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章別会話
鏡写しの世界から†
鏡写しの世界から†
オープニング†
- [エル]
- …また同じ場所に出ましたね。
特務機関への帰路は、
本当にこちらで合っているのですか?▼
- [ユナカ]
- ううむ…地図によると、
確実にこちらの筈なのですが
摩訶不思議ですなあ!▼
- [ラファール]
- ユナカ。
先程も同じことを言っていたぞ。▼
貴様は我々とは異なるエレオス大陸の者。
よもや地図を左右逆に
見ているわけではあるまいな?▼
- [セレスティア]
- まあまあ、ラファール様。
元は私が道案内をしていたら、あまりに
何度も迷うから交代して貰ったのです。▼
違う世界の二人が同じ結果ということは…
それはもう、地形が悪いのですわ!▼
- [エル]
- その可能性も否定できませんが…
これではいつまで経っても
初陣から帰還できません。▼
あまりに遅くなっては、
神竜様や皆も心配するでしょう。▼
地図を貸してください。
次は私が試してみます。▼
- (暗転)
- [エル]
- …………▼
すみません。
また同じ場所に出ました。▼
- [ユナカ]
- エル氏…▼
- [エル]
- 自分が不甲斐ないです。
偉そうに地図を要求しておいて、
この体たらく…!▼
! そうです。今すぐ竜化して
皆を背に乗せ、飛び立てば…!▼
- [ラファール]
- 落ち着け、それは悪手だ。
もしも周りに伏兵がいた場合、
恰好の的となり、堕落して全滅するぞ。▼
- [セレスティア]
- …全滅は、嫌ですわね。▼
- [ラファール]
- 案ずるな、セレスティア。
次は我が試そう。▼
- (暗転)
- [ラファール]
- …成程な。
やはり、ここに戻ってきてしまうようだ。▼
- [セレスティア]
- ど、どうなっているんでしょう!?▼
もしや、竜族の習性として
ここに戻ってきてしまう何かが
あるのでしょうか!▼
…と思いましたけれど、
ユナカは竜族ではないですわね。▼
- [ユナカ]
- 全員揃ってブシュロン氏級の
方向音痴だというわけでも
なさそうですし、奇々怪々ですぞ!▼
- [エル]
- これは、何者かが意図的に
私たちを陥れている可能性が
高いと考えていいでしょう。▼
セレスティア。
最初に道案内を買って出てくれたのに
迷い過ぎだなどと言ってすみません。▼
- [セレスティア]
- い、いえ!
何も気にしておりませんわ!
事実、私はそそっかしいですし…!▼
- [ラファール]
- 我も、先程は地図が左右逆だなどと
言いがかりをつけてしまった。
すまなかったな、ユナカ。▼
- [ユナカ]
- ラ、ラファール氏…
普段むちゃくちゃ尊大なのに
意外と素直に謝るのですな…▼
- [ラファール]
- なに?▼
- [ユナカ]
- い、いえ!!
何でもございませぬ!▼
……!▼
…岩場の方角に、刺客が。▼
- [セレスティア]
- ええっ!▼
- [ユナカ]
- 数は多くありませぬが、
何れも手練れのようです。▼
- [エル]
- 迎え撃ちましょう。
行きますよ、みんな。▼
- [エル]
- 周囲の敵はいなくなったようですね。▼
- [ラファール]
- 道に迷わせ、
混乱したところを突く。
何とも厭らしい策を弄する相手だ。▼
- [セレスティア]
- 敵はいったい、
何が目的で…▼
……え?▼
- [エル]
- どうしました、セレスティア。▼
- [セレスティア]
- 急に、凄まじい魔力の気配が。
これは…▼
- [ユナカ]
- あの樹木の影、
誰かおりますぞ!▼
- [セピア]
- あらぁ、見つかっちゃったわねえ。
ま、隠れる心算もなかったけれど。▼
- [セレスティア]
- え!!?
わ…私…!?▼
- [ユナカ]
- 気を付けてくだされ!
あの者は、こちらのエレオス大陸にいた、
ソンブルに与する敵です!▼
- [セピア]
- 私は魔竜族のセピア。
邪竜ソンブル様の下僕にして
四狗の頭領ですわ。▼
そこにいる愚鈍な同族はまさか、
異なるエレオス大陸から来た
私自身ということですの?▼
正直見たくもありませんけれど…
そんな惨めったらしい魔力でも一応、
同族を感知できるなんて驚きだわあ。▼
- [セレスティア]
- な、何よ!!
ちょっと…かなり魔力が高いからって、
失礼しちゃうわ!▼
- [セピア]
- あー、もう煩いわねえ。
お前如きを相手していられないの。▼
ヴェイル様、こちらに。▼
- [ヴェイル]
- ご苦労です、セピア。▼
- [エル]
- ヴェイル…!?
でも、この姿は…▼
- [ラファール]
- 魔の力を施されているな。
厄介な相手だ。▼
- [ヴェイル]
- へえ…貴方たち二人が、
お父様の血を引く新たな英雄ですか。▼
まさか、リュールの他にも
生き残りのきょうだいがいただなんて。▼
お父様の御子は私一人だけ。
異界の存在といえど、
余剰なものはすべて処分します。▼
- [ラファール]
- 処分だと? 異なことを。▼
同じ特務機関に所属する
英雄同士の殺し合いは
できないと聞いたが?▼
- [セピア]
- あらぁ、そうなの?
それって、ただの規律? もしくは、
制約として課せられているのかしら?▼
何れにせよ、
やってみないとわからないじゃない?▼
そのために、私の術で…
ここまで誘い込んだのだもの。▼
- [ヴェイル]
- もう少し弱らせてから
仕留めても良かったのですが、
良い頃合いだったのかもしれません。▼
反応のない玩具を壊しても、
何も面白くないですから。▼
- [ユナカ]
- ひええ、やる気満々ですぞ!?
英雄同士で殺し合うのですか!?
本当に!?▼
- [エル]
- こうなっては仕方がありません。
受けて立ちましょう。▼
相手に仲間と同じ見た目の
英雄がいるのが、
少々やりづらいですが…▼
- [セレスティア]
- 私のことでしたらお気になさらず!
遠慮なくバチコーンと
やっちゃってくださいまし!!▼
- [ラファール]
- その言葉、撤回するなよ?
間違えて貴様に攻撃せぬよう、
善処しよう!▼
- [セピア]
- 流石は邪竜の御子様方。
お強くていらっしゃいますわ。▼
ですが、折角の攻撃が明後日の方向に
飛んでいきましたわよ?
もしかして、お疲れなのかしらぁ?▼
- [ラファール]
- …戯言を。
次は当ててやろう、来い。▼
- [エル]
- ラファール。無茶しないで。
挑発に乗るのは得策ではありません。▼
- [セレスティア]
- 敵は意図的に戦を長引かせています。
この状態が続くのは厳しいですわね。▼
- [ユナカ]
- わたくしめ達は初陣帰りの上に、
森を歩き回った後の連戦です。
正直、かなり分が悪いですな…▼
- [ヴェイル]
- ふふふ。そろそろ仕留めましょうか。
まずは、一人……▼
- [エル]
- しまった、セレスティア!▼
- [セレスティア]
- ……っ!▼
- (白く光る)
- [ヴェイル]
- 魔法が相殺された…?
これは……▼
- [ヴェロニカ]
- …あなたたち、なにしてるの。▼
- [エル]
- 紋章士ヴェロニカ!?
いえ、この地にいる、本物の…▼
- [ラファール]
- エンブラ帝国皇女、
ヴェロニカか。▼
- [ヴェロニカ]
- アスクのお城に向かう
途中だったのだけれど…▼
異常な魔力をかんじて、
ようすをみにきたの。▼
どうして、ヴァイス・ブレイヴの英雄どうしで
たたかっているの…?▼
- [ユナカ]
- 好きで戦っている訳ではありませぬぞ!
あちらの英雄が一方的に
襲い掛かってきたのです!▼
- [ヴェロニカ]
- 英雄ヴェイル、英雄セピア…
せつめいして。▼
- [ヴェイル]
- 説明も何も、
余剰な英雄の間引きですよ。▼
ヴェロニカ皇女にとっては、
寧ろ喜ぶべきことでは?▼
- [ヴェロニカ]
- あたしが、喜ぶ…?
なぜ?▼
- [ヴェイル]
- アスク王国に所属する
英雄が減ったほうが、
エンブラ帝国の利になるでしょう。▼
- [ヴェロニカ]
- エンブラは、すでにアスクと
和平同盟をむすんでいるわ…
同盟国の戦力がへるのは利ではない…▼
それに、英雄をうしなったら、
アルフォンス王子やシャロン王女が
かなしむもの。▼
あたしは、二人のそんな顔…
みたくない。▼
- [セピア]
- あらぁ、残念。
では私たちの敵ということですのね?▼
幾ら召喚の力を有されていても、
私たちを召喚したのは
エクラ……▼
私達は、貴方を害することはできると
いうことですわよ?▼
- [ヴェイル]
- 自身の英雄を侍らせていない状態では
勝ち目はありません。
武運がなかったようですね。▼
- [ヴェロニカ]
- たしかに、あたしの英雄は今、
そばにいないわ。
でも、うっかり忘れたわけじゃない。▼
…いつ戦になっても、あたし一人でも、
あなたたち程度の英雄には
まけないと思っているから。▼
- [ヴェイル]
- へえ……?▼
- [エル]
- なんと凛々しい。
流石は堅牢なブロディアに託されし
紋章士の祖です。▼
- [ヴェロニカ]
- 事情はわかったわ…▼
エル、ラファール、セレスティア、ユナカ。
あたしはあなたたちに
ちからを貸してあげる…▼
- [ラファール]
- ! そうか。
感謝する、ヴェロニカ皇女。▼
- [ユナカ]
- やっぴー!
