素晴らしい図書館があるというのに
あいつはまったく顔を見せない…。▼
俺から見れば羨むような
才能を伸ばそうとしないとは…
兄としても実に嘆かわしい限りだ。▼
- [カナス]
- ……▼
- [カナス]
- ずいぶん勤勉ですね、リュートさん。
図書館に来るたびに
お見かけする気がします。▼
- [リュート]
- …ここくらいしか
居場所がないからな。▼
- [カナス]
- ふむ…。
デューテちゃんのほうが
魔道の素質があると
おっしゃりましたが…▼
先日の戦いぶりから
リュートさんにも十分に
その素質があるように見えました。▼
- [リュート]
- ……。
俺とデューテは
高名な女魔道士の末裔だ。▼
そして、その血が濃く現れるのは
代々女性の子孫だと
言われてきた…▼
魔道の素質は血に依存する。▼
生まれ持った素質がなければ
いくら修業を積んだところで
精霊の声は聞こえない。▼
そして…血の優位性は
死ぬまで覆ることはないのだ。▼
- [カナス]
- なるほど…。
血は大いに関係が
あるかもしれませんね。▼
ここにいる魔道士たちの多くも
祖先から受け継いだ才を活かし
活躍しているようですし。▼
- [リュート]
- だろうな。それが普通だ…。
なんら不思議なことではない。▼
- [カナス]
- …かくいう僕にも
魔道の研究家として高名な母と
三人の兄がいました。▼
その母の知識と魔導書は
本来、兄たちの誰かが
受け継ぐ予定だったんですよ。▼
しかし、受け継いだのは
魔道の素質に劣る僕でした。▼
- [リュート]
- 理由が気になるな…。
よければ、いきさつを
聞かせてくれないか?▼
- [カナス]
- 三人の兄たちは
古代魔法を研究していました。
いわゆる…闇魔法です。▼
しかし、素質があるゆえに
どんどん研究にのめりこんでしまい…▼
最終的に、古代魔法の闇に
取り込まれてしまいました。▼
今では歩くことも
言葉を発することもできず
ただ…生きているだけの状態です。▼
- [リュート]
- ……▼
- [カナス]
- 古代魔法を使いこなすには
知識や魔道の素質だけではなく
闇に囚われない心が必要だったのです。▼
もっとも、僕が
今こうしていられるのは、
特別な才があったからではなく…▼
僕を支えてくれる妻の
存在があったからなのでしょう。▼
- [リュート]
- 意外だ。結婚していたのか…。
魔道にすべてをささげるような
人間かと思っていたのに…。▼
- [カナス]
- ん? なにか言いました?▼
- [リュート]
- い、いや、別になにも…。▼
- [カナス]
- しかし、僕も闇に囚われないという
保証はありません。もしかすると
今日か、明日かもしれない…。▼
それでも…知識を求めようとする
欲求は抑えられないんですよね。
学者とは、ほとほと困ったものです。▼
- [リュート]
- 闇に囚われない心の強さ…か。▼
- [カナス]
- 僕が思うに、心の強さは
先祖から受け継いだ血とは
まったく関係のないものです。▼
デューテちゃんにそのことを
教えてあげられるのは、リュートさんの
役目なのかもしれませんね。▼
- [リュート]
- ……。
かつてデューテは
闇の力に操られたことがあった。▼
なんとか事なきを得たが
魔道の素質を伸ばすように
うるさくするよりも…。▼
兄として、かけるべき言葉が
あったのかもしれないな。▼
- [カナス]
- 今からでも遅くはないと思いますよ。
アスク王国で再会したのも
なにかの縁なのでしょうから。▼
- [リュート]
- カナス、お前はいい奴だな。
気にかけてくれて…その、感謝する。▼
そ、その、なんだ…
俺はアスク王国に来て日が浅いし…。▼
そもそも村の猫とアルムくらいしか
友だちと呼べる存在がいない。▼
だから俺と…
その…友だちに…。▼
- [カナス]
- え?
僕はもうリュートさんと
友だちだと思っていましたよ。▼
- [リュート]
- そ、そうか…
うん。それならいいんだ。
俺もそんな気がしていたからな。▼
……。▼
最初は、こんな異界に召喚されて
どうなることかと思ったが…
意外となんとかなるかもしれんな…▼
いい機会だし…デューテとも
もう一度話し合ってみるか。
兄として、な……▼
献身の聖女 ティータ†
- [ピアニー]
- はーい、ここよ!
