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章別会話
闇色の覚醒†
闇色の覚醒†
オープニング†
- [ノワール]
- あ、あの…母さん。
こ、こんなところに連れ出して…
その…い、一体なにを…?▼
- [サーリャ]
- 怯える必要はないわ。
今日は、貴方を呪術の
実験台にするわけじゃないから…。▼
- [ノワール]
- じじじ、実験台っ!?▼
- [サーリャ]
- だから、それはしないと言ってるのよ。
今のところはね…ふふ…。▼
- [ノワール]
- ひ、ひいぃっ!?
その笑い方が恐ろしいっ!▼
- [サーリャ]
- 今日はね…呪術の材料を
この森で集めようと思うの。▼
私の娘なのだから
それぐらいはできるでしょう?▼
- [ノワール]
- う、うん…。母さんが呪術の
研究をしているところは見てたから
な、なんとか…。▼
- [サーリャ]
- 時間も惜しいわ。
さあ、手分けをして探すわよ…。▼
- (暗転)
- [ノワール]
- 呪術の材料、か。
未来の母さんは、イモリの抜け殻や
ヘビの頭を使ってたけど…。▼
どこを探せば見つかるんだろう。
意外と難しいのかも。▼
- (白く光る)
- [ノワール]
- ひぃっ!? な、なに?
この禍々しい気配は…。
あそこ!? だ、誰かいる!▼
あ、あれは…ダメ!
見つかったら危険だわ…。
し、茂みに隠れなきゃ!▼
- (暗転)
- [ギムレー(男)]
- ふうん、ここがアスク王国か…。
一見しただけでは
異界だなんて思えないね。▼
だけど、この世界ならきっと…。▼
ワレハ…
サラナル…チカラヲ…!▼
- [ノワール]
- ひっ!
か、母さんに知らせなきゃ!▼
- (暗転)
- [ノワール]
- た、たたた、大変なの、母さん!!▼
- [サーリャ]
- なに? 騒々しいわね…。
希少なヘビの大物でも
見つけたのかしら?▼
- [ノワール]
- ざ、材料の話じゃなくて…
ギムレー! ギムレーが
アスク王国に現れたのっ!▼
- [サーリャ]
- ギムレー…、古の邪竜がこの世界に?▼
- [ノワール]
- そ、そう!
そ、そう! あれは間違いなく
わ、私がいた世界のを滅ぼした
邪竜ギムレーに違いないの!▼
- (白く光る)
- [ギムレー(女)]
- そして次は…
この世界を滅ぼす。▼
- [ノワール]
- ひぃぃぃぃっ!
ででで、出たぁぁぁぁ!▼
- [サーリャ]
- この禍々しい気配…
貴方がギムレーというわけね?▼
- [ノワール]
- で、でも、私が見たギムレーは
男性の姿をしていたはずだけど…。▼
- [ギムレー(男)]
- 君が見たのは僕だよ。
顔を見るなり逃げ出すなんて
ひどいじゃないか。▼
- [ノワール]
- ああっ!
母さん、私が見たのはこっちよ!
男性のギムレー!▼
- [サーリャ]
- 同じ気配…
ギムレーが、二人?▼
- [ギムレー(男)]
- さて、出会って早々だけど
騒がれると面倒だ。▼
- [ギムレー(女)]
- 私たちの姿を見たあなたたちには…
ここで消えてもらいましょう。▼
- [ノワール]
- ひいぃぃぃっ! か、母さんっ!
逃げてぇぇ!▼
- [サーリャ]
- 逃げるといっても…どこに?
ここには隠れる場所もないわ…▼
- [ノワール]
- はっ! 母さん!
そっちに物影が!!▼
- [サーリャ]
- 物影…ではないわ。
大きな…人影?
貴方は…▼
- [エイクスルニル]
- こんな森の奥で…
騒がしいことだな。▼
- [エイクスルニル]
- 奇遇だな。
こんな深き森で英雄と出会うとは。▼
- [ギムレー(女)]
- とんだ邪魔が入りましたね…。▼
- [サーリャ]
- どうやら敵ではなさそうね。
ヴァイス・ブレイヴの英雄…かしら。▼
- [ノワール]
- た、助かった…のかな?▼
- [エイクスルニル]
- この緊迫した空気…理解した。
ひそかに鍛錬に励んでいたのだな。
良いことだ。▼
- [ノワール]
- 鍛錬などではないわ!
感じぬのか!?
こやつらが放つ禍々しき気配を!▼
- [エイクスルニル]
- よくわからないが…▼
- [サーリャ]
- 邪竜ギムレー…
貴方たちはなにを目的に
この世界へ来たの?▼
- [ギムレー(男)]
- そう難しい話じゃない。
この世界にある【炎の台座】を
消滅させるため。▼
あれは【覚醒の儀】を導く
やっかいな存在だからね。▼
- [ギムレー(女)]
- あらゆる世界の
【炎の台座】が消滅すれば…
憂いもなくなるというもの。▼
邪魔するというのなら…
残らず滅ぼしてあげましょう。▼
- [ノワール]
- そ、そんな…アスク王国も
私がいた絶望の未来のように…?
あ、あ、あああ…。▼
- [サーリャ]
- ノワール…▼
- [ギムレー(男)]
- 我らは
すべてにおいて人に勝る存在。
抵抗しても無駄だよ。▼
- [エイクスルニル]
- すべてにおいて人に勝る、か。
だが、お前たちが思うほど
人は弱くはない。▼
- [ギムレー(男)]
- はっ、戯言を。▼
- [エイクスルニル]
- 嘘だと思うのなら
ここにいる人間と
勝負してみるがいい。▼
- [ギムレー(女)]
- 勝負?