ヴェロニカ氏が味方であれば
百人力ですぞーっ!▼
- [セレスティア]
- 疲弊した体も癒えるような
頼もしい気持ちですわね!
もう先程のようにはいきませんから!▼
- [セピア]
- 小賢しい……▼
- [エル]
- ヴェロニカ皇女。▼
あなたの力なら、特務機関の
英雄を滅することも可能でしょう。
ですが…▼
- [ヴェロニカ]
- わかっているわ…
あの子たちは、殺さない。▼
あたしのじゃない英雄と
たたかうの、慣れていないけれど…
せいいっぱい、がんばるわ。▼
- [アルフォンス]
- そうか、そんな事があったのか…
すまない、力を貸してくれてありがとう。
ヴェロニカ皇女。▼
- [ヴェロニカ]
- いいえ…
最悪の事態にならなくて、
よかった…▼
- [エル]
- 敗北を悟ったヴェイルとセピアは
大人しく撤退しましたが、
いつまた仕掛けてくるかわかりません。▼
- [ラファール]
- ヴェイルは我ら邪竜の血を引くもの…
正確には、ソンブルの御子たる存在に
執着を示し、排除を目論んでいるようだ。▼
我も、父上の術の影響が強かった時に
そのような考えに至ったことがある。
あの姿では…無理もないだろう。▼
- [アルフォンス]
- 来たばかりの君たちを
危険に晒してしまってすまなかった。▼
ここは事情のある英雄も多い。
私闘の発生を防ぐよう、
更なる対策を講じることにするよ。▼
- [ヴェロニカ]
- たのんだわ…
アルフォンス王子。▼
- [アルフォンス]
- もうすぐアンナ隊長が
皆を迎えに来る。
ここでもう少し待っていてくれ。▼
僕はエクラに、
今回の件の報告をしにいかなければ。
それでは、また。▼
- [ユナカ]
- はあ~、それにしても
無事に帰還できて良かったですぞ!
長い長い初陣でしたなあ!▼
- [エル]
- ヴェロニカ皇女。
改めてお礼を。此度の帰還は
あなたのお陰です。ありがとう。▼
- [ヴェロニカ]
- 役にたてたのなら、うれしいわ…
もう二度と同じことが
おこらないといいのだけれど…▼
- [セレスティア]
- …………▼
- [ラファール]
- どうした、セレスティア。▼
- [セレスティア]
- 先程のセピアも、
同じ魔竜族たる私を排したいと
思っていたのでしょうか。▼
私は、できることなら魔竜族同士
仲良くなりたかったのですが。▼
- [ユナカ]
- 仲良くは、難しいかと。
こちらの世界で、セピアは
悪逆の限りを尽くしておりました。▼
召喚師氏の采配で
やむを得ぬ場合を除いては、
近づかぬ方が賢明ですぞ。▼
- [エル]
- …神竜側の騎士たるセレスティアが
ユナカの世界ではソンブル側だとは、
私も驚きました。▼
- [ヴェロニカ]
- エルとユナカの世界では、
人々の属性が反転しているの…?▼
- [エル]
- 基本的にはそのようですね。
根の部分は同じで、
他の所が異なる者もいたようですが。▼
- [ユナカ]
- わたくしめは、エル氏達の世界では
どのような人物だったのでしょう?▼
- [エル]
- すみません。
私は見かけることがなかったので…▼
- [ラファール]
- …我は、見たことがあるかもしれぬ。▼
小さな町で、両親と共に
大道芸に目を輝かせていて少女…
思い返せば、顔立ちがよく似ていた。▼
- [ユナカ]
- おお、確証はありませぬが、
その少女であれば面白いですな。▼
そちらの世界のわたくしめが、
盗みとは無縁で…穏やかに生涯を
終えていたのなら良いと思いますぞ。▼
- [セレスティア]
- ユナカの世界のエル様と
ラファール様も、どこかに?▼
- [ユナカ]
- 我々は出会っておりませぬが、
先程のヴェイル氏の発言を聞く限りですと…▼
- [ラファール]
- すでに死んでいると考えるのが妥当だ。▼
こちらでも邪竜の御子が多くいたなら
生存競争に負けたのだろう。▼
特に興味も同情も覚えぬが、
ただ…一目でも、エルに
出会えていたなら良いとは思う。▼
- [エル]
- ラファール…
はい、私もそう願います。▼
- [ヴェロニカ]
- なんだか、ふしぎ。
違う世界にいたあたしも…
あたしとは正反対だったのかしら。▼
- [セレスティア]
- 紋章士ヴェロニカは、
ヴェロニカ皇女そのままの
素敵なお人柄でしたわよ。▼
- [ヴェロニカ]
- そう…
紋章士は、かわらないのね…▼
- [エル]
- あなたと同じく、英雄召喚を
得意としていました。
脅威ともいえるほどの力でしたね。▼
- [セレスティア]
- 敵対したときなんか
本当に大変でしたのよ!▼
戦場でじゃんじゃん兵を増やされるので
当初の想定よりも多くの戦力が
必要になって!▼
戦場に突然、見たこともない石碑が現れて
派手な出囃子と共に光る玉が嵌まり、
ピカーッと光って英雄が現れるんですの!▼
- [ヴェロニカ]
- 何それ…
あたし、しらない…▼
- [セレスティア]
- えっ…▼
- [ラファール]
- どうやら本物のヴェロニカとは
使う技が異なるようだな。▼
- [ユナカ]
- 面白いですぞ興味深いですぞー!▼
そうです、折角のご縁ですので
今度皆でお茶会でも如何ですかな。
賑やかできっと楽しいですぞ!▼
- [エル]
- よろしいですか、
ヴェロニカ皇女?▼
- [ヴェロニカ]
- ええ、もちろん…
にぎやかなのも…嫌いじゃないわ…▼
あたたかい紅茶でも飲みながら…
おしゃべりしましょ。▼
紋章士のあたしのこと…
あなたたちのこと、
たくさん教えてちょうだい。▼
贖罪の邪竜 ラファール†
- [ラファール]
- …………▼
- [ガイア]
- 何渋い顔してるんだ?
菓子はまだまだ沢山あるぞ?▼
- [リシテア]
- そうです。わたしが苦労して
入手したものも提供しているのですから
味わって食べてください。▼
- [サクラ]
- よ、よろしければ白夜王国の甘味も、
ご賞味くださいね。
おすすめはこのお団子なんですけど…▼
- [ラファール]
- …………なんなんだ、この集まりは。▼
- [ガイア]
- 言わなかったか?
あんたの歓迎会兼、
甘味同好会への勧誘だ。▼
- [ラファール]
- 歓迎…勧誘?▼
- [ガイア]
- 情報によると、ラファールは
無類の甘いもの好きだそうじゃないか!
そんなの知ったらもう…なあ?▼
- [サクラ]
- はい。私たちのお茶会に
ぜひご参加いただきたいと思いまして。▼
集まりが良ければもっと人がいて、
みんな、甘いものが大好きなんですよ。▼
- [リシテア]
- わたしは甘いものは……
まあ普通に嗜む程度ですが
お茶会の給仕として仕方なく。▼
- [ガイア]
- 嘘だな。リシテアはこの前、
隠れて俺の菓子を全部食ったんだぜ。▼
- [リシテア]
- うっ……!▼
- [サクラ]
- と、とにかく。
今日は歓迎会として楽しんでいただいて。▼
ラファールさんさえよろしければ、
今後もお菓子を持ち寄って
定期的に集まれたらな、と。▼
- [ラファール]
- 概要は理解した。
が…今後も定期的に集まるだと?
甘味を持って? 我が…?▼
- [リシテア]
- 最初は困惑しますよね。
どこでお菓子を買えばいいのかも
わからないでしょうし。▼
- [サクラ]
- それなら私がお店に案内します。
元いた世界とは店構えが違って
混乱するかもしれませんので。▼
- [ガイア]
- 既製品でなくとも、
手作りでもいいんだぜ?
俺は最近、菓子はもっぱら手作りだ。▼
ラファールは菓子作り、興味あるか?
作るまでは流石にしないか…▼
- [ラファール]
- 見くびるな。
元の世界では手作り菓子を
神竜に振舞ったものだ。▼
- [ガイア]
- おおお!!
なんだよ、逸材じゃないか!!▼
- [リシテア]
- ラファールの手作りお菓子…
わたし、とっても興味があります。
えと…味ではなく製法の方が主に、ですが。▼
- [サクラ]
- では材料のお店もお教えしますね。
こちらに来たばかりで不便でしょうし
ついでに何かお買い物があればそちらも…!▼
- [ラファール]
- …………▼
何故…そのように優しくする。
我は邪竜だぞ…?
仲を深める価値など…▼
- [リシテア]
- どうしました?
