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章別会話
深淵を照らす灯火†
深淵を照らす灯火†
オープニング†
- [バルタザール]
- 逃げるっつったって
いったい、どこに逃げんだよ!?
あてもないんだろ!?▼
- [ユーリス]
- そいつは逃げながら考えるさ。
ヴァイス・ブレイヴだかなんだか
知らねえが…▼
一方的に呼びつけられて
利用されるってのは
どうにも気に食わねえ。▼
- [ハピ]
- ハピはまあ、どっちでも
よかったんだけど。▼
- [バルタザール]
- いや、よくねえだろ。
ハピが城でため息ついてみろ。▼
魔物が湧き出てきて
たちまち大混乱だろうが…!▼
- [コンスタンツェ]
- おーっほっほっほっほっ!
私としては無駄に明るい場所は
ご免こうむりますわ!▼
静寂と薄闇と気品に満ちた場所…
それこそがこの私、コンスタンツェ=
フォン=ヌーヴェルに相応しいですの!▼
- [ユーリス]
- 俺たちのいたアビスは
気品とは縁遠い場所だった
気がするがね。▼
- [バルタザール]
- でもよ、このあたりに
おれたちが隠れられるような
都合のいい場所はあるのかよ?▼
人の気配がなくて適度に暗くて
おれたち4人が隠れられるような
そんな場所がよ…!▼
- [???]
- それならぁ…
アスクの大図書館はどうでしょうかぁ…
むにゃむにゃ…。▼
- [ユーリス]
- 背中に羽が…魔物か!?
にしては、敵意も緊張感もねえな。▼
- [ハピ]
- …なんでみんなハピのほうを見るの。
別にため息なんてついてないし。▼
- [ルピナス]
- わたしはルピナス…
魔物じゃなくて妖精なんですよぅ。▼
寝ながら飛んでたら
たまたま、あなたたちの話を
聞いちゃったので…むにゃむにゃ…▼
- [コンスタンツェ]
- 貴方、先ほど
アスクの大図書館と仰ってましたわね?
そこはどういう場所ですの?▼
- [ルピナス]
- 隠れる場所が必要なんですよねぇ?
人があまりいなくて、くらくて、
おまけに広い…▼
それならぁ、アスクの大図書館が
うってつけですよぉ…ふぁぁぁ…
じゃあ、わたしはこれで…▼
- [バルタザール]
- お、おい、寝ながら飛んでったぞ。
大丈夫なのかアレ。▼
- [バルタザール]
- アスクの大図書館か…。
夜が明ける前にそこに潜り込むか。
先のことは…それから考えるさ!▼
- [コンスタンツェ]
- こ・こ・が・アスク王国の大図書館…!
とんでもない広さですわ!▼
- [ハピ]
- 何とかうまく潜り込めたけどさ
これからどうするわけ?
持ち出した食料もあんまないし。▼
- [ユーリス]
- まずは俺たちがどうやって
フォドラに戻るか…そいつを考える。▼
鍵はおそらく召喚師の
エクラだ。
あいつをなんとかしちまえば…▼
- [バルタザール]
- でもよ、おれたちは
この世界を救うために呼ばれたんだろ?▼
そいつをほっぽり出して
帰っちまってもいいのかね。▼
- [ユーリス]
- ヴァイス・ブレイヴには
お歴々の英雄が揃ってるんだろ?▼
光の当たる世界のことは
あいつらに任せとくさ。▼
- [ハピ]
- こっちの階段、降りてみる?
もっと奥に続いてるみたいだけど…▼
- [バルタザール]
- うおっ! すげぇなこの図書館!
ここは本当に地下かよ…!▼
- [コンスタンツェ]
- アビスもかくやと言わんばかりの
広さですわね…▼
蔵書の数も凄まじいですわ。
あら? こっちには魔道の研究に
参考になりそうな本も…▼
- [ユーリス]
- ……! 人の気配だ。▼
おい、そこにいるんだろ?
俺たちは隠れんぼに付き合うほど
余裕がないんでね。▼
- [ロキ]
- ふふ…ねぇ、あなたたち。
確か、灰狼の学級…
フォドラから来たんでしょう?▼
- [ユーリス]
- あんたは…?▼
- [ロキ]
- 私はロキ。
エクラの
知り合いみたいなものよ。▼
- [バルタザール]
- 見たところ、お前も魔道士かい?
こんな時間まで図書館にいるなんて
ずいぶんと勉強熱心だな。▼
- [ロキ]
- ちょっとした探し物を…ね。
それに、私が地上をウロウロしていると
眉を顰める人も多いの。▼
- [ハピ]
- ……▼
- [ロキ]
- あなたたちも、なにか事情があって
ここに入り込んで来たんでしょう?▼
ここには非常食も蓄えられているから
籠ろうと思えば
いつまでも籠ることができるわよ。▼
- [バルタザール]
- 非常食が…?
そいつはありがてえ。
酒もあるといいんだがな。▼
- [ロキ]
- ふふ…縁があれば
また会うかもしれないわ、ねえ。
それじゃ…▼
- [ユーリス]
- ……▼
- [ハピ]
- そろそろ、ハピたちが逃げ出したって
気づかれたころじゃない?▼
- [バルタザール]
- ま、4人揃って消えりゃ
ただ事じゃないってわかるだろうしな。▼
時間稼ぎのために
コンスタンツェだけでも
置いてくればよかったか?▼
- [コンスタンツェ]
- んなっ!?