強大な力を持つ私たち邪竜が
ちっぽけな人間と?▼
- [エイクスルニル]
- ああ、相手はこの娘だ。▼
- [ノワール]
- ひぃっ!? わ、私…?▼
- [エイクスルニル]
- 恐れることはない。
人間の肉体には
無限の可能性がある。▼
お前は
その肉体で何ができる?
何か得意なことはあるか?▼
- [ノワール]
- と、得意と言えるものが
あるわけじゃ…ないけど。▼
逃げ足だったら
少しは…自信が…。▼
- [エイクスルニル]
- 脚を見せてみろ。
ふむ、これならば
いい勝負ができるかもしれん…▼
- [ギムレー(男)]
- 僕たちもこの世界に来たばかりだ。
少しだけ戯れに付き合ってあげるよ。▼
- [ギムレー(女)]
- どんな勝負を…
まあ、結果は目に見えていますが。▼
- [エイクスルニル]
- 森を抜けるまでに
逃げるノワールを捕まえられれば、
お前たちの勝ちだ。▼
あとは好きにすればいい。▼
- [ギムレー(男)]
- …いいとも。
僕たちが人間に負けるなど
あり得ない。▼
- [エイクスルニル]
- 準備はいいか、ノワール。▼
- [ノワール]
- わ、私なんかが勝てるのかな…
もし、私が負けたら
アスク王国が大変なことに…。▼
- [サーリャ]
- 大丈夫よ、貴方ならやれるわ…。▼
- [ノワール]
- えっ? 母さん…。▼
- [サーリャ]
- 貴方はもう、お守りの力に
頼らずとも強い自分になれる…。
信じなさい、自分の力を。▼
- [ノワール]
- 母さん…わ、わかった。
私、できるだけ…やってみる!▼
- [エイクスルニル]
- では、はじめよう。
このエイクスルニルが
見届け人となろう。▼
- [ノワール]
- 行ってくるね、母さん!▼
- (白く光る)
- [エイクスルニル]
- おお、もうあんなところまで。
やはり、良い脚をしている。▼
それでは、お前たち二人も
あとを追いかけるといい。▼
- [ギムレー(男)]
- 人間ごとき相手に
本気を出すまでもない。▼
- [ギムレー(女)]
- ゆっくりと追い詰め…
いかに自分が無力かを
思い知らせてあげましょう。▼
- (暗転)
- [ノワール]
- はあ…はあ…ひ、ひぃぃっ!
息が…苦しいっ!▼
でも、私が足を止めると
母さんも、アスク王国も!▼
- [ギムレー(男)]
- ふん。無駄な足搔きを…▼
- [ギムレー(女)]
- そろそろ仕留めましょうか。▼
- [ノワール]
- ひ、ひいぃぃ…っ!?
お、追いついてきたぁぁぁ!▼
はぁ、はぁ…やっぱり無理なの?
私じゃ…ダメなの?
母さん…父さん…。▼
ぐ、ぐぐっ!
あ、ああああーっ!
なにを弱気になっている!▼
負けてたまるものか!
邪竜、なにするものぞ!▼
絶体絶命の窮地に
あの筋肉男がくれた千載一遇の好機、
無駄にはしない!▼
- [ギムレー(男)]
- へえ、
さらに速く…▼
- [ノワール]
- 動け足!
心臓が破れるまで走れ!
おおおおおっ!▼
- [ノワール]
- や、やった! 森を…抜けた!▼
わ、私の…勝ち!
はぁ、はぁ、はぁっ、やった!▼
- [ギムレー(男)]
- そうだね。
君の勝ちだよ、おめでとう。▼
…じゃあ、茶番は
ここまでにしようか。▼
- [ギムレー(女)]
- ええ。戯れは終わり。
まずはあなたから
始末してあげます…▼
- [ノワール]
- そ、そんな…っ!▼
- (白く光る)
- [ギムレー(男)]
- !
これは…▼
- [サーリャ]
- どうやら私の呪術が効いたようね…。▼
- [ノワール]
- か、母さん…!?▼
- [サーリャ]
- 貴方たちは勝負の前に言ったわね…?
人間に負けるなんてあり得ない、と。▼
その言葉に
呪いをかけさせてもらったわ…。▼
貴方たちは…
みずからの誓約を破ったのよ。▼
今、貴方たちの身体を縛っている
その力は、貴方たち自身の力…▼
- [ギムレー(女)]
- 小癪な…
ですが、この呪いを破るには
少々時間が必要ですね。▼
- [ギムレー(男)]
- 次に顔を見せたときは…
真っ先に食い殺してあげるよ。▼
- (白く光る)
- [エイクスルニル]
- 消えたか。▼
- [ノワール]
- はぁぁぁ…
た、助かったぁ…。▼
- [サーリャ]
- 今回は運が良かったわね…。
でも頑張ったわ、ノワール。▼
- [ノワール]
- う、うん…。
なんだか普段より
身体が軽かったかも…。▼
あ、あの…ひょっとして
私にも速く走れるようになる
まじないを掛けてくれてたの…?▼
- [サーリャ]
- そんなことしていないわ。
私は、貴方の逃げ足の速さを
信じていただけよ…。▼
- [ノワール]
- 私を…信じて?▼
- [サーリャ]
- 貴方は自分が思っているよりずっと強い…。
自信を持ちなさい、ノワール。▼
- [ノワール]
- 母さん! あ、ありがとう!▼
- [エイクスルニル]
- 見事だった。
そして、今回の勝負で
よくわかったと思うが…▼
たとえ何があろうと、
肉体はすべてを解決する。
今後も鍛錬に励むといい。▼
二つの心宿す ノワール†
- [???]