いろんな異界から来た
癒し手が集まっている教会!▼
- [ティータ]
- うわぁ、大きな教会。
私の村の教会とは大違い…!▼
- [ピアニー]
- 癒し手たちはここで
戦争で焼け出された人のお世話や
孤児の面倒を見たりしてるんだって。▼
じゃ、入りましょ。
私についてきてね。▼
- (暗転)
- [ブレディ]
- ん…!?
なんだぁ、見ない顔だな…?▼
- [ティータ]
- きゃっ! た、たたたた大変!
教会に悪そうな人が…!▼
- [ブレディ]
- ああん!? 誰が賊だ誰が!?▼
- [アサマ]
- こらこら、ブレディさん。
むやみやたらに凄まないでください。
すっかり怯えているじゃないですか。▼
- [ブレディ]
- あ、おう…悪かったな…▼
- [ティータ]
- び、びっくりしちゃった…。
こっちこそ、悪そうな人とか
言ってしまってごめんなさい。▼
- [レナ]
- ティータさん、でしたね。
ようこそいらっしゃいました。
癒し手たちが集う教会へ。▼
- [ナンナ]
- 信仰の形は違っても
人々を助けるために
ともに手を携えましょう。▼
- [マリア]
- 歓迎するね!
仲間は一人でも多いほうがいいから。
一緒に頑張ろ!▼
- [ティータ]
- は、はい!
私、そそっかしいけど
やる気だけはありますから!▼
- [ブレディ]
- でも、無理はするんじゃねーぞ。
俺たちが倒れちまったら
元も子もねえからな。▼
- [ピアニー]
- 頑張ってね、ティータ。
私も応援してるわ!▼
- [ティータ]
- ありがとう、ピアニー!
その気持ちに
必ず応えてみせるからね…!▼
- [リフ]
- 傷を治してくれる
癒しの杖の力は
大変ありがたいものです。▼
ですが、ときには杖が使えない
状況に陥ることもあるでしょう。
そんなときこそ、傷薬です。▼
正しく使えば、人々の痛みを
和らげることができます。
では、二人一組で練習をしてみましょう。▼
- [ティータ]
- よろしくお願いします…!▼
- [ブレディ]
- おう、よろしくな。▼
- [ティータ]
- あれ? ブレディ…
この手の傷はどうしたのかな?▼
- [ブレディ]
- ああ、そいつは昨日
路地裏で猫の出産を手伝って…。▼
い、いや、なんでもねえ。
名誉の負傷ってやつだ。▼
- [ティータ]
- そっかー。でも傷薬を塗る
練習をするにはうってつけだね!▼
私がもってきた
傷薬で治してあげる!▼
- [ブレディ]
- おう、頼むぜ…って
なんかすげー色の傷薬だな?▼
- [ティータ]
- あれ? ホントだ。
でもこれ、ミドリコちゃんっていう
薬師の女の子にもらったものなの。▼
涼しいところに保管しておいてって
言われたから、お城の倉庫の隅を借りて
ちゃんとしまっておいたのよ。▼
- [ブレディ]
- ミドリコの薬か…時々やべー出来のも
あるみたいだが、まあ大丈夫か…?▼
- [ティータ]
- えーと、さっきリフさんが言ってたよね。
まずは傷口が隠れるように
たっぷりと塗り込んで…。▼
- [ブレディ]
- ……!? ……!?
いでぇ、いでっ! ま、待て待て待て!
くぉぉっ! な、なんだこりゃあああ!▼
- [ティータ]
- わお、すっごい効き目?
ミドリコちゃんの傷薬はすごいね!▼
- [ブレディ]
- こ、これは傷薬じゃ
断じてねえぇぇ! いてぇっ!
お、お前、なにを塗ったんだ!?▼
ぺろっ…。ぐはっ!
こ、こいつは香辛料じゃねえか!▼
- [ティータ]
- え? こ、香辛料…?
くんくん…あ、ほんとだ。
よく見ると瓶の形も違う!?▼
も、もしかして、傷薬と間違えて
香辛料の瓶を持ってきちゃった!?
ご、ごめんなさい、うっかりしてて!▼
- [ブレディ]
- うっかりどころの話じゃねえ!
み、水、水で洗わないと死ぬっ!▼
- [ティータ]
- ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃっ!▼
- [リフ]
- ティータとブレディ…
真剣に練習しているようですね。
結構なことです。▼
日々の積み重ねが
のちのち多くの命を救っていくのです。
地道にコツコツと歩みましょう。▼
- [ブレディ]
- いでぇぇぇー! いでぇぇぇよぉぉぉ!▼
- [プリシラ]
- 大丈夫ですよ、みなさん。
まだまだスープはありますからね。▼
- [ミスト]
- 一列に並んで
慌てず騒がず待ってくださいね!▼
- [ナターシャ]
- 炊き出しに集まってくる人々の数…
日に日に増えていますね。▼
- [セーラ]
- 無理ないわよね。アスク王国には
次から次に危機が訪れているし…▼
でも、だからって私たちが
音を上げるわけにはいかないのよね。▼
ここで頑張って…
セーラ様は伝説になるの!▼
- [ティータ]
- 私もパンを焼いてきたの!
