[広告]

章別会話

深淵に蠢く絶望

深淵に蠢く絶望

オープニング

[アンナ]
そろそろアスク王国と
エンブラ帝国の国境のあたりよ。
あと少しで若草の村に着くわね。▼
黒い闇に閉ざされた村は
元に戻ったって聞いたけど
まだまだ安心はできないわ。▼
[アシュ]
お気をつけてください。このあたりには
憑竜エンブラの【閉ざす力】の影響が
少なからず残っておりますので…▼
[アルフォンス]
すべてを閉じ込めてしまう黒い闇。
今回の調査で、どんな影響があるのか
しっかりと確認しておきたい。▼
[シャロン]
そうですね。
うっかり足を踏み入れたら
大変なことになりそうですし。▼
あっ、エクラさん。
その茂み、足元が見えにくいので
気を付けてくださいね。▼
(画面が点滅する)
[アルフォンス]
!?
エクラ!▼
[シャロン]
わ、わわわっ!
エクラさんの身体が
黒い闇に…吸い込まれて!?▼
[アシュ]
召喚師様っ!?
な、なんということでしょう!
これは危急の一大事と申しましょうか…▼
(暗転)
[エルム]
……▼
ううっ…頭の中が…
霞がかかったみたいに…▼
ここはどこだ?
僕は神竜アスクの世界に入って
そこで力を失ったはず…▼
そ、そうだ、エンブラ様は!?
エンブラ様はどこに!▼
……!?
こいつは、アスク王国の召喚師!
どうしてここにいるんだ?▼
死んでいるのか?
いや、気を失っているだけか…▼
(白く光る)
[エルム]
くっ! なんだ!?
この光は…
こいつの神器が光ってるのか?▼
この神器にはたしか
異界の英雄を召喚できる力が…
!▼
(白く光る)
[ハイドラ]
……▼
[クロム]
……▼
[マリア]
ここは…どこ?
兄様、姉様…▼
[ベレス]
闇の…中…?
これは…いったい…▼
…………。
ええい、これは尋常ではない!
わしに代われ!▼
おい、そこの小童(こわっぱ)
わしらを闇の中に
封じたのはおぬしじゃな!▼
[エルム]
な、なにを言ってるんだ?
僕はなんの関係もない!
こいつの神器が勝手に…▼
[ハイドラ]
ここは、透魔王国ではないな。▼
…なるほど、理解したぞ。
あのときに見えた未来は
これを指し示していたか。▼
[エルム]
な、なに、訳のわからないことを
言って…うわっ!▼
[クロム]
イノチハ…カリトル…▼
[エルム]
あ、危ないだろ!
こいつ、僕を殺す気で
剣を振り下ろしやがった!▼
[マリア]
あなたの…メディウスさまの…
じゃまを…するの…?
じゃまを…するもの…消えて…▼
[エルム]
くっ!
おいっ、起きろ召喚師!
こいつらをなんとかしろ!▼
ちっ、気を失ったまま死ぬ気か!
この役立たず!▼
[アシュ]
召喚師様―! ご無事でしょうか?
神竜アスク様の眷属として
不肖ながら私がお助けできればと…
[エルム]
牛女!?
[アシュ]
もしかして、お取り込み中のご様子?
ここは逃げるが得策と思われます。
召喚師様は私が背負いますので…▼
[エルム]
お、おい、牛女!
僕の話を聞け!

C

[アシュ]
はぁはぁ、とりあえず
ここまで逃げれば大丈夫かと。▼
…よいしょっと。召喚師様は
気を失っておられるだけのようです。
お命に別状はないご様子でなにより…▼
[エルム]
説明しろ、牛女!
いったい、ここはどこだ?
さっきのイカれた連中はなんだ?▼
そいつが気絶したまま
召喚したみたいだったぞ!▼
[アシュ]
召喚師様が意識を失ったままに
ブレイザブリクが発動するとは、
ただただ驚くばかりであります。▼
なにぶん、ここは
閉ざされた闇の中でありますから、
私にもはっきりした理由までは…▼
[エルム]
閉ざされた闇の中?
ここはエンブラ様のお力で
作られた空間なのか?▼
[アシュ]
はい。
私は闇の中に囚われた召喚師様を
助けに馳せ参じた次第であります。▼
[エルム]
ドジ踏んだそいつの
尻拭いに来たってわけか?▼
って、そんなことはどうでもいい。
それよりエンブラ様は!?▼
[アシュ]
実は…アスク様も
憑竜エンブラも…
去ってしまわれました。▼
[エルム]
なんだって!? うそをつくな!
あのエンブラ様がアスクなんかに
後れをとるわけが!▼
[アシュ]
お二人が消滅するとき
お互いのわだかまりも
一緒に消えたともうしましょうか。▼
そのおかげで、
アスク王国とエンブラ帝国は今や
手を携えた状態でありまして。▼
ゆえに、眷属たる私たちもまた、
もう争う必要はないのであります。▼
[エルム]
……▼
[アシュ]
今、私たちがすべきことは協力して
ここから出ることではないかと
そのように思う次第でありまして。▼
[エルム]
黙れ…僕は、僕は信じないぞ。▼
神竜アスクはともかく
エンブラ様がいなくなるはずがない。
あのエンブラ様が!▼
[アシュ]
……!?
あぶないっ!▼
[エルム]
くっ!? この攻撃はまさか!▼
[ベレス]
出せ…お主ら…
この闇から、わしらを出せ!▼
[アシュ]
ベレス先生!? いえ、この雰囲気。
私が知っている御方とは異質な空気を
感じざるを得ないわけでありまして…▼
[クロム]
イノチヲ…ヨコセ…▼
[アシュ]
クロム王子!?
ですが、少々顔色が優れないご様子…▼
いえ、そういう問題でないほど
姿形が変わってしまわれたといいましょうか。▼
[エルム]
なに、のんきなことを言ってるんだ!
見りゃわかるだろ、ヤバいやつらだって!▼
くそっ、さっき目覚めたばかりで
まだ力が戻ってないか…
ここは逃げるぞ、牛女!
[アシュ]
し、承知致しました。
召喚師様は私が背負って、と。
どちらへ逃げるのが良いでしょうか?▼
[エルム]
知るか! 勝手に逃げろ!▼
[ベレス]
逃がさんぞ、痴れ者どもが!▼

