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章別会話/その命、輝く限り
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*その命、輝く限り [#wf6efc50]
#contents
**その命、輝く限り [#pe43874e]
***オープニング [#s186eb85]
:[アーサー]|
ティニー、大丈夫か?~
怪我はしていないか?▼~
:[ティニー]|
はい、兄様。~
それより、イシュタル姉様は…▼~
:[スカサハ]|
彼女ならあそこだ。~
ずいぶんと突出しているな。▼~
:[イシュタル]|
王国の平和を乱す賊ども。~
【雷神】の裁き、その身で受けよ。▼~
:[シャロン]|
す、すごい! 一撃で~
大勢の敵をやっつけちゃいました!▼~
【雷神】のふたつ名は~
伊達じゃないですね!▼~
:[アルフォンス]|
あれだけの力を持つ英雄が~
力を貸してくれるのはとても心強いよ。▼~
:[アンナ]|
つねに最前線に置いてくれって言うから~
希望どおりにしてみたけど~
彼女の働きは予想以上ね。▼~
:[アーサー]|
伝説の魔法騎士トード…~
その血を引く者だけが使える~
雷の魔法【トールハンマー】…▼~
こうして間近で見ると~
恐るべき威力だ。▼~
:[スカサハ]|
不思議だな。~
あのイシュタル王女と…今はこうして~
共に戦う仲間となるなんて。▼~
:[イシュタル]|
まだ終わってはいない…~
我が雷からは逃げられぬと知れ。▼~
:[シャロン]|
あっ! イシュタルさん!~
一人で突っ込むと危ないですよっ!▼~
:[ティニー]|
イシュタル姉様…!~
兄様、私たちも追いかけましょう!▼~
:[アーサー]|
あ、ああ、わかった…!▼~
:[イシュタル]|
…私には戦いしかない。▼~
戦って、戦って、戦って…~
それが、今の私に許された~
唯一の生き方…▼~
***C [#nb96554d]
:[ティニー]|
兄様、先日はごめんなさい。~
私が至らないせいで~
ご迷惑をおかけして…▼~
:[アーサー]|
謝る必要はないよ、ティニー。~
兄妹ならば支え合うのは当然のことだ。▼~
母さんが亡くなったあと、そばにいて~
あげられなかったぶんも含めて…~
遠慮なく俺に頼ってくれ。▼~
:[ティニー]|
兄様…~
ありがとう。▼~
:[スカサハ]|
そうか…~
二人は長い間、~
離ればなれだったんだな。▼~
:[ティニー]|
はい。母様は私たち兄妹を連れて~
フリージ家から離れました。▼~
ですが、物心つかぬうちに~
私と母様はフリージ家に連れ戻されて…▼~
そのとき、兄様だけは手違いで~
置き去りにされてしまったのです。▼~
:[スカサハ]|
辛い話だな…▼~
俺は生まれたときから~
双子の妹がそばにいてくれたから~
辛い日々を乗り越えられた。▼~
:[アーサー]|
妹や母さんを奪った~
フリージ家を俺は許さない。▼~
だが、フリージ公国の民には罪はない。~
そこは履き違えないつもりだよ。▼~
:[ティニー]|
フリージ家でも…~
イシュタル姉様は~
私によくしてくれました。▼~
イシュタル姉様は本当は…~
戦いを好まない優しい方なのです。▼~
:[アーサー]|
そうは言うが…~
先ほど見せた鬼神のごとき~
イシュタル王女の戦いぶり。▼~
あれは本当に~
戦いを望まぬ者の姿だろうか?▼~
:[スカサハ]|
確かに…~
あの姿は、俺も~
鬼気迫るものを感じたな。▼~
:[ティニー]|
……▼~
アスク王国に来てからの~
イシュタル姉様のご様子は~
私から見ても…心配です。▼~
:[スカサハ]|
はたから見ると~
無謀にも見える戦いぶりだけど…~
なにか、理由があるんだろうか?▼~
:[ティニー]|
もしかしてイシュタル姉様は~
償いのために…~
命を懸けているのかも…▼~
:[スカサハ]|
償いのために…命を懸ける?▼~