灰狼の学級の柱たる私抜きで
事が進むわけありませんわ!▼
- [ユーリス]
- ……▼
- [ハピ]
- ユリー、なんか心配事?▼
- [ユーリス]
- あ、いや…見れば見るほど
この地下はすげえなって…▼
でもな、なんか違和感があるな。
これだけ広い図書館を
なぜ地下に作ったんだ?▼
元々ここに空洞があったとしても…
別に図書館にしなくてもいいだろ。▼
- [バルタザール]
- 非常食も保管されてるってことは
ここは巨大な待避壕も
兼ねてるんじゃねえのか?▼
見ただろ、あの量…
何百人単位の人間が
数か月は余裕で暮らせるぜ。▼
- [コンスタンツェ]
- もしかすると、ここは人の命ではなく
本そのものを守るために
築かれたのかもしれませんわ。▼
それこそ、地上のすべてが
滅び去っても、この大図書館に
残された書物さえ残ればいいと…▼
- [ユーリス]
- ……▼
- [ハピ]
- …ん?
なんだろ、この本。
うっすらと光ってるような…▼
- [バルタザール]
- ずいぶんと古ぼけた本だな…って
表紙が鉄じゃねえかこれ。
開くのにも一苦労だぜ!▼
- [コンスタンツェ]
- 文字がかすれて
まともに読めませんわね…。
『九の…世界…』?▼
- [ユーリス]
- 読めるのか?▼
- [コンスタンツェ]
- 図説があるページはなんとか
意味がわかりますわ。▼
『ムスペル…ニフル…
ヘル…アルフ…』▼
それ以外のことは
ちょっとわかりませんわね…▼
- [ハピ]
- ね、九の世界の中心に
描いてあるの…これって
アスク王国の紋章じゃない?▼
- [コンスタンツェ]
- 『すべての戦いは…ここに…』▼
- [ユーリス]
- なんだそりゃ…?▼
もしかして、九の世界の戦乱は
すべてアスクに集まるって
そう…言いたいのか?▼
- [バルタザール]
- そこに書いてあることが本当なら
この世界に住む人々は…▼
- [コンスタンツェ]
- 終わることのない戦いの世界に
閉じ込められている…
ということになりますわね。▼
- [ユーリス]
- なんだよ、そりゃ…
まるでこの世界が
巨大なアビスみてえなもんじゃねえか!▼
- [ハピ]
- アビスならまだいいよ。
地上に出る、という希望もあったし。▼
この世界の人たちは…
どこにも逃げ場がないんだ。▼
- [コンスタンツェ]
- 望むと望まざるに関わらず
この世界で暮らす人たちは…
逃れられぬ戦いに巻き込まれていく。▼
それがこの、アスク王国の宿命…▼
- [ユーリス]
- そんな馬鹿げた世界の仕組みがあるか。
すべての人たちに戦いを強いるだと?▼
みんながみんな、戦うための
刃をもっているわけじゃねえ。▼
いろいろな事情を抱えながらも
日々を精一杯生きている…▼
俺たちはアビスで
そんな奴らを守って戦ってきた。▼
- [バルタザール]
- これが仕組まれたものだと言うんなら…
それぞれの戦いを引き起こす
原因があるんじゃねえか?▼
- [コンスタンツェ]
- 待って…! この一文は…
…戦いの始まり…終わり…
それはすべて…▼
- [ハピ]
- ……!? コニー、危ないっ!▼
- [コンスタンツェ]
- きゃぁっ…!?
な、なんですの!?
い、いきなり本が燃えて…。▼
- [ユーリス]
- この気配…てめえ…!▼
- [ロキ]
- あらん…あなたたちが
私の探し物を先に
見つけてしまったのねえ。▼
でも、そこから先は
人間が読んじゃダメよ。▼
- [ユーリス]
- てめえは…何者だ?▼
今のあんたからは
深淵よりもっと奥にある
底知れない闇を感じるぜ。▼
- [ロキ]
- あなたたちが私の正体を
知る必要はないわ。
今はまだ…ね。▼
面白い駒が多いほど
盤面の詰みは読みづらくなる…▼
あなたたちはどんな動きを
見せてくれるかしら?
ふふ…ふふふふ…。▼
- [バルタザール]
- 待ちやがれ…!
って…まあ、そう言って
待つ奴はいねえよな。▼
- [バルタザール]
- まるで闇に溶けるように
消えてしまいましたわ…▼
- [ユーリス]
- ……。
この異界は…想像以上に
やべえ場所だぞ。▼
- [ハピ]
- だね。わかるよ。
協力するだのしないだの
四の五の言ってる場合じゃないし。▼
- [コンスタンツェ]
- ヴァイス・ブレイヴが負ければ…
即座にこの世界は暗闇に…
深淵に沈んでしまいますわ。▼
英雄たちだけではなく
この世界に息づく
すべての命を巻き込んで…▼
- [バルタザール]
- このレスターの格闘王が…
それを防ぐために呼ばれたってわけか。
いっちょ、やってやるか。▼
- [コンスタンツェ]
- ええ。私の高貴なる魔道で
この世界を救ってさしあげてもよくってよ!▼
- [ハピ]
- なにかに縛られるのはイヤだけど
やるべきことをやらないのも
気持ち悪いし。▼
- [ユーリス]
- 決まりだ。灰狼の学級は
ヴァイス・ブレイヴに手を貸す。▼
アビスに戻るのは…
戦いの後ろで糸を引いてる奴らを
ぶちのめしてからだ!▼
雌伏令嬢 コンスタンツェ†
- [アンナ]
- え…? あなたと同じような
境遇の英雄を紹介してほしい?▼
- [コンスタンツェ]
- いかにもですわ!
アスク王国にはこれだけの数の
英雄が揃っておりますもの。▼
私のように貴族としての生き方を奪われ
痛ましい状況でも希望を捨てない…
雄飛の志を持つ英雄が望みですの!▼
- [アンナ]
- ちょ、ちょっとコンスタンツェ。
顔が近いわよ、顔が…!▼
- [コンスタンツェ]
- 失礼、アンナ隊長。
つい興奮してしまいましたわ。▼
- [アンナ]
- 昼間、あなたを見たときは
「生まれてきて申し訳ございません」とか
言ってた気がするけど…▼
夜のあなたは人が変わったみたいに
活き活きとしてるわね。▼
- [コンスタンツェ]
- おーっほっほっほっ!