- ぐすっ…ぐすっ…。▼
- [ラタトスク]
- ひっ!?
ななななにかな? この声…▼
誰かのすすり泣くような声…
いったいどこから…?▼
- [ノワール]
- ぐすっ…ぐすっ…うぅ…。
ずびっ…。▼
- [ラタトスク]
- ひゃわわわわっ!?
…って、あなたはたしか
イーリス大陸から来たノワールさん?▼
- [ノワール]
- あ、ラタトスク…ぐすっ。
ごめんなさい、驚かせちゃったね…。▼
- [ラタトスク]
- どうして泣いてるの…?
ケガしてるなら
癒してあげるから…▼
- [ノワール]
- ありがとう…ぐすっ。
だ、だけど、そうじゃなくって…。
鼻水が…、ぐすっ…▼
- [ラタトスク]
- 風邪かな?
あたしに任せて!▼
- (白く光る)
- [ラタトスク]
- あれっ? どうして?
【癒し手】の力で治らない!?▼
- [ノワール]
- その…これは
ケガや病気じゃなくて…。▼
呪術師の母さんに掛けられた
鼻水が止まらなくなる呪いだから…。▼
- [シャラ]
- それは面白いわね…▼
えっ!? か、母さんっ!?
いつの間に…ぐすっ…。▼
- [シャラ]
- ……?
人違いじゃない?
私は呪い師のシャラよ…▼
- [ノワール]
- た、たしかによく見たら…ぐすっ、
母さんじゃ…ない。▼
びっくりしちゃった。
本当に母さんと瓜二つ…。
ずびっ…。▼
- [ラタトスク]
- あっ! そうだ!▼
ノワールさんにかけられているのが
呪術なら、呪い師のシャラさんには
なんとかできるんじゃない?▼
- [シャラ]
- 見せてもらってもいい?▼
- [ノワール]
- ずびっ…は、はい…。▼
- [シャラ]
- なるほど…これはきっと
イモリの頭を触媒にして…。▼
- [ラタトスク]
- ど、どどどどう?
呪い、解けそう?▼
- [シャラ]
- 見事な呪いだわ…
なぜ鼻水なのかは謎だけど
とても興味深い…▼
- [ノワール]
- か、感心されても…
ぐすっ…▼
- [シャラ]
- 仕方がないわね…。
これでどうかしら?▼
- (白く光る)
- [ノワール]
- あ、あれっ?
鼻水が…止まった…?▼
- [ラタトスク]
- わわわっ、すごい!
よかったね、ノワールさん!▼
- [ノワール]
- あ、ありがとう…ひっく。
…あれ? ひっく。▼
- [シャラ]
- 鼻水、止まったでしょ…
しゃっくりはその代償よ。
我慢なさい…▼
- [ノワール]
- そ、それじゃあ…ひっく!
呪いを上書きしただけじゃない!
ひっく!▼
- [シャラ]
- ここにいたのね、ノワール。
探したわよ…▼
- [ノワール]
- あっ、母さん…じゃなくてシャラ。
昨晩は…ありがとう。▼
しゃっくりは朝まで止まらなかったけど
枕が鼻水で濡れないだけ
マシだったかも…。▼
- [シャラ]
- 朝に止まった…なるほど。
想定通りの効果ね…
素晴らしいわ、ノワール。▼
- [ノワール]
- え? な、なにが素晴らしいの?▼
- [シャラ]
- 貴方は呪術にかかりやすい
体質のようね…▼
余計な抵抗もなく
狙った効果がちゃんと出る…
実験台として最適よ。▼
- [ノワール]
- …なのか?▼
- [シャラ]
- え…?▼
- [ノワール]
- 貴様は血も涙もない鬼か!?
人のことを実験台扱いするとは
なんたる冷酷非道!▼
- [シャラ]
- ……▼
- [ノワール]
- わかっておるのか!?
我は実体実験の贄となるために
アスク王国に来たのではないぞ!▼
- [シャラ]
- 貴方、ノワール…よね?▼
- [ノワール]
- …はっ!?
あ、あわわわっ!
またやっちゃった!▼
- [シャラ]
- また…? 貴方はいつも
さっきのような別人になるの?▼
- [ノワール]
- う…実は、その…
母さんにもらったお守りの影響で
身に危険が迫ったり感情が高ぶると…。▼
さ、さっきみたいな
荒っぽい性格になるみたいなの。▼
- [シャラ]
- そのお守り…
見せてもらえる?▼
- [ノワール]
- お守りはもう、持ってないの。
私が未来からやってきたとき
母さんに取られちゃって…。▼
でも今は、お守りがなくても
性格が変わっちゃうの。
これも呪術の一種…なのかな?▼
- [シャラ]
- 面白いわね…▼
性格が変わるのは呪術の影響なのか
それとも別の理由があるのか…。
貴方はそれを知りたいのね?▼
- [ノワール]
- う、うん。
できれば、知っておきたいかな。▼
- [シャラ]
- 調べてみましょうか…
ノワール、私に付き合ってもらうわよ。▼
- [ノワール]
- あ、あの…大丈夫なのかな?
本隊と離れてしまったみたいだけど…。▼
- [シャラ]
- 大丈夫よ…
こっちは敵の戦力も手薄。
心配はいらないわ。▼
- [ノワール]
- で、でも、こうして戦場に出ることで
私の呪いのことがわかるの?▼
- [シャラ]
- それを調べるために
一緒に戦場に来たのよ…▼
……。
まずいわね、周囲に敵の気配…
想定以上に多いわ。▼
- [ノワール]
- ひぃぃぃぃっ!?
さ、さっき言ったよね!?
