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帝国領地名鑑

帝国領地名鑑1

 アドラステア帝国、各領地の情報をまとめた名鑑。
 機密は書かれていないため閲覧および持ち出しの制限は
 特になし。
 1180年版。▼

 フレスベルグ領
  皇帝直属領。帝国南部に突き出た半島の大部分を占め
  る。広く南の海に面し、温暖で暮らしやすい気候が特
  徴。帝都アンヴァルはフォドラ有数の港町でもある。
  領内は商業と漁業が特に発展しているほか、帝都の東
  は森林地帯になっており、狩猟や林業も盛ん。▼

 エーギル領
  公爵領。帝国の東海岸、内海である“珠の海”に面す
  る。領港ボラマスはアンヴァルと並ぶ良港であり、魔
  道都市モルフィスを含む東方諸国との交易で賑わって
  いる。領内は漁業に加えて農業や、交易品や東方の技
  術を利用しての工芸も発達しており、豊かである。▼

 ベルグリーズ領
  伯爵領。アミッド大河からメリセウス要塞まで南北に
  広く、グロンダーズ平原の大半を領地とする。肥沃な
  土地で多種多様の穀物が栽培され、「帝国の台所」と
  まで言われる。また、馬の育成も盛んであるなど、帝
  国の軍事を支える一大地帯となっている。▼

 ヴァーリ領
  伯爵領。東部がグロンダーズ平原、西部がオグマ山脈
  から成っており、特に鉄鉱山を多く抱えていることで
  有名。かつてはフレスベルグ領との境に南方教会領が
  あったが、今ではヴァーリ領に吸収されている。鉱業
  では他領の追随を許さぬ発展を遂げている。▼

 フリュム領
  子爵領。アミット大河と“珠の海”に挟まれる好立地
  にありながら、山がちな地形と湿地帯の多さが領地の
  発展を阻害している。北部の山中では近年、多くの遺
  跡が発見されており、その調査が進められている。▼

 フェニヤ領
  子爵領。フォドラ最南端の領地。東に浮かぶ幾つかの
  島の領有も主張しているが、支配の実態はない。温暖
  で乾燥した気候を生かして多くの貴重な農産物を栽培
  され、バクスや食用油の一大産地となっている。▼

帝国領地名鑑2

 アドラステア帝国、各領地の情報をまとめた名鑑。
 機密は書かれていないため閲覧および持ち出しの制限は
 特になし。
 1180年版。▼

 ヘヴリング領
  伯爵領。オグマ山脈から西のミアハ海岸まで、東西に
  長い形をしている。帝国の東西を繋ぐミアハ街道を擁
  し、中央には要害たる領都モズグズがある。土地の肥
  沃さでは他領に劣るものの、豊富な資源や公益での優
  位性を活かした産業が盛んである。▼

 ゲルズ領
  公爵領。帝国の最北端に位置し、帝国では比較的涼し
  い気候が特徴。5年前のダグザ=ブリギット戦没で取
  り潰されたヌーヴェル家の領地を吸収し、最先端の地
  を有することとなった。東部の広大な台地は森林に覆
  われており、さらなる発展が期待されている。▼

 旧アランデル領
  大公領であったが、皇帝直属領に組み入れられた。
  “黒き森”と呼ばれる深い森が特徴で水源も多い。

 ギリング領
  男爵領。狭く険しい土地だが、貴重な鉱物が出る。▼

 オックス領
  男爵領。“フォドラの牙”と呼ばれる半島の北半分に
  位置する。北部には平野と大河、南部には産地と良港
  があり、領内の地形は多種多様だが、産業に突き抜け
  たものはなく、平凡な発展に留まっている。▼

 エッサー領
  子爵領。山で囲まれた巨大な盆地が特徴。領都は帝都
  を除けば帝国一の学術都市があり、魔道研究も盛ん。

 ロッキン領
  子爵領。西のヒュミル領と共に毛織物業が盛ん。▼

 ヒュミル領
  子爵領。東のロッキン領と共に毛織物業が盛ん。

 メニヤ領
  子爵領。入り江の多いミアハ海岸の西部を有する。漁
  業が盛んなほか、船舶の一大製造地でもある。▼

 マルティン領
  男爵領。新興の領地であり、特色は少ない。

 バルナバシュ領
  男爵領。ガルグ=マクの西、険しい産地と森林がその
  領地のほとんどであるが、木工業や果樹栽培で有名。▼

王国領地名鑑

王国領地名鑑1

 ファーガス神聖王国、各領地の情報をまとめた名鑑。
 機密は書かれていないため閲覧および持ち出しの制限は
 特になし。
 1180年版。▼

 ブレーダッド領
  王領。領地の大半を寒冷な荒野が占めており、冬には
  一面の雪原へと姿を変える。経済の主軸は林業と鉱業
  であり、特に銀の採掘量はフォドラ随一を誇る。南西
  部には800年の歴史を持つカムロス大聖堂がそびえ
  立ち、古くから巡礼者たちの街として栄えてきた。▼

 フラルダリウス領
  公爵領。東西で異なる二つの顔を併せ持つ。穏やかな
  “白角海”に面する東部では漁業が、広大な針葉樹林
  を有する西部では狩猟や林業が盛んに行われている。
  南のダヌ川流域には穀倉地帯が広がっており、しばし
  ば北部で最も肥沃な土地と称される。▼

 イヴァン領
  公爵領。林檎の栽培とそれを原料とした酒造が盛ん。
  特に蒸留酒は、歴代の王に愛されてきた逸品である。

 旧クレイマン領
  子爵領であったが、現在は王家直轄領になっている。▼

 カロン領
  伯爵領。工芸、特に玻璃の製作が盛ん。大修道院の玻
  璃窓の製作と修繕はカロン領の職人が手がけている。

 エレボス領
  侯爵領。大修道院への北の玄関口として栄える。▼

 デュバル領
  伯爵領。各地にトータテス湖などセイロス教の聖地が
  点在しており、敬虔な信徒が数多く巡礼に訪れる。

 プライデリ領
  男爵領。岩塩坑を保有し、長く製塩業で栄えてきた。▼

 ベリナス領
  子爵領。目立った特産物はない。“獅子王”ルーグが
  盟友と共に決起した土地であると言われる。

 ブレナス領
  子爵領。領都は刃物の街として知られている。▼

王国領地名鑑2

 ファーガス神聖王国、各領地の情報をまとめた名鑑。
 機密は書かれていないため閲覧および持ち出しの制限は
 特になし。
 1180年版。▼

 ゴーティエ領
  辺境伯領。フォドラの最北に位置し、国境のルスカ山
  脈に拠ってスレンの襲撃を防ぐ役割を担っている。領
  土の大半が針葉樹の森に覆われており、一年を通して
  機構は非常に寒冷。主な産業は林業と漁業だが、領都
  の周辺は草原が広がり、畜産業が盛んである。▼