B

[エルム]
はぁはぁ、なんとか撒いたか…▼
[アシュ]
あの殺気たるや尋常ではないご様子、
少しでも逃げる足を緩めれば、私たちも
使者の列に加えられていたことは確実で…▼
[エルム]
で、どうしてお前は
僕と同じ方向に逃げるんだよ!▼
お前らが囮になれば楽に逃げられたのに。▼
[アシュ]
ですが、先ほど
「こっちだ!」と仰られたような気が…?▼
[エルム]
あれはつい口をついて出ただけだ!
くそっ、調子が狂うな。▼
[マリア]
…人は…いつまでも…
あらそいつづける。▼
[アシュ]
マリア王女!? いえ、その目は
あのお優しいマリア王女とは違う
深い絶望をたたえた瞳と申しますか…▼
[マリア]
ミシェイル兄様も…
ミネルバ姉様も…▼
にんげんたちが…いきているかぎり
かなしみは…ひろがっていく…▼
いっそ…
みんなみんな…
いなくなれば…▼
[アシュ]
わわっ!
マリア王女、あの優しかったお心を今一度
思い出していただきたいと…はわ-っ!?▼
[エルム]
避けろよ、馬鹿牛!
見てわかるだろう?
話が通じるような相手じゃない!▼
[ハイドラ]
…そうだ。
貴様ら人間と話し合う余地はない。▼
心を踏みにじり、思いを裏切り…
真実価値のない人間どもなど
滅ぼすよりほかはない。▼
[エルム]
な、なんだ、この異様な圧力は!?
まるでエンブラ様のような…。
いや、もっと異質な深い闇。▼
くそっ、召喚師め。
なんてやつを呼び出したんだ!▼
[ハイドラ]
侮るな…我は
召喚に応じたわけではない…▼
先んじて我が眷属を送り込み…
自らの力でこの世界に乗り込んできた。
開かれた国である…この地に。▼
[アシュ]
そ、そのような所業は
もはや神に等しい力…!?▼
もしや、この英雄の方々が
同時に召喚されたのもその影響…?▼
[ハイドラ]
ここより通じる、すべての世界を
人間たちが息づくすべての国を…
滅ぼしてくれる!▼
[エルム]
まずは手はじめに
僕たちを消そうというわけか!?
くっ、思い通りにさせるか!▼
お前たちのような禍々しい連中を
エンブラ様が創った国に
行かせはしないぞ!▼
[ベレス]
出せっ! ここから出せっ!
終わりのない闇から
わしらを出せぇっ!▼
[クロム]
スベテノ…イノチヲ…
ゼツボウニ…▼
[アシュ]
こ、これはまさに
絵に描いたような絶体絶命!
早急に打開策を立てねばなりません…!▼

A

[エルム]
くそっ!
エンブラ様の眷属として
ここで終わるわけには…!▼
[アシュ]
あのですね、ひとつ提案がありまして、
その効果は不確かではありながらも
可能性としては決して低くはなく…▼
[エルム]
ああもう! 回りくどいんだよ!
要点を言え!▼
[アシュ]
私が神竜アスク様のお力をお借りすれば、
この闇を開いて外に出られる
可能性があるかと存じます。▼
ですがそれには、
あなたの力も必要と考えておりまして…
ご助力願えますでしょうか?▼
[エルム]
僕がお前と力を合わせるだって?
馬鹿なことを…▼
[アシュ]
あなたが今いるのは、
あなたの主が、生きてほしいと
願ったからではないでしょうか?▼
なら、あなたには眷属として
生きる使命があると思うのです。
主の想いを忘れぬために。▼
[エルム]
……▼
[アシュ]
外に出ればアスク王国とエンブラ帝国が
和解の道を歩んでいることも
確かめられるはず…わわっ!▼
[ベレス]
なにをごちゃごちゃと!
早くわしらをここから出さぬか!▼
[マリア]
消えて…すべて…
…あらそいも…▼
[エルム]
くっ! 牛女!
お前たちを助けるわけじゃない。
エンブラ様のご遺志を確かめるためだ!▼
こいつらを闇の中に閉ざしたまま
僕たちだけ外に脱出する!▼
[クロム]
オオオオッ!▼
[ハイドラ]
…死ぬがよい。▼
[アシュ]
開神アスクの御名において!▼
[エルム]
閉神エンブラの御名において!▼
[アシュ]
闇を開き
光さす世界へ―――!▼
(暗転)
[アシュ]
う、う-ん…
はて? ここは…▼
[アルフォンス]
アシュ!
それに
エクラも!▼
[シャロン]
よかった!
無事だったんですねっ!▼
[アンナ]
エクラは
大丈夫なの? って…
気を失っただけみたいだね。▼
[アシュ]
私たちは闇の中から
戻ってこられたのですね…▼
はっ!?
彼を見ませんでしたでしょうか?
憑竜エンブラの眷属の…▼
[アンナ]
私たちが見つけた時は
エクラと
アシュの姿しかなかったわよ?▼
[アシュ]
そう…ですか。彼はどこかに
行ってしまわれたのでしょうか。▼
これからは、憑竜エンブラが遺した
エンブラ帝国のために
力を使ってくれればいいのですが…▼
いえ、きっとそうしてくださる…
私、そう思う次第であります…▼