こっちは敵の戦力が手薄って。▼
- [シャラ]
- 困ったわね…
どうしようかしら?▼
- [ノワール]
- 困っているように見えないんだけど!
ど、どうするのっ!?▼
- [シャラ]
- 敵の包囲が狭まってきているわね…▼
- [ノワール]
- ひぃっ!?▼
- [シャラ]
- どうするの?
このままだと…二人とも
ここで討ち死にかもしれないわね。▼
- [ノワール]
- ……るか。▼
- [シャラ]
- ……。▼
- [ノワール]
- 負けるかー!
雑魚どもがいくらかかってこようが
ものの数ではないわ!▼
覚悟するがいい!
この程度の数で
我を止められはせぬ!▼
- (白く光る)
- [ノワール]
- そらっ! そらそらそら!
命がいらない奴からかかってこい!
ふははははは!▼
- [シャラ]
- すごいわ…
敵兵を蹴散らしながら
包囲を切り崩していく…▼
これじゃ、どっちが窮地に
たっているかわからないわね…▼
- (暗転)
- [ノワール]
- はぁ、はぁ、はぁっ。
ここまで来れば安心だよね。
うう…な、なんとか助かった…。▼
- [シャラ]
- ありがとう、ノワール…
貴方のおかげで
危機を切り抜けられたわ。▼
- [ノワール]
- そ、それはよかった…。▼
- [シャラ]
- それに…わかったわ。
貴方が危険に晒されると
なぜ性格が変わるのか…▼
- [ノワール]
- えっ? 私の性格が変わる理由…
わかったの?▼
- [シャラ]
- 豹変した貴方から感じたものがあるの…
それは、なにがあっても
絶対に生き残ろうとする意志よ。▼
- [ノワール]
- ……。▼
- [シャラ]
- その固い意志を生むものはなんなのか…
その意志の力はなにによって
引き出されていたのか…▼
それは呪術ではないわ…
おそらくは、お守りに込められていた
想いではないかしら。▼
- [ノワール]
- お守りに…そんなものが?▼
- [シャラ]
- そう…
娘を死なせたくないという
貴方の母親がお守りに込めた想い…▼
その想いが貴方を包んで
生き残ろうという意志を
引き出していたと思うわ…▼
- [ノワール]
- 母さんの想いが…私を…▼
- [シャラ]
- 想いは貴方の魂に残り
お守りが失われても
貴方を支え続けてきた…▼
だからお守りがなくても
生き残るために…貴方の性格は
変わっていたんじゃないかしら。▼
- [ノワール]
- 実は私も…
そんな気がしてたの。▼
そして、その考えを誰かに
確かめてほしかったのかも…▼
- [シャラ]
- 腑に落ちたみたいね…▼
- [ノワール]
- 性格が変わるのは恥ずかしいけど…
シャラのおかげで、以前よりも
前向きになれるような気がする。▼
- [シャラ]
- それはなによりだわ…▼
- [ノワール]
- …ねえ、シャラ。
あなた、本当に母さんと無関係なの?▼
実は生き別れの姉妹だったりしない?
だって声まで似てるし…。▼
- [シャラ]
- そうね…もしかしたら異界を超えた
なにかの縁があるのかもしれないわ。▼
私もノワールのことは
他人とは思えなかったから…
つい親身になったのかも…▼
- [ノワール]
- ね、ねえ、せっかくだから
アスク王国にいる間
仲良くしてもらえない…かな?▼
- [シャラ]
- 構わないわよ…
こちらこそよろしく。▼
さっそくだけど、貴方には
新しいまじないの
実験台になってほしいのよ…▼
大丈夫。命の危険はないわ…
ふふ…ふふふ…▼
- [ノワール]
- ち、調子に乗るでないっ!
そういう意味で仲良くなりたいと
言ったわけではないわっ!▼
絶望の支配者 ギムレー†
- [ルフレ(女/伝承)]
- ようこそアスク王国へ。▼
あなたと会えたことを
うれしく思いますよ、邪竜ギムレー。▼
- [ギムレー(女)]
- ふふふ…私も感じますよ。
あなたの中に、邪竜の力が
満ちはじめているのが。▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- まだ邪竜としては完全ではなく
記憶もいくらか失ったままです。▼
ですが、あなたをこの目で見ることで
確信できたことがあります。▼
それは絶望の未来が
間違いなく到来するということ。▼
あなたの存在がそれを
雄弁に語ってくれています。▼
- [ギムレー(女)]
- 当然です。
いずれあなたも完全な邪竜となって
絶望の未来をもたらす…▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- そういうことになりますね…ふふ。
あなたは話がわかるので助かります。▼
- [ギムレー(女)]
- その物言い…
なにか気になることでも?▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- アスク王国には
この事実を受け入れていない
異界の私…▼
愚かな価値観に囚われている
ルフレたちがいるものですから。▼
- [ギムレー(女)]
- 自らが邪竜の器であることを
わきまえていないと?▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- ええ、理解に苦しみます。▼
- [ギムレー(女)]
- …いいでしょう。
その者たちのもとへ案内してください。
すぐに絶望を受け入れられるように…▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- いました。
あれが…異界の私です。▼
- [ギムレー(女)]
- 邪竜である私の姿を見れば
間違った考えも正されることでしょう。▼
道理をわきまえぬ異界のルフレ。
話があります、こちらを向きなさい。▼
- [ルフレ(女/愛の祭)]
- ……!?
ま、まさか…この気配は
邪竜ギムレー?▼
- [ギムレー(女)]
- …なんですか、その花は?
その浮かれた格好は?