 ガラテア領
  伯爵領。険峻な岩山や荒野が面積の大半を占める。荒
  涼とした土地。農耕には向かず、規模の大きな街もご
  くわずか。しかしフラルダリウス領との教会付近には
  天馬の好む牧草が群生しており、良質な天馬の生産地
  として知られている。▼

 ドミニク領
  男爵領。小さいが、風光明媚な土地である。沿岸諸都
  市は、アルビネとの交易により商業が発達している。

 ギディオン領
  子爵領。北の山間では、僅かだが金が産出される。▼

 ローベ領
  伯爵領。西部はアリアンロッドを中心に製鉄や鍛冶で
  栄えている。東部ではバクスの製造が盛んである。

 エリデュア領
  子爵領。西方教会の影響を受けた独特の文化を持つ。▼

 イーハ領
  大公領。領地の大部分を占めるイーハ平原で行われる
  小規模な狩猟と、傭兵の派遣が経済の中核を成す。

 マテウス領
  子爵領。古くから、漁業と造船を主産業としている。▼

 ゲライント領
  伯爵領。南部を流れるタラヌス川の流域は肥沃な平原
  であり、一面に牧歌的な田園地帯が広がっている。

 イーニッド領
  子爵領。良質な羊毛の産地として名高い。▼

同盟領地名鑑

同盟領地名鑑1

 レスター諸侯同盟、各領地の情報をまとめた名鑑。
 機密は書かれていないため閲覧および持ち出しの制限は
 特になし。
 1180年版。▼

 リーガン領
  公爵領。肥沃な平原と草原が領地の大部分を占め、領
  都のデアドラは“水上都市”の異名を取る華やかな港
  街である。飛び抜けている分野はないものの、農業
  漁業、商業、製造業などあらゆる産業が活発であり、
  足りないのは鉱山資源のみだという。▼

 グロスタール領
  伯爵領。同盟ではリーガンに次ぐ大きさで、森林と
  平原からなる。酪農をはじめとした農業が盛んである
  と共に、林業や狩猟など豊かな自然を生かした産業が
  発展している。また古くから芸術が盛んで、領都であ
  るエドギアには多くの芸術家の工房が立ち並ぶ。▼

 ダフネル領
  侯爵領。西側に山地、東側にビムル川の河口を含む平
  野が広がる。王国との境界にあることと、デアドラと
  の往来が容易なことから、商業を中心とした多種多様
  な産業が発展する。領内には“煉獄の谷”アリルもあ
  るが、人の住める土地ではない。▼

 フレゲトン領
  子爵領。領地は小さいが、アミッド大河に架かる最大
  の橋ミルディンを有し、交易で巨利を得ている。

 シーワード領
  子爵領。山がちの小さな領地で目立った特産はない。▼

 オールバニ領
  子爵領。大修道院へ向かう巡礼者の中継地。

 バーガンディ領
  子爵領。大修道院への東の玄関口。アミッド大河の源
  流に近く、カレドニス台地などの自然も豊か。▼

同盟領地名鑑2

 レスター諸侯同盟、各領地の情報をまとめた名鑑。
 機密は書かれていないため閲覧および持ち出しの制限は
 特になし。
 1180年版。▼

 ゴネリル領
  公爵領。“フォドラの喉元”を含む起伏に富んだ地形
  が特徴で、そこから産出される貴重な輝石類は貴族の
  間で人気が高い。また、隣国パルミラとの小競り合い
  が頻発することから多くの騎士団や傭兵が集まり、彼
  らを相手とする商売が非常に盛んである。▼

 コーデリア領
  伯爵領。“フォドラの喉元”の南の付け根から西に広
  がり、南側はほぼアミッド大河に面している。それを
  水源として多様な作物が栽培されてきたが、近年では
  グロスタール領の発展に押されている。まだ酒造も盛
  んであり、コーデリア産のヴァダは高級品とされる。▼

 エドマンド領
  辺境伯領。レスター最北部と、その西に浮かぶ島を領
  地とする。多くの商人が属する交易の中心地であり、
  莫大な利益を上げている一方で、島には多くの海賊、
  北の対岸にはスレンの民がおり、近頃ではパルミラか
  らも船が来るなど、決して安全な地とは言えない。▼

 アダルブレヒト領
  男爵領。堅固な立地を生かして金融業が興っている。

 ミュラー領
  男爵領。狭い土地ながらほぼすべてを森林に覆われて
  おり、良質な材木をレスター各地に輸出している。▼

 ネルソン領
  子爵領。東方教会に接し、守護する役目を持つ

 クパーラ
  “山の民”が暮らす領域。厳密には諸侯同盟には含ま
  れていない。僅かながら周辺の領地と交流がある。▼

古びた高級な手紙

……来節、フェルディアで商談の予定があったが、
あれは取りやめだ。今はそれどころじゃない。
王様がダスカーの族長と会談をしに行くって話を
覚えているな? その道中、王様の一団はダスカー
の連中に襲われて、みんな死んじまったそうだ。
生き残ったのは、小さな王子様一人だけと来た。▼

すぐに誰かが軍をまとめて、ダスカーに討伐の兵
を送ったそうだが、王様がいなくなった王都は、
上を下へ大騒ぎってわけだ。
ダスカーの民も馬鹿な真似をした。一部の過激な
奴らのせいで、とばっちりを食うのだかな。
この所業を思えば、当然の報いかもしれないが。▼

ただ、ダスカーとの商売はもう駄目だろう。
ゲネウラの近くは良質な金が採れる上、
鍛冶屋の腕も良いだけにもったいないものだ。
とにかく、私が帰るまで勝手な行動は謹んで……

(商人が王都からどこかに送った手紙のようだ)▼

帝国貴族名鑑

帝国貴族名鑑1

 アドラステア帝国の主要な貴族の名鑑。
 教団の資料のため、持ち出し及び
 生徒の閲覧を禁ずる。
 1179年版▼。

 フレスベルグ家
  大帝ヴィルヘルムを祖とする帝国の大貴族。
  1100年以上にわたって帝国を治める。
  その系譜は聖セイロスの血統をも有し、
  代々の皇帝はその身にセイロスの紋章を
  宿していたという。▼

  帝都アンヴァルとその周辺一帯を領地とし、
  帝国の内外で絶大な権力を誇ったが、
  1171年の七貴族の変により、貴族らに
  権能を剥奪される。また近年、立て続けに
  一族の者に不幸が起こっており、その支配
  体制には暗雲が垂れ込めている。▼

