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章別会話
志を重ねて†
志を重ねて†
オープニング†
- [アスベル]
- なるほど…アスク王国は今
大変な状況なのですね。▼
- [ロナン]
- たとえここが違う世界であっても
困っている人々を見過ごせません。
ぜひ、力添えさせてください。▼
- [サラ]
- まあ、退屈はしなさそうだし。
いいわ。助けてあげる。▼
- [シャロン]
- ありがとうございます!
みなさんに力を貸していただき
心強いです……!▼
- [ミランダ]
- リーフ王子たちも
力を貸しているというのなら
私たちが助力を拒む理由がありません。▼
シャロン王女…
私もアルスターの王女として
力を尽くさせていただきます。▼
(暗転)
- [ロナン]
- 英雄…そうか、僕はこの世界では
英雄として知られているのか。▼
- [アスベル]
- ぼくも、英雄なんて呼ばれるのは
むずがゆいですね。▼
でも、マギ団やセティ様の名を
汚さぬよう、精いっぱい頑張るつもりです。▼
- [ミランダ]
- ……。▼
- [サラ]
- ミランダ王女…どうかした?▼
- [ミランダ]
- え? ご、ごめんなさい。
ぼーっとしちゃって。▼
- [サラ]
- あなたの中から…
いろいろな声が混ざり合って
絡み合っているのが聞こえる。▼
- [アスベル]
- ミランダ王女
なにかお悩みごとでも…?▼
- [ミランダ]
- ……。▼
実は私、この世界に召喚されたとき
つい取り乱しちゃって、思わず
エクラに言ったの。▼
無礼者が、名を名乗りなさい…って。▼
- [サラ]
- それはごあいさつね…。
混乱していたのはわかるけど。▼
- [ミランダ]
- その言葉はもしかすると
わたしの王女としてのおごりから
出たのかもしれない…。▼
- [ロナン]
- なるほど…そのことを
気に病まれていたのですね。▼
- [ミランダ]
- アスク王国の私は
領土も臣下も持たない
一人の英雄にすぎない。▼
サラ、ロナン、アスベル…。▼
この世界での私は
民にかしずかれる王女ではなく
あなたたちと同じ、一人の英雄です。▼
私も、そう振る舞うように努力します。
だからあなたがたも遠慮せずに
気負うことなく私に接してください。▼
- [アスベル]
- は、はいっ。
ミランダ王女が、そうおっしゃるなら。▼
- [サラ]
- ……。▼
- [ミランダ]
- …ロナン?
どこに行くのですか?▼
- [ロナン]
- 今日の訓練は
野営をすることになったので
食料調達のために狩りに行こうかと。▼
- [ミランダ]
- 狩りですか、なるほど。
私も同行して構いませんか?▼
- [ロナン]
- そんな滅相もない…!
狩りは、ぼくの仕事ですので。▼
ミランダ王女は明日の訓練に備えて
お休みになってください。▼
- [ミランダ]
- ロナン、アスク王国では
私を特別扱いしなくて構いません。▼
狩りの経験はありませんが
なにか手伝わせてください。▼
- [ロナン]
- わかりました。
そうまでおっしゃるのでしたら…。▼
(暗転)
- [ミランダ]
- なるほど…
このように草を編むだけで
罠が作れるのですね。▼
- [ロナン]
- 罠と言うか、獲物の動きを
一瞬止める仕掛けですね。▼
そこに矢を射かけて
仕留めるわけです。▼
- [ミランダ]
- 手慣れた感じですね。
私は草を編むだけで
こんなに苦戦しているのに…。▼
あら? ロナン…
その指はどうしたのですか?
そんなにあかぎれて。▼
- [ロナン]
- ああ、この指ですか。
ぼくが住んでいたイス村の猟師は
みんなこんな感じですよ。▼
来る日も来る日も弓を引き
罠を作り、獲物をさばいて…
みんな、こんな指になるんです。▼
- [ミランダ]
- 痛くはないのですか?▼
- [ロナン]
- もう慣れました。
癒し手の杖でもこの傷は
治せないみたいですし。▼
この指が、母や村のみんなの
助けになっていると思えば…
猟師の勲章です。▼
- [ミランダ]
- 私たち王族が食べていた肉は
あなたたちの血のにじむような苦労で
食卓に上がっていたのね。▼
私は今まで恵まれた環境で
日々を過ごしていたのだと
身に染みました…。▼
- [アスベル]
- んしょ、んしょ…
無理して本を借りすぎたかな。
わ、わわっ!▼
- [ミランダ]
- アスベル、危ない…!▼
- [アスベル]
- ミ、ミランダ王女!
さ、支えていただきありがとうございます。
危うく本に潰されるところでした。▼
- [ミランダ]
- それにしても、たくさんの本ですね。
これはすべて魔道の書ですか?▼
一人で持てる量ではありませんよ。
私も手伝いましょう。▼
- [アスベル]
- い、いえ、ミランダ王女に
そのようなことをさせるわけには…。▼
- [ミランダ]
- 以前言いましたね?