あなたは、なにをやってるのですか?▼
- [ルフレ(女/愛の祭)]
- こ、これはアスク王国に伝わる
愛の祭りのためで…。▼
そう、絶望に抗うための愛…
愛を育むための
大切な儀式の正装なんです!▼
- [ギムレー(女)]
- 戯言を…。
早くその浮かれた格好をやめなさい。
そして絶望を受け入れるのです。▼
- [ルフレ(女/愛の祭)]
- う、浮かれてなどいません!
なにがあろうとも
私は絶望に抗ってみせます!▼
- [ギムレー(女)]
- 説得力が皆無ですね。
こうなったら力づくでも…。▼
- [ルフレ(女/夏)]
- なにやら騒がしいですね?
どうしましたか?▼
- [ギムレー(女)]
- ……。▼
- [ルフレ(女/夏)]
- ……!?
ま、まさか…この気配は
邪竜ギムレー?▼
- [ギムレー(女)]
- あなたは…アスク王国に
なにをしに来ているのですか。▼
なんですか、その浮かれた格好は?
邪竜の器であるという
自覚はあるのですか?▼
イーリス大陸に
何かを忘れてきたのですか?▼
- [ルフレ(女/夏)]
- この格好はそのっ!
大いなる戦いに備えて
英気を養っていたというか…▼
勝利につなげるための策!
そのための一環というか…。▼
- [ギムレー(女)]
- あなたたちには
邪竜の器としての自覚が
あまりにも欠落しています。▼
頭痛がしてきました…
今日はこれで帰りましょう。▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- …大丈夫ですか?
足元がふらついてますよ?▼
- [ギムレー(女)]
- 絶望を与えるつもりが
逆に絶望に見舞われるとは…▼
- [ギムレー(女)]
- あの者たちは本当に…
あなたと魂を同じくする者たちですか?▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- そうですね…。
信じ難いことですが
異界の私たちにほかなりません。▼
- [ギムレー(女)]
- なにを成すために
この地に召喚されたというのか…▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- 心配はいりません。
ああいった手合いの私は、
例外中の例外ですから。▼
アスク王国にはほかにも
異界の私たちが存在します。
まずはその連中から…▼
- [ギムレー(女)]
- なるほど、ならば
さっそく向かうとしましょう。▼
- (暗転)
- [ルフレ(女/収穫祭)]
- ……。▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- あ…。▼
- [ギムレー(女)]
- これは…どういうことです?▼
- [ルフレ(女/収穫祭)]
- …なっ!?
あ、あなたたちは!?▼
- [ギムレー(女)]
- そこの私、ずいぶんと
浮かれた格好ですが…▼
あなたの中には明らかに
邪竜の力が育まれつつある。▼
それなのに…
どうしてそんなふざけた催しに
馴染んでいるのですか?▼
- [ルフレ(女/収穫祭)]
- こ、これは違う! 違うのです!
人間どものくだらぬ戯れを
潰してやろうと、あえてですね!▼
- [ルフレ(女/伝承)]
- ……。▼
- [ギムレー(女)]
- そのような仮装までして
なにが違うというのですか。▼
- [ルフレ(女/収穫祭)]
- だ、だから、あえてだと!
あえてだと言っているでしょう!▼
祭りで浮かれる人間どもを
奈落に突き落とすため…
その落差を演出しようと!▼
- [ギムレー(女)]
- 先日出会った浮かれた私は
例外中の例外…そう言いましたよね?
話が違うようですが…▼
むっ?
いつの間にか姿がない!?
まさか、逃げたのですか…▼
- [ルフレ(女/収穫祭)]
- えっと、
私も色々と忙しいので
これで失礼します。▼
- [ギムレー(女)]
- ……▼
- [ギムレー(女)]
- こうなっては仕方がありません。
今一度、策を講じる必要がありますね…。▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- あっ!▼
- [ギムレー(女)]
- おや、あなたは…。▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- そ、そんな…!
あなたは邪竜ギムレー!?▼
- [ギムレー(女)]
- ……。▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- まさか、こんなことが…
絶望の未来をアスク王国に
再現するつもりですか!?▼
ですが、させませんよ!
邪竜の企みは、私と…
私の仲間たちが砕きます!▼
- [ギムレー(女)]
- そう…。▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- え?▼
- [ギムレー(女)]
- そう…そうです!
それでいいのです!▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- な、なんのことですか?▼
- [ギムレー(女)]
- …こっちの話です。
あなたには関係ありません。▼
あらためて宣告しましょう。
あなたがどう足掻こうとも
未来は決まっています。▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- そんなことはありません!▼
- [ギムレー(女)]
- 私の存在がなによりの証拠ですよ。
無駄に抗うことなどせず
絶望の未来を受け入れるのです。▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- たとえ未来が決まっていたとしても
私は最後の最後まで足掻いてみせます!▼
運命は変えることができると
学んだのですから!▼
- [ギムレー(女)]
- 無駄ですよ。私はもう
アスク王国に存在している…。▼
それがどういう意味か
あなたならわかりますよね?▼
- [ルフレ(女/総選挙)]
- くっ…。▼
- [ギムレー(女)]
- 正直になりなさい。
あなたの心はすでに敗北しています…▼
絶望を約束する
私の姿をその目で見たのですから!▼
あなたの強がりが
絶望に変わる瞬間を
今から楽しみにしていますよ…▼
- (白く光る)
- [ルフレ(女/総選挙)]
- ……。▼
えっ? あ、あれっ?
言いたいことだけ言って
帰って…しまいました。▼
どこか様子がおかしい気もしますが…
気を引き締めないといけませんね。
異界の私たちにも相談しないと!▼
憂いの呪術師 サーリャ†
- [オロチ]
- ふむ、やはり間違いない。▼
確かに感じるのう。
強力な…魔力の流れを。▼
この先にあるのは訓練場か。
見たところ、訓練しているのは
弓使いしかおらぬようじゃが…▼
- (暗転)
- [ノワール]
- 落ち着いて、よく的を見て…
えいっ…!