 エーギル家
  帝国でフレスベルグ家に次ぐ力を持つ公爵。
  当主がいつしか宰相の地位を歴任するように
  なり、今では実質的に世襲宰相の地位を
  有する。七貴族の変を主導し、帝国の統治に
  おける実権を握っている。▼

 ベストラ家
  フレスベルグ家の影であり、領地を持たない
  特殊な侯爵。帝国の暗部を牛耳っているほか、
  皇帝の補助、儀礼典礼、後宮、近衛などを
  含めた皇帝周辺の政務を担っていた。
  七貴族の変ではエーギル家に味方する。▼

 ヘヴリング家
  帝国の内務卿を世襲するようになった伯爵。
  主に政務、財務、法務などを担当し、その
  領分を巡って頻繁に軍務卿と対立している。
  領地の大半がオグマ山脈に属し、鉱業が
  盛んである。▼

 ベルグリーズ家
  帝国の軍務卿を世襲するようになった伯爵。
  皇帝直属軍以外の帝国すべての軍事を
  管轄とし、戦時には当主が大将軍として
  全軍を率いる。フォドラいちの穀倉地帯、
  グロンダーズ平原の大半を領地とする。▼

 ヴァーリ家
  帝国の教務卿を世襲するようになった伯爵。
  教務卿は主にセイロス聖教会との渉外が
  領分だったが、近年は教団と帝国が疎遠に
  なっているため、法務などにも干渉しては、
  内務卿との政争を起こしている。▼

帝国貴族名鑑2

 アドラステア帝国の主要な貴族の名鑑。
 教団の資料のため、持ち出し及び
 生徒の閲覧を禁ずる。
 1179年版。▼

 ゲルズ家
  帝国の外務卿を世襲するようになった公爵。
  外交や他国との交渉、中央と地方の紐帯を
  任とし、ダグザ・ブリギット戦役においても
  停戦協定の締結に尽力した。七貴族の変に
  加担してはいるが、他家とは一線を画す。▼

 アランデル家
  元は帝国の小貴族だったが、現当主である
  フォルクハルトの妹が皇帝イオニアス9世の
  室となってから急伸し、アランデル大公の
  位を贈られる。エーギル家に協力し、七貴
  族の変を起こした主犯格の一人と目される。▼

 フリュム家
  帝国の子爵。皇帝イオニアス9世の中央集権
  政策に反発し、帝国からの独立と同盟への
  参画を目論むも、帝国軍の介入にあって
  失敗する。後始末として本家は断絶、現在
  では養子を当主として迎え入れている。▼

 ヌーヴェル家
  帝国の子爵。帝国西端に領地を構え、家名に
  由来する港湾都市ヌーヴェルを中心にダグザ、
  アルビネ、ブリギットなどとの交易で栄える。
  だが、1175年に攻め寄せたダグザ・ブリ
  ギット連合軍の上陸を許し、没落した。▼

 オックス家
  帝国の男爵。帝国西部”フォドラの牙”と
  呼ばれる半島の北半分を領地とする。
  ダグザ・ブリギット戦役で当主を失った。▼

 バルテルス家
  帝国の男爵。野心高く、多くの紋章の血統を
  その家系に加えている。1176年、当主を
  含む一族の多くが不審死。嫡男エミールの
  犯行とされたが、エミールは行方不明になり、
  現在は遠縁の者が当主となっている。▼

王国貴族名鑑

 ファーガス神聖王国の主要な貴族の名鑑。
 教団の資料のため、持ち出し及び
 生徒の閲覧を禁ずる。
 1179年版。▼

 ブレーダッド家
  十傑の一人、ブレーダッドを祖とする一門。
  751年、鷲獅子戦争で勝利を収めた
  ”獅子王”ルーグが、教団より戴冠を受け
  アドラステア帝国からの独立を果たして以来
  400年以上にわたり王国を統治してきた。▼

  王都フェルディアとその周辺を領土とし、
  フォドラ北部の諸侯を数多く従属下に置く。
  国王ランベールが1176年に没した後は
  その実兄にあたるイーハ大公リュファスが
  若年の王子に代わり領内の政を担っているが
  各地で争乱が続き、体制は揺らぎつつある。▼

 フラルダリウス家
  十傑の一人、フラルダリウスを祖とする一門。
  王国諸侯の中でも歴史の長い家の一つであり、
  ”獅子王”ルーグの盟友であるキーフォンも
  英雄フラルダリウスに連なる者であるという。
  公爵の位に叙されている。▼

 ゴーティエ家
  十傑の一人、ゴーティエを祖とする一門。
  王国の最北に領土を持ち、二百余年にわたり
  ”北方の民”スレン族による侵攻から国土を
  守護してきた。辺境伯の位に叙されている。▼

 カロン家
  十傑の一人、カロンを祖とする一門。
  鷲獅子戦争の時代に独立軍と聖教会の折衝を
  担ったことから、今も国内での典礼の場には
  カロン家の当主が立ち会う伝統が残っている。
  伯爵の位に叙されている。▼

 ガラテア家
  レスター諸侯同盟の一角を成すダフネル家が
  家督争乱により二分された際、ファーガスに
  帰順した一派が家を興し、後に伯爵の位に
  叙された。領地の大部分が寒冷な荒野であり、
  1170年代の初頭には大飢饉が起こっている。▼

 ローベ家
  もとは帝国北西部に領地を持つ貴族であったが
  領内に城塞都市アリアンロッドが築かれた際、
  帝国に反旗を翻し、アリアンロッドを含む
  所領ごと、ファーガス神聖王国に帰順した。
  その功を以て、王家より伯爵位に叙される。▼

 クレイマン家
  元来、王国西部の一城主に過ぎなかったが、
  1176年に行われたダスカー半島の征伐で
  大功を立て、王家より子爵の位に叙された。
  封土としてダスカー半島を与えられている。▼

同盟貴族名鑑

 レスター諸侯同盟領の主要な貴族の名鑑。
 教団の資料のため、持ち出し及び
 生徒の閲覧を禁ずる。
 1179年版。▼

 リーガン家
  十傑の血統で、レスター諸侯同盟の盟主格。
  881年の三日月戦争を経て、王国からの
  独立と諸侯による共和制の樹立を主導した。
  以来、円卓会議の主催者の役を担っている。▼

  公爵の位は同盟成立以前に王国より叙された
  爵位を根拠とする。なお、現リーガン公の
  嫡男ゴドフロアは公務中の事故により他界。
  ほかに女子もいたが現在は消息不明である。▼

 ゴネリル家
  十傑の血統。レスター地方東部に領地を有し、
  パルミラ軍との攻防において中心的役割を
  担ってきた武門の家柄。殊に次期当主である
  ホルスト卿は同盟随一の勇将として知られる。▼