屍王 クロム

C

[フレデリク]
ここが【竜の祭壇】ですか……
たしかに禍々しい気配を感じますね。▼
[ルフレ]
ギムレー教団を率いるファウダー。
奴をここまで追い詰めたんだ。
一気に叩き潰そう。▼
[クロム(通常)]
だが、いいのか?
もしかするとファウダーはお前の…▼
[ルフレ]
構わない。
今、優先すべきものはなんなのか
しっかりと見えているつもりだよ。▼
[クロム(通常)]
そうか…。ならば
その決意に甘えさせてもらおう。▼
お前が俺の隣にいてくれてよかった。
俺は…お前とならば、どんな苦難でも
乗り越えられると信じている。▼
[リズ]
わたしたちだって一緒なんだからね!?▼
[ティアモ]
皆で力を合わせたからこそ
ここまで来れたのだと信じてるわ。▼
[グレゴ]
ま、そ-いうこったな。▼
[ガイア]
なにを足踏みしている。
さっさと終わらせるぞ。▼
[ヴィオール]
貴族的に勝利を収め
優雅に凱旋するとしようじゃないか。▼
[ドニ]
クロム様!
おらも最後まで頑張りますだ!▼
[リベラ]
無益な争いは
これで最後にしたいですね。▼
[ヘンリー]
戦いが終わっちゃうのは残念だけど
みんな、平和が好きなんでしょ?▼
[オリヴィエ]
一生懸命踊ります!
みんなのためにも…!▼
[ベルベット]
いきましょう。
命を…未来につなぐために。▼
[セルジュ]
みなさん、この戦いに勝って
必ず生きて戻りましょうね。▼
[ノノ]
ノノがみんなを守るの!▼
[ソワレ]
頼りになる仲間がこんなにもいるんだ。
心強いだろう、クロム?▼
[クロム(通常)]
…ああ、そうだな。
ありがとう、みんな。▼
今一度、力を貸してくれ。
ファウダーの野望、ここで打ち砕くぞ!▼
(暗転)
[クロム(通常)]
この一撃で、すべてを終わらせる!
覚悟しろ、ファウダー!!▼
[マリアベル]
今ですわ!
やっちまってくださいまし!▼
[リヒト]
いっけえええっ、クロムさん!▼
[サーリャ]
これで…終わり…!▼
[クロム(通常)]
はああああああっ!!▼
(白く光る)
[クロム(通常)]
はあ、はあ…やったか?
勝ったのか、俺たちは!
これでイーリスは…
世界は…救われる!▼

B

[ソール]
やった…倒した…。
僕たちが勝ったんだよね?▼
[ミリエル]
はい、この目で確認しました。
我々が勝利を収めたことは
間違いないでしょう。▼
[スミア]
よかった、クロム様。
皆さん、こんなにボロボロになって
私、もうダメなんじゃないかって…▼
[クロム(通常)]
勝った…勝ったんだな。
姉さん…やったぞ…
俺たちの手でファウダーを倒したんだ!▼
[フレデリク]
おめでとう…ござ…
クロム…さま…。▼
[クロム(通常)]
ん? どうした、フレデリク?
姿が…ゆがんで…?▼
[リズ]
おにい…ちゃ…
これで…もう…▼
[クロム(通常)]
リズ!? どうした!?
声が…かすれて聞こえない!▼
[ティアモ]
……▼
[ヴィオール]
……▼
[クロム(通常)]
様子が変だ!
おい、みんなどうした!
なにがあったんだ!?▼
無事なのか、リズ!
フレデリク、返事をしろ!▼
い、いない…!?
さっきまで、俺のまわりに
みんながいたはずなのに!▼
[ルフレ]
クロム…どうかしたのかい?
そんなに取り乱して…▼
[クロム(通常)]
なにかがおかしい!
みんなの姿が見当たらないんだ!
さっきまで、ここにいたはずなのに!▼
[ルフレ]
何を言ってるんだい。
みんななら、ほら…
あそこで寝ているじゃないか。▼
[クロム(通常)]
なっ!?
みんな、どうしたんだ!
大丈夫か、しっかりしろ!▼
……!?
息を…していない…
どういうことなんだ、これは!▼
ヴェイク! ソール! ソワレ! ドニ!
どうして誰も起きないんだ!?▼
[ルフレ]
なにを言っているんだい、クロム。
驚く必要なんてないだろう?▼
(暗転)
[ルフレ(邪竜)]
だって…彼らを殺したのは
ほかならぬ君なんだよ?▼
[クロム(通常)]
馬鹿な!
俺が大切な仲間たちを
手に掛けるはずはない!▼
俺たちは約束したんだ!
ファウダーとの戦いに勝って
みなで生きて帰ると!!▼
[ルフレ(邪竜)]
それは無理だよ。
だって今の君の顔…
死者そのものだよ?
命を持たない屍兵のようにね。▼
[クロム]
な、なんだこれは…
俺の手が…足が…▼

A

[ルフレ(邪竜)]
クロム…
君は勝利したと思っていたようだね。
だけど、それは勘違いなんだ。▼
[クロム]
ナニ…ヲ…言ッテ…▼
[ルフレ(邪竜)]
その証拠に…君の肉体から
すでに命は失われている。▼
そして、君の命を奪ったのは…
本来の魂の形…邪竜ギムレーを宿した
この僕なのだから。▼
[クロム]
マ…サカ…
ルフレ…▼
[ルフレ(邪竜)]
君が知るルフレは残念ながら
もう僕の中から消えた。
敗北したんだよ▼
あの人格は、もう存在しない。
二度と会うことは叶わないだろうね。▼
[クロム]
カエ…セ…アイツ…ヲ…
グゥゥ…オオオ…▼
[ルフレ(邪竜)]
さあ、おしゃべりの時間はおしまいだ。
君を蝕む闇に抗うすべはないよ。
身を委ねれば、すぐ楽になれるから。▼
[クロム]
オレハ…ミンナ…ヲ…▼
[ルフレ(邪竜)]
ああ、そうだったね。
君は仲間たちとの絆を
とても大切にしているんだね。▼
だけど、安心していいよ。
みんなももう、
君と同じ運命を辿った後だ。▼
[クロム]
……!!▼
[ルフレ(邪竜)]
君は彼らを率いて屍兵の王になるんだ。
群れることが大好きな君だ。
これで寂しくはないだろう?▼
[クロム]
マ…サカ…
コ…ンナ…コト…ガ…▼
[ルフレ(邪竜)]
手はじめに、イーリス聖王国から
落としていくとしよう。▼
王族である君の手によって
イーリス聖王国の民の命は奪われるんだ。
君の活躍に期待しているよ。▼
[クロム]
ソ…ンナ…コトハ…
グゥゥ…オオオオッ!▼
[ルフレ(邪竜)]
ふふ…楽しみだね、クロム。
一緒に、世界を
破滅と絶望で満たそう。▼
[クロム]
ス…マナ…イ…姉サン。
オレ…ハ…▼