今は一人の英雄。対等な関係です。
遠慮は無用です。▼
- [アスベル]
- わ、わかりました。それでは…
お言葉に甘えさせていただきますね。▼
- [ミランダ]
- アスベルは勉強熱心なのですね。
アスク王国に来て
さらに勤勉さに磨きがかかったのでは?▼
- [アスベル]
- は、はい。ぼくのような人間が
みんなの力になるには
努力を重ねる以外に方法がないので。▼
ぼくの家は名門ではなく
聖戦士の血も引いていません。▼
ですから、自分を成長させる機会を
片時も無駄にしたくはないのです。▼
- [ミランダ]
- 自ら積極的に、学ぶ機会を
求めているのですね。▼
- [アスベル]
- はい。待っていても
学ぶ環境は整いませんから。▼
- [ミランダ]
- ……。▼
私は戦争が起きるまで
アルスターの王女として
不自由のない生活を送ってきました。▼
そんな生活が、当たり前だと
思っていたのです。▼
- [アスベル]
- ……。▼
- [ミランダ]
- 学びとは本来
自らが努力して環境を整えなくては
身につかぬもの。▼
恵まれた環境にいた私は
それに気づかずにいたのですね…。▼
- [ミランダ]
- 私はアスク王国に来て…
いかに自分が恵まれた環境に
甘えていたのかを知りました。▼
自分に厳しく、努力を重ねる。▼
私もロナンのように狩りに赴き
サラのように
書で学ぼうと思います。▼
- [サラ]
- ふーん。ミランダ王女は
今のままでもいいと
あたしは思うけど。▼
- [ミランダ]
- し、しかし…
今の私には治めるべき領土
導くべき民もおりません。▼
アスク王国では王女ではなく
一人の英雄として
どう振る舞うかが大切なのでは?▼
- [サラ]
- でも、無理に自分を変えようとして
本当の自分がみえなくなるのは
よくないんじゃない?▼
- [ミランダ]
- ですが、それは…。▼
- [ロナン]
- ミランダ王女の手を
ぼくのように荒れさせるわけにはいきません。
狩りはぼくたちがやりますから。▼
- [ミランダ]
- ロナン…。▼
- [アスベル]
- ここにはアルスターの民はいません。
ですが、ミランダ王女が民に慕われ
民を想われていたことは事実です。▼
ですから…その優しさを
アスク王国の民に向けてあげてください。▼
ミランダ王女ならきっと
それができると思うのです。▼
- [ミランダ]
- 王女として…やれることがある。
そう、言ってくれているのですか?▼
- [サラ]
- あたしはアスク王国でも
生き方を変えるつもりはないわ。▼
自分の中の声に従って
この世界を歩いてみようと思っているの。▼
- [ミランダ]
- 自分の中の声に従う…。
その声に従うことで
私はアスク王国の力になれるでしょうか?▼
- [サラ]
- ええ、そうよ。
あなたの声が、そう望んでるのなら…▼
- [ロナン]
- ぼくたちはぼくたちなりに
できる範囲の精一杯の力で
ミランダ王女をお支えしますよ。▼
- [アスベル]
- ですからミランダ王女も
アルスター王女としての誇りとともに
これからも歩んでください。▼
- [ミランダ]
- みんな…ありがとう。▼
あなたたちと時を同じくして
アスク王国に来られたこと
私はうれしく思います。▼
ここにはアルスターの民はいない。
代わりに救いの手を求める
アスクの民たちがいる。▼
自分になにができるのか
考えながら進もうと思います。▼
アルスターの王女の誇りと使命を
みなの志と重ねていけるように。▼
わがままな王女 ミランダ†
- [リーフ]
- ミランダ姫、きみも
アスク王国に召喚されたんだね。▼
- [ミランダ]
- リーフ王子…!
今度は私のこと
お忘れではなかったみたいですね。▼
- [リーフ]
- ああ、あの時のことは謝るよ。
しかし…。▼
- [ミランダ]
- しかし? こうして再会しても
リーフ王子の顔は曇ったまま…
王子は私がきらいなのですか?▼
- [リーフ]
- 違うんだ。その…
このアスク王国もトラキアのように
戦いに満ちた場所。▼
ミランダ姫を再び
戦いに巻き込んでしまうと思うと
それが心苦しいんだ。▼
- [ミランダ]
- ……!
そ、そうだったのですね。
私はその、てっきり…。▼
ごめんなさい、リーフ王子!
少し頭を冷やしてきます!▼
- [リーフ]
- あっ! ミランダ姫!▼
(暗転)
- [ミランダ]
- ああーっ、もうっ!
どうして私は怒りっぽいのかしら!▼
リーフ王子と僧院で再会したときは
お父様のこともあって
冷静さを失ってしまい…。▼
今回もまた勘違いで
リーフ王子の前でそっけない態度を。▼
私はもっと穏やかさを
身につけなくてはいけません。
怒りに駆られず、自分を律する術を…。▼
でも…そんなこと簡単にできたら
こんな苦労はしてないはずでしょう!