 コーデリア家
  レスター地方南東部に領地を有する伯爵家。
  1167年、帝国貴族フリュム家の内乱に
  関与したことを契機に、帝国より内政干渉を
  受け続け、急激に国力が低下した。▼

 グロスタール家
  十傑の血統。レスター地方東部の伯爵家。
  現当主は渉外に長けた野心家で、円卓会議で
  議決権を有する五大諸侯の中では、盟主格の
  リーガン家に次ぐ発言力を有している。▼

 エドマンド家
  レスター地方北部に領地を有する辺境伯家。
  良港を活かした交易重視の政策で国力を貯え、
  五大諸侯に名を連ねるまでに成長した。
  現当主は能弁家としても知られている。▼

 ダフネル家
  十傑の血統。かつては同盟の五大諸侯に名を
  連ねていたが、家中の分裂により勢いを失い、
  ここ何代かは紋章持ちの当主も現れていない。
  名家としての存在感は現在も保ち続けている。▼

大修道院地下の調査書

……侵入経路があるようだ。
引き続き調査を進めることが望まれる。
また、数年ほど前から士官学校に
いられなくなったものを収容するための
学級が存在していることが判明した。▼

その名も“灰狼の学級”。
所属する面々の大半は、士官学校の
元生徒らしいが、教師らしき者もおらず
学級とは名ばかりの吹き溜まりと思われる。▼

住人から聞き出したところ、よく名前が上がった
のは主にユーリス、コンスタンツェ、ハピ
バルタザールの4人である。教団がこの学……

(古びた報告書のようだ。
 読める部分はあまり残っていない)▼

地下の住人からの手紙

……近頃、鼠通りに住み処を移してね。
“灰狼の学級”の連中と知り合ったんだ。
何でも士官学校の元生徒で
表通りを歩けなくなったような奴らが
集まっている学級なんだと。▼

バルタザール、コンスタンツェ、
ユーリス、ハピ……
みんな癖はあるが、悪い奴じゃなさそうだ。
特にバルタザールの金……

(薄汚れた紙に汚い字で書かれた手紙だ)▼

地下の番人からの手紙

久しぶりですね。
こっちも本日は異常あり、ですよ。
前に“灰狼の学級”の話はしたでしょう?
地上の士官学校からあぶれた若者たちの
集まりです。▼

特に危ない奴らが3人いるって書きましたけど、
とうとう4人に増えましてね。
ユーリス、ハピ、コンスタンツェ、
そして、バルタザール……
こいつらは本当に困ったもんです。
面白い相手ではあるんですがね。▼

この前なんか大修道院へ抜ける
大きな穴を見つけ出しちまいまして。
慌てて俺たちで岩を持ち寄って……

(癖のある字でびっしりと書かれた手紙だ)▼

諸遊紀行

諸遊紀行1

主にフォドラの外の世界について書かれた記録。
著者は不明だが、実際に各地を旅した者が
書いているようだ。▼

パルミラ
 フォドラの東にある大国。険峻な山岳地帯
 "フォドラの喉元"を領界として、レスター
 諸侯同盟領と接する。騎馬民族の血を引く
 者たちであり、戦いを好む。広大な国土は
 肥沃な大草原、砂漠、大連峰など地形に富む。▼

アルビネ
 フォドラの北西にある大地。寒冷な気候で、
 貴重な動植物が数多く生息しているものの、
 厳寒と穀物の育ちにくい凍土のため、暮らす
 人々の数は少ない。▼

モルフィス
 フォドラの南東にある魔道の都の名であり、
 その都市を中央に置く広大な砂漠の名でも
 ある。"幻の都"とも称された時代も
 あったが、細々と繋がる行商の道を通して、
 偉大にして摩訶不思議な魔道の噂が伝わる。▼

ダグザ
 フォドラの南西にある大地。遥か遠方であり、
 その地は焦熱の密林であるとか、冷涼な
 大高原であるとか、噂を挙げれば枚挙に
 暇がない。そしてそれらは半ば事実であり、
 南北に長い大地に様々な地形を有している。▼

諸遊紀行2

主にフォドラの外の世界について書かれた記録。
著者は不明だが、実際に各地を旅した者が
書いているようだ。▼

ブリギット
 フォドラとダグザの間に位置する島々。
 穏やかな海と豊かな緑に覆われた大自然の
 結晶とも呼ぶべき地であり、フォドラと
 ダグザの間で支配権が争われてきた。▼

スレン
 フォドラの北にある巨大な半島の名だったが、
 今は北半分をスレン地方と呼び、南半分は
 ファーガス神聖王国の領土となっている。
 荒涼とした大地には好戦的な民族が住まう。
 岩砂漠が広がっている一帯もある。▼

ダスカー
 フォドラの北、スレンの西側にある半島。
 かつて暮らしていたダスカーの民は滅び、
 ファーガス神聖王国の領土となっている。
 取り立てて何もない土地だが、珍重な鉱物が
 見つかるという噂もある。▼

オグマ山脈
 フォドラの中央からやや南に広がる大山脈。
 西は帝国と王国の境界となり、ガルグ=マクを
 囲いながら帝国を縦断するように伸びる。
 他では見られない動植物も多く、また豊富な
 鉱物を有する。▼

フォドラの歴史

フォドラの歴史1

 長きにわたり、世は乱れ民は苦しんでいた。
 ”解放王”を僭称する邪なる者ネメシスは、
 争乱を喜び、流血を讃うる。
 フォドラの氏族たちは、糾合されることなく
 ただ奪い合い、殺し合っていた。▼

 帝国歴 前41年
 聖セイロスの出現
  聖者セイロス、アンヴァルの地に現る。
  セイロスは多くの奇跡をもたらし、
  人心をよく集め、集いた人々は
  セイロス聖教会を組織す。▼

 帝国歴 元年
 アドラステア帝国の建国
  国の名は神託を以て定む。
  アンヴァルを都としてフォドラの南を治め、
  聖者セイロスもこれに力を与う。▼

 帝国歴 32年
 英雄戦争の起こり
  初代アドラステア皇帝、
  ヴィルヘルム=パウル=フレスベルグ。
  フォドラの統一のため兵馬を挙げ、
  力をほしいままにする各地の氏族を討滅す。▼

 帝国歴 46年
 グロンダーズの会戦
  ネメシスに味方する氏族の連合軍と、
  アドラステア帝国軍が平原で激突す。
  帝国軍が大勝を収むる。▼

 帝国歴 91年
 タルティーンの会戦
  ネメシスに味方する氏族の連合軍と、
  帝国軍が再び激突す。邪なる者ネメシスは
  ここに死して、帝国は勝勢を定むる。▼

 帝国歴 98年
 英雄戦争の終結
  皇帝ヴィルヘルム1世の後を継いだ
  リュカイオン1世が急病にて崩御す。
  フォドラの大半を支配するに至っていた
  帝国は、これを機に戦いに幕を下ろす。▼