やった! 当たった!▼
- [オロチ]
- どうやら魔力の源は
あの者のようじゃな。▼
とても魔道や呪術に
ゆかりがあるようには
見えぬが…。▼
のう、そこの娘!
ちと話してもいいかの?▼
- [ノワール]
- わ、私になにか
ご用でしょうか…?▼
- [オロチ]
- そなた、弓兵のようじゃが
魔道は使えるのか?▼
- [ノワール]
- えっ? 魔道ですか?
多少は使えますけど…
得意というほどでは…。▼
- [オロチ]
- ふむ…。
では、そなたの近親者に
魔道に長けた者はいなかったか?▼
- [ノワール]
- 魔道というか…
私の母さんはとても優れた呪術師でした。▼
でも、いつも自分の研究に没頭して
私になにも教えてくれませんでした。▼
だ、だから私は魔道は得意じゃないし
呪術も使えません…。▼
- [オロチ]
- なるほどな。
して、そなたの母の名は?▼
- [ノワール]
- ペレジアの呪術師、サーリャといいます。
アスク王国にも召喚されていますよ。▼
- [オロチ]
- おお、そなたサーリャの娘であったか。
サーリャはまじないの素材集めで
よく世話になっておる。▼
ふむ、だいたいの事情はわかった。
訓練の邪魔をしたの。▼
- (暗転)
- [オロチ]
- …と、いうことがあってのう。▼
- [サーリャ]
- なるほどね。
それで私に話を聞きに来たと。▼
- [オロチ]
- しかし、解せぬ。
なぜそなたは娘に
呪術を教えなかったのだ?▼
あれほどの魔力の持ち主だ。
弓兵にしておくのは
宝の持ち腐れではないのか?▼
- [サーリャ]
- 未来の私があの子に
呪術を教えなかった理由…。▼
そんなの、私が知りたいぐらいよ。
本当になぜなのかしら?▼
- [オロチ]
- なんと…。
そなたにも心当たりがないのか?▼
- [サーリャ]
- 未来の私が呪術の研究に
没頭していたというのなら…。▼
ノワールを自分の助手として
育てていたはず…。▼
- [オロチ]
- ふむ。
なにか事情があったのかのう。▼
- [サーリャ]
- ……。▼
- [サーリャ]
- ノワール…
見たらないと思ったら
ここにいたのね。▼
- [オロチ]
- 顔色がよくないのう。
血が足りておらぬのではないか?▼
- [ノワール]
- か、顔色が悪いのはいつものことです。
貧血気味なのは当たってますけど。▼
で、でも、どうしたんですか?
二人揃って押しかけてきて…。▼
ひ、ひぃっ!?
もしかして私、なにか
気に障ることを言いましたか?▼
- [サーリャ]
- 落ち着きなさい、ノワール。
今日は貴方に
呪術を教えようと思って来たの…。▼
- [ノワール]
- えっ?
母さんが私に呪術を?▼
未来の母さんは絶対に
教えてくれなかったのに…。
どういうことなの?▼
- [サーリャ]
- 細かい話はいいわ…。
呪術をかける
私の動作を真似てみなさい。▼
- (暗転)
- [ノワール]
- えいっ! せいっ! へあっ!
はぁ、はぁ、はぁっ…。▼
- [オロチ]
- ふーむ、なにも…。▼
- [ノワール]
- お、起こりませんね…。▼
- [サーリャ]
- おかしいわね。たしかに
教えたとおりの手順を踏んだのに…。
なぜ呪術が発動しないのかしら?▼
- [オロチ]
- ノワールの身体からは
魔力を感じるのじゃが
なにも起こらないのは不思議じゃな。▼
- [ノワール]
- わ、私が手順を
間違えたのでしょうか…?▼
- [オロチ]
- いや、そなたの所作は
サーリャと寸分も違わなかった。
さすがは親子と感心するほどにな。▼
- [サーリャ]
- 私も…気になったわ。▼
貴方は呪術をかける私の動きを
知っていたかのように真似してみせた。
どうしてそんなことが出来るの…?▼
- [ノワール]
- じ、実は未来の世界で
母さんが呪術をかけるときの動き…
見よう見まねで練習してたの。▼
母さんは教えてくれなかったから
隠れて格好だけ…。▼
- [オロチ]
- そういうことじゃったか。
しかし、ノワールが
望んでいたにもかかわらず…。▼
サーリャが呪術を教えなかったのは
なにか理由があるのかのう?▼
- [サーリャ]
- ……。▼
- [ノワール]
- 私にもわかりません…。
でも、母さんが教えてくれなかったのは
なにか理由がある気がします…。▼
- (暗転)
- [ニュクス]
- ……。▼
- [オロチ]
- それにしても惜しいのう。▼
これほどの魔力を秘めた逸材、
幼い頃から鍛えておけば
ひとかどの呪術師に育っただろうに。▼
- [ニュクス]
- 少し…話してもいいかしら。▼
- [サーリャ]
- 貴方は、暗夜王国の呪術師…。▼
- [ニュクス]
- ごめんなさい。
貴方たちの話…
立ち聞きしてしまって。▼
- [オロチ]
- おお、ニュクスよ。いいところに来た。
そなたに考えがあるなら