それなのに、もう…▼
- [フィヨルム]
- あ、あのっ、ミランダ王女…。▼
- [ミランダ]
- あなたは…?▼
- [フィヨルム]
- 私はニフル王国の第二王女
フィヨルムと申します。
申し訳ありません、急に…▼
王女のひとり言が
つい聞こえてきて…
声をかけてしまいました…。▼
- [ミランダ]
- ! お聞きになったのですね…
いいえ、良いのです、フィヨルム王女。
すべて私の至らなさが原因なのです。▼
- [フィヨルム]
- そのこと、なのですが…
どなたかに、怒りを鎮める術を
教えてもらうというのはどうでしょう。▼
- [ミランダ]
- 怒りを鎮める術…ですか?▼
- [フィヨルム]
- たとえば、杖使いの英雄のみなさんは
穏やかな性格の方が多いと思うのです。▼
一度、相談してみるのも
いいかもしれません。▼
- [ミランダ]
- フィヨルム王女、
もし心当たりがありましたら
ご紹介いただけないでしょうか?▼
怒りに駆られず、自分を律する術…
是非とも身につけたいのです!▼
- [ミランダ]
- ヴァイス・ブレイブには杖使い…
癒し手の方々は多いのかしら?▼
- [フィヨルム]
- はい。さまざまな癒し手が
私たちを助けてくれています。▼
みなさん、とても優しくて…
穏やかな方ばかりですね。▼
- [ミランダ]
- 傷を癒すには優しさと思いやり…
それに穏やかさが必要…というわけね。▼
- [フィヨルム]
- 確か、この広間にも
魔道と杖が得意な…
あっ! ラーチェル王女。▼
- [ラーチェル]
- あら? フィヨルム王女。
今日はなんの御用かしら?
そちらの方は…?▼
- [ミランダ]
- はじめまして。
私はアルスターの王女
ミランダと申します。▼
- [ラーチェル]
- まあっ!?
あなたも王女ですの?▼
- [ミランダ]
- あなたも…ということは
もしかして…▼
- [ラーチェル]
- そう! わたくしこそ
麗しの絶世美少女にして
正義と秩序の使者ですわ!▼
このわたくしがいる限り
のさばる悪は許しません!
ぼこぼこにしてさしあげますわよ!▼
- [ミランダ]
- ちょ、ちょっと、フィヨルム王女。
聞いてた話と違うような…▼
- [フィヨルム]
- そう、かもしれませんね…▼
- [ラーチェル]
- ん? どうしましたの?
わたくしのうなる杖さばきを
見たいのではありませんの?▼
- [フィヨルム]
- 杖の使い方も
間違っている気がします…。▼
- [ドズラ]
- ガハハ! フィヨルム王女!
もしや穏やかな杖使いを
探しておいでか?▼
- [フィヨルム]
- は、はい。こちらの
ミランダ王女が怒りを鎮める術を
教えていただきたいらしく…。▼
穏やかな性格の杖使いの方から
なにかいいアドバイスを
もらえるのではないか、と。▼
- [ドズラ]
- おお、それなら適任がおりますぞ!
あの方なら怒りとは無縁
まさに僧侶の中の僧侶ですぞ。ガハハ!▼
- [ミランダ]
- そのような方が…!
ぜひ、お名前を教えてくださいませ。▼
- [フィヨルム]
- あっ! ドズラさんの言うとおり
中庭にいらっしゃいましたね。▼
あそこで静かに瞑想されている方が
僧侶のリフさんです。▼
- [ミランダ]
- お、起こしてしまっても
いいのかしら…?▼
- [リフ]
- おや…?
フィヨルム王女。
そちらのかたは…。▼
- [ミランダ]
- 私はアルスターの王女
ミランダと申します。▼
瞑想の邪魔をしてしまい
申し訳ありません。▼
- [リフ]
- いえいえ、大丈夫ですよ。
私は僧侶リフ。戦いはできませんが
治療の杖が使えます。▼
- [ミランダ]
- こ、この穏やかさ…
まさに怒りとは無縁…!▼
- [フィヨルム]
- ええ。リフさんの周囲だけ
癒しの空気が漂っているような…。▼
- [リフ]
- して、今日はなんの御用でしょうか。
私にできることであればなんなりと。▼
- [ミランダ]
- はっ…! 癒しの空気に包まれて
目的を忘れそうになっていました!▼
リフ様、お尋ねしたいことがあるのです。
怒りに駆られず、自分を律するには
どうすればいいのでしょうか?▼
(暗転)
- [リフ]
- なるほど…そういう理由ですか。
怒りに心を支配されずに
穏やかに保ちたいと。▼
- [ミランダ]
- はい。アスク王国に召喚されたときも
エクラに
つい「無礼者が!」と言ってしまい…。▼
- [フィヨルム]
- 私も…ムスペルと戦ったとき
怒りのあまり、
我を忘れたことがありました…▼
心を穏やかに保つ効果的な方法…
ご存じではないでしょうか?▼
- [リフ]
- 難しい問題ですね…
私は、誰かに対して
怒りを抱いたことがありません。▼
ゆえに…鎮める手段を
お教えするのは難しいかと。▼
- [ミランダ]
- な、なんという聖人…
そもそも怒ったことがないとは…
私とは土台から違うのですね。▼
どのような修行を重ねれば
そのような穏やかな心を
持てるのでしょうか。▼
- [リフ]
- 特段、変わったことは
やっていませんよ。▼
普段やっていることと言えば
瞑想するくらいのものです。▼
- [フィヨルム]
- なるほど…
瞑想は効果がありそうな気がします。▼
心を落ち着けるにはうってつけの
修業ではないでしょうか。▼
- [ミランダ]
- 瞑想…ですか。
やったことはありませんが…。▼
- [リフ]
- よいかもしれませんね。
どうです…今日は天気もいいし
この中庭でやってみては?▼
- [ミランダ]
- ……。▼
わかりました、何事も経験です。
挑戦してみましょう。▼
- [フィヨルム]
- 私もお付き合いいたします!