これが本来の私ですの!
陽の下の「私」のことはお忘れになって!▼
- [アンナ]
- それで、あなたと似たような
境遇の英雄なんだけど…。▼
- [コンスタンツェ]
- いらっしゃいますの?
有益な生き方をしておられるなら
ぜひとも参考にしたいですわね!▼
- [アンナ]
- 貴族の地位を追われた英雄ね…。
うーん…
一応ヴィオールがいるけど…▼
でも、彼は地位を奪われたんじゃなくて
諸事情で自ら領土を手放したって
聞いたような…。▼
あと、実りある話は聞けそうにないし…。▼
…そうだ! 彼がいたわ!▼
詳しくは知らないんだけど
エレブ大陸から来たレイヴァンが
似たような境遇だったんじゃないかしら?▼
- [コンスタンツェ]
- 助かりますわ、アンナ隊長!▼
さっそく、家を再興するために
どのような努力をしておられるのか
伺ってまいりますわ!▼
- [レイヴァン]
- ……▼
- [コンスタンツェ]
- 見つけましたわ…
聞き及んでいた風貌どおり。
あの方がレイヴァン様ですわね。▼
夜更けに失礼しますわ。
私はコンスタンツェ=フォン…。▼
- [レイヴァン]
- …知っている。
お前たちはフォドラという地から
来たと聞いた。▼
- [コンスタンツェ]
- あら? ご存じでしたの?▼
- [レイヴァン]
- 雇われた以上、同じ軍の人間は
顔だけでも把握しておくものだ。
こんな寄せ集めの部隊ならなおさらな。▼
- [コンスタンツェ]
- ……!
こ、この佇まい…
やはり只者ではございませんわね。▼
レイヴァン様、ぶしつけですが
折り入って伺いたいことがございますの。▼
私の家、ヌーヴェル家は
アドラステア帝国貴族でも名門…
と言って差し支えのない家柄でしたの。▼
それが数年前に起こった戦いが元で
私は両親と一族を亡くし…。▼
ヌーヴェル家は爵位を失い
取り潰しになってしまいましたの。▼
- [レイヴァン]
- ……▼
- [コンスタンツェ]
- しかし、私は今でも家の再興を
あきらめてはいませんわ!▼
レイヴァン様も同様でございましょう?
どのようにして再興するつもりか
考えをお聞かせくださいません?▼
- [レイヴァン]
- もう無いものに
縛られる必要はない…▼
- [コンスタンツェ]
- え? 今、なんと…?▼
- [レイヴァン]
- 家を再興したところで…
失われた命は戻ってこない。▼
それに、俺が選んだのは
再興ではなく復讐だった。▼
お前にとって、実になるような
話はできないだろう。▼
- [コンスタンツェ]
- あっ…! レイヴァン様!
お話が…行ってしまいましたわ。▼
選んだのは再興ではなく…復讐?
それはどういう意味ですの…?▼
- [コンスタンツェ]
- 解せませんわ、メルセデスお姉様…!▼
- [メルセデス]
- あらあら~。
まだ気が昂っている感じかしら?
まあ、紅茶でも飲んで落ち着いて~。ね?▼
- [コンスタンツェ]
- 復讐と家の再興、それは
天秤にかけられるものですの!?▼
新しい魔法を開発して功績を
認められるというなら、まだわかりますわ!
ですが、復讐なんて…。▼
- [メルセデス]
- まあ、人にはそれぞれ
事情があるからね~。▼
- [ルセア]
- あの…失礼いたします。
少々、お話ししても
よろしいでしょうか?▼
- [コンスタンツェ]
- あら? 貴方は…?▼
- [ルセア]
- わたしは修道士のルセア。
コンウォル家…
レイモンドさまの従者をしておりました。▼
- [コンスタンツェ]
- 修道士? 修道女ではなく?▼
- [ルセア]
- は、はい…。▼
- [メルセデス]
- コンスタンツェ、ルセアさんは
間違いなく男性よ~。▼
- [コンスタンツェ]
- し、失礼しましたわ!▼
- [メルセデス]
- レイモンドさまと言うのは…
もしかしてレイヴァンさんのことかしら~?▼
- [ルセア]
- はい。レイモンドさまは…
今は偽名を使われていらっしゃるのです。▼
先日、コンスタンツェさまが
レイモンドさまに、ご実家のことを
伺われたとお聞きして…▼
- [コンスタンツェ]
- 確かに伺いましたわ。
ご実家をどのような方法で
再興なさるのかを。▼
ですが…。▼
- [ルセア]
- ……。▼
レイモンドさまはコンウォル家の滅亡を
オスティア候ウーゼルさまの
謀略によるものだと考えられました。▼
- [メルセデス]
- オスティア侯…? それって
ヘクトルさんのご実家よね~?▼
- [ルセア]
- はい。そしてレイモンドさまは
復讐のためウーゼルさまの実弟である
ヘクトルさまへと近づかれたのです。▼
ですが、それは憎しみに囚われ
噂を鵜吞みにしてしまった
レイモンドさまの誤解でした…▼
- [メルセデス]
- つまり…オスティア侯に
罪はなかったってことなのね~。▼
- [ルセア]
- しかし…レイモンドさまが
復讐の道を選んだのは、憎しみに
囚われたことがすべてではありません。▼
命を落とされた、大切な人々を
想ったがゆえの選択だったのです。▼
- [コンスタンツェ]
- その想いは…家の再興を考えるよりも
遥かに大きかった、ということですの?▼
- [ルセア]
- レイモンドさまは…お優しいのです。
大切な人々の死が
あまりに深い哀しみだからこそ…▼
誰かを憎むことでしか
生きていくことができなかった…
悲しいことですが…▼
- [コンスタンツェ]
- ……▼
- [コンスタンツェ]
- レイヴァン様…!