ぜひ聞かせてくれぬか。▼
- [ニュクス]
- 呪術には効果に応じた反動がある。
強力な術であれば
それ相応の対価が必要になる。▼
ときには魔力の消耗だけではなく
大きな代償を支払うことも…。▼
- [ノワール]
- た、たしか未来の母さんも
そんなことを言っていた気が…。▼
- [サーリャ]
- ……▼
- [ニュクス]
- 未来のサーリャの
考えはわからないけど…。▼
呪術に頼らずに生きられるなら
私はそのほうがいいと思う。▼
私のように…呪術の代償として
大きな枷を背負ってしまうよりはね。▼
- [ノワール]
- え? ニュクスさん…が?▼
- [ニュクス]
- 私は何十年もこの姿のまま。
幼き頃に使った呪術の罰を
今も受け続けているの。▼
- [ノワール]
- そ、そうだったんですね…▼
- [サーリャ]
- ……▼
- [サーリャ]
- …わかったわ。
私が、どうしてノワールに
呪術を教えなかったのか…▼
…未来の…私の気持ちが…▼
- [オロチ]
- ほう、その理由とは?▼
- [サーリャ]
- …言わないわ。
これは、私とノワールの…
親子の話よ。▼
ねえ、ノワール…▼
- [ノワール]
- 母さん…?▼
- [サーリャ]
- 未来の私は、貴方に呪術を教えなかった。
私も、元の世界にいたなら、
きっと同じだったわ…▼
でも、この世界には、
私も知らなかったさまざまな呪術があるわ。
…貴方の身に危険が及ばないものも…▼
だから、
もし貴方がここで
呪術を学びたいなら…▼
- [ノワール]
- わ、私が呪術を…?▼
- [サーリャ]
- 貴方が望むのならね。
ヴァイス・ブレイヴには
優秀な呪術師が大勢いる。▼
未来でできなかったことを…
この世界で叶えてもいいのよ。
貴方の、やりたいようにね。▼
- [ノワール]
- 私の、やりたいように…。
だったら今の私に
呪術は必要ないわ…。▼
- [オロチ]
- なぜじゃ? その魔力を活かせば
ヴァイス・ブレイヴの
大きな戦力になるはずじゃが?▼
- [ノワール]
- ひ、ひぃぃ…!
お心遣いはありがたいですけど
そんなに私に詰め寄らないでください!▼
わ、私が一番に望んでいるのは…
呪術を使えるようになることじゃなく
母さんの支えになることです。▼
今から呪術を学ぶより
この弓で母さんを守ることのほうが
私には合っていると思うんです…。▼
- [ニュクス]
- そう。それが…
英雄として育った貴方の
答えだというわけね?▼
- [オロチ]
- うむ、母を思うそなたの心
あっぱれである。▼
- [サーリャ]
- ありがとう、ノワール…。
気持ちだけでも十分にうれしいわ。▼
貴方がそばにいてくれるだけで
どんな呪術、どんな武器よりも
私の支えになってくれているの…。▼
私の可愛いノワール…
これからもずっと側にいてね?▼
私がいつまでも
貴方を守ってあげるから…。
うふ、うふふふ、うふふふふ!▼
- [ノワール]
- か、母さん…
ちょ、ちょっとだけ圧が強いわ。▼
- [オロチ]
- ノワールにとっては呪術の反動より
過剰な母の愛のほうが
難題かもしれぬの…。▼
破滅の支配者 ギムレー†
- [ギムレー(男)]
- この気配…間違いない。
僕の探し物だ。
アスク王国にもあったんだね。▼
- [メディウス]
- そこの者、止まるがいい。
この先には進ませぬ。▼
- [ギムレー(男)]
- ……。▼
- [メディウス]
- どうやら竜族のようだが
禍々しいその力…何者だ?▼
神竜でもなければ地竜でもない。
火竜や魔竜とも違う…▼
- [ギムレー(男)]
- 我はギムレー。
世界に絶望をもたらす、
邪竜だよ。▼
- [メディウス]
- 邪竜…だと?▼
- [ギムレー(男)]
- 探し物をしているんだけど…
竜族の君なら
わかるかもしれないな。▼
この城にあるんじゃないかな?
竜族の力を封印する
忌々しい神器が。▼
- [メディウス]
- ……。▼
- [ギムレー(男)]
- 【炎の台座】。
僕が探している神器の名前だよ。▼
在処を知っているのなら
教えて欲しいな。
城を壊す手間もはぶけるし。▼
- [メディウス]
- …知らんな。▼
知っていたとしても
貴様のようなまがい物の竜に
教える口は持たぬ。▼
- [ギムレー(男)]
- この僕を…まがい物だって?
いい度胸じゃないか…▼
- [ギムレー(男)]
- 不愉快だね。
この僕がまがい物だって?▼
- [メディウス]
- 事実を言ったまでのこと。
おぬしの持つその力も魂も…
純粋な竜のものではなかろう。▼
- [ギムレー(男)]
- なら、ここで試してみるかい?
邪竜の力が、どれほどのものか。▼
- [メディウス]
- 人の姿を借りてはいるが
このメディウス…
まがい物ごときに遅れはとらぬ。▼
- [ギムレー(男)]
- 後悔…するなよ!