***B [#j2e9ef8e]
:[スカサハ]|
あ、イシュタル王女。~
少し話してもいいか?▼~
:[イシュタル]|
私に何用でしょう?▼~
:[スカサハ]|
聞きたいことがあるんだ。▼~
今ここにいるあなたは…~
あの時の戦いを…憶えてるのか?▼~
:[イシュタル]|
……。~
はい。私の記憶に~
しっかりと刻まれています。▼~
セリス公子率いる反乱軍…~
いえ、あなたたちにしてみれば~
解放軍でしょうか。▼~
あなたたちとの戦いで、~
私の命は消えました。~
それが、私の運命だったのでしょう…▼~
:[スカサハ]|
あのとき、あなたが言った言葉を~
俺はまだ、忘れてはいない。▼~
「雷神イシュタルの~
最後の戦いを見せてやろう」…▼~
あなたはもしかして、最初から、~
あの戦いで死ぬつもりだったのか…?▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[スカサハ]|
だから、~
あなたはこのアスク王国でも~
死に場所を探して…▼~
:[イシュタル]|
……。~
私には愛する人がいました。▼~
ですが、私は…~
あの方の御命令に背いてしまった…~
あの子供たちを犠牲にできなかった…▼~
だから…私には…もう…▼~
:[ティニー]|
イシュタル姉様!▼~
:[イシュタル]|
ティニー…▼~
:[アーサー]|
すまない。~
話を聞くつもりは~
なかったのだが…▼~
:[ティニー]|
あの戦争では~
大勢の命が失われました。~
でも…▼~
みんな、姉様と同じように、~
守りたい人たちの未来のため…~
そのために戦ったんだと思うのです。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[アーサー]|
あなたが救ったのは、~
その子供たちの命だけじゃない。▼~
その子供たちの命が~
回り回ってほかの命を救う…~
そうして、未来へと繋がっていくはずだ。▼~
:[スカサハ]|
ああ。それに、未来へ繋げるべき命には…~
イシュタル王女。~
あなたも含まれているんだと思う。▼~
:[イシュタル]|
私も…?▼~
:[ティニー]|
はい。~
姉様が、私たちが今ここにいるのは、~
きっとそのためだと思うのです。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
***A [#i11141f0]
:[シャロン]|
よーし! わたしたちが優勢ですね!~
このまま一気に押し切っちゃいましょう!▼~
:[イシュタル]|
いえ、シャロン王女。~
これ以上の深追いは控えましょう。▼~
味方に被害が出る可能性もありますし~
ここは態勢を整えるのが得策かと。▼~
:[シャロン]|
あっ! そうですね!~
実はわたしもそれがいいかなーって~
思っていたんですよ!▼~
:[アンナ]|
ねえ、アルフォンス。~
イシュタル王女の戦い方…~
少し変わったわよね?▼~
:[アルフォンス]|
そうですね。以前にも増して~
活躍してくれていますが…▼~
自身の命を削るような戦い方から~
仲間と歩幅を合わせるような~
戦い方に変わってきたみたいです。▼~
:[アンナ]|
うーん。なにか~
心境の変化があったのかしら。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
私が…なぜこの世界に呼ばれたのか。~
この世界は、私になにを望むのか…?▼~
この地で何を為そうと…~
私の罪は、~
消えることはない…▼~
でも、それでも…~
私の戦いが、~
誰かの未来に繋がるのなら…▼~
この命は、そのために…▼~
**地を走る流星 スカサハ [#rca04920]
***C [#d8108c61]
:[スカサハ]|
ああ…~
俺はなんということを~
してしまったんだ…▼~
取り返しのつかないことを…~
未熟にもほどがある。▼~
:[ラクチェ]|
スカサハ、気を落とさないでよ。▼~
誰にでも間違いはあるわ。~
