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章別会話

いつか交わる道

いつか交わる道

オープニング

[ラーラ]
ふう…。
ずいぶん走ったけど
山賊は振り切れないみたいね。▼
[サフィ]
そうですね。
まだ山賊たちの怒鳴り声が
遠くから聞こえてきますし。▼
[ラーラ]
もう少しだけ先へ進めば
三人で身を隠す場所もありそう。
あなたたち、体力は残ってる?▼
[サフィ]
私ならなんとか…。
お気遣いありがとうございます。▼
[ティナ]
えーっ、まだ走らなきゃダメ?
ここまで逃げれば
もう大丈夫じゃないかなあ。▼
[ラーラ]
油断は禁物よ。このあたりを
縄張りにする山賊だから、
地の利に長けているだろうし。▼
[ティナ]
もう、あたしたちは村に
薬を届けようとしてるだけなのにーっ!▼
[ラーラ]
そんな大声を出さないで!
居場所がバレちゃうでしょ。▼
とにかく今は
山賊をやり過ごすことだけ考えて。
[サフィ]
そうよ、ティナ。
捕まったらどんな仕打ちを受けるか
考えただけで…。▼
[ティナ]
ねえ、ラーラさん。
おねえちゃんがそろそろ限界みたい。
遠くまでは走れないんじゃないかな。▼
[ラーラ]
そうね、このまま逃げ続けても
いずれ追いつかれてしまうだろうし。▼
いったんあそこの茂みに身を隠して
一休みしてから移動しましょう。▼
[サフィ]
すみません、ラーラさん…▼
[ラーラ]
しっ!? この音は?
近くで草をかき分けてるのかしら。▼
[ティナ]
それって山賊が
近くにいるってこと?▼
[サフィ]
このままじっと息を潜めて。
ティナ、できるわよね?▼
[ティナ]
うん…。あ、あたしなら…
だいじょう…きゃーっ!!▼
[ラーラ]
ええっ!?▼
[サフィ]
ティナ!?▼
[ティナ]
け、けむ、けむっ…!▼
[ラーラ]
ちょっとティナ、落ち着いて!▼
[ティナ]
わーん! 毛虫よ、毛虫っ!
目の前にいきなり
毛虫が降りてきたの!▼
[ラーラ]
しまった!?
今ので山賊に気づかれた!▼
[ティナ]
ご、ごめんなさいぃ…!▼
[ラーラ]
ここはあたしが囮になるから
二人はできるだけ遠くへ…▼
[サフィ]
そんな!?
ラーラさんを置いて
逃げるなんてできません!▼
[ティナ]
ごめんなさい!
あたしのせいで…▼
[ラーラ]
山賊は十人以上…
あたしたちだけじゃ…▼
(白く光る)
[ラーラ]
え…?▼
[ラインハルト]
はあっ!▼
(白く光る)

C

[ラインハルト]
ふっ!▼
(白く光る)
[ラインハルト]
せいっ!▼
(白く光る)
[ティナ]
おねえちゃん!
ヴァイス・ブレイヴの人が
助けに来てくれたよ!▼
[サフィ]
雷の魔法…
あの騎士はたしか…。▼
[ティナ]
どうかしたの、おねえちゃん?
助かったのにうれしくないの?▼
[サフィ]
いえ、もちろんうれしいけれど…。▼
[ラーラ]
ともあれ、これでなんとか
一息つけそうね、ふぅ…。▼
(暗転)
[ラインハルト]
皆さん、ご無事でしょうか?
山賊は追い払いました。▼
[サフィ]
ええ。おかげで全員無事です。
ありがとうございました。▼
[ラインハルト]
それはなによりです。
私はフリージの騎士、ラインハルト。▼
山賊の被害が増えていると聞き
このあたりを見回りしていました。▼
[サフィ]
フリージの騎士!?
やはり…。▼
[ティナ]
さっきの雷の魔法、すごかったです!
山賊を一人でやっつけるなんて…
かっこいい!▼
[サフィ]
こ、こら、ティナったら…。
その、妹が失礼いたしました。▼
[ラインハルト]
いえ、お気になさらず。▼
[サフィ]
私はターラ公爵家に仕える
サフィと申します。
この子は妹のティナ。▼
[ラーラ]
あたしは踊り子のラーラ。
助けてくれてありがとう。▼
病で困ってる村に
薬を届けようとした道中で
山賊に出会ってしまったの。▼
[ラインハルト]
なるほど。山賊ですが
他にも仲間がいるかもしれません。▼
よろしければ私が護衛として
村まで送り届けますがいかがでしょう?▼
[ティナ]
えっ、本当に!?
ねえねえ、もちろんお願いするよね!?▼
[ラーラ]
それはとても心強いけど
本当にいいの?▼
[ラインハルト]
もちろんですよ。
騎士の誇りにかけて
あなた方をお守りしましょう。▼
[ティナ]
やったー!
これで安心だね、おねえちゃん!▼
[サフィ]
え、ええ…。▼