急に俯いて。▼
- [サクラ]
- もしかして、私たちがたくさん話すので
疲れてしまったのでしょうか。
すみません…!▼
- [ガイア]
- 疲れにはとっておきの菓子だ。
これ、食べてみろ。▼
- [ラファール]
- もぐ…▼
- [ガイア]
- どうだ?▼
- [ラファール]
- …ああ。美味いな。▼
- [ラファール]
- …………▼
- [クロム]
- 濃桃色の服装の、銀髪の男…
お前、ラファールか?▼
- [ラファール]
- ! 紋章士クロム…いや、
英雄クロムか。▼
いかにも、我がラファールだが。▼
- [クロム]
- 良かった。
お前を探してくれと頼まれてな。▼
ガイアが心配していたぞ。
誘っていた集まりに来ないのだと。▼
- [ラファール]
- 我は行かぬ。▼
- [クロム]
- 任務でも入ったか?▼
- [ラファール]
- 任務があろうとなかろうと行かぬ。▼
…先日の会合は楽しめた。
振る舞われた菓子も悪くなかった。
だが、今後は参加せぬと伝えろ。▼
- [クロム]
- 何か理由がありそうだな。
どうだ、話してみないか。▼
- [ラファール]
- おい、勝手に隣に座るな!▼
- [クロム]
- 先ほど言っていた
「紋章士クロム」にも興味がある。
聞く権利は俺にはないか?▼
- [ラファール]
- …………
そう問われると拒めぬ。▼
紋章士クロムは我のせいで、
望まぬ戦をさせられたのだからな。▼
半身たる紋章士ルフレに対しても、
我は償いきれぬことをした。▼
- [クロム]
- 俺はそちらの世界でも
ルフレと共にいたのか。▼
紋章士は12の指輪に宿る、
超常の力を持った英霊のようなものだと
リュールから聞いたことがある。▼
- [ラファール]
- 我の世界では、7つの腕輪だった。
紋章士クロムは我のいたエレオスの紋章士。
もっとも、その世界はもう無いが。▼
- [クロム]
- 無いとは?▼
- [ラファール]
- 我が滅ぼしたからだ。
7つの腕輪の力を使ってな。▼
滅びに至る戦の中、民や仲間を殺める為に、
紋章士クロムの持つ神剣…
ファルシオンも振るわせた。▼
- [クロム]
- …!▼
- [ラファール]
- 無論、そこにお前の意志はなかったがな。▼
我は邪竜の血族。
邪竜は紋章士との意思疎通を無効化し
強制的に隷属させることができる。▼
紋章士クロムが好き好んで
滅びに加担したわけではないことは
我が保証してやろう。▼
だが、英雄クロム。
自分の与り知らぬところで、半身と共に…
滅びのために利用された気分はどうだ?▼
- [クロム]
- あまり…良い気分ではないな。▼
- [ラファール]
- ははっ、その嫌悪感は正しい。
理解が早くて助かるぞ!▼
良いか、我はそういう存在だ。
仲間として扱われる義理も道理もない。▼
お前も、お前の仲間も、
我に関わらぬほうが身の為だ。▼
- [クロム]
- …………▼
- [ラファール]
- 最後にひとつだけ。
英雄クロム…▼
紋章士たる貴方への無礼を、
心より謝罪する。
本当にすまなかった。▼
- [クロム]
- おい、
どこへ行く?▼
- [ラファール]
- 英雄たちのいない場所だ。▼
紋章士クロムについての説明は果たした。
ここに留まる理由はない。▼
- [クロム]
- ラファール…▼
- [ラファール]
- …………▼
- [クロム]
- …今日も誰もいない場所で
過ごすつもりか?▼
- [ラファール]
- 勝手に隣に座るな、
英雄クロム。
話すことはもう無い筈だが?▼
- [クロム]
- 俺にはある。▼
- [ラファール]
- 我にはない。▼
- [クロム]
- では、紋章士クロムの
元となった存在として、聞きたいことがある。▼
- [ラファール]
- 貴様…そう言えば我が拒めぬと
思っているだろう…▼
仕方がない、話せ。▼
- [クロム]
- この前の話を聞いて、
考えていたんだ。
お前と共にいた俺は、どう思っていたのか。▼
紋章士たる俺は、
ラファールを許さなかったのか?
最後まで恨んでいたのか?▼
- [ラファール]
- …………▼
いや。何も気にしていないと、
今の俺を見てくれると…そう言っていた。
紋章士ルフレも、同じだ。▼
- [クロム]
- やはりな。
なら、わざわざ俺に謝罪する必要も
無かっただろうに。▼
あれから、リュールに頼んで
お前の話を聞いた。▼
姉を失い、罪を償うために…
千年もの時を過ごしたそうだな。▼
- [ラファール]
- 神竜め。
要らぬことをべらべらと……▼
- [クロム]
- ならば、もうお前の贖罪は終わっている。
アスク王国に来てまで
続ける必要はないのではないか?▼
寧ろ、自身の贖罪のために、
お前と関わりたい者たちすべてを
巻き込むことになるぞ。▼
- [ラファール]
- そうなっても仕方がない。
我はそれだけのことをした。
貴様は真の滅びをわかっていないのだ。▼
- [クロム]
- わかるさ。
俺だって…絶望の未来を救うために
戦ってきたのだから。▼
だが、絶対的な悪でも、
罪なき者を殺めた者ですら…
この世界では仲間だ。▼
召喚師に望まれて召喚された、
同じ英雄だ。▼
なのになぜ、お前だけがずっと、
いつまでも独りでいなければならない?▼
- [ラファール]
- 道理が破綻しているのは承知している。
その上でどうしようが我の自由だ。▼
何故我に、そのように構う?
貴様からすれば我は殆ど初対面だ。
何の絆も、情もなかろう。▼
- [クロム]
- …言われてみれば、そうだな。
どうしてだろうか。
何故だか放っておけない。▼
極論を言うと、
お前が似ているからかもな。
ルフレに。▼
- [ラファール]
- …なに?
ルフレも我も邪竜に連なるもの。
理解できんこともないが…▼
我に高説を垂れておいて、
そのような矮小な理由なのか。▼
- [クロム]
- 言葉にして驚いた。
自分でもそれが一番、
合点のいく理由だ。▼
半身と似ているお前に、幸せでいてほしい。
…それでは駄目か?▼
- [ラファール]
- 駄目かと言われても知らぬ。
幾ら似ていても別人だ。
それが心を砕く理由には……▼
……いや。違う。▼
似ているということは、それだけで
関わりを持つ理由となることを、
我は一番知っている……▼
我がイルとして姉さんの傍にいたことも、
姉さんと片割れ同士となったことも、
元はといえば、ただ、我が……▼
イルと似ていたから、だったな……▼
…………▼
- [クロム]
- …泣いているのか?▼
- [ラファール]
- 馬鹿を言え。▼
はあ……
我の事情を承知しておらぬ筈なのに、
お前はいつも反論の道を塞ぐ。▼
流石は…紋章士となった英雄ということか。▼
クロム。
我の負けだ。
その忠告、聞いてやろう。▼
- [クロム]
- ! 本当か。▼
- [ラファール]
- 抑々、お前を悲しませることは、
我の本意ではない。▼
クロムが嫌だというのであれば、
今後は他の英雄とも適度に関わろう。▼
- [クロム]
- そうか…! 礼を言う。
ルフレと似ているからと言ったが、
無論それだけではない。▼
ラファール自身のことを、
案じているからだ。▼
俺は、今ここにいるお前と絆を結びたい。
過去ではなく未来を見てほしい。
俺たち英雄と一緒に。▼
- [ラファール]
- …そうだな。
ありがとう。我はここに来て尚、
昔を見ていたようだ。▼
共に過ごし、共に戦わせてくれ。
よろしく頼む、クロム。▼
- [クロム]
- ああ!▼
ではガイアには、
ラファールが次の甘味同好会には
顔を出すようだと伝えておくぞ。▼
- [ラファール]
- は!?
それとこれとは……▼
- [クロム]
- 皆、喜ぶだろう。
俺も嬉しいぞ。
それじゃあ、またな。ラファール。▼
- [ラファール]
- …余計なことを。▼
- [ガイア]
- それではラファールの、
甘味同好会正式加入に…
かんぱーい!!!!▼
- [ラファール]
- 乾杯。
ふむ…この泡立った砂糖水は、
なかなか美味いな。▼
- [サクラ]
- 歓迎会以来お姿が見えませんでしたので、
心配していたんですよ…!▼
- [リシテア]
- 入会を拒否されたかと思いましたが
杞憂だったようですね。▼
- [ラファール]
- 来たばかりで多忙だったのだ。
心配をかけた点は謝ろう。
詫びに、こいつを持ってきた。▼
- [ガイア]
- なんだこの、
妙にかわいい包装は…▼
…ん!?
芳醇な甘い匂い。これは、まさか…!▼
- [ラファール]
- 我の手製の、平凡な菓子だ。
味わって食べるが良い。▼
- [ガイア]
- やった!!!!
手作りの菓子が来たぞーっ!!!!▼
- [サクラ]
- ありがとうございます、ラファールさん…!
早速いただきますっ。▼
もぐもぐ……
!?▼
ふえっ、甘い…!
ものすごく甘いです!!!!▼
- [リシテア]
- ううっ!!
さすがにわたしでも、
ここまでの甘さは、ちょっと…!!▼
- [ガイア]
- そうか?
俺には丁度いいけどな。
甘いものは、甘ければ甘いほどいい。▼
- [ラファール]
- ははは! 殊勝な奴だ!