これ、みんなに配ってあげて!▼
- [ナターシャ]
- まあ、こんなにたくさん…
大変だったでしょう?▼
- [ティータ]
- 大変だなんて言ってられないよ。
少しでもみんなの力になりたいの。▼
- [ブレディ]
- …待て。▼
見た目は美味そうなパンだが
なにか嫌な予感がするぜ。
ちょっと味見させてくれ…。▼
- [ティータ]
- 味見? はい、どうぞ!▼
- [ブレディ]
- ……!? くっは!▼
な、なんだこの硬さは!
石かこいつは!? か、かてぇぇぇっ!▼
- [ティータ]
- ええっ!? そんな大げさな…
はむっ……あれ? 硬い…▼
ごごご、ごめんなさい!
生地に混ぜる水が少なすぎたみたい…!▼
- [アサマ]
- ……。
なにやら盛り上がっているようですが
面白いシスターがやってきたものですねぇ。▼
暗夜王国の某メイドを
思い出します。いや…
それ以上の逸材かもしれませんね。▼
- [ブレディ]
- 歯が、俺の歯がぁぁぁっ!!▼
- [ティータ]
- ごめんなさい!
わざとじゃないのーっ!▼
- [セーラ]
- 欠けた歯って
杖で治せるのかしら…▼
- [ティータ]
- はぁ…。▼
私って、なにをやっても
ダメなのかな。▼
このままじゃ、ジークや
アスク王国の力になれないよ…。▼
- [ピアニー]
- あれ? どうしたのティータ。
珍しく落ち込んでいる感じ。▼
- [ティータ]
- ピアニー…
私、頑張れば頑張るほど
みんなに迷惑をかけちゃって。▼
シスターに向いてないのかなって。
ちょっと悩んでいたって言うか…。▼
- [ピアニー]
- そんなことないわ!▼
だって、みんなを助けたいっていう
ティータの夢は、ずっと胸の中で
輝き続けてるもの!▼
- [ティータ]
- ……!▼
- [ピアニー]
- 私にはわかるの。
ティータの優しさとみんなのために
力になりたいっていう気持ち。▼
その気持ちがあれば
きっと想いは実る…▼
ティータがアスク王国に呼ばれたのも
その気持ちがあるからだと思うの!
だから、元気出して!▼
- [ティータ]
- ありがとう、ピアニー…▼
落ち込むんじゃなくて
落ち込んでいる人を
励ますほうが、私は得意だしね!▼
うん、頑張ってみる!
それが私の取り柄だから!▼
- [ピアニー]
- 私もティータの夢を
応援するね。▼
寝ているときも起きているときも
幸せな夢を見てもらうのが
私の役目だから…!▼
- [ティータ]
- よし、こうしちゃいられない!
ちゃんと傷薬の勉強をして
お料理だって練習する!▼
- [ピアニー]
- きゃっ。
その意気よ、ティータ!▼
- (暗転)
- [ブレディ]
- …ふん、わかってんじゃねえか。▼
口先や小手先だけで
心や気持ちがこもってないやつは
なにもできねえ。▼
やるべきことがわかってんなら
俺が口出す必要はねえな。
ま…頑張りな。▼
- [ティータ]
- 見ててね、ジーク!
私、アスク王国で、たくさんの人の
力になってみせるから…!▼
失いし過去 ジーク†
- [ジーク]
- …せいっ!▼
- [漆黒の騎士]
- むぅ…っ!▼
- [ジーク]
- 渾身の一撃を真っ向から凌ぐとは…
なんという剛剣!▼
- [漆黒の騎士]
- では…参る!▼
- [ジーク]
- 受けきってみせよう…!▼
- [アンナ]
- はいっ! それまで!
今日の模擬戦はこれで終了ね!▼
二人ともお疲れ様。
しっかりと身体を休めて
次の任務に備えてね。▼
- [ジーク]
- ふぅ…。礼を言う。
ひとときも気を抜けない
よい手合わせだった。▼
- [漆黒の騎士]
- さすがは…
【黒騎士】、か…▼
- [ジーク]
- ……?