フォドラの歴史2

 帝国歴 721年
 第一次ミアハ戦役
  海を越えてダグザ軍が襲来す。
  帝国軍はこれを撃退するものの、
  ミアハ地方は少なからず被害を受ける。▼

 帝国歴 728年
 ブリギット侵攻
  帝国軍、ダグザに協調していた
  ブリギット諸島に侵攻す。
  勝利し、ブリギットの民を従属させる。▼

 帝国歴 731年
 ダグザ侵攻
  帝国軍、ブリギットを足掛かりに
  ダグザに大規模な侵攻をかけるも、
  武運つたなく敗退す。▼

 帝国歴 747年
 ファーガスの乱
  かつて帝国と争った氏族の子孫、ルーグが
  帝国からの独立を求めて挙兵す。
  ファーガス地方を巻き込んだ争乱となる。
  この一連の争乱を”鷲獅子戦争”とも呼ぶ。▼

 帝国歴 751年
 タルティーンの戦い
  ルーグら独立軍が帝国軍に大勝。
  セイロス聖教会が二者を仲裁し、ファーガス
  地方はファーガス神聖王国として独立す。▼

 帝国歴 801年
 レスター大乱
  帝国のレスター地方で内乱が勃発す。
  帝国軍は鎮圧に失敗。神聖王国がこれに
  乗じてレスター地方を制圧し、領土とす。▼

 帝国歴 861年
 ファーガス神聖王国分裂
  国王クラウス1世の崩御に伴い、
  3人の王子がそれぞれ大公となり、
  王国を三分割して統治す。▼

 帝国歴 881年
 三日月戦争
  王国のレスター地方を治むる大公が病没す。
  レスター地方の諸侯は、次の大公を立てず、
  諸侯の共同体となることを画策す。▼

 帝国歴 901年
 レスター諸侯同盟領の成立
  諸侯同盟に反目する諸侯を討伐し、
  ファーガス地方からの干渉も排除した
  リーガン公を中心に、同盟領が成立す。▼

 帝国歴 961年
 パルミラ襲来
  東の大国パルミラ、フォドラの喉元を
  越えて同盟領に侵攻す。
  帝国軍らも派兵され、からくも撃退す。▼

 帝国歴 1101年
 フォドラの首飾り築造
  パルミラの襲来を防ぐべく、
  同盟・王国・帝国が一丸となり、
  フォドラの喉元に要塞を築造す。▼

とある兵長の日誌

青海の節 2の日 曇り
蛮勇を誇るパルミラの大軍を前に、我々は前線を後退せ
ざるを得ず、喉元に急増した砦に籠もるしかなかった。
もしこの砦を抜かれれば、パルミラのレスター侵入を許
すことになる。なんとしても防がなくては。▼

青海の節 5の日 曇りのち雨、風強し
攻勢を緩めぬパルミラ勢に対し、得意の弓を以て応戦す
るも、折からの風雨が邪魔をして、思うように狙いが定
まらない。明日にも帝国軍の弓箭隊が増援として到着す
ると聞いているが、この天候が続くなら、弓兵では戦力
の足しにはならないだろう。どうしたものか……。▼

青海の節 6の日 雨、風強し
風雨が続いている。合流した帝国の弓箭隊が放つ矢は、
案の定、虚しく地に刺さるばかりだった。
帝国軍は軍師風の男も連れていたが、役に立つとは思え
ない。彼は何かの器具を使ったり紙に数字を書いたりす
るのに忙しく、作戦の一つも出してこないのだから。▼

青海の節 7の日 曇り、風強し
突如、軍師風の男は帝国と同盟の弓兵を集めてそれぞれ
に細かな数字を示し、狙うべき方向と射角を修正するよ
う告げた。半信半疑ながら指示どおりに修正して弓を射
ると、矢は面白いように敵に命中し始めた。
「計算どおりだ」と語る彼は、何と数学者だそうだ!▼

青海の節 10の日 快晴、無風
敵の攻勢が弱まるのと同時に風も止み、ようやく反撃の
好機を得る。数学者殿がいなければ、ここまで耐えられ
なかったはずだ。勝利したのち、もし再会が叶ったなら
ば、必ず伝えよう。数学者殿こそ、この戦いの一番の功
労者であったと――▼

ダグザ戦記 抜粋

帝国歴731年 大樹の節
ブリギットを無事に発った我らが船団は、気候にも恵ま
れ、ついにダグザの大地をこの目に捉えた。やけに白い
砂浜の向こうに、不気味な森林が広がっている。情報で
はこの辺りに集落があるとのことだったが、建物どころ
か船や人影も見当たらない。北と南、どちらに舵を……▼

……突然、ぱらぱらと矢が飛んでくる。木々の間から敵
に狙われたらしい。不意を突かれた兵士たちが幾人か倒
れ、慌てて盾を上げて身体を隠す。だが矢の数も勢いも、
思ったほどではない。ダグザ軍は帝国のミアハ地方、そ
してフリギットでかなりの兵を失っている。防衛する戦
力が残っていないとは思わないが、思ったより容易……▼

……ヒュミル子爵の嫡男が率いる第三船団は、入り江の
中に誘い込まれた。敵の罠だった。なぜ気づけなかった
のか。我々は岬の東端をぐるりと回頭したつもりだった
が、霧の向こう、南側にも海岸があったのだ。行き場を
失った船の櫂同士がぶつかり、先頭の船は座礁したのだ
ろう、すでに傾き始めている。我々の目の前で、仲……▼

……海が燃えている。いったいどんな魔道を使ったと言
うのだ。炎の蛇は徐々に我々の船へとその舌を伸ばして
いる。外洋に広がった敵の船陣。あれを突破せねば誰一
人として生きては帰れない。いや、陛下にこの敗戦を報
告することを考えると、ここで死んだほうがと思わない
でもないが、我々が誇りを捨てるなどあってはなら……▼

……ブリギットは反旗を翻し、寄港しようとした船の半
分を沈められた。口惜しいが、今は逃げることしかでき
ない。連中はダグザが負けたからこちらに尾を振ったに
過ぎなかった。こちらが負ければ再びダグザに尾を振る
だけだ。元より言葉も通じぬ小島の住人、しかし王が欠
片も約定を守る気がなかったとは。いや、そもそも……▼

……ヌーヴェルの街が見えてきた。我らは生き延びたの
だ。ギヌンギの港を出た時に比べれば、船の数は十分の
一以下に減ってしまっている。壊滅としか言いようがな
い。そして戦果は皆無どころか、ブリギットとの関係を
も失った。ダグザの民は恐ろしかった。空を舞い、海を
焼き、森を飛び回り、突然に牙をむく。奴らはいっ……▼