人間の中に、よもや我の味覚に
ついてこられる者がいようとはな!▼
- [サクラ]
- ガイアさんは、この甘味同好会でも
かなり特殊な方なので…▼
- [リシテア]
- というか、名に偽りがありませんか。
こんな甘すぎる味付けのもの、
平凡な菓子ではありません…!▼
- [ラファール]
- 我にとっては平凡なのだ、その味が。
それぐらい甘くないと、
食べた気がしないからな。▼
だが、お前たちの味覚に合わせた
ごく薄味のものも謹製できるぞ。
エレオス大陸の神竜もお墨付きだ。▼
- [サクラ]
- 神竜様のお認めになった御菓子…ですか?
なんだか格式高そうですね。
私、食べてみたいです…!▼
- [ラファール]
- では次の集会には、
その特別な味の菓子を
作って来てやろう。▼
- [リシテア]
- それは楽しみです。
是非とも出席しないと。▼
- [ガイア]
- ラファール!
あんたはこの甘味同好会の期待の星だ!
入会してくれて本当に良かった!▼
今後とも、末永く頼むぜ!▼
- [ラファール]
- こちらこそ、よろしく頼む。▼
- (暗転)
- [ラファール]
- ふう……
今日の会は随分と盛り上がったな。▼
- [クロム]
- 楽しんでいたようで安心したぞ。
ラファール。▼
- [ラファール]
- クロム…▼
…そうだな。
お前の忠告通り、仲間たちを
我の贖罪に付き合わせることは辞めた。▼
任務でもそれ以外でも、
適切に関わらせて貰う。
求められれば、全力を以て応えよう。▼
- [クロム]
- そうか、良かった。▼
- [ラファール]
- だが……
我は心の底から、
ここでの時間を楽しむことはないだろう。▼
- [クロム]
- ? 何故だ。▼
- [ラファール]
- 我自身が許さぬからだ。▼
散っていった者たちが失った幸福を、
喜びを、穏やかな時間を……
甘んじて享受することは許されぬ。▼
我の罪は、行いは、
どんな時も頭から消えることはない。▼
アスク王国での時間の代償は、
エレオスに戻ってから如何様にも受ける。
滅びの危機には、この身を捧げると誓おう。▼
これが未来を見据えた上での、
我の答えだ。
異論はあるか、英雄クロム。▼
- [クロム]
- …………
俺としては、お前にはもう少し
幸せになってほしいところだが…▼
ラファールが決めたのなら、
もう何も言わん。▼
- [ラファール]
- 我はもう、じゅうぶんに幸せだ。
紋章士クロムの元である英雄に、
これだけ言葉を尽くして貰ったのだから。▼
- [クロム]
- …ラファール…▼
- [ラファール]
- 忠告の礼だ。受け取れ。▼
- [クロム]
- 甘い香り…これは、菓子か?▼
- [ラファール]
- 我の手製だ。
平凡な味と、特別な味の二つある。
ルフレと分けて食べろ。▼
特別な味の方は半身に譲るといい。
クロムは仲間思いだからな。▼
- [クロム]
- …?
ああ、ありがとう。
俺は平凡な方をいただこう。▼
- [ラファール]
- ふっ…
残さず食べるのだぞ。
菓子の感想は、いつでも聞いてやる。▼
見えざる仮面 ユナカ†
- [ユナカ]
- はあー…
困りました、困りましたぞ!▼
なんとこの世界には
紋章士ミカヤのもととなった存在…
英雄ミカヤ氏がいるそうではありませぬか。▼
わたくしめ、是非ともお会いして
エレオスでの感謝を伝えるとともに、
僭越ながら友人になりたい所存!▼
ですが、わたくしめは御覧の通りシャイゆえ
どうやって話しかけたら良いのか
全くわからぬのですぞー!!▼
- [セアダス]
- …………▼
で、俺のところに
どうしたらいいか占ってもらいに
来たってわけ?▼
- [ユナカ]
- その通りであります!▼
- [セアダス]
- 占いなら、それこそミカヤに頼めばいいのに。
彼女は元居た世界でずっと、
占い師を生業としていたそうだから。▼
俺も占ってもらったけど、
素晴らしいものだったよ。何せ道具を
一切使わずに未来を言い当てるんだ。▼
- [ユナカ]
- なぬーーーーっ!!!!▼
セアダス氏は英雄ミカヤ氏と
もう話したことがあるのですか!?▼
ずるいずるい、先に来ていた者同士で
いつのまにか絆を深めているとは、
羨ましいですぞーっ!▼
- [セアダス]
- そう思うならさっさと話しに行きなよ…▼
- [ユナカ]
- それができぬゆえ、
こうして地べたに伏して
頼んでいるのではありませぬか!▼
- [セアダス]
- ユナカは変なところで
小心者なんだから。▼
エレオスで披露した舞台では
あんなに堂々としていたのに。▼
ああもう、わかった。
そこまで言うなら占ってあげる。
だから這いつくばるのやめなよ。▼
- [ユナカ]
- やっぴーー!!
恩に着ますぞ、セアダス氏!!▼
- [セアダス]
- じゃあ、いくよ。▼
…………▼
星々の力を宿せし札よ……
ユナカが英雄ミカヤと仲を深める為の
道を示し給え……▼
……出たよ。▼
- [ユナカ]
- どうでありますか?▼
- [セアダス]
- このカードは…
下手な小細工無しで、素直に真正面から
話しかけるといいみたい。▼
相手の親しい人が傍にいる時なら
さらに良さそうだよ。
その人とも意気投合できるかも。▼
- [ユナカ]
- うう…小細工無し、ですか。
正直一番苦手なのですが、
セアダス氏の占い結果であれば成功は必定。▼
不肖ユナカ、歓談中の英雄ミカヤ氏に
正面切って話しかけるであります。▼
感謝しますぞ、セアダス氏!
お礼は後日必ずや。▼
では!!▼
- [セアダス]
- あ、ちょっと待って!
結果の続きがまだ…!▼
…行ってしまったか。▼
もう一枚のカード…
「風の守護に注意」って、
どういう意味なんだろう。▼
ま、ユナカなら大丈夫か。
ひと仕事終わったし、
なにか食べに行こうっと。▼
- [ミカヤ]
- アスク王国にはもう慣れたかしら、
レオナルド。▼
- [レオナルド]
- ああ。戦は変わらず存在するけれど、
デインで追われる旅をしていた頃と
比べたら随分と落ち着く場所だよ。▼
- [ミカヤ]
- 良かった。
暁の団の皆と、こうして過ごせて嬉しいわ。▼
私、ずっと待っていたのよ。
ノイスやローラ、ブラッド達とも…
また会えると良いのだけれど。▼
- [レオナルド]
- 本当にね。
その時は笑顔で迎えよう。▼
- [ユナカ]
- ふむふむ……▼
英雄ミカヤ氏はご歓談中の様子。
占い結果によると、今がまさに好機ですな!▼
よしっ、いざ出陣!▼
- [エディ]
- ミカヤ、レオナルド!▼
- [ミカヤ]
- エディ。どうしたの。▼
- [エディ]
- 招集だ。暁の団は集合!
緊急みたいだから、急いで!▼
- [レオナルド]
- わかった。すぐに向かう!▼
- [ユナカ]
- おっと……
招集が入った様子。▼
こればかりは仕方がありませぬ。
日を改めると致しましょう。▼
- (暗転)
- [ユナカ]
- さてと。今日はミカヤ氏は非番の筈。
先程から半刻ほど様子を見ておりますが
穏やかな休日といった様相ですな。▼
よし、今日こそ話しかけて……
って、ニャッコ氏が明後日の方向に!?
何か気になるものがあったのですかな!?▼
お、お待ちくだされニャッコ氏!
ここで迷子になっては困りますゆえ!
わたくしめのそばにいてくだされーっ!▼
ニャッコ氏ーーっ!!▼
- (暗転)
- [ユナカ]
- ううむ……
何やらおかしいでありますぞ。▼
あの後もミカヤ氏に話しかけようとする度に
突然、目に異物が入ったり、
草に足を取られ転倒したり。▼
これはもしや、
何者かがわたくしめとミカヤ氏の
接触を阻んでいる……?▼
…………▼
…………▼
なーんて!
流石に考えすぎでありますなー!▼
全ては偶然の範疇。
気にしないことにいたしましょう!▼
では今日も張り切って
英雄ミカヤ氏を探しますぞ。▼
あちらの湖畔や、こちらの木陰…
今日はどこにいるでありますかなー…▼
…………▼
そこっ!!!!▼
- [サザ]
- ううっ!!▼
- [ユナカ]
- …見つけた。▼
やはり、陰から妨害していたわね。
観念して顔を見せなさい。▼
- [サザ]
- くっ……▼
- [ユナカ]
- 貴方は…▼
- [サザ]
- …………▼
- [ユナカ]
- …貴方ね。私の目的を
執拗に阻んできた刺客は。▼
- [サザ]
- 刺客はどちらだ。
ミカヤのことを物陰から狙っていただろう。▼
- [ユナカ]
- 害そうとしてたわけではないわ。▼
- [サザ]
- 雰囲気が随分と違うな…
話し方はそれが地か?▼
お前のような怪しい者を、
ミカヤに近づけるわけにはいかない。▼
- [ユナカ]
- その言葉、そのまま返すわ。
貴方こそミカヤの何?▼
- [サザ]
- 俺は…
ミカヤの弟だ。
一応、今は。▼
- [ユナカ]
- 弟…▼
…………▼
あっ。▼
- [サザ]
- ……?▼
- [ユナカ]
- 思い出したの。
私、ミカヤから弟のことを聞いていた。▼
すごく静かな歩き方で、
気が付いたら後ろにいる、って。
私を見ていると…弟を思い出すって。▼
- [サザ]
- 俺とお前が似ていると?