大事なのは同じ間違いを~
二度と繰り返さないことよ。▼~
…で、いったい~
なにをしでかしたわけ?▼~
:[スカサハ]|
実は…▼~
:(暗転)|
:[スカサハ]|
ここがヴァイス・ブレイヴ…~
俺たちがいた世界の英雄も~
大勢来ているらしいけど…▼~
ん? あれは…?▼~
ラクチェ!~
お前も一足早く~
ここに来ていたんだな!▼~
:[アイラ]|
……▼~
:[スカサハ]|
ん? 髪型を変えたのか。~
どういう心境の変化だ?▼~
男勝りなお前も~
何か思うところがあったのか。▼~
:[アイラ]|
ふむ、その瞳の形…~
そうか、お前はスカサハか。~
大きくなったな。▼~
母に向かって冗談を~
飛ばせるほど豪胆に育つとは、~
いったい誰に似たのやら…▼~
:[スカサハ]|
……!? !?~
ま、まさか…あなたは!?▼~
し、失礼しました!~
俺はなんということを…▼~
:(暗転)|
:[ラクチェ]|
……▼~
:[スカサハ]|
…と、いうわけだ。~
俺はラクチェと勘違いして~
母さんに声をかけてしまったんだ。▼~
非礼を働いた衝撃で頭が真っ白になり~
俺は全力でその場を~
立ち去ることしかできなかった…▼~
:[ラクチェ]|
要は逃げてきたってこと!?~
な、なにやってんのよ!▼~
わたしもついていくから!~
すぐに行こう! 謝りに!▼~
***B [#k9b84663]
:[ラクチェ]|
母様とはわたしたちが幼い頃に別れたし~
顔をはっきりと覚えていなくても~
無理はないかも…▼~
とは言え!~
わたしと母様を見間違えるなんて~
注意力が足りないんじゃない?▼~
:[スカサハ]|
うっ…返す言葉もない。▼~
:[ラクチェ]|
母様はいつも、森の奥で~
一人剣の修行に励まれているとか…~
こっちよ、ついてきて。▼~
:(暗転)|
:[マリータ]|
せいっ! はぁぁぁーっ!▼~
:[アイラ]|
よし、今日はここまでだ。~
先ほどの踏み込み、忘れるな。▼~
:[マリータ]|
はぁ、はぁっ…~
ありがとうございました。▼~
:[アイラ]|
む? そこにいるのは…~
珍しいな。ラクチェとスカサハか。▼~
:[ラクチェ]|
母様…!~
急に押しかけてしまって~
申し訳ありません。▼~
:[スカサハ]|
さ、先ほどは大変失礼しました!~
母さんと妹を見間違うなんて~
俺はなんと恐れ多いことを!▼~
:[アイラ]|
スカサハ、そう気に病むな。▼~
私とて、最初にラクチェを~
見たときは驚いたものだ。~
まるで鏡を見ているようだとな。▼~
:[ラクチェ]|
そ、そうだったのですか…▼~
:[アイラ]|
スカサハもラクチェも~
立派に成長してくれたな。▼~
本来なら叶うはずもなかった~
子らの成長した姿を見られて~
私はうれしいぞ。▼~
この世界での巡り合わせは~
感謝せねばなるまい。▼~
:[スカサハ]|
母さん…~
俺も母さんとこうして~
話ができて夢のようです!▼~
:[マリータ]|
……▼~
:[スカサハ]|
ん? 彼女は…▼~
:[マリータ]|
申し遅れました。~
フィアナ村のマリータと申します。▼~
訓練の合間を縫ってときおり~
アイラ様に稽古をつけてもらっています。▼~
:[アイラ]|
マリータもまた~
剣聖オードの血を引く者だ。▼~
同じ祖を持つ者同士~
ともに切磋琢磨するがいい。▼~
:[ラクチェ]|
はい!~
よろしく、マリータ。▼~
:[マリータ]|
こちらこそよろしくお願いします。~
ラクチェ王女。▼~
:[スカサハ]|
俺はスカサハ。~
アスク王国に召喚されたばかりでね。~
いろいろと教えてもらえると助かるよ。▼~
:[マリータ]|
私でよければよろこんで!~
それでは私は訓練に戻ります。▼~
:[スカサハ]|
…。~
マリータ…どことなく彼女も~
母さんと似た雰囲気を感じるな。▼~
:[アイラ]|
本来なら彼女もイザークの…~
いや、ここで語っても詮無きことだ。▼~
スカサハ、ラクチェ。~
お前たちが成すべきは~