パーソロン戦史

892年 竪琴の節
スレン族による大規模な侵攻。彼らはルスカ山脈を越え
てファーガス北部に攻め入り、そのままファーガス地方
へと南下。ファーガス王バンフィグは、ブレーダッド領
北部からフラルダリウス領北部にかけて、各地にコナン
など数多くの城塞を築き、これを迎撃する。▼

892年 飛龍の節
ついにスレンを撤退せしめたファーガスは、一転攻勢に
出るも、スレンの抵抗と猛吹雪のために侵攻を断念。こ
れを以て戦いに終止符が打たれる。この戦役で最も功を
上げたのは、王家の騎士にして十傑ゴーティエの裔であ
る若き猛将、レティシア=ゾエ=ゴーティエであった。▼

896年 大樹の節
バンフィグは王領の北部をレティシアに割譲。彼女を辺
境伯に叙し、国境の守護を命じた。その後、レティシア
はスレンとの境であるルスカ山脈に数多くの砦を築くと
ともに、セイロス聖教会に“破裂の槍”の返還を求める
など、北方の守りを堅固にすべく務め……▼

……
1169年 翠雨の節
夏を待ち、ファーガス王ランベールは共に北部を統べる
ゴーティエ・フラルダリウス両家と連合して、スレンへ
と兵を向ける。王国軍はルスカ山脈の砦の一つに拠って
陣を張り、スレン軍との戦端を開いた。▼

1169年 角弓の節
王国軍は順調に半島北西へと攻め上るが、族長オレグ率
いる軍と交戦中、突如戦場に巨大な獣が闖入。両軍共に
大打撃を被る。ランベールは重傷を負い、オレグは谷底
に姿を消した。オレグの子は、己の末子であるレフを人
質としてゴーティエ家に差し出し、和平を願い出た。▼

挿絵に描かれた紙の束

第一幕 あらすじ
 アドラステアの村娘リヨラは、オグマの山々の麓に広
 がる深い森の中に迷い込んでしまう。不思議な霧の立
 ち込める森を抜けた先で彼女が出会ったのは、巨大な
 謎の存在。長い一角を持つ飛竜にも天馬にも似た生き
 物だった。▼

第二幕 あらすじ
 巨大なそれを恐れて逃げ出したリヨラだったが、魔法
 のかかった霧を抜け出すことができず途方に暮れてし
 まう。やがて霧の中から怪しい青年が現れると、彼女
 に声をかける。「この先に私の家がある。そこで休む
 といい」と。▼

第三幕 あらすじ
 深い森の中での奇妙な共同生活が始まった。青年は腕
 が立つ狩人のようであり、様々な道具を作る鍛冶師の
 ようでもあった。やがてリヨラは彼に惹かれていく。
 そんな彼女に待っていたのは、再びの巨大な生き物と
 の出会いだった。▼

第四幕 あらすじ
 この森の事実を知ってしまったリヨラは、深い葛藤に
 悩まされることになる。青年はそんな彼女の様子……

 (ミッテルフランク歌劇団によって上演されたことの
 ある、演劇の筋書きのようだ)▼

クラウス王の死

第九章 王の難題
 クラウス王が熱病によって死の床に伏し、
 王子クルーフォーはひどく頭を悩ませていた。
 あまりにも急な病であったものだから、
 彼の偉大なる父親は、兄弟の誰が
 王位を継ぐのかを定めていなかったのだ。▼

 兄のバンフィグは軍略と武芸の才に恵まれていたが、
 本人は戦争と権力を好まぬ穏やかな人柄だった。
 裏を返せば、それは君主には向かぬということだ。
 弟のカイトは、父に似てとても聡明であり、
 またいかなる時も非情に徹することができたが、
 それゆえに騎士たちからは冷徹と恐れられていた。▼

 クルーフォー自身は兄弟と違って紋章を持たず、
 王家の者が持つべき膂力も持ち合わせなかった。
 それゆえ彼は、自分が兄や弟と王位を争えるとは
 露ほども考えていなかったのだが、
 兄と弟が王位を巡って殺し合うさまを想像すると
 それだけで身を裂かれるような思いがした。……▼

 ……ある時、クラウスの妹のモリアンが、
 兄が記したという書きつけを見つけてきた。
 そこには「最も民に愛された者が玉座に就く」と、
 一言だけ、確かにクラウスの筆跡で記されていた。
 このたった一言の書きつけが、血で血を洗う、
 悲劇の継承戦争のきっかけとなったのである。……▼

 ……騎士たちの争いの後、ファーガス王国は
 どの王子を奉じるべきかを巡って三つに割れた。
 ファーガス地方の騎士たちはバンフィグを、
 ミアハ地方の騎士たちはクルーフォーを、
 そしてレスター地方の騎士たちはカイトを支持した。
 彼らはそれぞれ、国土を三つに分割して継承し……▼

 ……彼女は歯の根を鳴らし謀の失敗を悔やんだ。
 目をかけていたカイトを王位に就けるつもりが、
 企ては凡庸なるクルーフォーによって暴かれた。
 多くの犠牲を払い、三人の兄弟は武器を捨て……

(どうやらファーガスの歴史に取材した物語のようだ)▼

物語の紙片

終章
 王を名乗る男が、腰に下げた革袋から小さな笛を取り
 出して思い切り吹く。すると夜空に大きな黒い影が現
 れ、男のそばに飛竜が舞い降りる。目を見張る娘に向
 かって男は事もなげに言う。
 乗るも自由、乗らぬも自由。好きな方を選べ。▼

 戸惑う様子もなく飛竜に歩み寄る娘に、王の家来を名
 乗る男が声をかける。
 あなたはどこかの領主の娘だという。それが本当なら
 ば住み慣れた土地での暮らしに不憫などないはず。そ
 れを捨ててまでなにゆえ我が王の気まぐれに付き合う
 のか?▼

 娘は家来を名乗る男に笑顔を向けて答える。
 彼は私にまだ見ぬ景色をみせてくれるでしょう。その
 ために私はすべてを投げ出そうとしている。馬鹿げた
 選択かもしれませんが、これは私の気まぐれです。そ
 んな気まぐれに我が身を委ねる時、人は真の自由を手
 にすることができるのではありませんか……▼

(実在の誰かを題材にした物語のようだが、
 前半が欠けており推定は難しそうだ)▼

古びた手記の断片

弧月の節 15の日
南方教会に属する“紅の騎士団”に怪しい動きあり、と
の報告が入ったようだ。前節の末に皇位継承が成ったば
かりだというのに……いや、だからこそか。しかし目的
がわからない。中央教会は関与しているのか? 紅の騎
士団も元はセイロス騎士団の一部隊。大司教が空位……▼