ミカヤがそう言ったのか。▼
- [ユナカ]
- 正確には、紋章士ミカヤだけれどね。▼
私のいたエレオス大陸では、
ミカヤは強大な力を持つ
英霊のような存在として…▼
『暁の巫女の指輪』に宿っていた。
私は、その指輪に出会い、
ミカヤに力を借りて戦ったの。▼
彼女に出会って、私の人生は変わった。
元になった存在である彼女に、
一言お礼が言いたかったのよ。▼
- [サザ]
- ミカヤに接触する理由は理解した。
だが、どうして別の人格を演じている?
お前の正体は何だ?▼
明かせないようであれば、
ミカヤには近づけさせない。▼
- [ユナカ]
- …………
仕方がないわね。▼
…………殺し屋よ、本当は。▼
- [サザ]
- !!▼
- [ユナカ]
- 警戒しないで。
元殺し屋なの。▼
貧しくて…親に売られて、
引き取られた先で殺しを覚えて。▼
このままずっと生きていくのが嫌になって、
新しい自分になりたかった。▼
だから、姿も名前も、性格も変えて
新たな人生を生きようと思っただけ。▼
やましいことがあって、
態々他人を演じているわけではないわ。▼
紋章士ミカヤに誓って、そう言える。▼
- [サザ]
- そうか…▼
…俺も、元は孤児だ。
貧民街で盗みをして暮らしていた。▼
だから…新しい自分にというのは、
理解ができる。▼
- [ユナカ]
- 貴方の信用に足る答えは、
提供できたかしら?▼
- [サザ]
- ああ。
嘘を言っているわけではなさそうだ。▼
…お前の素性を聞いた以上、
こちらも一つ明かしておこう。▼
弟と言ったが、
ミカヤとは、本当の姉弟ではない。▼
- [ユナカ]
- そう。
ミカヤが認めている以上、
深くは追及しないけれど…▼
少なくとも紋章士ミカヤは、
貴方のことを話すときは本当に
優しい目をしていたわ。▼
大切な弟…いえ、それ以上のような。▼
- [サザ]
- …………
そうか。▼
俺の名はサザだ。
紋章士ミカヤから、
既に聞いているかもしれないが。▼
- [ユナカ]
- 私はユナカ。
本名は…▼
- [サザ]
- いい。
ユナカといったな。
俺はその名で呼ぼうと思う。▼
- [ユナカ]
- ありがとう、サザ。▼
- [サザ]
- ついてこい。
ミカヤのところに案内する。▼
- [ユナカ]
- ミカヤ氏~~~!!!!!
会えて嬉しいですぞ幸せですぞ!!
この世界でもよろぴっぴですぞ~!▼
- [ミカヤ]
- 勿論よユナカ。
紋章士の私のこと、エレオス大陸のこと、
たくさん教えてくれてありがとう。▼
サザとも親しいようだし、
とても嬉しいわ。▼
- [サザ]
- 別に、親しくはない。▼
- [ミカヤ]
- けれど、サザ。
あなたが私にお友達を
紹介してくれるなんて…▼
それも、こんなにそっくりな。▼
- [ユナカ]
- そっくり、ですと?▼
- [ミカヤ]
- ええ。あなたたちは
こんなにも違うのに、
不思議と似ている気がするの。▼
歩き方とか、特にね。
まるできょうだいのようよ。▼
- [サザ]
- なに…!?▼
- [ユナカ]
- ミカヤ氏……
紋章士のミカヤ氏と同じことを仰るとは
このユナカ、なんだか感激ですぞ…!▼
むむ? 待ってくだされ。
わたくしめとサザ氏がきょうだいであれば…▼
わたくしめとミカヤ氏も、
姉妹ということに…?!▼
- [サザ]
- おい、やめろ。
ミカヤの家族は、俺だけだ。▼
- [ミカヤ]
- うふふ。
怒らないの、サザ。▼
それじゃあ私はこれから任務があるから。
またお話ししましょうね。
ユナカ。▼
- [ユナカ]
- はいですぞ!▼
- [サザ]
- 武運を、ミカヤ。▼
- [ユナカ]
- はああ……
英雄ミカヤ氏も優しく慈愛に溢れ
素晴らしいお方でしたなあ…!!▼
会わせてくれてありがとうですぞ!
サザ氏!!!!▼
- [サザ]
- しかし、妙な気持ちだ。
先程話したユナカと今のお前が
同一人物だとはとても思えない。▼
- [ユナカ]
- 前の話し方のほうが
お好みでしたかな?▼
- [サザ]
- 隙も嫌いもない。
お前の生き方の問題だ。
俺に口を出す権利はない。▼
- [ユナカ]
- サザ氏は優しいですなあ!
ではお礼にミカヤ氏の声真似をひとつ。▼
『デインのミカヤよ。本気でいくわ』▼
- [サザ]
- …………▼
むむ、渋い顔。
似ていなかったですかな?▼
- [サザ]
- 似すぎていて驚いた。
大した演技力だ。▼
- [ユナカ]
- その気になれば身のこなしまで、
完璧に似せられますぞ。▼
…薄闇の中や遠目でなら、
見分けがつかない程度には。▼
- [サザ]
- 勘違いでなければ、
ミカヤの影武者をしても良いと
言っているように聞こえるが。▼
- [ユナカ]
- ご名答!
有事の際には、
この身を挺しても良いですぞ。▼
ミカヤ氏ほどの英雄であれば
御身を狙われることもありましょう。
その時は、わたくしめが代わりに…▼
- [サザ]
- 遠慮しておく。
普段ならば受け入れるところだが…
自己犠牲の精神はミカヤだけで充分だ。▼
お前が影武者になる必要はないし、
俺は、仲間を売る真似はしない。▼
- [ユナカ]
- 仲間…ふふ、そうですか。▼
- [サザ]
- ミカヤの身が危ない時が来たら、
俺たちで守れば良いだけだ。
できるだろう、元暗殺者。▼
- [ユナカ]
- 当然!
見くびってもらっては困りますな。▼
- [サザ]
- なら充分だ。
よろしく頼む、ユナカ。▼
ミカヤに救われた者同士、
共に彼女を護ろう。▼
- [ユナカ]
- はい!▼
…まさか、そんな大切な役目を
わたくしめにも分けてくださるとは。▼
セアダス氏の占いは、
しっかり当たっていたのでありますな。▼
- [サザ]
- どうした?▼
- [ユナカ]
- わたくしめの仲間にも、
占いが得意な者がいるのだという
話ですぞ。▼
ではでは不肖ユナカ、
アスクでも頑張る所存!▼
末永く、よろぴっぴですぞ
サザ氏~~~!▼
- [サザ]
- くっつくな!!
首…首が絞まる!▼
新たなる愛 セレスティア†
- [セレスティア]
- あの、エクラさん。
私、どこかおかしいところはありませんか?
髪がハネてるとか、服が汚れてるとか。▼
大丈夫そう、ですか?
良かった!
ありがとうございます!▼
実は今から、先輩方…
先にいらしている英雄さんたちと
お話をしたいなと思っておりまして。▼
私、お友達がたくさん欲しいんですの!▼
我が主、エル様からは
お友達を作ったほうが良いと言われたことが
あるのですけれど、▼
元いた世界は滅んでしまって
それどころではありませんでしたし…▼
こちらには竜族の方もたくさん
いらっしゃると聞きましたので!▼
ああ、でも少し…いえ、かなり
緊張してしまいましたわ。
やっぱり今日は出直して……▼
- [シャロン]
- あっ!
エクラさーんっ!!
お見回りお疲れ様ですっ!▼
偶然会うなんてやはりわたしたちは
切っても切れない運命的なアレで……
…んん???▼
この方はもしやもしや、
召喚したてホヤホヤの
新しい英雄さんですかーっ!?▼
- [セレスティア]
- は、はい。
エレオス大陸よりはせ参じました
セレスティアと申します。▼
- [シャロン]
- 素敵な響きのお名前ですね!
わたしは特務機関所属の
アスク王国第一王女、シャロンです!▼
出会ったばかりで恐縮ですが…
是非是非わたしと、
お友達になってくださいっ!!!!▼
- [セレスティア]
- !
お友達…▼
…うっ、ううっ。
うわおおおああああああん!!▼
- [シャロン]
- 泣いたーっ!!?▼
すみません、やはり性急すぎましたね!
お友達は後にして、
最初は会釈をする程度の知り合いから…▼
- [セレスティア]
- いいえ。
私、嬉しくて泣いているんです。
うおおおおおお…!▼
- [シャロン]
- ど、どういうことなんですか、
エクラさん!▼
…ふむふむ。
セレスティアさんはお友達を作りに
出かけようとしたけれど、▼
緊張して尻込みして、
今日はやっぱりやめておこうかなーと
思っているところにわたしが来た…と。▼
- [セレスティア]
- ですので、こんなに早くお友達ができて
とっても嬉しいんです…!▼
- [シャロン]
- 良かったー!