B

[ラインハルト]
そろそろお疲れでしょう。
ここで休みましょう。▼
[ティナ]
さんせーい!
走り回ったせいでクタクタだよー。▼
[サフィ]
そうね…。
少し休ませてもらいましょうか。▼
[ラーラ]
この先、なにが起こるかわからないから
しっかり休んで体力を回復させてね。
見張りはあたしがやるから…。▼
以前、盗賊団にいたから
そういうのは得意なの。▼
[ラインハルト]
それには及びません。
私が見張りをしましょう。
ラーラさんも休んでください。▼
[ラーラ]
え?いいの?▼
[ラインハルト]
ここはお任せください。
では…。▼
[ティナ]
行っちゃった…。▼
ねえねえ、強かったねラインハルトさん!
リーフ様ほどじゃないけど
ちょっとかっこよかったかも!▼
[ラーラ]
噂には聞いていたけど
実際に見てみると本当に強いわね。▼
[ティナ]
えっ?ラーラさんは
ラインハルトさんを知ってたの?▼
[ラーラ]
フリージのラインハルトはといえば
聖戦士トードの再来と讃えられる騎士。
マギ団にもその名は届いていたわ。▼
[ティナ]
すっごく強いし
しゃべり方も物語の騎士みたい!▼
伝説の聖戦士になぞらえられるのも
当然かもしれないね!▼
[サフィ]
そう…ですね。
私もラインハルト将軍の人柄は
尊敬に値すると感じます。▼
でも、彼が仕えるフリージ公爵家は
グランベル帝国の貴族。▼
非道なおこないを続ける
グランベル帝国の騎士なのです…。▼
[ラーラ]
そうね。本来は
あたしたちマギ団や
リーフ様の敵なのよね。▼
[ティナ]
でも、あんなに立派な人なら
わかってくれるんじゃないかな?▼
帝国は子ども狩りをして
ひどいことをしているんだって。▼
[ラーラ]
ラインハルトさんはフリージ公国の
イシュタル王女の側近だと聞くわ。
さすがに難しいんじゃないかしら。▼
[ティナ]
そんなの聞いてみなくちゃ
わからないじゃない!▼
アスク王国からトラキアに戻ったら
グランベル帝国に協力するのは
もうやめてってお願いしてみようよ!▼
[サフィ]
その願いが聞き入れられれば
どんなに素晴らしいことか…。▼
[ラーラ]
二人ともちょっと黙って!
何者かの気配が…
山賊たちだわ!▼

A

[ラーラ]
すっかり取り囲まれたわね…。
いよいよ絶体絶命みたい。▼
[ティナ]
ど、どうしよう…!
ラインハルトさーん!!▼
[ラインハルト]
せいっ!▼
(白く光る)
[サフィ]
ラインハルト将軍…!▼
[ラインハルト]
彼女たちには
指一本触れさせはしない。
はっ!▼
(白く光る)
[ティナ]
す、すごい…!
あれだけの数の山賊を
簡単に蹴散らしていって…。▼
[サフィ]
これが聖戦士トードの
再来と呼ばれる騎士の力…。▼
[ラインハルト]
戻るのが遅くなりました。
ご心配をおかけして申し訳ありません。▼
[ティナ]
ううん、タイミングバッチリだよ。
ラインハルトさん!▼
[ラーラ]
ありがとう!
また助けられちゃったわね。▼
[ラインハルト]
もう賊の心配はありません。
これで当分の危険はないでしょう。▼
[サフィ]
……▼
[ラインハルト]
シスター。
お怪我でもされましたか?▼
[サフィ]
ラインハルト将軍…
あなたはもうお気付きでしょう?▼
私たちがグランベル帝国と敵対する
レンスター王国のリーフ王子…
その縁者であることを。▼
そんな私たちをあなたは
二度も救ってくださいました。▼
立場を越えてなお
騎士たらんとする姿勢…
感謝の言葉もございません。▼
[ラインハルト]
……▼
[サフィ]
無理を承知でお願いがございます。
もうグランベル帝国に手を貸すのを
やめていただけませんか。▼
[ラーラ]
あ、あたしも同じ意見!
グランベル帝国の非道なおこないは
あなただって知ってるでしょう?▼
トラキアで苦しんている人々のため
一緒に戦ってくれない?▼
[ラインハルト]
……▼
あなた方が軽々しい気持ちで
仰っていないことは承知しております。▼
ですが、その申し出を
聞き入れることはできません。▼
[ティナ]
どうして!?
帝国が間違っているってことは
ラインハルトさんにはわかるでしょ?▼
[ラインハルト]
これは
正義がどちらにあるかではなく…
騎士としての忠義ゆえです。▼
[サフィ]
……。▼
[ラインハルト]
私が忠誠を誓うのは
グランベル帝国ではなくフリージ家。▼
そのフリージ家のイシュタル様が
帝国とともに歩むことを決断された以上
私は従うまでです。▼
その忠義はなにがあろうと
揺らぐものではありません。▼
[サフィ]
そうですか…。
無理な申し出をお許しください。▼
[ラインハルト]
シスター、顔を上げてください。
あなたが詫びることはありません。▼
いつかトラキアに戻ったとしても
あなた方の力になれることはないでしょう。
ですが、我が妹のオルエンは違います。▼
オルエンには我が想いと
私が歩めなかった未来を託してあります。
リーフ王子とあなた方の力になるかと。▼
[ティナ]
あたしは…
ラインハルトさんと
仲間になりたかったな。▼
[ラインハルト]
ありがたいお言葉…
しかしながらアスク王国にいる間は
我々は敵対することはありません。▼
力と志を合わせ
アスク王国の危機を救うため
共に戦う仲間なのです。▼
[ラーラ]
そ、そっか…
だからラインハルトさんは
あたしたちを助けてくれたのね。▼
[ラインハルト]
これからもヴァイス・ブレイヴの
一員として、アスク王国のために
力を尽くすことを約束しましょう。▼
どうか私を信じて、あなた方にも
力を貸していただきたい。▼
[サフィ]
トラキアにおいて
選んだ道こそ違いますが…▼
あなたが信頼に足る騎士であることに
変わりはありません。
よろしくお願いいたします。▼
[ラインハルト]
信じていただき、光栄です。
わが剣と雷、仲間のために
存分に振るいましょう。▼
[ティナ]
じゃあ、頼もしい仲間と一緒に
このまま村へ薬を届けに行こうよ!▼
[ラーラ]
そうだった!
山賊が片付いたんだから
早く届けに行かなくっちゃ!▼
[ラインハルト]
先ほど村までと言いましたが…
アスク王国に戻るまで
全力で皆を守ることを約束します。▼
[サフィ]
ありがとう…
頼らせていただきます。
ラインハルト将軍。▼