孤月の節 19の日
一連の動きに、先日爵位を継いだヴィトーリア=フォン
=フリュムが関与している線が濃厚になった。彼女は限
ヴァーリ伯の娘。紋章持ちだが兄もそうであり、兄が嫡
子に、彼女は紋章持ちが生まれなかったフリュム家に嫁
ぎ、当主となっていたのだ。噂では彼女は教務卿に……▼

孤月の月 20の日
フリュム家の騎士団の一部と共に、“紅の騎士団”が蜂
起した。情報が漏れたため事を急いだのだろう。彼らは
ヴァーリ伯の蟄居およびフリュム伯の教務卿就任を求め
ているとのことだが、今の陛下は誇り高きお方。お膝元
に近い南方教会領での武力蜂起など絶対に許さない……▼

大樹の節 7の日
ヴァーリ伯が亡きヴィトーリアに教務卿の座を譲ること
を条件に、兄を嫡子にするという密約を前陛下と結んで
いた事実が判明された。伯は前陛下が病没されたのを良い
ことに反故にしたようだ。だが、彼女も南方教会と密通
し、事を起こすに至った点では大いに責任がある。……▼

大樹の節 12の日
南方司教の追放と南方教会の取り潰しが決まった。全土
に衝撃が走ったことだろう。中央教会からどれほどの抗議
が来るかはわからないが、陛下は教団と距離を取ること
を望まれたのだ。この件の前では、ヴァーリ伯の引退や
フリュ厶子爵の後継問題など霞んでしまう。かくいう……▼

(誰かの日記のようだ。それなりの地位のあった者だ
と思われるが、大部分が欠けてしまっている。)▼

古びた手紙

父上、母上
こうして手紙を書くのは4節ぶりですね。
寒い日が続きますが、恙なくお過ごしでしょうか。
こちらは師匠の無茶苦茶な修業に付き合わされたり、
危うく殿下に骨を折られかけたりと大変でしたが、
まあ何だかんだ、それなりに楽しくやっています。▼

今回手紙を書いたのは、角弓の節のダスカー行きに
私も同行することになった、とお伝えするためです。
以前お会いした際、父上は随分心配していたようですが
私も……な鍛え方はしていませんし、いざとなれば
「盾」にはなれるでしょう……なんて冗談を言ったら、
まったく笑えない、と殿下に小言を……ましたよ。▼

ダスカーとの会談が終わって落ち着いた頃にでも、
一度……貰って、……の城に帰るつもりです。
フェリクスがどれだけ……上げたか確かめたいですし。
くれぐれも……を怠るな、と言っておいてください。
私はともかく、殿下に勝ちたいと思っているなら、
大岩を担いで山を走り回る……はしてもらわないと。▼

追伸。
先日、……から上等な短剣を賜ったので、
手紙と一緒にガラテア領に……させました。
もし彼女がフラル……ウス領に来ることがあれば、
いつも寂しい……をさせて済まないと伝えてください。
         ……=ゴーヴァン=フラルダリウス▼

(誰かが家族に宛てた手紙のようだ。
ところどころ文字が滲んでおり、読みにくい)▼

司教に宛てた古い書簡

……会合の開催を呼びかけたクローディア夫人を始め、
ダフネル家に生まれた女性たちは伝統的に“烈女”と呼
ばれるに相応しい勇気と行動力、それに強情さを備えて
いたそうですが、貴女もまた例外ではなかったのでしょ
う。▼

いまだ平穏とはほど遠いレスターにあって、あえて東方
騎士団を解散するなど、誰が予想できたでしょうか?
もちろん、諸侯の多くは貴女の考えを理解し、今回の決
断を賞賛していますが、同時に大きな懸念を抱いている
ことも事実です。▼

貴女は剣を捨てると仰いましたが、盾までも捨てるのは
時期尚早と言わざるを得ません。そこで、我々は貴女
に一つの提案をさせていただくことに決しました。
すなわち今後、当家が東方騎士団に代わる東方教会の盾
となることを認めていただきたい。▼

これを受け入れてくださるならば、貴女の考えに難色を
示している大司教の諮問をかわすこともできましょう。
夫人も、義理の妹である貴女を大変に心配しておられま
す。そこも踏まえて、どうかお聞き届けください。
貴女に主の加護のあらんことを。
             ハンス=フォン=ネルソン▼

セイロスの書

第一章 啓示録

女神は天であり、女神は大地である。
今にあり、昔にあり、やがて来るときにある。
かの目はすべてを見通し、かの耳はすべてを
聞き、かの手はすべてを受け止める。▼

女神の証を受け取りし者、
言葉を預かりし者、すなわちセイロス。
天の、大地の御使いとして、
セイロスは恵みと平安をあなた方に届ける。▼

女神よりの全能を以て。
セイロスは、女神の剣として邪を除け、
セイロスは、女神の子として王を封ず。
セイロスは、女神の翼として人を導き、
セイロスは、女神の声として愛を説く。▼

その剣に、あなたの剣を委ね、
その王を、あなたの上に戴き、
その翼で、あなたの生を助け、
その声が、あなたの心を赦す。
あなた方に女神の加護あらんと。▼

第二章 創世記

曇りなき大海に、まずフォドラがあった。
遙かなる旅を終えし女神は、
フォドラを見出し、降り立たれた。
女神は生きとし生けるものを創りたもうた。▼

女神は草木を創り、鳥獣を創り、
そして最後に、人を創りたもうた。
人は力を欲し、女神はそれに応えられた。
天の恵み、大地の恵み、そして魔の恵み。
人は魔道を得、力を増した。
力が邪を呼び寄せるとも知らずに。▼

女神の加護のもと、人は生きた。
より多くを成し、より富み栄え、
いつしかフォドラで最も力ある存在となった。
しかし、北より、邪なる存在が訪れる。
大地を蝕み、天を穢す、邪。
フォドラに混迷が、訪れる。▼

邪なる侵略に対するため、
女神は力を創りたもうた。
超常の武具と、そを使うための血。
人はその力を手にし、邪と戦った。
邪を討ち破り、北へと追いやった人々。
彼らは英雄と呼ばれた。▼

英雄らは数百年を生きたが、やがて
その命も尽き、後には血と力のみが残る。
英雄の血に宿りし力を“紋章”と呼び、
英雄の振るいし力を“英雄の遺産”と呼ぶ。
かくして、新しき時の縁は、紡がれていった。▼

英雄の子孫たちは、血を求め、力を求めた。
やがて彼らはすべてを巡って争い始める。
紋章を、遺産を、土地を、富を。
邪なる存在を打ち果たすための女神の力は、
人の欲によって争いの道具となった。
女神はそれを嘆き、天に姿を隠す……▼