こうして目を閉じ、心を静かに
落ちつければいいんですよね?▼
- [リフ]
- そうです。
雑念を払い、心を凪に保ち
周囲の空気に溶け込んでいくように…。▼
- [ミランダ]
- …雑念を…払い…
…心を…凪に…▼
ああ…なんでしょうか、この感覚。
アスク王国に吹く風はこんなにも…
穏やかで気持ちよかったなんて…▼
それに…こうしていると…
なんだか…とても…眠く…▼
…………▼
- [ミランダ]
- ……。
ここ…は?▼
私は確か中庭で
瞑想をしていたはず…。▼
ん…?
無効からなにか聞こえるわね。
異様に気合の入った声…。▼
- [???]
- フッ! ハッ! セイッ!▼
- [ミランダ]
- あ、あれは…リフ様!?
ど、どういうこと?
なんだか様子がおかしい気が…。▼
- [???]
- フン! ムン! ヌゥン!▼
- [ミランダ]
- あ、あわ、あわわわ…。
あれは本当にリフ様なのでしょうか?▼
全身に怒りをみなぎらせ
一心不乱に杖を振って…。
心なしか筋骨隆々になっているような。▼
- [???]
- 誰です!?
そこにいるのは!?▼
- [ミランダ]
- ひ、ひぃ…っ!?▼
(暗転)
- [ミランダ]
- ……! はっ!?▼
- [フィヨルム]
- ……?
どうなさいました、ミランダ王女?▼
- [リフ]
- 顔色があまりよくありませんね。
どうなさいました?▼
- [ミランダ]
- はぁ、はぁ、はぁっ……!
だ、大丈夫です。なんだか、その…
怖い夢を見ていたような。▼
- [フィヨルム]
- 怖い夢、ですか? もしかすると
近くにスヴァルトアルフの黒妖精が
潜んでいるのでは…。▼
- [ミランダ]
- あ、あの、リフ様…リフ様は
これまで怒ったことはないと
おっしゃられていましたよね?▼
- [リフ]
- ええ、そのとおりです。
少なくとも怒った記憶は
自分にはないのうな気がいたします。▼
- [ミランダ]
- ……。▼
もしかすると…
怒りは無理に抑圧せずに
適度に発散したほうがいいのかも…。▼
でないと、溜まった怒りが爆発し
取り返しのつかない事態になることも
ないとは言えませんよね。▼
- [リフ]
- そうですね…何事も自然に
任せてみるのが一番かもしれません。▼
ただ、いつでも他者を思いやり
優しく接することを忘れなければ
人は穏やかに生きられるでしょう。▼
- [フィヨルム]
- なるほど…いいお話が聞けました。
よかったですね、ミランダ王女。▼
- [ミランダ]
- ええ、ありがとうございます。
リフ様、それにフィヨルム王女。▼
他者を思いやり、優しく接することが
穏やかに生きるための秘訣よね。▼
今度、リーフ王子と話すときは
喧嘩腰にならずに、優しさをもって接する。
そのことを忘れないようにしなければ…。▼
- [リフ]
- ミランダ王女、フィヨルム王女。
あなたたちが優しさとともに
歩めることを祈っております。▼
- [ミランダ]
- ……。
あの、リフ様…。▼
夜な夜な身体を鍛えているとか
杖の素振りをされているとか
そういうことはありませんよね?▼
- [リフ]
- ええ。夜は静かに休んでおります。
どうかなされましたか…?▼
- [ミランダ]
- い、いえ、特になにもっ…!▼
これからは思いやりを忘れずに
優しさとともに歩もうと思います…!▼
ロプトの姫 サラ†
- [サラ]
- あら…?▼
- [リアーネ]
- ……?▼
- [サラ]
- あなた、
綺麗な歌声をしているのね。▼
- [リアーネ]
- ……?
わた…し、いま、うたって…ない。▼
- [サラ]
- ううん、はっきり聞こえるの。
あなたの中から…。▼
澄み切って、伸びやかで
とっても美しい歌声。素敵ね。▼
- [リアーネ]
- ……! ……!
うれし……い。あく、しゅ…!
ともだち…に、なて……!▼
- [サラ]
- 友だちになりたいの? いいわよ。
あなたの声、心地いいから。▼
- [リュシオン]
- リアーネ、なにをしている?
そちらのベオクは…?▼
- [サラ]
- ……。
あなたの中からも
すごく優しい声がするわ。▼
憎しみや怒りや悲しみを
乗り越えた果てに見つけた…光。
なるほど、それが優しさの理由なのね。▼
- [リュシオン]
- ……?
お前はなにを言っているのだ?▼
- [サラ]
- でも…無理をして、お肉やお魚を
食べなくてもいいんじゃない?▼
- [リュシオン]
- ……!?
ど、どうしてそのことを。▼
- [サラ]
- あ、また向こうから
変わった声が聞こえる。
なにかしら? 行ってみよう。▼
- [リュシオン]
- お、おいっ、待て!
お前はいったい…!▼
行ってしまった…。
何者なのだ、あのベオクは。▼
- [シャロン]
- サラさんは
人間の中から響く声や音で
その人のことがわかるんでしょうか?▼
すごいっ! 羨ましいスキルです!▼
- [サラ]
- そう?