可憐なステップ ラーラ

C

[ラーラ]
この衣装に袖を通すのも久しぶりね。▼
もう踊り子に戻ることはない…
そう思っていたこともあったけど
これからは頑張らないとね。▼
ヴァイス・ブレイヴのダンサーは
みんな上手だから、一緒に踊っても
恥ずかしくないように練習しなきゃ。▼
確か、この森に人目につかない
絶好の練習場所があったんだけど…
ん? 先客がいるみたいね。▼
[アズール]
せいっ! はっ!
ここでステップを踏んでジャンプ!
着地もバッチリ決まった!▼
ふう、少しずつだけど
上達してきたかな?▼
[ラーラ]
わあ、すごい! お上手!▼
[アズール]
うわあああ! 誰!?
今の…見てたの?▼
[ラーラ]
すごくステキな踊りだったわ。
荒削りだけど、とても情熱的で
カッコよかったわよ。▼
[アズール]
そ、そう? ありがとう…。▼
[ラーラ]
あたしはラーラ。
ユグドラル大陸のトラキア半島から
アスク王国に召喚されてきたの。▼
[アズール]
君もヴァイス・ブレイヴなんだね。
僕はアズール。
イーリス聖王国から来たんだ。▼
[ラーラ]
ねえ、アズール。
あなたもダンサーなの?▼
[アズール]
ううん、僕の本業は傭兵なんだ。
踊りが好きだから一人で
こっそり練習してるんだよ。▼
[ラーラ]
せっかく上手なんだから
こっそり練習なんかしてないで
みんなに見てもらえばいいのに。▼
[アズール]
ダ、ダメだよ、そんなの!
恥ずかしいし…。▼
[ラーラ]
あら? そんなに上手に踊れるのに
ずいぶんと恥ずかしがり屋なのね。▼

B

[アズール]
その衣装…
君もダンサーなの?▼
[ラーラ]
うーん…半分正解かな。▼
[アズール]
半分正解?▼
[ラーラ]
ダンサー、ううん…
踊り子だったんだけど
踊るのをやめちゃってたんだ。▼
でもまた踊り子として
復帰しようと思って
ここに練習しに来たってわけ。▼
[アズール]
そうなんだ、どんな踊りか興味があるな。
よかったら君の踊りを
見せてくれないかな?▼
[ラーラ]
いいわよ。
あなたの踊りを見せてもらった
お返しということで。▼
でも、久しぶりだから
足の運びが鈍ってないといいけど。▼
[アズール]
やった!▼
[ラーラ]
それじゃさっそく…
手拍子をお願いしてもいい?▼
(暗転)
[アズール]
すごい! 素晴らしいよ!
とっても情熱的な踊りだったよ!▼
[ラーラ]
そ、そうかしら?
ちょっと褒めすぎじゃない?▼
[アズール]
それにしても不思議だな。
君のようにすごいダンサーが
どうして踊るのをやめたの?▼
[ラーラ]
ああ、それはね…。▼
幼い頃に旅芸人の一座に売られて
無理矢理、踊らされていたの…。▼
当時は満足に食事も与えられなくて
毎日がつらくて仕方がなかったわ。▼
[アズール]
ごめん…
もしかして嫌なことを
思い出させちゃったかな。▼
[ラーラ]
あなたが謝る必要はないわよ。
もう昔のことだから。▼
それに…
一座での扱いはひどかったけど
踊ることは嫌いじゃなかったの。▼

A

[アズール]
じゃあ踊りが好きという気持ちが
踊り子に復帰する
一番の理由なんだね?▼
[ラーラ]
それもあるけど一番の理由は…
踊りを見てほしい人がいたからかな。▼
その人はあたしの踊りを
よく見に来てくれて、ほめてくれたの。▼
[アズール]
へー、熱心なファンがいたんだね。▼
[ラーラ]
それだけじゃないわ。
旅芸人の一座からあたしを
救い出してくれたのも、その人なのよ。▼
[アズール]
それはすごいな!
ファンでもあり、恩人でもあるんだね?▼
[ラーラ]
いろんな人に踊りを見てもらって
元気になってほしいという
気持ちもあるけど…。▼
その人の前で
もう一度立派に踊るのが
あたしの一番の目標ってわけ。▼
[アズール]
その気持ち、僕にもわかるかも。
実には僕にもそういう人がいるんだ。▼
僕に踊りを教えてくれた人に、
たくさん練習して
いつか自分の踊りを見てほしい。▼
だから僕はこうやって
一人で練習を続けているんだ。▼
[ラーラ]
ふふ、似た者同士ってわけね。
あっ! いいこと思いついた!
二人で一緒に練習しない?▼
[アズール]
えっ!? 二人で一緒に?▼
[ラーラ]
お互いの踊りを見て
意見を言い合ったほうが
一人で練習するより上達が早いと思うの。▼
[アズール]
たしかに。君みたいな上手な人に
僕が意見できるかどうか
わからないけど…。▼
[ラーラ]
遠慮はいらないわ。
踊りを愛する者同士じゃない?▼
[アズール]
踊りを愛する者…
そのフレーズ、いいね。
やろう、一緒に!▼