今日もお伺いしたいことがございますの!▼
- [レイヴァン]
- ……。▼
- [コンスタンツェ]
- 結局…貴方の復讐は
どうなりましたの?▼
- [レイヴァン]
- …無念を晴らしたところで
失われた命は帰ってこない。▼
ヘクトルを殺したところで
新たな憎しみを生むだけだ…▼
- [コンスタンツェ]
- でも…貴方は
復讐という目的を失っても
戦うことをやめなかったのでしょう?▼
- [レイヴァン]
- ……。
せめて…残された人間に
居場所を作ってやりたかった。▼
それが…
俺が戦い続けた理由だ。▼
- [コンスタンツェ]
- 残された人間に…
居場所を…作る…。
それは…従者のあの方も…?▼
- [レイヴァン]
- …お前の本当の居場所が
再興したヌーヴェル家だと思うのなら
それを目指せばいい。▼
その居場所は…お前だけでなく
お前の周囲にいる人間にとっても
大切な場所になるはずだ。▼
- [コンスタンツェ]
- なるほど…! なるほどですわ!
レイヴァン様、力強いご助言のほう
感謝いたします…!▼
アビスで生きる私たちの居場所は…
灰狼の学級だった。▼
ですが、地上に出たときに
私たちの居場所となるのは…きっと
ヌーヴェル家のほかにありませんの!▼
私は必ず…
皆の居場所を作って見せますわ。▼
それこそがヌーヴェル家を
再興する意味ですの!▼
どんな困難が押し寄せても
私は本懐を遂げてみせますわよ。▼
コンスタンツェ=フォン=ヌーヴェルに
敗北の二文字はありませんわ!
ほーっほっほっほっほっ!▼
灰色の義侠心 ユーリス†
- [ユーリス]
- あんたも変わり者だな。
どうしてそんなに
アビスの話を聞きたいんだ?▼
- [フィヨルム]
- 私は今まで陽が注ぐ
明るい世界でしか
生きてきませんでした。▼
でも、世界にはいろいろな事情を抱え
陽の下では生きられない人々がいる…▼
私は、世界のそういう側面も
知っておくべきだと思ったのです。▼
ニフル王国の王族としてだけでなく
一人の人間として。▼
- [ユーリス]
- わかったよ…。話してやるよ。
けどよ、あまり楽しい話じゃないぜ。▼
あんたが今まで見てきた
清く正しく明るい世界が
濁って見えちまうかもしれねえぞ?▼
- [フィヨルム]
- はい、覚悟の上です。
私は、そういう世界から目をそらすことが
心に濁りを生んでしまうと思うのです。▼
- [ユーリス]
- そうかい…王女様は変わり者だな。
ま、悪党の戯言だと思って
話半分で聞いてくれよ。▼
- (暗転)
- [ユーリス]
- …とまあ、こんな感じだ。
アビスってのは、そんな奴らが集まって
肩を寄せ合って暮らしている場所だ。▼
好き好んで、あんな穴ぐらで
生きているわけじゃねえ。
でもな、事情がそれを許しちゃくれねえ。▼
- [フィヨルム]
- ……▼
ありがとうございます、ユーリスさん。
私はこうして陽の下で生きられるだけでも
幸せなのですね。▼
- [ユーリス]
- 勘違いしないでくれよ王女様。
話だけ聞けば同情を誘うかもしれねえが…▼
アビスにいても
誇りを捨てずに生きている奴もいる。
前向きに、未来に向かってな。▼
- [フィヨルム]
- す、すみません。
どちらが幸せかなんて
誰にも決められませんよね。▼
- [ユーリス]
- かもな。俺も灰狼の学級に身を置いてるが
元々は青獅子の学級で
平穏に過ごす予定だった。▼
- [フィヨルム]
- え? 青獅子の学級というと
ディミトリ王子が級長を務める…▼
- [ユーリス]
- あのまま青獅子の学級に身を置いたら
きっと俺の運命も違うものに
なってたかもしれねえしな。▼
果たして、どちらの道が
俺の未来をより照らしてくれたのか…
俺自身にも見当がつかねえ。▼
- [フィヨルム]
- あの、ユーリスさん。
あなたはそもそも…どうして
アビスへ行くことになったのですか?▼
- [ユーリス]
- アビスに行くことになった理由か。
あまり人に話せるようなもんでも
ねえんだけどな。▼
- [フィヨルム]
- ……▼
- [ユーリス]
- まだ青獅子の学級に籍を置いていた頃
教団の人間と揉めちまってな。▼
それで処刑されそうになったところを
アルファルドさんに助けられたのさ。
情状酌量の余地がある、とか言ってな。▼
- [フィヨルム]
- アルファルドさん…
この間、ユーリスさんたちと一緒に
アスク王国にいらした修道士の方ですね。▼
- [ユーリス]
- アルファルドさんはアビスに
灰狼の学級を設立した、俺たちの恩人だ。▼
アルファルドさんがいなかったら
俺は教団の連中に処刑されてただろうな。▼
- [フィヨルム]
- そんなに大変な揉め事だったのですか?▼
- [ユーリス]
- 俺は確かに悪党だが…
悪党にも悪党として生きて行くうえで
譲れない矜持ってもんがある。▼
それをねじ曲げてまで、日の当たる
場所で生きようとは思わなかった。
それだけさ。▼
で、アビスの連中は地上を追われた俺を
なんの偏見も持たずに受け入れてくれてさ。▼
だから、俺は決めたんだよ。
こいつらを守るために
アビスで戦おう、ってな。▼
- [フィヨルム]
- …そんなことがあったんですね。▼
- [ユーリス]
- ……。▼
おい、そこにいるんだろ?