わたしも英友が増えて嬉しいですよ!▼
ん? エクラさん、
わたしにお願いがある、と?
このまま友達作りの手伝いをしてほしい…?▼
もちろんです。
お手伝いの任、引き受けました!▼
大切な英友たる
セレスティアさんのためですし…▼
エクラさんの
お願いなら、いつでも喜んで!▼
何年経っても引き続き、
あなたのシャロンですから!▼
- [セレスティア]
- よろしくお願いしますわね。
シャロンさん!▼
- [シャロン]
- はい!
特務機関古参勢であるこのわたしが
紹介しまくって差し上げましょう!▼
王侯貴族や騎士に村人、ベオクにラグズ、
タグエルに妖狐にガルーにマムクート、
様々な部族や神々もおわしますよ!▼
- [セレスティア]
- まあ…!
私とっても楽しみですわ!▼
では、エクラさん。
このセレスティア、
お友達作りの旅に行ってまいります!▼
- [セレスティア]
- わああ……!▼
- [シャロン]
- 如何でしょう。
セレスティアさんのお友達になりたい人や、
お話ししてみたい人ー!? と、▼
特務機関の広場で叫んだ結果、
こちらの英雄さん達が集まりました。
では皆さん、自己紹介を!▼
- [フレン]
- は、はいっ。わたくし、フレンですわ。
お友達が欲しい気持ちはよくわかります。
ぜひ、仲良くしてくださいまし。▼
- [ヒノカ]
- 私はヒノカ。白夜王国の王女だ。
来たばかりで不安だろう。
私で良ければ、何でも力になるからな。▼
- [ロイド]
- ロイド。【黒い牙】の一員だ。
ここにはあんたに似たやつがいるが…
こっちは悪人じゃなさそうだな。▼
- [漆黒の騎士]
- …貴殿は四翼という組織の
頭領と聞き及んでいる。
話を伺いたい…我が主のために。▼
- [セレスティア]
- はい…!
こちらこそ、どうぞよろしく
お願いいたしますわ…!▼
シャロンさん、
本当にありがとうございます!▼
- [シャロン]
- ではせっかく集まったことですし
セレスティアさんのやりたいことを
お教えください!▼
お茶会でもお買い物でもお散歩でも
なーんでも!▼
- [セレスティア]
- 嬉しいです! じゃあ…
えっとえっと…▼
皆で、かくれんぼをしたいですわ!▼
- [シャロン]
- 承知しました! かくれんぼで!▼
- [ロイド]
- 待て、シャロン。▼
- [シャロン]
- どうしました?
ロイドさん。▼
- [ロイド]
- やるのか、かくれんぼを。
この面子で?▼
見ろ。
漆黒の騎士は…相当不利だぞ。▼
- [漆黒の騎士]
- …………▼
- [シャロン]
- し、しかしそれでも、
セレスティアさんがご所望ですので…▼
- [セレスティア]
- …あ、あの。
無理にとは言いませんわ。
お友達に嫌われたくありませんし。▼
本来ならば子供のころに
経験しているべき遊びだということは
理解していますわ。けれど…▼
魔竜族の仲間たちはみんな殺されて、
世界も滅びに向かう中で
そんな余裕はなかったものですから…▼
- [ヒノカ]
- …………
やろう!!!!▼
- [セレスティア]
- ヒノカ王女?▼
- [ヒノカ]
- 聞いただろう、セレスティアの身の上を!
今こそ私たちが失われた子供時代を
取り戻してやるべきではないのか!?▼
- [フレン]
- そうですわ!
こうして集まったのですもの。
皆様覚悟はできているはずですわよね!▼
- [ロイド]
- …わかったよ。あんたも良いな?▼
- [漆黒の騎士]
- …異論はない。▼
- [シャロン]
- やりました! 全員賛成です!▼
- [セレスティア]
- それでは私が鬼をやりますわね。
10数えますので、その間に
皆さん隠れてくださいな!▼
1,2,3……▼
- [フレン]
- ま! 意外と早いですわ!
急ぎませんと!▼
- [ヒノカ]
- 天馬で空に……は、
反則だろうな。正攻法で行こう!▼
- [ロイド]
- …さて、どこまで
本気を出したものか…▼
- [漆黒の騎士]
- …私はもう、
ここに立っていることとしよう。▼
- [セレスティア]
- かくれんぼ、とっても楽しいわ。
あとはロイドさんだけね。▼
開始すぐ、漆黒の騎士さんが
なぜか真後ろにいらっしゃったのは
気を遣ってくださったのかしら。▼
フレンさんは木箱の影、シャロンさんは
茂みの中にいたけれど…うふふ。
二人ともお尻が隠れていなかったわ。▼
ヒノカ王女はまさか、
臣下の方と一緒に穴の中に
身を潜めていらっしゃるなんて。▼
…む? あの木陰に怪しい人影が。
もしかしてロイドさん!?▼
見つけましたわよーっ!▼
- [マロン]
- え…ええっ!?
なになに!?▼
- [セレスティア]
- あ、あなた、マデリーン!?
いつの間にこの世界に来ていたの!?▼
- [マロン]
- はあ?
ボク、マデリーンなんて
名前じゃないんですけど……▼
ていうか、え? セピア…だよね?
違う? 色がちょっと違う??▼
- [セレスティア]
- 色? ああ、本当だわ。
あなたの鎧の色とリボンの色、
いつもの青色から桃色にしたのね!▼
可愛くて、
とってもよく似合っているわよ!▼
- [マロン]
- そ、そーお? 可愛い?
まあボクもそう思ってるケド。▼
- [セレスティア]
- 今ね、かくれんぼの途中なの。
マデリーンも仲間に入る?▼
- [マロン]
- ボクはパス。
そんな子供っぽい遊びなんて
やってらんないし。▼
- [セレスティア]
- うふふ、そうよね。
また機会を改めて、
ゆっくりお話でもしましょう。▼
それじゃあね、マデリーン!▼
- [マロン]
- …行っちゃった。▼
誰だったんだろ、今の。
英雄の衣装違いとか、
セピアのきょうだいとか、なのかな…?▼
ていうか、ボクのこと
マデリーンとかいう奴と勘違いしたまま
行っちゃったじゃん!▼
ま、いっか。
ここにいたら、またそのうち
会うこともあるだろうし……▼
- [ロイド]
- 助かったぜ、お嬢さん。▼
- [マロン]
- おわーーっ!!!?
お、おじさん、誰!?▼
- [ロイド]
- 先にあんたが見つかったお陰で
難を逃れることができた。
ありがとうな。▼
…………▼
- [マロン]
- な、なに?▼
- [ロイド]
- あんたは四狗の一員だと聞いたが…
成程。根っからの悪人って訳じゃ
なさそうだ。▼
- [マロン]
- は? どういう意味?▼
- [ロイド]
- ただの独り言だよ。
じゃあ俺は他でのんびり隠れるかな。
世話になった。▼
- [マロン]
- 世話になったって大袈裟な。
ただのかくれんぼでしょ?▼
でも、ちょっとだけ…
楽しそう、だったかも。▼
- (暗転)
- [シャロン]
- ええっ、ロイドさんが
見つからない?▼
- [セレスティア]
- はい……
もう日が暮れますので、
一旦戻ってまいりました。▼
- [フレン]
- これ程のかくれんぼの名人だとは
わたくし、存じ上げませんでしたわ。
ぜひ極意を伝授いただかないと。▼
- [ヒノカ]
- 本当に名人ならいいが、
大丈夫なのか? 罠にかかったとか、
落とし穴に落ちたなんてことは…▼
- [漆黒の騎士]
- 敵との交戦中ということも
考えられるか…▼
- [シャロン]
- そ、そんな。
さすがに大丈夫たとは思うのですが、
ここからは皆で探しましょう!▼
- [フレン]
- わかりましたわ!▼
- [ヒノカ]
- 承知!▼
- [漆黒の騎士]
- 心得た。▼
- [セレスティア]
- なんと、全員が鬼…!
これは熱い展開になってまいりましたわね!▼
- [イドゥン]
- ……あの……▼
- [セレスティア]
- ?▼
- [シャロン]
- イドゥンさん!
どうしました?▼
- [イドゥン]
- 皆さんが探されている
その方なのですが……▼
向こうで眠っています。▼
- [セレスティア]
- …………▼
ええっ!?▼
- [セレスティア]
- かくれんぼが無事に終わったのは
イドゥンさんのお陰ですわ。
ありがとうございます。▼
- [イドゥン]
- ……いえ。▼
- [セレスティア]
- 皆とはまた遊ぶ約束をしましたの。
宜しければ、次はイドゥンさんも…
…あら?▼
近くで拝見すると
イドゥンさんの瞳、色違いなのですわね。
神竜様と同じです。▼
- [イドゥン]
- 神竜……▼
- [セレスティア]
- リュール様のことですわ。
私達の軍の将たる、
大切なお方なんです。▼
- [イドゥン]
- 私も…神竜…
いえ、神竜でした…
魔竜となる前は…▼
- [セレスティア]
- へえ、魔竜……▼
…………▼
ええっ!?
イドゥンさんって魔竜族なんですか!?