S

[ラーラ]
はっ! そぉれ!▼
[アズール]
うわぁ。すごいよ、ラーラ!
今のジャンプは完璧だったよ!▼
[ラーラ]
えへへ、ありがとう。
思ったより早く勘を取り戻せたわ。
これもアズールのおかげね。▼
[アズール]
そんなことはないよ!
恩人に踊りを見せたいという
君の熱意が実を結んだんだ!▼
[ラーラ]
ふふっ、これならもう
立派な踊りを見せられるかも!▼
[アズール]
あのね、ラーラ。
聞きたいことがあるんだけど…
その恩人は今どこにいるの?▼
[ラーラ]
わからない。その人も
アスク王国にいればよかったんだけど
召喚されたかどうかはわからないのよ。▼
[アズール]
召喚…ということは
その人も英雄だったの?
もしかして…男性なのかな?▼
[ラーラ]
英雄かどうかはさておき男性よ。
きっと今頃はトラキア半島の森で
昼寝でもしてるんじゃないのかな?▼
[アズール]
…そっか。上達した踊りを
今すぐに見てもらえないのは
君も残念なんじゃない?▼
[ラーラ]
いいのよ。いつかトラキアに戻ったら
その人の前で立派に踊ってみせるから。
それまでは欠かさず練習を続けるわ。▼
[パーン]
いいや、その必要はねえぜ?
なぜなら俺もアスク王国にいるからな。▼
[ラーラ]
ええ!? パーン?
どうしてここに…。▼
[パーン]
どうしてって決まってるじゃねえか。▼
エクラに
力を貸して欲しいって
召喚されたのよ。▼
この異界はなかなか
面白そうなところだな。
退屈しないですみそうだ。▼
[アズール]
もしかしてラーラの恩人って…。▼
[ラーラ]
ええ、この人よ。
ダキアの森を根城にする義賊
ダンディライオンの首領、パーン。▼
[パーン]
実はアスク王国には少し前に
召喚されていたんだがよ…。▼
お前たち二人が仲良く
練習なんざしてるから
見物させてもらってたんだ。▼
さっきの踊りも見てたぜ。
ラーラ、なかなかやるじゃねえか。
昔よりずっときれいだった。▼
[ラーラ]
パーンったらもう…
なんで盗み見なんかするのよ!▼
[パーン]
はっはっは! 悪い悪い。
熱心に練習している姿を見てたら
邪魔しちゃ悪いって思ってな。▼
[ラーラ]
ふふ、あなたって
本当に変わらないわね。▼
[パーン]
そう怒るなって。ところで
そこのお人好しの兄ちゃん。▼
[アズール]
えっ…僕のこと?▼
[パーン]
ほかに誰がいるんだよ。
ラーラが世話になったみたいだな。
礼を言うぜ。▼
[アズール]
こ、こちらこそラーラには
お世話になっちゃって…。▼
[ラーラ]
ねえ、パーン! 聞いて!
さっきのは練習! 本気じゃないから!
次は本気で踊るからちゃんと見て!▼
[パーン]
ああ、いいぜ。
だが、本気と言ったからには
気の抜けた踊りは見せんなよ?▼
[ラーラ]
も、もちろんよ!▼

おちゃめな妹 ティナ

C

[ヘンリエッテ]
これが問題の箱よ。
どう? 開けられそうかしら?▼
[パティ]
見た目は普通の箱に見えるけど
ちょっとやそっとじゃ
開けられそうにないわね。▼
[キャス]
でも、大丈夫!
あたしたちにかかれば
こんなの簡単に開けちゃうもんね。▼
[シャロン]
おおー、頼もしいですね!▼
[ティナ]
ヘンリエッテ女王にシャロン王女…
なんだかにぎやかですけど
なにをされてるんですか?▼
[シャロン]
こんにちは、ティナさん!
じつはちょっとした問題の解決に
乗り出しているところで。▼
[ヘンリエッテ]
そうなのよ~。
この小箱を開けたいのだけれど
鍵が見つからなくて…。▼
[ティナ]
わあ、綺麗な箱ですね!
なにが入っているのでしょうか。▼
[パティ]
それはこれからわかるわよ。
あたしがパパっと開けちゃうからね!
ってあれれ? 全然開かない。▼
[キャス]
次はあたしの番だね!
この手の箱はね、ここをこうして…。▼
よっ! はっ! ほっ!
あれ? こんなはずじゃ…。▼
[パティ]
うーん、鍵開けが得意な
あたしたちで開けられないとなると
もう無理なんじゃないかな?▼
[シャロン]
て、手強そうですね…。
[パティ]
ごめんなさい、ヘンリエッテ女王。
あたしたちじゃ、お力になれないみたい。▼
[キャス]
鍵自体が壊れてるかもしれないし
はっきり言ってお手上げね。▼
[ヘンリエッテ]
あらあら…
残念だけれど仕方ないわねぇ。▼
ありがとう、二人とも。
別の方法を考えてみるわ。▼
[ティナ]
…なんだろう、あの箱?
ヘンリエッテ女王の大切なものが
入っているのかな…▼

B

[ティナ]
こんにちは、ヘンリエッテ女王。▼
[ヘンリエッテ]
ティナ、こんにちは。
アスク王国にはもう慣れたかしら?▼
[ティナ]
はい! おねえちゃんともども
ヴァイス・ブレイヴの皆さんには
とてもよくしてもらっています!▼
[ヘンリエッテ]
ふふ、それはよかったわ。
困ったことがあったら
遠慮なく言ってね。▼
[ティナ]
そういえば、この間の箱…
あれからどうなったんですか?▼
[ヘンリエッテ]
それがねえ、まだ開けられなくて
そのままにしてあるのよ。▼
[ティナ]
とっても頑丈なんですね。
もしかしてすごい宝物でも
入っていたりするんですか?▼
[ヘンリエッテ]
ふふっ、どうかしらね。
実は私も箱の中身を知らないのよ。▼
[ティナ]
ええっ!? それってもしかして
自分でなにをしまったのか
忘れちゃったってやつですか?▼
[ヘンリエッテ]
いいえ、違うのよ。
私の持ち物ではないの。▼
あの箱はね、グスタフ…
私の夫の部屋から出てきたものなのよ。▼
[ティナ]
アルフォンス王子やシャロン王女の
お父様の持ち物ってわけですね?▼
[ヘンリエッテ]
そうなのよ。
そのままにしておこうかと思ったけど
どうしても中身が気になっちゃって。
それでシャロンに相談して
ヴァイス・ブレイヴの
鍵開け名人たちに依頼してみたのよ。▼
[ティナ]
なるほど。でもなにか思い出の品が
入っているかもしれないのに、
開けられないというのは寂しいですね。▼
[ヘンリエッテ]
ふふ、ティナは優しいのね。
でも、こういうときは
あきらめが肝心よ?▼
謎を謎のままにしておくのも
趣があるのかもしれないしね。▼
[ティナ]
……▼
ヘンリエッテ女王!
あの箱、もしかしたら
なんとかなるかもしれませんよ!▼