S

[クロム]
……
コロス…
スベテノ…命ヲ…▼
[ルフレ(邪竜)]
素晴らしいじゃないか、クロム。
僕の想像以上だよ。▼
すべては、滅びるために存在している。
この調子なら、大陸全土が
落ちるのも時間の問題だね。▼
世界は間違いなく
絶望の未来へと歩みを進めているよ。▼
[クロム]
世界ハ…絶望ニ…満タサレル…
運命ハ変エラレ…ナイ…▼
[ルフレ(邪竜)]
ああ、そのとおりだよ。
運命を変えるなんていう言葉は
弱者が足掻くための欺瞞だ。▼
だけど、急いで殺しすぎたかな。
おかげで、君の仕事はもう
ほとんど残っていないだろう。▼
ん…?
なんだ、この気配は?▼
異界の門が開いている…?
いや…これは…呼ばれているのか?
なるほど、そういうことか……▼
クロム、君が奪うべき命は
まだいくらでもあるみたいだよ。
この世界とは別の異界にね。▼
(白く光る)
[クロム]
グゥ…ウオオッ…!▼
[ルフレ(邪竜)]
どうやら君のことを
召喚したがっている者がいるようだ。
面白いお誘いじゃないか。▼
この世界は、すでに絶望に染まった。
次は異界でその力を…▼
くっ…!?
な、なんだ…これは…!▼
[ルフレ]
い、行く…んだ…クロム…
すでに僕たちの世界は……
絶望に抗えず…敗北した…▼
でも、別の異界で生きる僕たちに…
危険を…知らせることは…できるはず。▼
[クロム]
……!?
ルフ…レ…俺…ハ…▼
[ルフレ]
僕たちと同じ運命を…
辿らせないためにも…
行って…伝えて…くっ!▼
[ルフレ(邪竜)]
ふん、余計なことを…
僕の中にゴミの意識が残っていたのか。▼
クロム、今の君ができるのは
殺し尽くすことだけだよ。
そのためだけに君は異界に旅立つんだ。▼
[クロム]
…世界ハ…絶望ニ…
…ルフレ…▼
…運命…ハ…
……▼

復讐を誓いし器 ベレス

C

[ベレス(通常)]
ここにも敵が…!?
伏せて!▼
(白く光る)
[エイル]
くっ! 伏兵!?▼
[ベレス(通常)]
はぁぁぁっ!
よし、退けたか…
危ないところだったね。▼
[エイル]
ありがとう。助かったわ。▼
[ベレス(通常)]
気を抜かないで。
まだ敵が残っている。▼
[エイル]
ええ。
戦いに…集中しないと。
……▼
[ベレス(通常)]
ん? どうかした?
自分の顔に…なにか付いてる?▼
[エイル]
いえ。なんでもないわ。
……▼

:(暗転)

[エイル]
あの…少し、いいかしら。▼
[ベレス(通常)]
ん? 君はさっきの
なにか用?▼
[エイル]
今日は…助かったわ。
あらためて、お礼を言おうと思って▼
[ベレス(通常)]
礼には及ばない。
強い仲間を助ければ、自分の助けになる。
傭兵にとって当たり前のこと。▼
また戦場で一緒になったとき
力を合わせて戦いたいものね。▼
[エイル]
……▼
[ベレス(通常)]
……?
やっぱり顔になにか付いてる?▼
[エイル]
いえ、ごめんなさい。
なんでもないわ。▼
[ベレス(通常)]
そう…では、また。▼
[エイル]
なにかしら…
さっきの奇妙な感じは…▼
あの人からは、ほかの英雄とは違う
不思議ななにかを感じる…▼

:(暗転)

[フィヨルム]
え? ベレスさんの…
人となりですか?▼
[エイル]
彼女とは、あまり接点がないから。
知っていることがあれば
教えて欲しいの…▼
[フィヨルム]
そうですね…▼
元は傭兵の出身らしいですが
フォドラでは士官学校の
先生も務められていたとか。▼
[シャロン]
ヴァイス・ブレイヴにいる
士官学校の生徒さんたちからは
ずいぶん慕われているみたいですよ!▼
でも、ベレス先生の人となりなんて
なにかあったんですか?▼
[エイル]
先日、戦場で彼女に助けられたの。▼
[シャロン]
なるほど! それでご縁ができて
気になった…という感じですね?▼
[エイル]
そうね。気になった、という表現は
間違ってはいないわね。
……▼

B

[ベレス(通常)]
せいっ! はぁぁっ!▼
敵の数が予想以上に多い…
ここはいったん退いて
態勢を立て直すべきかな?▼
[エイル]
いけない。ベレス!
そちらの方角は
大勢の敵兵が隠れているわ。▼
[ベレス(通常)]
エイル!
なるほど、敵も馬鹿ではないな。
すっかり囲まれた…というわけね。▼
[エイル]
ベレス! 後ろ!▼
[ベレス(通常)]
くっ!?
反応が遅れた!▼
(白く光る)
[ベレス]
ええい、なにをしておるのじゃ。
まどろっこしい!▼
[エイル]
……!?
ベレスの髪の色が変わった?
これは…いったい…▼
[ベレス]
小さきものどもが…
わしの器に傷をつけようとは…
呆れた身の程知らずよの。▼
その不遜、万死に値するわ!
はぁぁぁぁっ!▼
(白く光る)
[エイル]
……!?
敵兵たちが一撃で…
なんという力!▼
それに、この…感じ…
前に感じた、あの違和感の正体は…▼
[ベレス]
せやぁぁぁっ!
そらそらっ! わしの本当の力は
こんなものではないぞ!▼
死にたいものから
前に出るとよいわ!
即座に引導を渡してやろう!▼
[エイル]
くっ!? この力…
本当に…彼女はベレスなの…▼