私もそうなので嬉しいですわ!!▼
…という気持ちを抑えつつ、
神竜だったというのは、どういう…?▼
- [イドゥン]
- 竜と人との戦いで…
竜が人に勝利するため…▼
私は捕らえられ、心を奪われ、
神竜から魔竜へ変えられました…▼
- [セレスティア]
- そ、そんな。
では、魔竜であることはイドゥンさんには
喜ばしいことではない…ですわよね。▼
嬉しいと言ってしまってごめんなさい。
元に戻る方法は、あるのですか。▼
- [イドゥン]
- わかりません…
私はただ…
受け入れるだけ……▼
- [セレスティア]
- そう…ですか……▼
イドゥンさんは魔竜であることを
良く思っていらっしゃらないかも
しれませんが…それでも、▼
元いた世界で、同族の仲間を
全て喪ってしまった私にとっては、
あなたに会えたことが誇らしいですわ。▼
ここまで無事で、生きてくださって、
本当にありがとうございます。▼
- [イドゥン]
- …………▼
- [セレスティア]
- かくれんぼが繋いだ縁。
こんな偶然もあるんですのね。▼
- [イドゥン]
- …いいえ。
偶然ではありません。▼
すみません。私は…本当は、
魔竜と呼ばれる英雄が来たと聞いて、
あなたたちを見ていたのです。▼
- [セレスティア]
- え…?▼
- [イドゥン]
- 先に来たのは…あなたに似た、紅の魔竜。
彼女は、邪悪な力を行使する、
悪しき魔竜族でした。▼
私は彼女を見て…
何の感情も湧きませんでした。▼
けれど…あなたは違った。
この地に来るなり、召喚師のもとで
泣いたり、笑ったり……▼
屈託なく、他者との交流を求めていた。
私は…嬉しかったのかもしれません。
魔竜は、人を滅ぼす存在ではなく…▼
あなたのように、明るくて、善き心で、
他と関われる存在もいるのだと…
そう、知ることができて…▼
- [セレスティア]
- …そう言っていただけて、
誇らしい気持ちです。▼
ええ。私の世界の魔竜は皆、
イドゥンさんにご紹介したいぐらい
優しくて…愛に溢れておりましたわ。▼
- [イドゥン]
- あなたを見ていると…
そうなのだと思います。▼
- [セレスティア]
- まさかイドゥンさんが私を、
ずっと見てくださっていたなんて。▼
それって…そうだわ。つまり、
お友達になりたいってことですわよね!▼
- [イドゥン]
- 友達……?▼
- [セレスティア]
- 自惚れかもと思いましたが、
話しかけてきてくださったということは
きっと、そうなんだと思います。▼
私、ここに来たばかりで
まだ話せる方も少ないんですの。▼
イドゥンさんがよろしければ、
同じ竜族として…
お友達になってくださいませんか?▼
- [イドゥン]
- …………▼
- [セレスティア]
- も、もちろん嫌なら断ってくださっても!▼
- [イドゥン]
- …嫌では、ありません。
寧ろ…温かな気持ちです。▼
ええ。私は…
あなたと同じ魔竜として…
友達となりましょう。▼
- [セレスティア]
- イドゥンさん…!
ありがとうございます。▼
うふふ。
うれしくなったら、なんだか急に
お腹が空いてきましたわ。▼
そういえば私、
この前いつ食事をしたかしら…▼
きゃあ、たいへん!
ここ3日ほど、食べた記憶がないわ!▼
- [イドゥン]
- ……くすっ。▼
にこにこして、ひとりで慌てて。
まるで、あの子のよう…▼
- [セレスティア]
- あの子?▼
- [イドゥン]
- 私にも、神竜の…
大切な存在がいるのです。
小さくて、温かくて…優しい子。▼
- [セレスティア]
- まあ、とっても素敵ですわ!
その方は、英雄としてここに?▼
- [イドゥン]
- ええ。▼
- [セレスティア]
- ではこれからお誘いして、
お食事なんていかがです?
お友達の大切な方、わくわくしますわ!▼
- [イドゥン]
- ええ、構いません……
私もあなたの世界の神竜様と、
いつか…話をしてみたいです。▼
これから、よろしく…
セレスティア…▼
誠心の邪竜 エル†
- [カンナ(女)]
- ねえねえエルさん、子守唄うたってー!▼
- [カンナ(男)]
- 僕にも僕にも!▼
- [エル]
- もちろん、良いですよ。
今日はどの歌にしましょうか。▼
- [チキ]
- チキ、あれがいい。
ここで初めて歌ってくれたやつ!
すごく安心する歌!▼
- [エル]
- わかりました。では…
~♪▼
- (暗転)
- [チキ]
- すー。すー。▼
- [エル]
- よく眠っています。
暫くの間このまま、
見守っていましょう。▼
- [チキ(覚醒)]
- とっても気持ちよさそう。
エルは今日も大人気ね。▼
- [エル]
- チキ…!▼
- [チキ(覚醒)]
- しっ。みんなが起きてしまうわ。▼
- [エル]
- ! すみません。
見てください。今日は小さいあなたにも
来てくれているのですよ。▼
- [チキ(覚醒)]
- うふふ。あどけない顔。
氷竜神殿で眠りについていた頃の
私も、こんな感じだったのかしら…▼
- [エル]
- アスク王国に来て、
成長したチキに会えるとは
思いませんでした。▼
こんなに大きくなって……
感無量です。▼
- [チキ(覚醒)]
- 母親みたいなことを言うのね、エル。
でも嬉しいわ。▼
私も、幼い頃の自分が
紋章士になっているだなんて
思わなかった。▼
- [エル]
- 紋章士たちの元となった存在と
何人も会うことができて、
毎日驚かされることばかりですよ。▼
- [チキ(覚醒)]
- この程度で驚いていてはいけないわ。
もっと沢山の出会いがあるわよ。
いろんな衣装を着た自分とか。▼
- [エル]
- …それは、先日認識しました。
どうしてあのような衣裳を…▼
- [チキ(覚醒)]
- ふふ。
不本意そうな顔だけれど、
それもこの世界の醍醐味よ。▼
- [エル]
- そうですね。来た以上は
この世界の理にも順応して…▼
……?▼
- [チキ(覚醒)]
- どうしたの?▼
- [エル]
- 今、チキの後ろを通った
蒼い髪の英雄は…
どなたでしょうか?▼
- [チキ(覚醒)]
- ごめんなさい、見ていなかったわ。▼
蒼い髪の英雄といっても…
ここには沢山いるから、
特定は難しいかもしれないわね。▼
- [エル]
- そうですか。
故郷で共に過ごした人に、
似ている気がしたのですが…▼
- [チキ(覚醒)]
- もしかしたら、その人かもしれないわよ。
知らないうちに新しい英雄が
増えていることも多いから。▼
それじゃあ、私は任務に行くわ。
小さい私のこと、よろしくね。▼
- [エル]
- はい。
お気をつけて。▼
…………▼
会えるかもしれない…
滅びた世界で共にいた…
あの神竜様に……?▼
- [エル]
- いませんね…
この前見かけた、蒼髪の英雄…▼
- [チキ]
- あっ、エルだ!▼
- [カンナ(男)]
- いつも子守唄ありがとう!
すっごくよく眠れてるよー!▼
- [カンナ(女)]
- 今日は何してるの?
お散歩?▼
- [エル]
- チキ、カンナ。▼
少し、人探しを。
以前このあたりで見かけた英雄が
私の知っている人と似ていて。▼
その人自身かどうか、
確かめたいんです。▼
- [カンナ(男)]
- そっかあ。
もしお友達だったら、会いたいよね。▼
- [チキ]
- よかったら、チキたちも手伝うよ!
こう見えてチキたち、
ここに来てから長いもん。▼
- [エル]
- ありがとうございます。
とても頼もしいです。▼
- [カンナ(女)]
- 探してるのってどんな人?▼
- [エル]
- 蒼い髪で、白い服を着ていて…
簡単に言うと、両瞳と髪が
青色一色のリュール様です。▼
- [チキ]
- わあ…すごい。
チキも会ってみたい!▼
- [カンナ(女)]
- ねえ、向こうを歩いている人、
蒼い髪で白い服!
あの英雄さんって、そうじゃない!?▼
- [カンナ(男)]
- エルさん、追いかけてみる!?▼
- [エル]
- そ、そうですね…
行ってみます!▼
- (暗転)
- [エル]
- あ、あの。そこの方…!▼
- [マルス]
- どうしたんだい?▼
- [エリス]
- まあ、新しい英雄さんかしら。
なにかお困りごと?▼
- [エル]
- …前面は、赤い服…▼
すみません。人違いでした。
後姿が知人に似ていたものですから。
引き留めてしまい、失礼しました。▼
- [マルス]
- 構わないよ。
また何かあったら、声をかけてくれ。▼
- [カンナ(男)]
- エルさん!
どうだった?▼
- [エル]
- 今回は、人違いだったようです。▼
- [カンナ(女)]
- そっかあ…
間違えちゃってごめんね。▼
- [エル]
- 謝ることはありません。
見つけてくれて助かりました。▼
流石はアスク王国。
探す甲斐があるというものです。▼
- [チキ]
- でもエル、ちょっと寂しそう…▼
- [カンナ(男)]
- 大丈夫だよ。
きっとすぐに見つかるよ!▼
- [カンナ(女)]
- もし今はいなくたって、
ずっと召喚されないわけじゃないもん。
これからも希望を持って探そう!▼
- [エル]
- ありがとうございます。
もう少しだけ、お手伝いしてくれますか?▼
- [チキ]
- もちろん!