A

[サフィ]
そんなことがあったのね…。
その箱はまだ開けられないの?▼
[ティナ]
ヘンリエッテ女王は
あきらめてもいいと
おっしゃられたけど…。▼
本心ではきっと開けたいはず。
とても大切なものだと思うの。▼
ねえ、おねえちゃん?
あたしのシーフの杖を使えば
箱の中身を取り出せるんじゃないかな?▼
[サフィ]
そうね。シーフの杖の力を使えば
おそらく取り出せることでしょう。▼
でも、シーフの杖の力は
大事な局面でこそ使うべきだわ。▼
この先、ヴァイス・ブレイヴには
もっと重大な出来事が
起きるかもしれないのよ?▼
[ティナ]
うん、そうだよね…。▼
[サフィ]
だけど、杖の持ち主はティナだし
杖の力を引き出せるのもあなただけ。▼
あなたが正しいと思うこと。
その考えに基づいて使ってこそ
正しい使い方だと思うわ。▼
どうすべきかは
あなた自身が決めるべきよ。▼
[ティナ]
ヘンリエッテ女王の笑顔って
素敵だよね?▼
あの笑顔のおかげで
ヴァイス・ブレイヴのみんなも
頑張ろうって気持ちになれると思うの。▼
そのためだったらあたし…
シーフの杖を使ってもいいと思う。▼
[サフィ]
そう…。
強大な力は扱う者が道を踏み外せば
多くの人々を不幸にしてしまう。▼
でも、正しき道を進む者が扱えば
きっと幸せを運んでくれることでしょう。
成功を祈っていますよ、ティナ。▼
[ティナ]
いいの、おねえちゃん?
応援してくれてありがとう!
じゃああたし、行ってくるね!▼

S

[シャロン]
ティナさーん!
お母様を呼んできましたよ!▼
[ヘンリエッテ]
箱も持ってきたけど…
なにかいい方法があるのかしら?▼
[ティナ]
箱は開けられません!
でも、中身は取り出せます!▼
[シャロン]
むむ、箱を開けられないのに中身を取り出す…
それはトラキアに伝わる
トンチかなにかでしょうか?▼
[ティナ]
トンチじゃありません!
このシーフの杖本来の力を使えば
箱の中身を取り出せるんです!▼
貴重な杖なので
いつもは力を制限しているんですけど…▼
全力を出せば箱の中身を
手元に引き寄せるぐらいわけないです!▼
[シャロン]
ええっ!? そんな貴重な杖
使ってもいいんですか!?▼
[ヘンリエッテ]
ありがとう、ティナ。
でも、そのままにしてもらう必要はないわ。
あなたの気遣いだけ頂いておくわね。▼
[ティナ]
いえ、やらせてください!
っていうか、あたしがやりたいの!▼
シーフの杖はたしかに貴重だけど
ここが使いどころだとあたしは思うの!▼
ヘンリエッテ女王のお役に立つことは
きっとヴァイス・ブレイヴみんなの
役に立つことに繋がると思うから!▼
[ヘンリエッテ]
そんなふうに思ってくれているのね。
わかったわ…。それじゃシーフの杖の力
一度だけ使わせてもらえるかしら?▼
[ティナ]
はい、もちろんです!▼
[シャロン]
わわわっ…
中身がわかると思ったら
緊張してきました!▼
貴重な宝石やとんでもない魔石が
出てきたらどうしましょう!▼
[ティナ]
うう、あたしまで
ちょっとドキドキしてきちゃった!▼
[ヘンリエッテ]
あらあら。二人とも
そんなに興奮しちゃって…。
でも私も楽しみになってきたわ。▼
[ティナ]
じゃあ、いきますよ!
失敗しないようにしないと…▼
[シャロン]
え? 杖を使うのに
失敗とかあるんですか?▼
[ティナ]
トラキアじゃ
杖を振って失敗するなんて
日常茶飯事です!▼
意識を集中して…
よしっ! えーいっ…!▼
(白く光る)
[シャロン]
でっ、出ましたよー!▼
あれっ? なんだか小さいですね。
これは…石でしょうか?▼
[ティナ]
うん。まん丸の白い石…だね。▼
[シャロン]
とても綺麗ですけれど
箱にしまっておくような
貴重な石なんですかね?▼
[ヘンリエッテ]
あら? これは……。▼
[シャロン]
お母様…?
この石をご存知なのですか?▼
[ヘンリエッテ]
ええ…ええ…
忘れるものですか…。▼
この石は…
私がグスタフに…贈ったものよ。▼
[シャロン]
ええっ!?
お母様がお父様に…!?▼
[ヘンリエッテ]
まだあの人と知り合ったばかりの頃…
川へ遊びに行った私たちはどちらが先に
より丸い石を見つけられるか競走したの。▼
あの人はなかなか見つけられなくてね。
結局、私が先に…
この石を見つけたの。▼
[ティナ]
じゃあ、グスタフ王はこの石をずっと
大切に持っていらしたんですね?▼
[ヘンリエッテ]
ええ、きっと…。▼
ありがとう、ティナ。
私にとってどんな宝石や魔石よりも
価値のあるものを受け取れたわ。▼
[ティナ]
ヘンリエッテ女王が
こんなに喜んでくれるなんて
杖を使った甲斐がありました!▼
[シャロン]
次はわたしたちが
ティナさんを助ける番ですね、お母様!▼
[ヘンリエッテ]
ええ。
なにか困ったことがあれば
私たちが必ず力になるわ。▼
[ティナ]
あっ…!▼
[シャロン]
どうされました?
ま、まさか杖に問題が…。▼
[ティナ]
その逆です!
杖の力を使ったのに
ぜんぜん痛んでないの!▼
もしかしたらシーフの杖も
ヘンリエッテ女王に
力を貸してくれたのかも…。▼
あとでおねえちゃんにも
報告しよっと! えへへっ。▼