A

[ベレス]
はぁぁぁっ! せやぁっ!▼
(白く光る)
[ベレス]
うっとうしい羽虫どもが!
これで終わりじゃ!▼
(白く光る)
[エイル]
なんという苛烈な戦い方…▼
自分に敵意を剥けてくる者を
容赦なく…叩き潰す…▼
この力、人間の領域を
大きく超えている…▼
私が感じていた違和感は…
もしかすると…▼
[ベレス]
これで…最後じゃ!▼
(白く光る)
[ベレス]
ふん、身の程知らずどもめが
思い知ったじゃろう。▼
[エイル]
……▼
[ベレス]
なんじゃ、そこの娘。
値踏みするような眼をしおって。
おぬしも、わしの敵か?▼
[エイル]
命は一人にひとつ。
それが…世の理。▼
しかし、私は世の理を越え
この身体にいくつもの命を宿していた。
だから、わかるの。▼
[ベレス]
……?
なにを言っておるのじゃ。▼
[エイル]
あなたの中にある魂は、ひとつじゃない。
そして…命のあり方も
普通の人間とは違う気がする…▼
[ベレス]
誰がわしを評せと言った?
気に食わんのう。▼
[エイル]
ベレス…いえ、今のあなたは
ベレスではないわね。
あなたは…誰?▼
ベレスの中にある命に…
別の存在が溶けあっている。▼
その別の命が。別の魂が。
今のベレスの身体を…動かしている。▼
[ベレス]
わしの器の中を見通すとは…
さてはおぬし、地虫どもの仲間か!?
ならば生かしてはおけぬ!▼
[エイル]
違うの…私は敵ではないわ。▼
[ベレス]
ええい、問答無用じゃ!
覚悟せい!▼
(白く光る)
[エイル]
っ!
私のことを敵と思い込んでる。
このままでは▼
[ベレス]
はぁぁぁっ!
これで終いじゃ!▼
(白く光る)
[エイル(開花)]
命の…輝きよ!▼
[ベレス]
なんじゃ!?
このあふれ出る力は!?
地虫たちの使った闇か? いや、違う!▼
[エイル(開花)]
ベレス…いえ、ベレスと
命をともにするものよ。
その昂ぶりを鎮めて…▼

S

[ベレス]
くっ! なんじゃ、この光は!▼
(白く光る)
[ベレス]
まるで…包み込まれるような
柔らかな…光じゃと…▼
[エイル(開花)]
これは、私がユーミルから託された
生命の竜の力。▼
私の中にも宿っているの。
もう一つの魂が…
私と溶け合う、もう一つの命が。▼
[ベレス]
傷が…癒えていく…▼
ふん、どうやら敵意はないようじゃの。
ならばよい。この身体は返してやろう。
……▼
(白く光る)
[ベレス(通常)]
う…ん…。ここは…?▼
[エイル]
気がついた…?▼
[ベレス(通常)]
すまない。エイル…
迷惑をかけてしまったようだね。▼
[エイル]
いえ、あなたが無事でよかった。
さきほどまでの記憶はあるかしら?▼
[ベレス(通常)]
ぼんやりとだけど…
さっきみたいなことが
起こったのは…はじめてだ。▼
[エイル]
あなたの中に…
あなたではない魂が…
息づいているのね?▼
[ベレス(通常)]
……。
「彼女」が何者かは…
わからないんだ。▼
彼女はある日、自分の中に現れた。
そして不思議な力を使って
守ってくれている。▼
[エイル]
……▼
[ベレス(通常)]
あの通り口は悪いけど
邪悪な存在ではないはずだ。▼
[エイル]
ええ。強大な力こそ感じたけど…
そこに禍々しさはなかったわ。▼
[ベレス(通常)]
今回は激しい戦いだった。
きっと彼女も必死だったのだろう。▼
切羽詰まっていたとはいえ…
誤解からエイルに剣を向けてしまったね。
すまない。▼
[エイル]
いいのよ。
強い仲間を助ければ、自分の助けにもなる。
そう…だったわよね?▼
[ベレス(通常)]
そのとおりよ。
私たちはともに支え合うことで
もっと強くなれるわ。▼
[エイル]
私とあなたは…似ている気がする。
ひとつの命の中に
二つの魂を宿す存在。▼
なにか力になれることがあったら
遠慮なく私に言っていいわ。▼
[ベレス(通常)]
ありがとう、エイル。▼
じゃあ、もしまた「彼女」が
暴れ出したときは…
君の力を借りようかな。▼
[エイル]
ええ、いいわよ。
願わくは、あなたが危険にさらされ
彼女が登場する場面が来ないよう…
祈っているわ。▼

生贄の王女 マリア

C

[マリア(通常)]
ふわぁ…あ…。▼
[シャロン]
あら? マリアさん。▼
お疲れですか? ふふっ。
おおきなあくび、見ちゃいましたよ。▼
[マリア(通常)]
シャロン王女!?
こ、これは、その…▼
[シャロン]
もしかして訓練で
お疲れなのでしょうか?▼
[マリア(通常)]
ううん、違うの。
そういうわけじゃないんだけど…。▼
[シャロン]
なにか理由がおありですか?
私でよければお話を伺いますよ!▼
[マリア(通常)]
ありがとう、シャロン王女。
でも、大したことじゃないの。▼
あのね、なんだか最近寝つきが悪くって。
うなされて、すぐに目が覚めちゃうの。▼
[シャロン]
それは大変!
うなされるということは
おかしな夢でも見ているのでしょうか。▼
[マリア(通常)]
えっと、はっきりと覚えてはいないんだけど
良くない夢を見ているみたいで…▼
[シャロン]
よくない夢…
悪夢、というものでしょうか?▼
[マリア(通常)]
悪夢…うーん、どうなのかな。
自分でもよくわかってないの。▼
[シャロン]
なにか助けが必要な時は
いつでも言ってくださいね。
今日はゆっくり眠れますように!▼
[マリア(通常)]
ありがとう!
それじゃ、今日はもう部屋へ戻ります。
おやすみなさい、シャロン王女!▼