立ち聞きとか、あんたには
似合わなさそうな気がするがね。▼
- [ディミトリ]
- ……。▼
- [フィヨルム]
- ディミトリ王子…!▼
- [ディミトリ]
- すまない。
立ち聞きするつもりは
なかったのだが…▼
- [ユーリス]
- 偶然、だろ。あんたの人柄は
聞き及んでいるよ。▼
- [ディミトリ]
- 大修道院の地下で会って以来だな。
まさかこうしてアスク王国でも
再会することになるとは。▼
- [ユーリス]
- あのときは悪かったな。
アビス暮らしは刺激が少なくてね。▼
退屈しのぎとはいえ、皇女様や王子様
諸侯同盟の未来のリーダーに
剣を向けちまった。▼
- [ディミトリ]
- いや、俺たちも、まさか
大修道院の地下にあのような空間が
広がっているとは思わなくてな…▼
- [ユーリス]
- まさかそこに人間が住み着いているとか
想像もできなかったか?
まあ…無理もないか。▼
- [ディミトリ]
- ……。
アビスから引き上げたあと…
先生からいろいろと話を聞いた。▼
アルファルド殿が
アビスを管理されていること。▼
アビスには、行き場を失った人々が
肩を寄せ合い、生きているという話をな。▼
- [ユーリス]
- ……▼
- [ディミトリ]
- 青獅子の学級に籍を置きながら
大修道院を追われた生徒の話は
以前から噂として聞いていた。▼
もしかすると…
お前とともに学んでいた可能性も
あったのかもしれないな。▼
- [ユーリス]
- ま、俺の性格じゃ、遅かれ早かれ
ガルグ=マク大修道院を
追われていたかもしれないがね。▼
- [フィヨルム]
- あの…なんのしがらみもない
アスク王国なら…▼
今からでもディミトリ王子と
ユーリスさんが同じ学級で
学べるかもしれませんね。▼
- [ディミトリ]
- いや、フィヨルム王女。
言葉を返すようだが…▼
俺はユーリスを青獅子の学級に
迎え入れようとは思わない。▼
- [ユーリス]
- ……▼
- [フィヨルム]
- え…?
ディミトリ王子、
それはどういう…▼
- [ディミトリ]
- 先生から聞いていたのは
アビスの人々の暮らしだけではない。▼
灰狼の学級…お前たちがアビスの民を
事情を持って追われた民を…
さまざまな困難から守っていたと聞いた。▼
- [ユーリス]
- ……▼
- [ディミトリ]
- アビスもまた、さまざまな経験が
得られる学びの地。▼
お前たちはすでに
灰狼の学級の生徒として
誇り高く生きている。▼
地上にある学級と比肩しても
なんら劣ることはないだろう。
灰狼の学級は、立派な学級のひとつだ。▼
- [ユーリス]
- あんたのその言葉…
他の連中にも伝えておくよ。▼
そうだな…今さら俺には
他の学級の看板は必要ねえ。
灰狼の学級…それが俺たちの居場所だ。▼
- [ディミトリ]
- もっとも…先生ならお前たちを
地上の教室にスカウトするとか
言い出しかねないがな。▼
- [ユーリス]
- あの先生なら言いそうだ。
もしかして、そんな未来もあるかもな。▼
- [フィヨルム]
- 地上と地下、場所は違えども
学ぶ機会はどこにでもある…▼
大切なのは場所ではなく
それぞれの環境でなにを
学ぶかということなのですね。▼
- [ユーリス]
- おっ、フィヨルム王女、
うまいことまとめたな。▼
- [フィヨルム]
- す、すみませんっ…
差し出がましいことを!▼
あ、そうだ…ユーリスさんに
あとひとつ質問なのですが…▼
そんなに肌がお綺麗なのは
アビス暮らしが長かったせいですか?▼
- [ユーリス]
- うーん、これはアビスには
あんま関係ないと思うぜ。▼
ま、俺は生まれついての美少年だからな。
強いて言うならそれが理由だな。▼
- [ディミトリ]
- 美少年…。
ユーリス、確かお前は俺より年上…。▼
- [ユーリス]
- さーてと、暇つぶしに
城下町でもブラついてくるか。
せっかく陽の下に出られたことだしな!▼
- [フィヨルム]
- あっ、ユーリスさん!
行ってしまいましたね…。▼
- [ディミトリ]
- ……。
青獅子の学級、黒鷲の学級
金鹿の学級、そして…灰狼の学級。▼
これで、4つの学級すべてが
アスク王国にも揃ったというわけですね。▼
- [フィヨルム]
- 頼りになる仲間が増えて
アルフォンス王子も心強く
思っていることでしょう。▼
- [ディミトリ]
- 灰狼の学級の面々…
彼らは私たちとは違う環境で
多くのことを学んでいます。▼
私も彼らから学べるものは学び
切磋琢磨していこうと思います。▼
- [フィヨルム]
- はい! このような機会は
そうあるものではないと私も思います。▼
同じく私も、たくさん
学ばせてもらおうと思います。
一日一日を…大切に!▼
レスターの格闘王 バルタザール†
- [バルタザール]
- うぉぉぉ!?また負けた!
なんで勝てねえんだ!▼
- [ヨシュア]
- 毎度あり。どんなに自分に力があっても
ツキがなけりゃ、それまでだ。▼
- [バルタザール]
- もう一回だ! 次こそ勝つ!▼
- [ヒルダ]
- バル兄、もうやめときなよ。
ヨシュアさんにどれだけ負けてるの?▼
- [バルタザール]
- 次だ! 次こそは勝てる気がする!