敬虔なる者 サフィ

C

[サフィ]
リフィス!
あなたもアスク王国に
召喚されていたのですね?▼
[リフィス]
ああ。サフィよりも先にな。
オレのような大英雄は、アスク王国も
放っておかなかったってわけだ。▼
[サフィ]
私は先日、アスク王国に呼ばれました。
こちらでもよろしくお願いしますね。▼
[リフィス]
ここではオレが先輩だな。
困ったことがあったらなんでも聞いてくれ。▼
[サフィ]
お気遣い、ありがとうございます。
それにしてもリフィス…気のせいか
雰囲気も穏やかになられたような…。▼
[リフィス]
ああ。オレも心を入れ替えて
まっとうに生きることにしたからな。▼
それは大変よろこばしいことです。
あのとき、海賊団での私の訴え…
あなたの心に届いていたのですね。▼
ところで、その素敵なお召し物は?
アスク王国で新調されたのですか?▼
[リフィス]
これか? 実はアスク王国で
海賊のお祭りってのがあってさ。▼
オレも祭りを盛り上げるために
新しく仕立てて参加したのさ。▼
[サフィ]
お祭りを盛り上げるため…。
なるほど、アスク王国の人たちの
お役に立っているのですね。▼
あなたは決して
悪い人間ではないと思っていましたよ。▼
[リフィス]
いやあ、オレもトラキアでは
本物の海賊をやってたけど
それも昔の話だ。▼
アスク王国では英雄だからな。
英雄の名に恥じないようにしないと。▼
[サフィ]
それを聞いて安心しました。
これまでの行いを償うことで
新しい未来が拓けることでしょう。▼
[リフィス]
それよりサフィはどうなんだよ。
こっちの暮らしにはもう慣れたのか?▼
オレにできることがあれば
なんだって付き合うぜ!▼
[サフィ]
では、さっそく
お言葉に甘えてもよろしいでしょうか。▼
こちらの孤児院の手伝いがしたいのですが
リフィスも一緒にいかがでしょう?▼
[リフィス]
孤児院? ガキのおもりってことか。
めんどくさ…じゃなかった!▼
もちろん構わないぜ。
真面目になったオレの姿を見せてやるよ!▼
[サフィ]
きっと子どもたちも
喜んでくれると思いますよ。▼
私もリフィスの仕事ぶり
今から楽しみにしていますね。▼

B

[サフィ]
皆さん、おはようございます。
今日からこちらの孤児院で
お手伝いさせていただくサフィです。▼
[リフィス]
よろしくな、小僧ども!
言うことを聞かないやつは
海賊がさらっちまうぞ!▼
[ジュリアン]
リフィス…
あんた、本物の海賊だったよな?
子どもの世話なんてできるのか?▼
[リフィス]
お前こそ、もともとは
盗賊だったそうじゃねえか。
なら、オレにだって楽勝よ!▼
[チャド]
孤児院の仕事は
子どもの世話だけじゃないぞ。
そこにある荷物を倉庫まで運ぶんだ。▼
みんなの食べ物が入ってるんだ。
大切に扱ってくれよ。▼
[リフィス]
げっ!? これを全部か?
結構な数あるじゃねえか…。▼
[サフィ]
大丈夫ですか、リフィス?
なにか問題でも…。▼
[リフィス]
なに言ってんだ、サフィ。
これぐらいなんてことないさ!
喜んで運ばせてもらうぜ。あらよっと!▼
[ジュリアン]
まあ、やる気があるならいいか。
それじゃあ、ここは任せたぜ。▼
(暗転)
[リフィス]
運ぶ荷物はこれでおしまいか。
…で、次はなんだ?▼
掃除? わかったわかった。
ここはオレに任せておけって。
ピカピカにしておいてやるよ!▼
(暗転)
[リフィス]
あん? 買い物に行ってくれだと?
おうおう、任せろっての。▼
メモにあるものが必要なんだな。
それじゃ、ちょいと行ってくるぜ!▼
[チャド]
……。なあ、ジュリアン。
リフィスってこんなに真面目な
やつだったのか?▼
[ジュリアン]
いや、おれも驚いているところだ。
海賊の祭りに参加したときは
文句を言ってた気もするんだが…。▼
[サフィ]
リフィスは改心されたのです。
人は変われば変わるもの。
そして、変わっていけるものなのです。▼
真面目に働く姿を見ることができて
私はとてもうれしく思いますよ。▼
[ジュリアン]
シスター・サフィも喜んでるわけだし
これはこれでいいんじゃないか?▼
[チャド]
そういうことにしておくか…▼

A

[リフィス]
よし、壁の修繕はこれで終わりだ。
今日も一日よく働いたぜ!▼
[サフィ]
お疲れさまでした、リフィス。
もうこんな時間ですね。
先に上がってよろしいですよ。▼
[リフィス]
そうか?
じゃあオレは帰らせてもらうわ。
また明日な!▼
[サフィ]
はい。お待ちしていますね。▼
(暗転)
[リフィス]
へへ、サフィのやつ…。
すっかりオレを信用してやがる。
世間知らずを騙すのは朝飯前だな!▼
あとは頃合いを見て、オレが
「戦いのないところで静かに暮らそう」
とでも切り出せば…。▼
忌々しいヴァイス・ブレイヴから
一緒に逃げ出せそうだな!▼
よし、もうしばらくの辛抱だ。
サフィを騙し切ってしまえば
アスク王国からおさらばだぜ!▼
[???]
…おさらばなんて
つれないこと言うなよ。▼
[リフィス]
はあ? 誰だよ、お前?
大海賊リフィス様に舐めた口
利いてんじゃねえぞ?▼
[パーン]
よぉ、リフィス。
元気にしてたみたいだな!▼
[リフィス]
げえっ!? お前はパーン!
い、いや、パーンさんじゃないですかぁ。
いつアスク王国へ来たんですか…?▼
[パーン]
つい最近さ。それにしても
アスク王国ってのはおもしれえ場所だな。▼
トラキアにいた奴らも見かけたが
泣き虫リフィスまでいるとはなぁ。▼
[リフィス]
くぅっ! エクラに
このクソッタレだけは召喚するなと
念を押しておいたのに…。▼
[パーン]
ん? なにか言ったか?▼
[リフィス]
いえ…な、なんでもないですっ!▼
[パーン]
せっかく再会できたんだ。
アスク王国でもお互い
親睦を深めようぜ、なっ!▼
[リフィス]
ええー…いやあ…はは…
それはその、ちょっと…。▼
[パーン]
まずはそうだな…
そのサフィとやらの話から
詳しく聞かせてくれよ。▼
[リフィス]
ひぃっ!?
なんで親睦を深めるってのに
指をボキボキ鳴らすんですか!?▼
[パーン]
お前も知ってのとおり
俺はスジが通らねえ話は嫌いでな▼
酒場に行く前…
ちょっと身体に聞いてみるか。▼
[リフィス]
ひぃぃぃぃーっ!▼