B

[マリア(通常)]
……。
あれ? ここ、どこだろう。
なんだか嫌な感じがする…▼
誰もいなくて、とっても寂しい場所。
ねえ、誰かいないの?
誰もいないの?▼
[マリア]
ここに…いるわ。▼
[マリア(通常)]
だ、誰…!?▼
[マリア]
わたしはさいしょから…ここにいた。
あなたが見ようとしなかっただけ…▼
[マリア(通常)]
う、うそっ!?
これって…わたし?
ううん、あなたは誰なの!?▼
[マリア]
わたし…?
わたしはマリアよ。▼
[マリア(通常)]
違うわ、マリアは私だもん。
デタラメを言わないで!▼
[マリア]
うそじゃないわ…わ。
わたしはほかのだれでもない…
あなたじしん。▼
きのうも…ここで会ったじゃない。
わすれて…しまったの?▼
[マリア(通常)]
昨日? も、もしかして
ここは夢の中なの?
あなたが悪い夢を見せていたの?▼
[マリア]
わるいゆめ…? ちがうわ。
わたしがつたえたことは
ぜんぶ…ほんとうのこと。▼
あなたが…目をそむけてしまった
わすれてはならない…おもいで。
それを思い出させてあげているだけよ。▼
[マリア(通常)]
目をそむけた…?
忘れてはならない、思い出?
な、なにを言ってるの…▼
[マリア]
おもい…だして…
あなたがひとじちになって…
ドルーア帝国にとらわれていた…こと▼
[マリア(通常)]
そ、それがどうしたの?
つらい思い出だけど
忘れたことはないわ。▼
いつ助かるのもわからず
毎日、悲しい思い出をしていたけど…▼
マルス様がわたしを助けてくれた。
そのご恩は、今も忘れてないもの。▼
[マリア]
つらい思い出をしていたのは…
あなただけではないでしょう?▼
わたしがひとじちになっているあいだ
おおきなせんそうで…おおぜいがしんだ…
そして…マケドニアも…▼
[マリア(通常)]
そ、それは…▼
[マリア]
ミシェイル兄様と、ミネルバ姉様は…
てきとみかたにわかれて…
ころしあうことになった…▼
[マリア(通常)]
そ、それは…
ど、どうしてあのときのことを
思い出させるの?▼
[マリア]
そうよね…思い出したくないわよね。
あんなにやさしかった…兄様と姉様が
たがいに…ころしあったもの。▼
みんなでいっしょにわらい…
みんなでいっしょにくらしていた日々。
そんなまいにちは、もう戻ってこないの…▼
[マリア(通常)]
そ、そんなことはないわ!
世界が平和になれば、きっと…!▼
[マリア]
せかいが…へいわに…?
それをじゃましているのは…だれ?▼
にんげんが…じゃまをしているのよ。
あらそうことがだいすきで…
せんそうばかりしている、にんげんが。▼

A

[マリア]
にんげんがいるかぎり…
あらそいはおわらない。
せんそうは…なくならないの。▼
よく…かんがえて…
なぜ…兄様と姉様が
あらそわなければ…ならなかったのか…▼
せんそうを生み出しているのは
だれなのか…▼
[マリア(通常)]
う、ううっ….▼
[マリア]
あなたは…わるくないわ。
わるいのは…あらそってばかりいる
にんげんたち…▼
にんげんがきえれば…
せんそうも…なくなる…
あらそいも…きえる。▼
[マリア(通常)]
争いがなくなれば…
もう誰も悲しまなくてもいいの…?▼
[マリア]
そうよ。
ずっとえがおでいられるわ…
あんなにやさしかった…兄様と姉様が。▼
[マリア(通常)]
で、でも、人間がいなくなったら
笑うこともできなくなるよ。▼
大好きな人の手を握ることも
できなくなっちゃう…!▼
[マリア]
じゃあ…あなたはずっとくりかえすの?
たいせつなひとたちが…
ころしあうせかいを。▼
[マリア(通常)]
それを繰り返さないために
わたしやマルス様は
がんばっていたんだもん!▼
[マリア]
…そう。
あなたには、なにをいっても
わかってもらえないみたいね。▼
もういいわ…このまま…
消えてちょうだい。▼
[マリア(通常)]
えっ!?
きゃあっ! くぅぅっ!
くるし…い!▼
(白く光る)
[ミシェイル]
やめろ!▼
[マリア]
!?▼
[ミネルバ]
マリア、大丈夫?
ごめんなさい、助けにくるのが
遅くなってしまったわ。▼
[マリア(通常)]
ミシェイル兄様!
ミネルバ姉様!
ど、どうして…ここに?▼
[マリア]
兄様、それに姉様まで…
おふたりでころしあうだけじゃなく…
わたしのことも…ころしてしまうの…の?▼
[ミシェイル]
なにを馬鹿な…▼
[ミネルバ]
わたしたちはいつだって
あなたの身を案じているわ。▼
[マリア]
うそ…ばっかり。
兄様と姉様のては…
血ぬられて…いるじゃない…▼
もう…かなしいのも…いや。
さびしいのも…いや。
みんな…きえればいい…!▼
[マリア(通常)]
ダメ! そんなこと言わないで!
大切な人たちのこと思い出して!▼
[マリア]
たいせつな…ひと…
そんなもの…▼
きゃあっ!?
な、なに…この…ひかりは…!▼
(白く光る)
[マルス]
たしかに人は、争いを繰り返す。
だけど、きっと希望はある。▼
その光を信じて
僕たちは歩いていくんだよ。▼
[マリア(通常)]
マルス様!?▼
[マリア]
やめて…どうしてあなたまで…
こっちへ…こっちへ来ないで…!▼
(白く光る)
[マリア(通常)]
この光はマルス様から?▼
(白く光る)
[マリア]
これは…ほのおの…もんしょう…。
ざんねんだけど…ここまでみたい。▼
だけど、これで…おわりじゃない。
わたしとあなたは
いずれ…かさなることになる。▼
[マリア(通常)]
えっ!? そ、それは…
どういう意味なの?▼
[マリア]
それまで…しばらくのおわかれね。
また会いましょう…▼

