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会話集/記憶の欠片
姫騎士と若騎士†
- [マチルダ]
- どうだ、クレーベ。
騎士団にはもう慣れたかい?▼
- [クレーベ]
- マチルダ!
ああ、みんなよくしてくれているよ。▼
でも、もう三か月も訓練ばかりで……
早く戦場に出たくてたまらないんだ。▼
- [マチルダ]
- なに、焦ることはない。
今のうちにしっかり腕を磨いておくといい。▼
- [クレーベ]
- でも、それではいつまでたっても
マチルダに追いつけないじゃないか。▼
- [マチルダ]
- 私に?▼
- [クレーベ]
- ああ。▼
女性でありながら、
騎士団一と謳われる女騎士マチルダ……▼
国中の少年たちが
どれだけその名前に胸を躍らせているか。▼
あなたにはきっとわからないだろうな。▼
私と幼なじみも、
あなたの話ばかりしていたよ。▼
- [マチルダ]
- そうなのか。
それは意外だな。▼
男の子が憧れるのは、
あの英雄マイセン卿かと思っていたよ。▼
- [クレーベ]
- たしかにマイセン卿は尊敬すべきお方だ。▼
私も彼のようになりたいと思っているよ。▼
でも、年頃の少年が
威風堂々たる老騎士と美しい女騎士……▼
どちらにより惹かれるかは
火を見るより明らかだろう?▼
- [マチルダ]
- ふふふ……
実物を見てがっかりされなければいいが。▼
- [クレーベ]
- とんでもない!▼
戦場を駆けるあなたは、着飾って
宮廷で取り澄ましているときより▼
遥かに美しいよ。▼
- [マチルダ]
- 取り澄ましているとはご挨拶だな。▼
まあ、ああいう場が
好きではないのは本当だが。▼
そういえば、
あの子犬のような妹君は元気か?▼
私が君と話していると
いつも間に入ってきていたな。▼
- [クレーベ]
- ああ……
元気すぎて困るほどさ。▼
私が騎士団に入るといったら
泣きわめいて大変だったよ。▼
- [マチルダ]
- よほど君を好いているんだな。
可愛いじゃないか。▼
でも、ようやくこうして
君とゆっくり話すことができて▼
私もうれしいよ。▼
- [クレーベ]
- マチルダ……
ああ、私もだ。▼
どうやら私たちには、
華やかな宮廷より▼
土埃の舞う戦場のほうが、よほど
社交の場にはふさわしいみたいだな。▼
- [マチルダ]
- まったくだ。
ふふ……▼
これでは、次にドレスに袖を通すのは
いつになることやら。▼
- [クレーベ]
- ……………………▼
- [マチルダ]
- クレーベ?▼
- [クレーベ]
- いや……▼
では、そのときにはぜひ
私と踊ってくれないか?▼
- [マチルダ]
- えっ……▼
でも、本当にいつになるか
わからないぞ?▼
- [クレーベ]
- 待つさ、いつまでだって。
あなたと踊れるのなら。▼
- [マチルダ]
- ……そ、そうか。▼
では……うん。
約束しよう。▼
- [クレーベ]
- ……ありがとう、マチルダ!▼
じゃあ、その日を楽しみに。▼
- [マチルダ]
- あ……行ってしまった。▼
なにも走ることはないだろうに。
ふふ……▼
……いや、笑いごとではないな。
ステップの練習をしておかねば。▼
ああ、しまった。
ダンスなど忘却の彼方だぞ……!▼
コメント†
Last-modified: 2020-09-29 (火) 16:04:06