S

[サフィ]
おはようございます、ジュリアンさん。
今日もよろしくお願いします。▼
[ジュリアン]
おはよう、シスター・サフィ。
毎日すまないな、助かるぜ。▼
[リフィス]
おはよう…ございます…。▼
[ジュリアン]
おはよう、リフィス!
って、あんた大丈夫か!?
なんか顔色が悪いぞ!▼
[チャド]
顔色どころか頬もこけて
めちゃくちゃげっそりしてるな。
なにか拾い食いでもしたか?▼
[サフィ]
まあ、どうなさいました?
昨日はあんなに元気でしたのに。▼
[リフィス]
大丈夫です…問題ありません…。
このリフィス…アスク王国のため
これからも身を粉にして働きます…。▼
[サフィ]
体調が優れないのであれば
お休みされても構いませんよ?▼
[リフィス]
い、いえ! サボったりしたら
どんな目にあわされるか…!▼
[サフィ]
どんな目に?
それはどういう…。▼
[リフィス]
き、気にしないでください!
今日から心を入れ替えます。
本当に、本当にすみませんでした…。▼
[サフィ]
あなたはもう
改心されているではありませんか。▼
このまま一緒に
アスク王国の皆さんの
お役に立てるよう頑張りましょう。▼
[リフィス]
はい…今日も…
お仕事…頑張ります…。▼
[チャド]
あいつ、昨日よりも真面目に
仕事をこなしているぞ?▼
[ジュリアン]
本当に心を入れ替えたように見えるな。
オレの勘繰りすぎだったか?▼
[サフィ]
孤児院での仕事にやりがいを見出し
より真剣になったのかもしれませんね。▼
[チャド]
うーん、そういうことなのかなあ。▼
[ジュリアン]
まあ、真面目に働いてくれるなら
それにこしたことはないさ。▼
[サフィ]
信念さえあれば
人は変わっていけるものなのです。▼
私が望むのは笑顔。
英雄たちの活躍で、アスク王国にも
笑顔が広がることを願っています。▼

トードの再来 ラインハルト

C

[ラインハルト]
賊はこちらに逃げたと思ったが、
一足遅かったか…。▼
だが、足跡はまだ新しい。
急げば追撃はまだ間に合うはず。
村に被害が及ぶ前に…▼
(暗転)
[ラインハルト]
むっ…あれは…!
誰か戦っているのか…!?▼
[フリーズ]
賊の数は百以上…
不覚を取るつもりはないが、
いかんせん…数が多い!▼
(白く光る)
[ラインハルト]
雷よ! 敵をなぎ払え!▼
(白く光る)
[フリーズ]
これは…
なんという強力な雷。▼
[ラインハルト]
私はフリージの騎士ラインハルト。
今はアスク王国の客将を務めております。
無用の助太刀、お許しいただきたい。▼
[フリーズ]
いや助かった。礼を言う。
盗賊は近くの村を狙っていたのだろう。
追撃したい。手を貸してくれるか?▼
[ラインハルト]
承知しました。
新たに授かった魔器…
雷公の書の力をお見せしましょう!▼
(暗転)
[ラインハルト]
盗賊たち、武器を放り出して
一目散に逃げるとは他愛ない…。▼
[フリーズ]
ラインハルト、あらためて
君の助太刀に感謝する。▼
[ラインハルト]
なにをおっしゃいますか。
あのような盗賊…
あなた一人で十分だったでしょう。▼
卓抜した鋭き剣技。
氷のように冷静な足の運び。
さぞ名のある英雄とお見受けしました。▼
[フリーズ]
名乗りが遅れてすまない。
我が名はフリーズ。
ニフル王国の第一王子だ。▼

B

[ラインハルト]
王族の方でしたか…。
数々の礼を欠いた振る舞い
お許しいただきたい。▼
しかし、一国の王子が
なぜこのような辺境に?▼
[フリーズ]
わが祖国、氷の国ニフルは
炎の国ムスペル王国と戦い…
壊滅的な被害を受けた。▼
私は離散したニフルの民を集め
祖国再建を目指す旅をしている。▼
[ラインハルト]
なるほど、そういう事情でしたか。
アスク王国に召喚されて日が浅いゆえ
事情を存じ上げず、失礼しました。▼
[フリーズ]
召喚…そうか。君は
ヴァイス・ブレイヴの一員なのだな。▼
ムスペル王国との戦いでは
アスク王国とヴァイス・ブレイヴに
本当に助けられた。▼
大きな犠牲を払いつつも
ニフル王国が存続できたのは
アルフォンス王子やシャロン王女…。▼
そしてエクラの
力があってこそだ。▼
彼らへの感謝は
一日たりとも忘れたことはない。▼
[ラインハルト]
厳しい戦いを乗り越えられたのですね。
心中、お察しいたします。▼
[フリーズ]
今日は近くに来たついでに
ヴァイス・ブレイヴの世話になっている
妹たちの顔を見ようと思ったのだが…。▼
城に向かう途中で先ほどの
賊どもと出くわしたというわけだ。▼
[ラインハルト]
フリーズ王子の妹君…
フィヨルム王女とユルグ王女ですね。▼
[フリーズ]
そうだ。面識があるのか?▼
[ラインハルト]
ええ。雰囲気や顔立ちが
よく似ておられます。▼
[フリーズ]
似ている、と言われると
兄としてはうれしい限りだな。
二人は息災だろうか?▼
[ラインハルト]
はい。ご安心ください。
お二人はヴァイス・ブレイヴで活躍され
アスク王国のよき力となられています。▼
私も何度かフィヨルム王女と
同じ立場に立たせていただきましたが…。▼
勇猛さと冷静さをあわせ持ち
周囲の仲間を気遣いながら戦うその姿は
国を担うにふさわしい英雄と言えます。▼
[フリーズ]
そうか、それはよかった…▼