オオオオォォォ────!▼
- [チキ]
- 待ちなさい!▼
- [メディウス]
- む、お前は…▼
- [チキ]
- 二人ともやめて。
ここであなたたちが戦えば
大変な被害が出てしまうわ。▼
- [ギムレー(男)]
- その気配、神竜の巫女か…
被害? どうなろうと構わないさ。
僕に逆らうものは叩き潰すまでだよ。▼
- [チキ]
- あなたはなぜ【炎の台座】を
探しているの?▼
- [ギムレー(男)]
- 僕は【炎の台座】を消滅させたい。
あらゆる異界の…ね。▼
- [チキ]
- ……。▼
- [ギムレー(男)]
- そもそも僕が召喚に応じたのは
このアスク王国に集まる
【炎の台座】の気配を感じたからだ。▼
世界に絶望をもたらすために
あの神器は邪魔なんだよ。▼
忌々しい存在を一網打尽に
出来るなら好都合だと思ったんだ。
この世界に呼ばれるのがね。▼
- [メディウス]
- あれは竜族と人の共存…
そのような未来のために作られたもの。
消滅させるなど、断じて許さぬ。▼
- [ギムレー(男)]
- そうか…。
なら仕方ないね。
勝手にやらせてもらう。▼
- [メディウス]
- 待て!▼
む…逃げられたか。▼
- [チキ]
- 彼が【炎の台座】の
気配を感じられるなら…
向かう場所は見当がつくわ。▼
私たちも急ぎましょう。
手遅れになる前に…。▼
- [クロム]
- …くっ…! なんだ…?
この重苦しい空気は…。▼
- [ギムレー(男)]
- ……。▼
- [クロム]
- そこにいるのは誰だ!?▼
- [ギムレー(男)]
- さすがは聖王の末裔。
よく気づいたね。▼
- [クロム]
- お前は異界のルフレか?
…いや、違う。姿形は似ているが
ルフレじゃない、何者だ?▼
- [ギムレー(男)]
- そんなことはどうでもいいじゃないか。
今日は君にお願いがあって来たんだ。▼
君が持っている【炎の台座】…
僕に渡してくれないか?▼
- [クロム]
- 【炎の台座】をどうするつもりだ?▼
- [ギムレー(男)]
- この世から完全に消滅させる。
世界に静寂をもたらすために
【炎の台座】は邪魔なんだ。▼
- [クロム]
- なんだと…?
どういうことだ!▼
- [ギムレー(男)]
- 【炎の台座】は争いを生む。
あんなものがあるから
人は希望を持ち、絶望に抗う。▼
僕がもたらす絶望を受け入れれば
二度と世界に争いは起こらない。
【炎の台座】こそが争いの元凶なんだ。▼
- [クロム]
- 世界に絶望をもたらすだと?
まさか…
お前は邪竜ギムレー…!?▼
- [ギムレー(男)]
- 察しがよくて助かるよ。
わかったら早く【炎の台座】を
僕に渡してくれないか?▼
- [クロム]
- 断る!
人々が絶望を受け入れる世界など
認めるわけにはいかない!▼
- [ギムレー(男)]
- 仕方がないな。
少々荒っぽい手を使わせてもらおう。▼
- [クロム]
- っ…!?
身体が…動か…!?▼
- [ギムレー(男)]
- 君の命を奪えないとしても
こうして身体を戒め
台座を奪うことはできる。▼
- [クロム]
- させ…るか。
【炎の台座】は人々の希望…
絶対に…私はしない…▼
- [ギムレー(男)]
- 君の意見なんて聞いてないよ。
さあ、渡してもらおうか。▼
- [メディウス]
- そこまでだ!▼
- [チキ]
- 間一髪で間に合ったようね。▼
- [チキ]
- ギムレー。
人々が絶望を受け入れた世界に
未来なんてないわ。▼
そこにあるのは破滅だけ。
世界に希望があるからこそ
命は未来に繋がっていくの…▼
- [メディウス]
- 人は弱い。だが…
あきらめることを知らぬ生き物だ。
決して希望を失うことはない。▼
どのような苦境にあっても
希望を見出し、立ち上がる。▼
- [クロム]
- ああ、その通りだ。▼
俺はこのアスク王国で
さまざまな異界の英雄から
世界を覆う戦乱の話を聞いた。▼
どの異界にも絶望があふれ
人々は未来をあきらめかけた。▼
だが、人々は寄り添い、支え合い
希望を集めて困難を乗り越えた。▼
その中心にあったものが炎の紋章…
【炎の台座】と同じ役割を持つ存在だ!▼
- [ギムレー(男)]
- ふん…。▼
- [クロム]
- ギムレー。
お前が本当に消滅させたいもの…
恐れているのは【炎の台座】じゃない。▼
人間のあきらめない心、
希望そのものだ!▼
- [ギムレー(男)]
- はっ、僕が恐れているだって?
笑えない冗談だ。▼
僕は希望など恐れてはいないし
絶望の未来も変えられない。
いずれ皆に等しく、絶望は訪れるだろう。▼
- [クロム]
- 絶対に…させやしない。
万が一、絶望が訪れたとしても
俺たちは何度だって立ち上がる。▼
仲間たちが持つ希望を絆で繋ぎ
運命を変え、お前を…
絶望を打ち負かしてみせる!▼
- [ギムレー(男)]
- これはこれは、吠えるじゃないか。
だが、今日はここまでにしよう…。▼
この世界にある【炎の台座】は
すべて破壊する。遠からぬ未来にね。▼
- (白く光る)
- [クロム]
- 待て!▼
くっ…逃したか。▼
- [メディウス]
- 邪竜ギムレー、危険な存在だ。▼
【炎の台座】の力を
誰よりも理解しているがゆえ…
あれほどまでに執着するのだろう。▼
- [チキ]
- 絶対に【炎の台座】は
守り抜かねばならないわ。▼
私たちの世界だけじゃない。
それは、あらゆる異界の運命も
左右するものだから。▼
- (暗転)
- [ギムレー(男)]
- とんだ邪魔が入ったけど、まあいい。
【炎の台座】を破壊する機会なんて
いくらでもあるからね。▼
僕はもう、この世界…
アスク王国に存在しているのだから。
せいぜい束の間の希望を味わうがいいさ。▼
そのほうが、いずれやってくる絶望に
より深く沈めるはずさ。▼
クク…クククク…▼
コメント
Last-modified: 2025-06-10 (火) 11:17:39