でも、いいことばかりじゃないわ…▼
一見、優しそうな人に見えても
濁った声が聞こえることもあるし。▼
それに聞きたくもない声が
耳に届くことだってあるわ。▼
- [シャロン]
- な、なるほど…▼
ちなみに、わたしはどうでしょうか。
よければ教えてください!▼
- [サラ]
- んー、そうねぇ…。▼
明るい響きしか聞こえない。
声というより…
ラッパのような音?▼
- [シャロン]
- そ、それは賑やかな
雰囲気ということでしょうか。▼
- [サラ]
- でも、裏表のない真っ直ぐな声ね。
あたしは好きよ。▼
- [シャロン]
- ほっ、それはよかったです!
アンナ隊長はどうですか?▼
- [サラ]
- あの人は…そうね…。
前向きでひたむき…▼
- [シャロン]
- なるほど…!
さすがはアンナ隊長ですね!▼
- [サラ]
- だけど、アンナ隊長からは
おかしな音も聞こえたわ。▼
- [シャロン]
- おかしな音…?▼
- [サラ]
- ええ。お金がちゃりんちゃりんと
落ちるような音…。▼
- [シャロン]
- な、なるほど…。
アンナ隊長らしいですね。
妙に納得です!▼
サラさんの力は本当なんだなと
あらためて実感しました!
やっぱりすごいです!▼
- [サラ]
- そう…? ありがとう。▼
- [サラ]
- これは…なにかしら?
こっちの丘のほうから…
不思議な声が聞こえる…。▼
- [エイル]
- ……。▼
- [サラ]
- 声の主は…あなた?▼
- [エイル]
- 私は…エイル。
あなたは…先日召喚されてきた英雄ね。
たしか…サラ。▼
- [サラ]
- いったい…どういうこと…?▼
自分の命が消えるときの声が…
あなたの中から聞こえてくるの。
生きている人には出せるはずないのに。▼
- [エイル]
- ……。▼
- [サラ]
- その声は
死者にしか出せない声…。▼
なのに、あなたの中には
死ぬ瞬間の痛みや心が割れるときの声が
いくつも反響している…。▼
- [エイル]
- ……。▼
以前、私は…
いくつもの命を持っていたの。▼
- [サラ]
- いくつもの…命。
にわかには信じられないけど…
その言葉に嘘はないのはわかるわ。▼
- [エイル]
- 私を育ててくれた死の国の女王ヘルは
己の力を増すために
私を殺し続けたの。▼
私の命は奪われ続け
今の私の中にはたった一つの
命しか残っていないわ。▼
- [サラ]
- そう。だから…
命を奪われるときの
記憶が残っているのね。▼
命の輝きが消える瞬間の
痛みと苦しみと、諦めに似た感情が
あなたの中に満ちている…。▼
その瞬間の声が魂に刻まれて…
今でも声となって
反響し続けている…。▼
- [エイル]
- あなたはどうして…
その声を聞くことができるの?▼
- [サラ]
- さあ? あたしにもよくわからないの。
気がついたら、いろいろな声が
聞こえるようになっていたの。▼
ね、エイル。
もっとあなたの声
聞いてもいいかしら。▼
- [エイル]
- ええ……。
あなたが辛くなければ。▼
- [サラ]
- あなたから聞こえる
いくつもの悲しみ、痛みの声に
温かな声が混じっているの…。▼
- [エイル]
- 温かな…声?▼
- [サラ]
- ああ…耳をすませば
もっと鮮明に聞こえてくるわ。▼
あなたの中で
育ちつつあるこの声は希望…
未来を求める…希望の声。▼
- [エイル]
- 私の中に…
希望の声が存在すると?▼
- [サラ]
- ええ。また小さいけれど…
確実に聞こえるわ。
力強い声…。▼
- [エイル]
- もしかすると、その声は…
アスク王国に来てから
生まれたのかも…しれないわ。▼
- [サラ]
- ……。▼
- [エイル]
- これまでの私は
人々を死者の国へといざなう
死神だった…▼
でも今は、その逆。
命を救い…未来を育むために
戦っている。▼
誰かの未来を奪うのではなく
守るために戦える…。
それは、私にとっての希望。▼
たったひとつ残ったこの命が
燃え尽きるその日まで私は…
希望とともに戦いたい。▼
- [サラ]
- ふうん…なるほどね…。
あなたみたいな人ははじめて。▼
エクラの中から
響いてる声も面白かったけど…。▼
エイル、あなたの中から
響いてくる声も取っても魅力的だわ。
あたしは好きよ。▼
- [エイル]
- 私にはそれが
どんな響きかわからないけど…
好意をもってくれるのはうれしいわ。▼
- [サラ]
- エイル、お友だちになりましょ?▼
あなたの中で育っている希望の声が
どのように変わっていくのか…
これからも聞かせてほしいな。▼
- [エイル]
- お友だち…
ええ、いいわ。喜んで。▼
- [サラ]
- ちょっと残酷なことを
言っちゃうかもしれないけど…。▼
あなたに刻まれた
痛みや悲しみ、苦しみの声は…
一生消えることはないと思う。▼
- [エイル]
- ……。▼
- [サラ]
- でもね、あなたの中にある希望は
きっとあなたの覚悟を支えて
未来に連れていってくれる。▼
千の絶望の中に一の希望があれば
人は生きていけるのよ…。▼
- [エイル]
- ありがとう、サラ…。
その言葉もきっと
私の希望になるわ。▼
- [サラ]
- あたし、アスク王国に来てよかった。
エクラには
感謝しなくちゃね。▼
これからも…たくさんの
素敵な声に出会えるといいな。▼
まだ聞いたことのない
心が震えるような声に…
きっと、出会えると思うの。▼
風に導かれた少年 アスベル†
- [セティ]
- アスベル…
エクラの求めに
よく応じてくれた。▼
この世界…アスク王国が
英雄としてのきみの力を
必要としているんだ。▼
- [アスベル]
- セティ様…!