A

[フリーズ]
フィヨルムもユルグも
ヴァイス・ブレイヴで
自分の役目を果たしているのだな。▼
[ラインハルト]
はい。お二人とも
今のヴァイス・ブレイヴにとって
必要不可欠な方々と言えましょう。▼
[フリーズ]
ヴァイス・ブレイヴにとって
必要不可欠、か…。▼
[ラインハルト]
どうかなさいましたか?▼
[フリーズ]
世話になったヴァイス・ブレイヴに
恩返しできていることは喜ばしい。▼
だが、兄としては
少々複雑な気持ちだ…▼
……。▼
[フリーズ]
本心では、妹たちは国に残り
ともに過ごしてほしかった。▼
しかし、二人の未来を考えれば
ヴァイス・ブレイヴで経験を積むほうが
きっと大きな財産になるはず。▼
そう考え、妹たちを送り出したのだが
どうしても一抹の寂しさは拭えないな。▼
……。
つまらない話をしてしまったな。
聞き流してくれ。▼
[ラインハルト]
いえ、お気持ちはよくわかります。▼
じつは私にも妹がおります。
志の違いから歩む道は
別々となりましたが…。▼
互いに異なる道を歩む今でも
私は妹の成長と日々の無事を
願ってやみません。▼
[フリーズ]
そうか…。君にも
そのような事情があったのだな。▼
[ラインハルト]
歩む道を違えたとき
私も一抹の寂しさを覚えました。▼
しかし、幸いなことに妹は
素晴らしい仲間に恵まれました。▼
仲間の存在は妹を成長させ
私では見せられなかった光景を
彼女に見せてくれたと思います。▼
[フリーズ]
ラインハルト。
興味深い話を聞かせてもらった。
重ねて礼を言う。▼
[ラインハルト]
おや、フリーズ王子?
どちらに行かれるのですか。
アスクの城はあちらの方角ですが…▼
[フリーズ]
私はニフルに戻る。
今のフィヨルムやユルグには
素晴らしい仲間がいる。▼
私が顔を見せずとも
妹たちは成長し続けてくれるだろう。▼
私はこの命をかけて
妹たちが帰ってくる場所を再建する。
それが今の私のなすべきことだ。▼
[ラインハルト]
その志…必ずやニフル王国を
よき国に建て直すことと確信いたします。▼
私もフィヨルム王女やユルグ王女の
よき仲間であるよう努める所存です。▼
[フリーズ]
君のように高潔な英雄が
力を貸してくれるのは幸いだ。▼
フィヨルムとユルグ、
二人の妹をどうかよろしく頼む。▼

S

[ラインハルト]
フィヨルム王女、ユルグ王女。
お時間よろしいでしょうか。
お耳に入れたいことがございます。▼
[フィヨルム]
ラインハルトさん?
なんでしょう?▼
[ユルグ]
やった!
もしかしてすっごい雷の魔法を
おしえてくれるの?▼
[ラインハルト]
そちらはまたの機会に…。
じつは辺境を警備していた途中
お二人の兄君とお会いしました。▼
[フィヨルム]
フリーズ兄様…ですか?▼
[ユルグ]
びっくり!
兄様、こっちに来てたんだ!▼
[ラインハルト]
用事でアスク王国の近くを
通りかかったそうです。▼
そのまま帰路につかれましたが
お二人のヴァイス・ブレイヴでの
成長に期待されているとのことでした。▼
[ユルグ]
え~なんで~?
フリーズ兄様、近くに来たなら
会いに来てくれたらいいのに。▼
[フィヨルム]
ユルグ、きっと私たちに
里心がつくと思われたのでしょう。▼
フリーズ兄様の期待に応えられるよう
私たちはこの場所で頑張りましょうね。▼
[ユルグ]
うん!
次に兄様に会うときは
成長したわたしを見せたいな!▼
[フィヨルム]
ラインハルトさん
兄の言葉を伝えていただき
ありがとうございます。▼
兄はニフルの地で
私たちはアスクの地で
それぞれ道を歩むことになりましたが…。▼
ふたつの道はいつか交わる…
私はそう信じています。▼
[ユルグ]
むずかしいことはわからないけど
わたしたちががんばれば
兄様も喜ぶってことだよね?▼
[フィヨルム]
ふふふ、そうね。▼
[ユルグ]
よ~し、がんばろうっと!▼
[フィヨルム]
あ、ユルグ、待って。
すみません、ラインハルトさん!
またあとでお礼を…▼
[ラインハルト]
ふふ、どうかお気になさらず。
…………▼
ふたつの道か…▼
オルエン…トラキアで
私たちが進む道が交わることは
もうないかもしれない。▼
しかし、お前が前に進み続ける限り
私はその背中を押そう。▼
お前が信じる未来へ
迷うことなく歩いて行けるように。▼

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Last-modified: 2024-01-11 (木) 21:13:08
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