むしろ勝てる気しかしねえ!▼
- [ヨシュア]
- お、いいねえ。
自分のツキを信じるところに
賭け事の醍醐味があるからな。▼
- [ヒルダ]
- まぁ…また熱くなってるし。
兄さんがいれば
止めてもらうんだけどなぁ。▼
でもバル兄、アスク王国に来てからも
フォドラと同じこと繰り返すの?
このままじゃ、また借金まみれだよ?▼
- [バルタザール]
- むっ…。▼
そうだよな…フォドラには
おれの首を狙った賞金稼ぎも
借金取りもこねえし…。▼
心機一転、やり直すには
絶好の機会ってやつかもしれねえな。▼
レスターの格闘王と呼ばれたこのおれだ。
このアスク王国でもおれの強さが通用するか
いっちょ腕試しで自分を磨いてみるか!▼
- [ヨシュア]
- なるほどな。そっちに賭けるなら
そいつもまたよしだ。▼
けど、負けた分はちゃんと払っていけよ。
ジストとの負け分も溜まってるんだろ?▼
- [バルタザール]
- お、おう。わかってるぜ!
全部ひっくるめて
いつか取り返してやっからな。▼
- [ヒルダ]
- ところでバル兄、賭け事から
足を洗うのは大歓迎なんだけど…
腕試しって、なにするつもり?▼
- [バルタザール]
- 決まってんだろ。
強そうなヤツを見かけたら
喧嘩ふっかけんのよ!!▼
- [ヒルダ]
- は…?
そ、それってどう考えても
駄目でしょ!?▼
- [バルタザール]
- …おっ!
やたらと厳つい奴が
歩いてるじゃねえか!▼
おい! お前、いい身体してんな!
腕っ節のほうも自信ありそうじゃねえか!▼
- [ヒルダ]
- ちょ、ちょっと! バル兄…!
やめなよ…!▼
- [ヘルビンディ]
- おお…?
なんだてめーは。
喧嘩売ってんのか?▼
- [バルタザール]
- お、いいねいいね、その殺気!
どうだい、おれと腕比べといかねえか?▼
- [ヘルビンディ]
- …いいぜ。ちょうど退屈してたとこだ。
半殺しにしてやるよ。▼
- [バルタザール]
- そうこなくちゃな!
いっくぜぇ、おらぁっ!▼
- [ヘルビンディ]
- 後悔させてやるぜクソが! 死ねや!▼
- [ヒルダ]
- ちょ、ちょっとバル兄!?
ああっ、ヘルビンディさんまで…!?▼
- (暗転)
- [バルタザール]
- はぁ、はぁ、はぁ…。▼
- [ヘルビンディ]
- ぜはー、ぜはー、ぜはー。▼
- [バルタザール]
- …やるじゃねえか!
効いたぜぇ、お前の拳!
下っ腹までズシンと響いた!▼
- [ヘルビンディ]
- ちっ…てめーもやるじゃねーか。
クソ頑丈にできてやがるしよ。▼
- [バルタザール]
- このまま殴り合っても
顔がボコボコになるだけで
決着がつきそうにねえな。▼
どうだい、真の決着は
酒の飲み比べでつけるってのは?▼
- [ヘルビンディ]
- …バカかてめー。
俺が負けるわけねーだろうが!
とことん付き合ってやるぜ!▼
- [バルタザール]
- あっはっはっは! じゃあ行こうぜ。
この間、いい店を見つけたんだ!▼
- [ヒルダ]
- か、肩組んで行っちゃったし。
なんなのよ、もう…。▼
- [ヒルダ]
- もーっ! なにやってんのよバル兄!
喧嘩した挙句、夜通し飲んで
二日酔いなんて、それでも英雄?▼
- [バルタザール]
- …歩きながらそんな怒鳴るなよ。
頭に響くじゃねえか…。▼
んんん…!? なんだあいつは?
えらく腕っ節が強そうじゃねえか!?
酔いも吹っ飛びそうだ…!▼
- [ヒルダ]
- ちょっと、まだやる気なの!?
って、待ちなさいよー!▼
- [ティバーン]
- …なんだ?
俺になにか用か?▼
- [バルタザール]
- お前、強そうだな。
おれと手合わせしちゃあくれねえか?▼
- [ヒルダ]
- ちょっとバル兄、なんて口を聞くのよ!
このお方は鷹の民を率いる
フェニキス王国の王様なの!▼
す、すみません、ティバーン陛下!
この不心得者を、すぐに
連れていきますので!▼
- [ティバーン]
- 俺と喧嘩したい…?
いいぜ。俺たちラグズは喧嘩も大好物だ。
かかってきな。▼
- [バルタザール]
- そうこなくちゃな…! いっくぜぇ!▼
- [ヒルダ]
- またこの流れー!?▼
- (暗転)
- [バルタザール]
- はぁ、はぁ、はぁっ…。▼
- [ティバーン]
- やるな…
お前、名は?▼
- [バルタザール]
- バルタザール=フォン=アダルブレヒト。
レスターの格闘王だ!▼
- [ティバーン]
- ほう…お前も王か。▼
ならば王同士、続きは酒場で
外交するってのはどうだ?▼
- [バルタザール]
- 願ってもねえ。
先に仕掛けたのはおれだからな、
奢るぜ王様!▼
- [ヒルダ]
- ちょ、ちょっと二人とも
せめて怪我の手当てをしてから…▼
行っちゃった…。
もう、なんなのよーっ!▼
- [バルタザール]
- な、なぜだ。
ヴァイス・ブレイヴからもらった
支度金が底をついてるだと…?▼
- [ヒルダ]
- そりゃあ、あんだけいい気分になって
奢りまくったら、お金なんてすぐに
なくなるに決まってんでしょー!▼
- [バルタザール]
- やはり…異界でも先立つ物は
必要だな…。▼
ヒルダ、折り入って相談があるんだが
ちいとばかし、金を貸してくれ!▼
今度、デカい賭場が開かれるって
ヨシュアから聞いてるんだ。
頼むよ、なっ? 倍にして返すからさ!▼
- [ヒルダ]
- …わかった。▼
- [バルタザール]
- おっ、わかってくれたか!