チキたち、がんばっちゃうよー!▼
- [エル]
- チキやカンナに協力してもらいましたが、
あれ以降全く見つかりませんね。▼
…………▼
…少し、疲れました。▼
- [チキ(覚醒)]
- エル。
大丈夫?▼
- [エル]
- チキ…▼
- [チキ(覚醒)]
- 小さい私から聞いたわ。
あなた、元の世界の…
死んでしまった神竜様を探しているって。▼
ごめんなさい。この前私が、
軽い気持ちでその人自身かもと
言ってしまったせいね。▼
あなたがこんなに憔悴するまで
探すほどの大切な人だと…
思っていなかったの。▼
- [エル]
- チキのせいではありません。
私が勝手に期待をして、
勝手に探し続けているだけなのですから。▼
- [チキ(覚醒)]
- 召喚師に聞いてきたわ。
かつて異なるエレオス大陸にいた、
蒼髪蒼瞳のリュールを召喚したか、って。▼
- [エル]
- ああ…成程。
その手がありましたね…▼
私はそんな手段も思いつかない程、
冷静ではなかったというわけですか。
あの子たちにも迷惑をかけて…▼
- [チキ(覚醒)]
- …答えを聞く?
エル。▼
- [エル]
- …………
ええ。お願いします。▼
- [チキ(覚醒)]
- 召喚は、していないそうよ。
この地に、あなたの探すリュールはいない。▼
- [エル]
- ……ありがとうございます。
なんだか、すっきりしました。
先日の件は見間違いでしたね。▼
けれど、未来永劫
召喚されないわけではありません。
これからも希望を持って…▼
- [チキ(覚醒)]
- それは、小さい私やカンナに言われたの?▼
- [エル]
- ? ええ。▼
- [チキ(覚醒)]
- あの子たちは…
会えるまで探したほうが良いと言うでしょう。
会える喜びを多く知っているから。▼
それはとても純粋で、素敵なことだわ。
けれど私からは、諦める道もあることを
伝えておきたいの。▼
- [エル]
- 諦める道…?▼
- [チキ(覚醒)]
- そう。▼
新しい英雄が来るたびに期待をして、
いない人を探し続けるのは
とても、つらいことだから。▼
私もね、探したことがあるの。
マルスのおにいちゃんを。▼
- [エル]
- 英雄マルスを?
ですが、マルスはこの地に
既にたくさん召喚されています。▼
チキのことを知るマルスだって、
大勢いる筈では?▼
- [チキ(覚醒)]
- 私が会いたいのはね、
私の記憶の中にいる、
戦争後を生きたおにいちゃん。▼
ここにいるマルスのおにいちゃんは
若くて、戦っていた頃のままで…
小さい私のことしか知らないわ。▼
だけど、私は…▼
少しだけ大人になった私と、
穏やかな時間を過ごした英雄王に
また会いたいって、思っていたの。▼
ここにいる沢山の小さい私が知らない、
私だけの、あのおにいちゃんに。▼
- [エル]
- 確かに…その年代のマルスは
見る限り存在しないように思います。▼
チキが来てから、今までずっと…
召喚されていないということですよね。
さみしく…ないのですか。▼
- [チキ(覚醒)]
- さみしくはないわ。今はね。▼
本当のおにいちゃんや皆は、
空の上で、キラキラ輝く星になって
私を見守ってくれている。▼
百年たっても千年たっても、
ずっと一緒にいてくれるもの。▼
ここで、そのことを思い出すまで…
少し時間はかかったけれど。▼
- [エル]
- …………▼
- [チキ(覚醒)]
- エル。
ここは夢のような場所よ。▼
あり得なかった可能性や、未来、
喪った人や違う自分とも逢える。
けれどね…▼
全ての夢がかなう場所ではないの。
期待しすぎると苦しいかもしれないわ。
そのことは、覚えていて。▼
- [エル]
- ありがとうございます。
大切なことを教えてくれて。▼
この地での使命を遂行するためには
きっと…
諦めたほうが良いのでしょう。▼
ただ、
もう少しだけ時間をください。▼
徒労でも良い。
逢えなくても良いんです。▼
あの世界では、再び会うことは
決定的に不可能で、
期待すら許されなかった。▼
逢えるかもしれないと思えるだけで
今の私にとっては…▼
- [チキ(覚醒)]
- ええ。今はそのままでいい。
あなたの神竜様も、
きっと思っている筈だわ。▼
エルは、とても優しいから、
無理をしないで…って。▼
- [エル]
- わかるのですか…?▼
- [チキ(覚醒)]
- わかるわ。
私も神竜なのだから。▼
- [エル]
- !
……はい。
ありがとう、チキ。▼
偉大なる紋章士の祖、
そして…
アカネイア大陸の神竜様……▼
- [チキ]
- エル、待ってたよ!
こっちこっちー!▼
- [エル]
- お呼び立てしてすみません。
チキ、カンナ。▼
- [カンナ(男)]
- 僕たちに話があるって、
どうしたの?▼
- [カンナ(女)]
- もしかして、捜してた神竜様に
会えたとか…!▼
- [エル]
- そのことでご報告です。
実は、大きいチキが召喚師様に
確認してくれたのですが…▼
今はまだ、召喚されていないとことでした。
探すのを手伝ってくれた三人には、
伝えておくべきかと思いまして。▼
- [チキ]
- そうなんだ…
教えてくれてありがとう。▼
- [カンナ(女)]
- 寂しいかもしれないけど、大丈夫だよ。
あたしたちが一緒にいるからね。▼
- [カンナ(男)]
- 実は、僕とカンナも友達を待ってるんだ。
だから、つい探しちゃう気持ちは
すごくよくわかる。▼
- [エル]
- 友達を?▼
- [カンナ(男)]
- うん。
昔、異界で一緒に戦った友達。
まだ、あと少しだけ揃ってなくて。▼
もしかしたら一緒にいたことを
覚えてないかもしれないんだけど…
その時は、また友達になるつもりだよ。▼
- [カンナ(女)]
- はじめましてって声をかけて、
新しい思い出を作っていくの。
いつか、そう約束したんだ。▼
全員揃ってまた会えるって、
あたしたちは信じてる。▼
- [チキ]
- カンナたちみたいな約束は
してないんだけど…チキにもね、
会いたい人がいるよ。▼
マルスのおにいちゃんや
チキといっしょにいた
大勢の人たちみんな…▼
チキは長生きだから、
ずっとずーっと、待つつもり。▼
- [エル]
- …………
そうでしたか。▼
みんな、誰かを探していて…
信じて待ち続けることや、
もう諦めることを、決めている。▼
なのに、私はまだ…
そのどちらにもなれずに……▼
………?▼
足元に、花が。
これは…アネモネの花…▼
- [チキ]
- この花、アネモネっていうの?
珍しい花だね。▼
- [カンナ(女)]
- 最近、たくさん咲き始めたんだよ。
ちょうど、エルさんが来た頃と
同じくらいに。▼
- [エル]
- 私が来た頃に?▼
- [カンナ(男)]
- 花畑も見つけたんだ。
この先に、もっと咲いてるよ!▼
案内するから、行こう!▼
- (暗転)
- [カンナ(男)]
- ここだよ、エルさん!▼
- [エル]
- これは……
丘一面に、青いアネモネの花……▼
まるで……▼
- [カンナ(女)]
- 神竜様みたい!▼
- [エル]
- え…?▼
- [カンナ(女)]
- 会ったことないけど、
そんな感じがしたんだ。
全然違ってたら、ごめんね。▼
- [エル]
- いいえ…
私も、同じことを思いました。▼
…………▼
そうでしたか…
探さなくても、嘆かなくても…
ずっと、傍に……▼
- [チキ]
- …エル、泣いてるの?▼
- [エル]
- 少しだけ。
でも、大丈夫です。
嬉しくて泣いているんですよ。▼
本当にありがとう。
チキと、カンナのお陰です。▼
私の神竜様は、私のいた世界で
死んでしまいました。
その存在の役割は全うした…▼
きっとここには来ないと、
どこかで分かっていたんです。▼
けれど、今、逢えましたから。
この花は、神竜様との思い出の花…
きっと、これが…あの人なんです。▼
- [カンナ(女)]
- …そっか。
やっと見つかったんだ。
ここに来れば…いつでも会えるね!▼
- [チキ]
- ほんとに、すごくきれい。
折角だから、みんなにも見せたいな。▼
- [エル]
- 摘んでしまっては可哀想ですから、
皆をここに呼びましょうか。▼
- [チキ]
- そうしよう!
エルは優しいね。▼
- [エル]
- …いいえ。
優しいのは、チキとカンナの方ですよ。▼
- [カンナ(男)]
- じゃあ僕たち、みんなを呼んでくる!▼
- [カンナ(女)]
- ちょっと待っててね、エルさん!▼
- [エル]
- はい…!▼
…………▼
ここは夢が叶う場所ではない。
私は結局、諦めることも…
待つと決めることもできませんでした。▼
それでも、この景色のお陰で、私は…
前だけを見て戦うことができます。▼
神竜様……
私たちの駆け抜けた、
あの日々を覚えていますか?▼
またここで、
沢山の話をしましょう。▼
あなたがいなくなった後の話を。
異なるエレオスから来た、
救世の主の話を。▼
あなたは永遠に…
私の夢人ですよ。▼
コメント
Last-modified: 2025-08-27 (水) 10:12:55