S

[マリア(通常)]
ううん…兄様…姉様…
マルス…様…▼
ここは…?
アスク王国の…お城?▼
[シャロン]
よかった…!
目が覚めたみたいですね、マリアさん!▼
[マリア(通常)]
シャロン王女…?
わたしはいったい…▼
[シャロン]
心配で、様子を見に来たんです。
そしたら、ひどくうなされていて…▼
悪い夢を見ているんじゃないかと思って
大急ぎでピアニーさんを呼びました!▼
[ピアニー]
マリア王女が幸せな夢を
見られるようにお願いしたの。
悪い夢、消えたらならいいんだけど。▼
[マリア(通常)]
幸せな夢…それで
兄様や姉様、マルス様が▼
わたしを助けに来てくれたんだ…▼
ありがとう、二人とも!
でも、悪い夢の中で
気づいたこともあったの。▼
[シャロン]
夢の中で…?▼
[マリア(通常)]
今までの私は、辛いことから
目をそらしていたような…
逃げてばかりだった…気がするの。▼
でも、いつまでも逃げてばかりじゃ
ダメなんだよね。▼
悲しみを繰り返さないために
わたしにもできることがきっとある
それを見つけたいなって。▼
[ピアニー]
それがマリア王女の
新しい夢ということ?▼
[マリア(通常)]
夢の中で夢を見つけたって…
お、おかしいかな?▼
[ピアニー]
ううん、とても素敵だと思う▼
[マリア(通常)]
私もミシェイル兄様やミネルバ姉様
そしてマルス様のように…▼
誰かを助けられる人間になりたいな。▼
この先、どんなことがあっても
あきらめないように頑張るね。
自分に負けないように!▼

狂気の透魔竜 ハイドラ

C

[リリス]
うーん、どうしたんでしょう。
なんだか馬たちの
元気がないような…?▼
[シャロン]
こんにちは、リリスさん!
今日も馬のお世話、お疲れさまです!▼
[リリス]
……▼
[シャロン]
って、あれ?
わたしに気づいていない?▼
リリスさーん!
どうかなさったのですかー!▼
[リリス]
あっ! シャロン王女!
見回りご苦労様です。▼
[シャロン]
よかった。いつものリリスさんですね!
考え事をされていたようですけど
どうかされました?▼
[リリス]
実は…その…
厩舎の馬たちの様子が
おかしいような気がして…▼
[シャロン]
ふむふむ。
わたしが見た感じでは
いつもどおりに見えますけど?▼
[リリス]
ちょっとしたことですが、違うんです。
まるで、なにかに怯えているような。▼
[シャロン]
なにかに怯えているって
原因はわかっているんですか?▼
[リリス]
もしかすると原因は…
私のせいかもしれません。▼
[シャロン]
え!? どういうことですか?▼
[リリス]
馬は繊細な生き物。
小さな変化にも敏感に反応します。▼
私が不安に思っていることを
この子たちは感じ取っているのかも…。▼
[シャロン]
リリスさんの不安?
なにか心配事でもあるんでしょうか。▼
[リリス]
実は最近、あまりよく眠れなくて。
言葉にできない不安が
ずっと頭に残っているんです…▼
[シャロン]
言葉にできない…
うーん、困りましたね。▼
[リリス]
すいません、シャロン王女。
自分でもよくわからないんです…▼
[リリス(闇)]
……▼
わからない? そんなはずないでしょう。
不安の原因なんて…
自分でよくわかっているはず。▼
[リリス]
……!?▼
[シャロン]
あっ!
ちょっと怖いほうのリリスさん!▼
[リリス(闇)]
あなたが感じている不安…
身に覚えがあるでしょう?▼
あなたがあなたである限り
忘れることができない
偉大なる存在。▼
[リリス]
!?
まさか、そんなはずは…▼
[リリス(闇)]
あなたにも、いずれわかるわ。
どんなに不安を押し殺そうとしてもね。▼
[シャロン]
あっ! 怖い方のリリスさん!
もう少し詳しくお話を…▼
ああ、言ってしまわれましたね…
なにか恐ろしいことが
アスク王国に起きるのでしょうか?▼
[リリス]
……▼