また一緒に戦うことができるなんて
ぼくもうれしいです!▼
それにこの世界では
命をかけて付き従うとお約束した
リーフ様もおられます。▼
ぼくが学んできた魔道を
お二人のそばで活かせるなら
これ以上の喜びはありません!▼
- [セティ]
- ありがとう、アスベル。▼
そうだ…ヴァイス・ブレイブには
アスベル、きみと同じ年頃の
魔道士が何人かいる。▼
- [アスベル]
- そうなのですか…?
よかった、ぼくが最年少では
なかったのですね!▼
- [セティ]
- 彼らも英雄でありつつ
将来有望な学びの徒。▼
図書館などに集まり
ほかの魔導士の面々から
教えを受けているんだ。▼
- [アスベル]
- それはすごい…!
噂に聞く魔道学院のような
ものなのでしょうか。▼
- [セティ]
- いい機会だ、アスベル。
きみも彼らとともに
学んでみてはどうだ?▼
- [アスベル]
- ぜ、ぜひ! 学んでみたいです!▼
- [セティ]
- それでは、私から
話をしておこう。▼
同世代の魔道士たちから
いい刺激を受けることが
できると思う。▼
- [アスベル]
- はい…! セティ様の
ご期待に添えるよう
全力でがんばりますっ!▼
- [ユアン]
- 君が今日から一緒に学ぶアスベル?
話はセティ先生から聞いてるよ。
ぼくの名前はユアン。よろしくね!▼
- [アスベル]
- よろしく、ユアン。
わあ…本当に同じ年頃の
魔道士がたくさん!▼
- [ルゥ]
- ぼくはルゥ。エレブ大陸から来たんだ。
ふふ、なんだかぼくたち
格好も似ているね。▼
- [マリク]
- 言われてみれば、確かに…。
ぼくはマリク。この世界には
成長したぼくもいるんだよ。▼
- [リリーナ]
- わたしはオスティア侯ヘクトルの娘
リリーナよ。ともに学ぶ仲間が
増えてうれしいわ。よろしく。▼
- [アスベル]
- みんなはぼくと同じような
年齢だけど…それなりの
実戦経験があるのかな?▼
- [ユアン]
- まあ、少しは…
まだ修業中の身だけどね。▼
- [マリク]
- ぼくは、
本格的な魔道を学ぶ前で…
まだ一人前とは言えない。▼
だから、しっかりと力をつけて
みんなの足を引っ張らないように
努力したいな。▼
- [ルゥ]
- ぼくの双子の弟も魔道士で
一緒に学ぼうって誘ってるんだけど
首を縦に振らないんだよね…。▼
みんなで一緒に勉強したほうが
学べることも多いと思うんだけどなあ。▼
- [リリーナ]
- 人にはそれぞれ…
自分なりのやり方やこだわりが
あるんじゃないかしら。▼
アスベル、あなたにとって
ここでの学びの時間が
有益であるといいわね。▼
- [アスベル]
- ありがとう、リリーナ。
よし…! やる気が出てきた!
リーフ様のためにも…ぼく、頑張ります!▼
- [ルゥ]
- あ、今日の先生の
セシリアさんが来たみたいだね。▼
- [セシリア]
- みんな揃っているようね。
それでは講義をはじめましょう。▼
- [ユアン]
- ふぅ~、
講義やっと終わった~。▼
- [マリク]
- パント先生の講義は
わかりやすくてとてもいいね。
一日中教わっていたいくらいだよ。▼
- [ルゥ]
- マリク先生の授業も
わかりやすいよ?▼
- [マリク]
- そ、それは確かにそうだけど…
未来の自分に教わるって
なんだか気恥ずかしいな。▼
- [アスベル]
- ……。▼
- [リリーナ]
- アスベル、どうかしたの?
なにか考えごとかしら。▼
- [アスベル]
- あ、いや、その……。▼
- [アスベル]
- ぼくたちも大人になれば
今よりももっと、みんなの
力になれるのかなあって。▼
- [ユアン]
- うんうん、そうだよね。
大人になれば、今よりも
もっと活躍できるはず!▼
お姉ちゃんやジスト隊長くらいに
大人になれば、もっとすごい魔道も
使えるようになっていると思うんだ!▼
- [ルゥ]
- でも…ぼくたちが大人になる前に
アスク王国が平和になることが
一番いいんだよね。▼
- [リリーナ]
- そうね。戦い自体がなくなれば
それに越したことはないわね。▼
- [アスベル]
- ぼくも…少しでも早く世界から
戦いがなくなってほしい。▼
ぼくは魔道を極めるよりも
戦いを終わらせるために
魔道を学んでいたから。▼
- [マリク]
- じゃあ、アスベルは
トラキアが平和になれば
魔道を学ぶのをやめるの?▼
- [アスベル]
- いや…平和になったら
今度は平和を維持するために
魔道は必要になると思う。▼
そうか…そうだね…。
平和になったあとのことも考えて
魔道を学ぶ必要があるな…。▼
- [リリーナ]
- 同じように魔道を学んでも
みんないろいろな考えがあるのよね。▼
でも…より良い未来のために
魔道を学びたいという気持ちは
変わらないわ。▼
- [アスベル]
- うん。今は焦らずに
今の自分にできる精一杯のことを
成し遂げていくよ。▼
- [リーフ]
- アスベル、最近魔道の腕が
上がったみたいだね。▼
- [アスベル]
- 本当ですか、リーフ様!