【黒騎士】…
それは私のことなのか?▼
【黒騎士】という名は
貴殿にこそ似合いであろう。▼
- [漆黒の騎士]
- …………▼
- [ジーク]
- 【黒騎士】…
その響き、遠い日に
聞いたことがあるような…▼
- (暗転)
- [カミュ]
- ……。▼
- [シリウス]
- さて、我々はどう動くべきか。
それとも動かざるべきか。▼
- [カミュ]
- なんとも、数奇な運命だな。▼
ジーク…彼の存在もまた
私の至らなさが招いた
ひとつの未来なのか。▼
貴殿にとっては過去に
なるのかもしれないがな。▼
- [シリウス]
- ……。
異界ごとに、英雄の運命は異なるもの。
貴殿が責を感じる必要はあるまい。▼
貴殿が、ジークと同じ道を
辿るとは限らないのだ。▼
そして…私と同じ道を辿るかも
定かではない。▼
- [カミュ]
- すまないな。
貴殿には無理を言ってしまった。▼
本来、知りうるすべもない
私の未来を教えてもらって…▼
- [シリウス]
- いや、いいいのだ。
貴殿の望みは
すなわち私の望みでもある。▼
過去の自分が少しでも
より良き道に進めるのなら…
力を貸すのが役目なのだろう。▼
- [カミュ]
- ……。
貴殿は一度記憶を失い
その後、取り戻したと言ったな。▼
ならば、あのジークも…?▼
- [シリウス]
- いや…
彼が私と同じ道を辿るとは限らぬ。▼
- [カミュ]
- 真実を教えるべきか。
それとも…▼
- [シリウス]
- ……。
少し、頭を冷やそう。
相手を願えるか。▼
- [カミュ]
- 承知。
未来の自分といえども…
考えることは同じだな。▼
- [シリウス]
- では…いくぞ!▼
- [カミュ]
- ティータというシスターが
ジークを知る英雄を
探していると聞いた。▼
彼女は…貴殿にとっても
大切な人なのだろう?▼
- [シリウス]
- …そうだ。生きる希望と
言い換えてもいいほどの存在だ。▼
- [カミュ]
- 過去を取り戻した貴殿にとっても
彼女が大切な存在だと言うのなら…▼
ジークは過去に囚われることなく
ジークとしての生き様を貫いたと。
そう考えていいのだろうか。▼
- [シリウス]
- 生き様か…。
所詮我らは戦うことしかできぬ田舎騎士。
口先だけでは何も伝わらぬ。▼
今の彼に必要なのは…
記憶ではなく、我らが培ってきた
生き様を伝えることではないのか。▼
- [カミュ]
- それを伝える方法は…
ただひとつ、か。▼
- (暗転)
- [ジーク]
- 私と手合わせをしたい、と…?▼
- [カミュ]
- ああ。遠慮はいらぬ。▼
- [シリウス]
- …全力で参られよ。▼
- [ジーク]
- その風貌…間違いない。
貴殿らは私の記憶に関係が深い者…▼
いや、私のなくした記憶
そのもの、か…?▼
- [カミュ]
- 口で語るよりも…
槍を交えればすべてわかることだ。▼
- [シリウス]
- たとえ記憶をなくそうとも…
その身に重ねた鍛錬は消えぬ。
我らの槍、見事受けきってみせよ。▼
- [ジーク]
- はぁ、はぁっ…!
なんとか…凌げたか。▼
- [カミュ]
- 見事だ。貴殿の気迫…
槍を通じて伝わってきた。▼
- [ジーク]
- それは…こちらも同じこと。
正々堂々と、常にまっすぐに
誰にも恥じ入ることのない戦いぶり…。▼
貴殿らの生き様は
しっかりと私に伝わってきた。▼
- [シリウス]
- ジーク…
今の貴殿に過去はなくとも、
ジークとして生きた人生がある。▼
それが…
貴殿の未来を形作るだろう。▼
- [ジーク]
- ……。▼
- [シリウス]
- 貴殿は貴殿の道を行くがいい。
振り返ることなくな。▼
- [カミュ]
- 今の自分が一番大切に
思っているものはなんなのか。▼
自らの心に従うといいだろう…
二度と後悔のないように。▼
- (暗転)
- [ジーク]
- 今の自分に過去はない。
だが、ジークとして生きた人生がある…▼
なにものにも代えがたい大切な想い…
それこそが、今の私が守るもの。
槍を振るう理由なのだ。▼
私も、誰にも恥じ入ることのない
生き方を貫いてみせよう。▼
過去ではなく…
前を見据えてな。▼
コメント†
Last-modified: 2021-07-02 (金) 11:49:47