長い付き合いだもんな!▼
- [ヒルダ]
- あたし、召喚師さんに頼んでくる。
兄さんを、この世界に
召喚してくれないかって。▼
- [バルタザール]
- な、なにぃ!?
ちょ…ちょっと待てヒルダ!
ホルストを呼ぶってのか!?▼
- [ヒルダ]
- あたしが言っても聞かないなら
兄さんに言ってもらったほうが
一番かなーって。▼
- [バルタザール]
- ま、待て、待て待て待て!▼
ヒルダに金を無心したなんて
あいつに知られたら…
い、命がいくつあっても足りねえ!▼
- [ヒルダ]
- レスターの格闘王なんでしょ?
そんなに怯える必要はないんじゃなーい?▼
- [バルタザール]
- それとこれとは話は別だ!
か、勘弁してくれ!
今度こそ心を入れ替えるから!▼
- [ヒルダ]
- あっ、バル兄!
逃げられたか…。▼
あーあ、今度こそ心を入れ替えて
もらえるといいんだけどなー。▼
- [ジスト]
- ……。▼
- [ヨシュア]
- どうだ、あいつが心を入れ替えるか
賭けてみるか?▼
- [ジスト]
- 面白い、と言いたいところだが…
おそらく賭けにならんとは思うぜ?▼
- [ヨシュア]
- はは、違いねえ。
ともあれ、うまい酒が飲めそうな
仲間が増えたことは歓迎だ。▼
- [ジスト]
- だな。これからも世話になるぜ。
レスターの格闘王。▼
魔物を呼ぶため息 ハピ†
- [ボーイ]
- シャロン王女、伺いたいことが
あるんですが…。▼
- [シャロン]
- なんでしょう、ボーイさん?
あれ…? なんだか浮かない顔ですね。▼
- [ボーイ]
- 先日、フォドラから召喚されてきた
英雄の中に、その…。▼
ため息をつくと魔物を呼んでしまう
英雄がいると聞いたのですが…。▼
- [シャロン]
- ああ、ハピさんのことですねっ!
わたしもその話を聞きましたけど
びっくりしました…!▼
- [ボーイ]
- え…やっぱり噂は
本当だったのか…?▼
- [シャロン]
- でも、あくまで噂じゃないですかね?
わたしはユーリスさんが冗談っぽく
言ってたのを聞いただけなのですが…。▼
そうだ! どうせなら
ご本人に聞きに行きましょう
そうしましょう! ボーイさんもぜひ!▼
- [ボーイ]
- ……。▼
- (暗転)
- [ハピ]
- …それ、ホントだし。▼
どういう理屈かはハピも知らないけど
ハピがため息をつくと魔物が現れるの。▼
- [ボーイ]
- あーあ…
なんてこった…▼
- [ハピ]
- なんなのこの人?
いきなり頭を抱えて…。▼
- [ボーイ]
- 頼む!
ここでは…アスク王国では
ため息をつかないでくれ!▼
- [ハピ]
- もちろん普段から気を付けてるけど、
絶対にっていう約束はできないし。▼
- [ボーイ]
- 俺、魔物だけはダメなんだよ…
うう…▼
- [シャロン]
- 大丈夫ですよ、ボーイさん。
アスク王国には魔物らしい
魔物は出たことはないんです。▼
- [ボーイ]
- 本当か…?
でも、この国じゃ
なにが起こるかわからないしな…。▼
ハピ、一方的で悪いけど頼んだぜ。▼
- [ハピ]
- ……やば。
今ちょっとため息つきそうになったし。▼
- [シャロン]
- というわけで、遠くからこっそりと
ハピさんを見張ることにした
わたしたちです!▼
- [ボーイ]
- 別にシャロン王女は
俺に付き合わなくても…。▼
- [シャロン]
- いやいや、気になるじゃないですか!
本当に魔物が現れるのかなーって。▼
でももし、本当に魔物が出ちゃったら
どうするんですか?▼
- [ボーイ]
- うっ…! そ、それはだな…。▼
- [ルーテ]
- 魔物のことでお困りのようですね。▼
- [シャロン]
- あっ、ルーテさん! お困りというか
これから困るかもしれない可能性が
あるというか…。▼
- (暗転)
- [ルーテ]
- 話は完璧に理解しました。▼
あなたがたの不安は四種二十八項目に
分類できますが…今のところ
その多くは杞憂に終わるでしょう。▼
- [ボーイ]
- 杞憂に終わるなら
それでいいんだけどよ…。▼
- [ルーテ]
- しかし、ため息をつくと魔物を
呼んでしまうというその現象…▼
魔物を召喚するとなると
これは闇魔法の系譜に属する
大がかりな魔道…▼
莫大な魔力を必要とするため
おいそれと行えるものではありませんね。▼
- [ボーイ]
- じゃあ、世界のどこかにいる
魔物を「呼ぶ」という性質を持った
特殊な技能なのか?▼
- [ルーテ]
- そう考えるのが妥当です。▼
- [シャロン]
- 前にも言いましたけど、アスク王国で
魔物が目撃された例はないらしいですよ。▼
すくなくとも、ここ50年は。
ですから、大丈夫な気も…▼
- [ルーテ]
- 50年間、目撃例がないとしても…
51年目で現れる可能性も
ゼロではありません。▼
はぐれ飛竜や人間に戻れなくなった
マムクート…そのような魔物が
領内に潜んでいる可能性もありますね。▼
- [ボーイ]
- じゃ、じゃあ…ハピがため息をつくと
アスク王国のどこかにいるかもしれない
そういう魔物を呼び寄せちまうのか?▼
- [ルーテ]
- しかし、先ほども言った通り
もし魔物が出たとしても
心配する必要はありません。▼
魔物を狩るのは慣れています。
私、優秀ですから。▼
- [ボーイ]
- 魔物が出なけりゃそれで
すべてが丸く収まるからな。
何事も起こらないことを祈るぜ…▼
- [ハピ]
- ……。▼
- [ボーイ]
- よし、今のところ
ため息をつく気配はないな。
これなら大丈夫か…▼
- [シャロン]
- そもそも、ため息ってどんなときに
つくものなのでしょう?▼
- [ボーイ]
- それは…がっかりしたときとか
落ちこんだときとか
呆れたときなんかじゃないですか。▼
- [ルーテ]
- ハピを先ほどボーイが挙げた
精神状態に陥らせなければ、
ため息を未然に防げるかもしれません。▼
- [シャロン]
- それでは、その兆候が現れたら
先に私たちが行動して防ぎましょう!▼
- (暗転)
- [クリス]
- さて、今日も腕によりをかけて作るか…▼
- [シャロン]
- はっ! あれを見てください!