第五章 主の五戒

一、あなたは主の存在と、主の力を
  疑ってはなりません。
一、あなたの神、主の名をみだりに
  唱えてはなりません。▼

一、あなたは父と母と、主に連なる者を
  敬わねばなりません。
一、あなたは主より与えられた力を
  正しく使わねばなりません。
一、あなたはみだりに人を殺め、傷つけ、
  嘘をつき、盗みを働いてはいけません。▼

主はすべての美しきものを是とします。
主は、愛、絆、喜び、平和、信心、親切、
自律、謙虚さ、我慢強さ、これらのものを
否定することはありません。
主の導きに従えば、自ずと主の五戒は
守られるのです。▼

麗しき聖人の系譜録

……という事実があり、真偽は定かではないのだが、本
書においては考慮しないこととさせていただく。
さて、前段が長くなってしまったが、「麗しき聖人」と
聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、やはり聖
マクイルその人であろう。宝石にも喩えられる彼の美貌
を歌う詩歌は数知れず、中でも乙女の頬を撫でる風▼

……大きな翼が 風を呼びました
  空から虹が 降り注ぎました
  おお、美しきあなたよ
  その炎でわたしの心を焼き尽くして

これは聖マクイルについて歌った帝国初期の女性詩……▼

……一人忘れてはならないのが、聖キッホルである。彼
は数多の浮き名を流したという説と、一途な愛を貫いた
という説がある。聖人たちの多くが婚姻を結んだ記録が
ない中で、はっきりと結婚したと明言され、その娘まで
もが聖人に列されている事実から鑑みれば、後者の説が
有力であろうと私は考える。何よりロディ海岸には……▼

……以前の存在として、およそ空想の域を出ない話では
あるが、聖ルカという子だくさんの聖人がいる。彼は恋
多き男であり、多くの愛を育み、多くの命を生み出した
とされるのだ。ただしその姿も多岐に富んでおり、果た
して本当に「麗しき聖人」だったのか。何らかの力によ
り姿を変えていただけではないのかと考えると、い……▼

(聖人についての本のようだ。
人物画が多く載せられている。
かなり読み込まれた形跡がある)▼

紋章学の謎の書

第13章 獣の紋章
 またの名を"モーリスの紋章"という。千年以上前、
 ネメシスに従った11人の氏長の1人モーリスが持っ
 ていたとされる。モーリスは勇敢な戦士であった。若
 くして剣一本で巨狼を討ち、氏族の英雄と褒め称えら
 れた。すぐに父を倒して長の座を継ぐと……▼

 ……モーリスがいつ紋章を授かったか定かではない。
 一説にはネメシスとの一騎打ちに敗れ、彼の下で戦う
 ことを誓った時といわれている。あるいは邪なる存在
 を目の前にした時、ネメシスから預かった英雄の遺産
 "ブルトガング"がその思いに応えて輝いたともいわ
 れている。いずれにせよ彼が剣と共に……▼

 ……帝国軍にとってモーリスと"ブルトガング"はま
 さに"災厄の獣"であった。彼の剣は殺すことに特化
 していた。特に馬上や空中の敵は良い「的」だった。
 戦場を駆け巡るモーリスは多くの将兵を殺し、ついに
 は聖戦士の一人を殺すに至った。返り血を浴びた彼の
 姿には、敵のみならず味方も恐れを抱いたという……▼

 ……グロンダーズの会戦以降、戦場が北上するにつれ
 てモーリスは正気を失っていった。その契機が何だっ
 たのかも定かではない。彼はいつの日か敵陣を突破す
 るとそのままどこかへ姿を消した。戦場の北には、霧
 の立ち込める広大な森があった。捜索の兵が一人とし
 て戻らなかったミルシャの魔の森が……▼

 ……獣の紋章は散り散りに野に下ったモーリスの息子
 たちに受け継がれていた。彼らは他の氏族の家や、帝
 国を厭う領主の陰に隠れて密かに生き続けた。やがて
 忌避すべき紋章が表沙汰になると、その持ち主はなぜ
 か急な病に倒れ、あるいは事故に遭ってすぐ命を落と
 した。そうして誰もが獣の紋章を隠そうと……▼

フォドラ怪奇談

フォドラ怪奇談“血の果実”
 かつて戦場となり多くの血が流れた地には、血のよう
 に赤い果実が生るという。小さな粒が幾重にも重なっ
 たそれは甘く、かじりついた者の渇きをも満たすが、
 気づけばそれなしには生きられなくなり、やがて……
 グロンダーズ地方の古き伝承である。▼

フォドラ怪奇談“彷徨えし獣”
 ミルシャの魔の森に霧が立ち込める夜、この世のもの
 とは思えぬ叫び声が響きわたる。そんな夜は絶対に森
 に入ってはいけない。生きて帰ってきた者がいないか
 らだ。血に飢えた獣が霧と共にやってくる……。
 レスター地方の古き伝承である。▼

フォドラ怪奇談“地の底の亡霊”
 地の底から響く恐ろしい声。それは女神の御許に辿り
 着けず、薄暗い死の国を彷徨い続ける死者の怨嗟の声
 であるという。彼らは陽の光の下を行く生者を妬んで
 おり、時には地底へと引きずり込んでしまう……。
 ファーガス地方の伝承である。▼

フォドラ怪奇談“ダナの砂嵐”
 北には侵入者を拒む砂漠があるという。砂漠のふちを
 行商人が通るだけでは現れないが、何かを求めて砂漠
 の中へと足を踏み入れると辺りの景色は一変。巨大な
 砂嵐が巻き起こり、入った者を切り裂くという。
 地域不詳の古き伝承である。▼

フォドラ怪奇談“霧の巨人”
 夜明けちょうどに山に入ると、霧に包まれてしまうこ
 とがある。そんな時はうずくまって霧が晴れるのを待
 つのだ。決して逃げ出してはいけない。あなたを踏み
 潰せるほどの巨大な霧の巨人が迫ってくるから。
 ファーガス地方の古き伝承である。▼

フォドラ怪奇談“死神の鎌”
 赤狼の節、満月の晩には窓を塞いで寝なければいけな
 い。なぜなら大きな鎌を持った死神が命を刈りに来る
 から。外を出歩くなどもってのほかだろう。血をすべ
 て吸い取られた死体となって発見される……。
 ミアハ地方の古き伝承である。▼

フォドラ怪奇談“赤い悪魔”
 穏やかに見える“白角海”の底には赤い悪魔が眠って
 いる。悪魔は船から落ちる者がいると、すぐに手を伸
 ばして沈めてしまう。それを防ぐには油を……

(フォドラの各地に伝わる怪奇を集めた書のようだ)▼

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Last-modified: 2023-09-18 (月) 00:24:17
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