頑張った甲斐がありました!▼
同じ年頃の魔道士たちと一緒に学べて
いい刺激を受けています。▼
- [リーフ]
- 結果が出ているのは
アスベルの努力の成果だよ。
ぼくも見習わないとね。▼
- [アスベル]
- ……。▼
あの…リーフ様。
「トラキアが平和になったら
魔道をやめるのか」と質問されたんです。▼
ぼくは目の前の戦いを終わらせるため
平和になったあとのことを考える余裕は
今までありませんでした。▼
- [リーフ]
- うん、ぼくもそうだよ。
まずはレンスターを解放したい。
その一心で戦っていた。▼
でも今は…その前に
アスク王国を平和にすることが
当面の目標だけどね。▼
- [アスベル]
- ぼくは思うんです。
平和を取り戻したあとにも
きっと魔道の力は必要になります。▼
トラキアが平和になって
それで終わりではないんですよね。
たぶん…。▼
- [リーフ]
- そうだね。平和を取り戻せたとしたら
今度は守っていくための力が必要になる。▼
平和はいとも簡単に崩れ去るものだと
ぼくたちは知ってしまったから…。▼
- [アスベル]
- だからぼくは…
アスク王国で精一杯学びます。▼
ぼくがいつ、大人になるのかは
わかりませんが、リーフ様のためにも
一人前の魔道士になってみせます!▼
- [リーフ]
- アスベルは今でも立派な
一人前の魔道士だよ。▼
でもその先の…伝説に残るような
大魔道士を目指してくれるのなら
とても心強いね、応援するよ。▼
- [アスベル]
- リーフ様…!▼
- [リーフ]
- 平和になった、そのあとの世界か。▼
ぼくも考えてみることにするよ。
アスベルと一緒にこの世界で学び
成長しながらね。▼
- [アスベル]
- はい! どこまでもお供いたします。
トラキアを取り戻したあとも
ずっとおそばに…!▼
イス村の若者 ロナン†
- [オーシン]
- よぉ! ロナン!
あんたもアスク王国に
召喚されたんだな!▼
- [ロナン]
- オーシンやタニアも元気そうだね。
アスク王国に来ても
君たちは変わらないな。▼
- [タニア]
- まあね。うるさい親父がいないだけで
やってることは、紫竜山にいた頃と
あまりかわってないよ。▼
- [ロナン]
- この村が、エーヴェル様たちが
新しく開拓した村なんだね。▼
よく見ると、どことなく
フィアナ村に似ているような…。▼
- [オーシン]
- 陣頭指揮を取ったのが
エーヴェル様だから
雰囲気が似ちゃったのかもな。▼
- [タニア]
- この村には
戦火で家を失った人たちが
集まっているんだ。▼
みんな争うことなく、力を合わせて
村を盛り立てようとしている。▼
今はまだ、日々を生きていくのが
精一杯だけど…
この村はもっとよくなるよ。▼
- [オーシン]
- フィアナ村の連中だけじゃなく
アスク王家の方々まで
村の発展に力を貸してくれてるしな。▼
ありがたいことだぜ。▼
- [ロナン]
- ぼくも協力するよ。
みんなに狩りの技術や
保存食の作り方を教えたり…。▼
- [タニア]
- 戦場で戦うよりも
ロナンはそっちのほうが
性に合ってるかもしれないね!▼
- [ヘンリエッテ]
- はいはーい、みなさーん!
炊き出しの時間ですよ。
一列に並んでくださいね。▼
- [オーシン]
- おっ、もうそんな時間か。
村の名物、お昼の炊き出しだな。▼
- [ヘンリエッテ]
- 慌てず騒がず押し合わず
行儀よく待ちましょうね。
スープはたっぷり用意してあるので!▼
- [ロナン]
- あの方は?
ずいぶん高貴な身なりだけど。▼
- [タニア]
- あのお方はヘンリエッテ様。
いつも村に足を運ばれて
炊き出しを振る舞ってくれるんだ。▼
アルフォンス王子とシャロン王女の
母君だよ。▼
- [エキドナ]
- 慌てなくていいからね。
一杯食って体力つけて
どんどん村をでかくしていこう!▼
- [ヘンリエッテ]
- 足の調子はどう?
そう、よかった!
今度、新しい薬も届けてもらうわね。▼
家の雨漏りは直ったかしら?
まあ。英雄の皆さんが直してくれたの?
それはなによりねっ。▼
あなたは育ち盛りだからね、
はい、大盛りサービス!
お腹いっぱい食べてね。▼
- [オーシン]
- ご苦労様です、ヘンリエッテ様!▼
- [ヘンリエッテ]
- あら、オーシンにタニア。
そちらの方は?
