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会話集/記憶の欠片

幸福の記憶

[マチルダ]
ああ、いた。
フェルナン!▼
[フェルナン]
マチルダ……
俺になにか用か?▼
[マチルダ]
ああ。
今日はクレーベはどうしたんだ?▼
[フェルナン]
……そういつもいっしょにいるものか。
子供じゃあるまいし。▼
[マチルダ]
それもそうだな。▼
お前とクレーベは兄弟のようだから
すぐふたりでひとつに考えてしまう。▼
気を悪くしたのなら許してくれ。▼
[フェルナン]
別に、悪くしたわけでは……▼
[マチルダ]
そうなのか?▼
お前は私と話すとき
あまり目を合わせてくれないだろう。▼
なにか嫌われるようなことを
してしまっただろうか。▼
[フェルナン]
そ、そんなことはない!
嫌ってなんか……▼
ただ、お前がいつも
クレーベのことばかり聞くから……▼
[マチルダ]
あ…………▼
そ、そうだな。
それはお前に失礼だったな。▼
すまない、つい……
お前の話が楽しくて。▼
[フェルナン]
俺の話……?▼
クレーベから聞くのと
たいして違わないだろう。▼
[マチルダ]
違うさ。
もちろん彼と話すのも楽しいが……▼
クレーベはああ見えて
少し見栄っ張りだからな。▼
あまり自分の失敗を
語ろうとはしないんだ。▼
[フェルナン]
へえ?▼
じゃあ、昼食会の前に
こっそり食堂に忍び込んで▼
ケーキのクリームだけ
全部舐めてしまったことも?▼
牧場の羊に乗ろうとしたら
怯えたやつらが大暴れして▼
壊れた柵から村中に逃げ出して
大目玉をくらったこともか?▼
[マチルダ]
あはは……
そうそう、そういう話だ。▼
[フェルナン]
いまでこそああして
澄ましているが……▼
クレーベのやつ、いざとなったら
俺よりたちが悪いからな。▼
マチルダも気をつけろよ。▼
[マチルダ]
ああ、肝に銘じるよ。▼
やはりいいな、お前の話は。
……なあ、フェルナン。▼
[フェルナン]
なんだ?▼
[マチルダ]
私がお前から話を聞きたいのは
もちろんそういうこともあるが……▼
話しているお前を見るのも
好きなんだ。▼
[フェルナン]
えっ?▼
[マチルダ]
本当に楽しそうで、愛おしそうで……▼
お前たちがどれだけ幸福であったのか
伝わってくるよ。▼
なんだか嫉妬してしまうな。▼
[フェルナン]
マチルダ……▼
[マチルダ]
お前とクレーベが羊を逃がした牧場や
宝物をかくした森を▼
いつか私も見てみたいものだ。▼
[フェルナン]
……いつかとは言わず
いつでも来るといい。▼
案内するよ。
俺とクレーベとふたりで。▼
[マチルダ]
フェルナン……
ありがとう。▼
[フェルナン]
もっとも、その前に
クレアの許可が必要だが。▼
あいつは手強いぞ?▼
[マチルダ]
ああ、薄々聞いてはいるが……▼
今度はクレアの好きなものの話でも
聞かせてくれ。▼
[フェルナン]
はは……
ああ、任せておけ。▼

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Last-modified: 2020-09-29 (火) 16:04:51
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