今日の料理当番は
クリスさんじゃないですか!▼
- [ボーイ]
- クリスの料理がハピの口に入ったら
ため息一つじゃ済まない…
俺が代わってきます!▼
- [ハピ]
- ……▼
- [ベルナデッタ]
- うう…早く帰りたい、あたしの部屋…。▼
- [シャロン]
- あっ! ハピさんの
進行方向にベルナデッタさんが!▼
- [ボーイ]
- ヤバイな、ベルナデッタの空気に
釣られて、ハピも一緒に
落ちこんでしまうかも…▼
- [ルーテ]
- ボーイ、なにか面白いことを言って
ベルナデッタの気分を
盛り上げてきてください。▼
- [ボーイ]
- そんなこと言われても
急に面白いことなんか
言えるわけないだろ…!▼
- [ベルナデッタ]
- あ…図書室に本、忘れちゃった…▼
- [シャロン]
- ベルナデッタさん、来た道を
戻っていきます。これでハピさんと
鉢合わせずに済みますよ!▼
- [オフェリア]
- 感じる…この国に迫る大いなる危機…
暗紅のオフェリアが無数の魔物へと
勇躍していく未来が見える!▼
- [オーディン]
- まさかオフェリア…お前の
ロイヤルブラッディ・マークが…!▼
- [ルーテ]
- これはまた何かをこじらせた
二人がきましたね。▼
- [ボーイ]
- まずいぞ…! あいつらの世界観は
独特過ぎる…あの空気に触れたら
ため息が出てもおかしくない!▼
- [ハピ]
- あのさー、いい加減にしてくんない?▼
- [ボーイ]
- げっ…! き、気づかれた!?▼
- [ハピ]
- ハピを見張って、なんかいろいろと
小細工しようとしてたみたいだけど…▼
ハピ、イライラしたときも
ため息が出ちゃうんだよね。▼
- [シャロン]
- えっ…? ええーっ!?▼
- [ハピ]
- ……。▼
- [ボーイ]
- ま、待てハピ!
落ち着け、気を鎮めてくれ…!▼
- [シャロン]
- そ、そうですよ、ハピさん!
なにか楽しいことを考えて…!▼
- [ハピ]
- ……▼
どうして異界まで来て
こんなことになってるのかなぁ。▼
……。
はあ…。▼
- [ボーイ]
- う、うわぁぁぁっ!
とうとうついた…ため息を!▼
ど、どうなる…!?
出るのか、魔物が!▼
- [ローロー]
- ……▼
- [ボーイ]
- うわあああぁぁ…!
でっ、出たぁぁぁ…!▼
- [ローロー]
- あい?▼
- [ボーイ]
- って、ローローじゃないか。
てっきり魔物かと思ったぜ…▼
- [ルーテ]
- 見たところあなたは新鮮です。
マミーでも屍兵でもなさそうですね。▼
- [ローロー]
- オレ、魔物ちがう。
オレ、これから斧のタンレン。
ウキキ。▼
- [シャロン]
- ふぅ…どうやら魔物は
現れなかったみたいですね。▼
- [ハピ]
- じゃあ、本当にアスク王国には
魔物がいないんだ。
ここではハピもため息つき放題ってこと?▼
- [ルーテ]
- どうやら、あなたの特異体質は
アスク王国では意味を成さないようです。▼
- [ボーイ]
- まったく、どうなることかと思ったぜ。▼
- (暗転)
- [門番]
- 驚きました…アスク王国にも
あんな怖そうな魔物が出るんですね。▼
- [アルフォンス]
- 僕もはじめて見たよ。
なんとか倒せたからいいものの…▼
もしかすると、未知の異界から
侵略を受けているのかもしれない。
今後はより一層警戒しよう。▼
- [門番]
- りょ、了解であります…!▼
- (暗転)
- [ハピ]
- よかった…魔物が出ないのなら
アスク王国では
ハピはため息つき放題だし。▼
- [ボーイ]
- 疑って悪かったな、ハピ。
これからは好きなときに
ため息ついてくれよ。▼
- [シャロン]
- よかったですね!
今日もアスク王国は平和です!
ふふふふ!▼
- [ボーイ]
- 一件落着だな! ははははっ!▼
- [ルーテ]
- 私が優秀すぎるためでしょうか…
非常によろしくない何かを感じるのですが…
まあ、気にする必要はないでしょう。▼
コメント†
Last-modified: 2022-03-17 (木) 13:56:20