B

[ラズワルド]
本当だ。ここの馬…
なんだか、みんな元気ないね。▼
これじゃ、城下町で知り合った女の子と
遠乗りにもいけないよ。▼
[ルーナ]
誰かさんが馬に!
変な呪いでもかけたんじゃない?▼
[オーディン]
なんで俺を見るんだよ!
俺は誇り高き闇の末裔!
罪なき獣を呪ったりはしない!▼
[ラズワルド]
はいはい、静かに。
ちょうどいいところにリリスが来たよ。▼
やあ、リリス。
僕らに話したいことってなに?▼
[リリス]
透魔竜ハイドラを知るあなた方に
聞いてもらいたい話があるのです。▼
[ルーナ]
えっ!?
透魔竜ハイドラの話?▼
ちょ、ちょっと待って。
透魔王国の外で、その話は
しちゃダメって言われてなかった?▼
誰かに知られたら
あたしたちは泡になって消えるって…▼
[オーディン]
問題ないんじゃないか?
リリスは事情を知ってるし、第一ここは
あの世界とは全く別の異界だからな。▼
[ラズワルド]
ど、どうなんだろう?
でも、実際に僕たちは消えてないし
大丈夫みたいだね。▼
[リリス]
すみません。
相談できるのは
あなた方しいなくて。▼
実は、厩舎の馬たちが怯えているのは
私の不安が
影響しているみたいなのです…▼
[ルーナ]
なにそれ?
リリスの不安に思う気持ちが
馬たちに伝染してるってこと?▼
[リリス]
日を追うごとに、私の中の不安は
どんどん大きくなってきて…
昨晩はとても怖い夢を見ました。▼
[ラズワルド]
怖い夢か…。
詳しく聞いてもいいかな?▼
[リリス]
……。
夢に出てきたのは
透魔竜ハイドラ…▼
[オーディン]
……!?▼
[リリス]
夢の中のハイドラは
世界のすべてを憎んでいました。▼
憎しみのあまり、正気を失ったハイドラは
暗夜、白夜を争わせ
人間たちを滅ぼそうと…▼
しかし、ハイドラの憎しみは
それだけでは収まりませんでした。▼
自分が住む世界の外側に
異界が存在することに気づいた
ハイドラは…。▼
その憎しみを
異界に向け始めたのです。▼
[オーディン]
つまり、俺たちが召喚されてきたように
あいつもアスク王国にやってくるかも
しれないってことか…▼
[ラズワルド]
もしハイドラが
アスク王国の存在を知ったら
きっと狙ってくるよね…▼
[オーディン]
そんなことが起きたら大惨事だ!
あの強大な力…
タチの悪い災害みたいなもんだ。▼
[ルーナ]
ちょっとオーディン!
これ以上、リリスを怖がらせないで!▼
[リリス]
……▼

A

[オーディン]
悪かった。
リリスを怖がらせるつもりは
なかったんだ。▼
[ラズワルド]
だけど、もし
エクラが
ハイドラを召喚するとしても…▼
召喚する時点で契約を結ぶわけだから
ハイドラといえども、好き勝手に
暴れられないんじゃないかな。▼
[ルーナ]
それは楽観的すぎるんじゃないの?
あれほどの強大な力を持つ竜を
人間の力で縛られるのかしら?▼
[リリス]
た…たしかに…▼
[オーディン]
おい、ルーナ!
お前がリリスを不安がらせてどうする?
馬たちも一緒に怖がっちゃうだろ。▼
[ルーナ]
ご、ごめんなさい…▼
[リリス]
もし召喚の契約でも
抑えきれないときは…▼
[リリス(闇)]
アスク王国は間違いなく
滅ぶでしょうね…▼
[ラズワルド]
き、君は…!▼
[オーディン]
出たなっ! 透魔竜の尖兵!
リリスは俺たちの後ろに!▼
[リリス]
だ、大丈夫…です。
ひとまず、彼女の話を聞きましょう。▼
[リリス(闇)]
ハイドラ様の憎しみは
あらゆる世界を覆い尽くし
生きとし生ける者は滅ぶ。▼
夢の中でハイドラ様が望んだ未来…
その結果は現実のものとなる。▼
[リリス]
そんな!?▼
[リリス(闇)]
あなたにもわかるはずよ。
だって、あなたの中にも
お父様の血が流れているんでしょう?▼
人間たちに対するお父様の憎しみが
どれほどのものか。▼
憎しみがもたらす破壊の力で
滅びは避けられないことを…▼
[リリス]
……▼

S

[リリス(闇)]
お父様がアスクの地に降り立てば
この世界に破壊の嵐が吹き荒れる。
それは、逃れられない運命…▼
[ラズワルド]
た、たしかに憎しみに駆られた
ハイドラが乗り込んでくれば…
アスク王国もただではすまないかも。▼
[オーディン]
くっ! 本当なら俺たちだけで
なんとかしなくてはいけないのに。▼
[ルーナ]
…そうよね。善き心のハイドラから
破滅を食い止めるように頼まれたのは
あたしたちだもの。でも…▼
[リリス(闇)]
あなた方では無理です。▼
ですが、ひとつだけ
この世界が生き延びる
可能性があるとすれば…▼
[リリス]
可能性?▼
[リリス(闇)]
最初に言っておきますが
これは私のつまらない
想像かもしれない。▼
開かれた王国…
アスク王国にはさまざまな力が集い
多くの可能性が存在している。▼
その幾多の可能性の中には
私たちが想像もしない未来が…▼
お父様の苦しみを癒す道が
存在するかもしれない…▼
[リリス]
……! アスク王国でなら
お父様は永きにわたる苦しみから
解放されるかもしれないと?▼
お父様は人間に裏切られたと思い込み
理性を失い、狂気に駆られてしまった…▼
アスク王国でお父様が
人間に対する信頼を取り戻せば…▼
[ラズワルド]
ハイドラは正気に
戻るかもしれないってこと?▼
[リリス(闇)]
なにを浮かれているのです…
言ったでしょう?
これは私のつまらない想像だと。▼
[ルーナ]
でも、あなただって
ハイドラが救われるのなら
そのほうがいいのでしょう?▼
[リリス(闇)]
私はハイドラ様の忠実なるしもべです。
ハイドラ様が滅びを求めるなら滅びを、
救いを求めるのなら救いを願うだけです。▼
[リリス]
……。
お父様…アスク王国で
あなたに人を信じる心が蘇れば…▼
破滅へ向かう未来は
変えられるかもしれません…▼
どうか…どうか…
今一度、人間を信じる心を…▼
(暗転)
[ハイドラ]
我は忘れられし神。
裏切られし王。
埋もれし竜…▼
かつて
我に語りかけてきたのは
誰であったか。▼
すべては闇に消えてしまった。
我が心中に残るのは
裏切りの記憶のみ…▼

コメント



トップ   編集 凍結 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2024-01-04 (木) 17:52:25
[広告] Amazon.co.jp