新しい村人さん…じゃないわね。▼
もしかして、ヴァイス・ブレイヴに
力を貸してくれる英雄かしら?▼
- [ロナン]
- は、はじめまして。
イス村から来たロナンと言います。▼
- [ヘンリエッテ]
- あらあら、かしこまらないで。
私も自己紹介させてね。
ええと…▼
明るさだけは一人前、
みんなのヘンリエッテです!▼
…なんて、うふふ。
ついシャロンの真似しちゃった。
よろしくね、ロナン。▼
- [タニア]
- …ね? 間違いなく
シャロン王女の母君でしょ?▼
- [ロナン]
- そ、そうだね…。▼
でも、驚きました。
王族の方が民のために
こうして尽力されているなんて。▼
リーフ様も王族なのに気さくで
みなに優しかったけど…
ヘンリエッテ様にも同じ優しさを感じます。▼
- [オーシン]
- だな。アスク王国の民が
この国を好きな理由がわかる気がするよ。▼
- [エキドナ]
- すまない!
手が空いているなら手伝ってくれ!
薪を調達して来てほしいんだ。▼
- [オーシン]
- あいよ!
行こうぜ、ロナン、タニア。▼
- [ロナン]
- それではヘンリエッテ様、失礼します。▼
- [ヘンリエッテ]
- はい、あなたたちも頑張ってね!▼
- [ヘンリエッテ]
- あら、ロナン。
今日も村に来てくれたのね。▼
- [ロナン]
- これはヘンリエッテ様。
近くにいい狩場を見つけたので
村人にそのことを教えようかと。▼
- [ヘンリエッテ]
- まあ、それは素敵ね。▼
農耕は収穫まで時間がかかるけど
狩猟はすぐにみんなのお腹を
満たせるもの。▼
- [ロナン]
- はい。ですが、乱獲しすぎると
野山から動物がいなくなり
狩りができぬ場所となってしまいます。▼
狩り尽くすのではなく、自然と共生し
大地の恵みに感謝しながら生きる…
それこそが一番大切なのです。▼
ああ、これはヴァイス・ブレイヴにいる
クトラ族の方々もおっしゃってましたね。▼
- [ヘンリエッテ]
- ふんふん、ためになるわっ。
さすがは英雄さんね!▼
- [ロナン]
- い、いえ、褒められるようなことでは…
猟師として当たり前の心がけです。▼
- [ヘンリエッテ]
- でも、その心がけは
猟師として長年頑張ったからこそ
身についたものでしょう?▼
その知識をみなに惜しみなく
与えてくれることに
私は感謝したいの。▼
- [ヘンリエッテ]
- ロナンも困ったことがあれば
なんでも言ってね。▼
アスクにいる限り
ヴァイス・ブレイヴのみんなも
私の子供のようなものですから。▼
- [ロナン]
- もったいないお言葉です。
女王様のそのお優しさ…
母さんを思い出します。▼
- [ヘンリエッテ]
- あら? それは光栄ね!
ロナンも、私のことをお母さんと
思ってくれていいですからね。▼
- [ロナン]
- は、はいっ、光栄です!▼
- [ヘンリエッテ]
- 私は英雄のみんなのように
戦場に出て戦うことはできないけれど
別の方法で、みんなを支えたいの。▼
そのための努力は惜しまないつもり。
だからロナンも遠慮なく私を頼ってね。▼
- [ロナン]
- はい…!
ありがとうございます。▼
- [ロナン]
- アルフォンス王子!
シャロン王女!▼
- [アルフォンス]
- やあ、ロナン。
今日は僕たちも手伝いに来たよ。▼
- [シャロン]
- この村、来るたびに人が増えて
どんどん豊かになっていますね!
すごいです!▼
- [ロナン]
- 王族のみなさんが直々に力を
お貸しくださるので、村人たちも
応えようとしているのでしょう。▼
ぼくもヘンリエッテ様から
優しい言葉をかけていただいて
感激していたところです。▼
まるで本当の母のように
見守っていただき…
とても温かい気持ちになりました。▼
- [アルフォンス]
- 見守ってくれるのはうれしいけど
いつまでたっても子ども扱いするのは
少し気恥ずかしいね。▼
だけど、それだけ僕たちのことを
大切に思ってくれているのだろう。▼
- [シャロン]
- お母様はアスク王国の
みんなのお母様ですからっ!
わたしもお母様のようになりたいです!▼
- [ヘンリエッテ]
- あらあら、みんなで集まって
なにを話しているの?▼
- [アルフォンス]
- は、母上!?
特にお伝えするようなことでは…
ただの雑談です。▼
- [ヘンリエッテ]
- むー、怪しい。アルフォンス~
なにか隠しているでしょ?▼
- [アルフォンス]
- そ、それでは僕はエーヴェル殿に
頼まれていた仕事があるので!▼
- [ヘンリエッテ]
- あっ逃げた! シャロン
いったいなにを話していたの?▼
- [シャロン]
- ふふふ…秘密です!▼
- [ヘンリエッテ]
- もうっ、もしかして反抗期かしら?
お母さん、悲しい…。▼
(暗転)
- [ロナン]
- 母さん…
アスク王国はみんないい人ばかりです。
民も、そして王族も。▼
だからこそ、この国を守りたい。
みなの笑顔が曇らないように。
戦火に、明日を奪われないように。▼
次に会うときは一回り大きく
成長したぼくを見せたいです。▼
それまで…
待っていてください、母さん!▼
コメント†
Last-modified: 2021-04-28 (水) 17:40:40