アスクの民を守り抜くこと。▼~
ここではユグドラル大陸の~
しがらみに囚われることなく~
尽力してほしい。▼~
:[スカサハ]|
承知しました!~
母さんとともに剣を振るえるのです。~
これ以上の喜びがありましょうか。▼~
:[アイラ]|
母さん…か。▼~
:[ラクチェ]|
……?~
母様、どうかなさいましたか?▼~
***A [#r041129f]
:[アイラ]|
スカサハ、ラクチェ。~
お前たちは私のことを~
母と呼んでくれるが…▼~
私が母としてお前たちに~
接した時間はあまりにも少ない。▼~
:[スカサハ]|
……。▼~
:[アイラ]|
私にとってはまだ見ぬ未来のことだが~
幼いお前たちがここまで~
大きくなるまでの間…▼~
私は傍にいてやれなかったのだろう。▼~
私は戦いで死んだか、あるいは…~
いずれにせよ、~
親としての役割を果たせなかった…▼~
:[ラクチェ]|
で、ですが! 母様が命を懸けて~
守りぬかれたシャナン王子が~
今度はわたしたちを助けてくれました。▼~
:[アイラ]|
それも、心残りのひとつだ。~
本来なら自分が果たさなくてはならぬ~
役目をシャナンに担わせてしまった…▼~
先ほど、スカサハは私に詫びたが~
謝るのはむしろ、私のほうだ。▼~
スカサハ、ラクチェ。~
苦労をかけたな…。~
本当にすまなかった。▼~
:[ラクチェ]|
そ、そんな…!~
母様、頭をお上げください!▼~
:[スカサハ]|
そうです。母さんが謝ることなど~
ひとつもありません!▼~
:[アイラ]|
だが、私は…。▼~
:[スカサハ]|
母さんは命を懸けて~
シャナン王子を守り抜き…。▼~
そのシャナン王子が、今度は~
俺たちを守ってくれたのです。~
母さんは、俺たちに未来をくれました。▼~
:[ラクチェ]|
ええ。それ以上に~
望むものがありましょうか!▼~
:[アイラ]|
…スカサハ、ラクチェ。~
お前たちは善き師、善き友に恵まれ~
まっすぐに育ったようだな。▼~
私は母として、とても誇らしい。~
これは嘘偽りない~
心よりの言葉だ…▼~
***S [#n5fad701]
:[スカサハ]|
俺たちも同じです!~
母さんを慕う気持ちに~
嘘偽りなどありません。▼~
:[アイラ]|
私が親として~
お前たちに遺したものは~
あまりにも少ない。▼~
だが、剣士としてなら…~
これから残せるものは~
多少なりとあるだろう。▼~
:[ラクチェ]|
……!~
母様、その構えは…?▼~
:[スカサハ]|
受けて立ちます、母さん!~
お手合わせ、よろしくお願いします!▼~
:[ラクチェ]|
あっ、ずるい!~
私もお願いします!▼~
:[アイラ]|
そうだ、それでいい。~
なんなら二人がかりでも構わぬ。▼~
私に剣しかない。~
だからこそ、そのすべてを~
お前たちに伝えよう。▼~
:[スカサハ]|
わかりました、母さん。~
参ります、はあああああぁっ!▼~
:[ラクチェ]|
全力でいきます!▼~
:(暗転)|
:[スカサハ]|
……▼~
:[ラクチェ]|
…▼~
:[スカサハ]|
鋭かったな、母さんの剣。~
自分の未熟さを思い知ったよ。▼~
:[ラクチェ]|
ええ。わたしも稽古を見学させて~
もらったことがあるけど~
本気で打ち合ったのははじめてなの。▼~
:[スカサハ]|
打ち合うたびに~
母さんが歩んできた剣の道の過酷さや~
剣に懸ける覚悟が理解できたよ。▼~
言葉を並べるよりも~
剣は母さんの生き様を~
雄弁に語ってくれた。▼~
俺は、母さんと同じ剣の道を~
歩んでいてよかったよ。▼~
:[ラクチェ]|
そうね…世界には~
いろいろな親と子の繋がりが~
あると思うけど…▼~
剣で繋がる親子があっても~
いいのかもしれない。▼~
:[スカサハ]|
しかし…▼~
:[ラクチェ]|
ん? どうしたの?~
私の顔をまじまじと見て。▼~
:[スカサハ]|
ラクチェは本当に~
母さん似だったんだなあ。▼~
:[ラクチェ]|
わ、わたしは母様のほうが~
何倍も美人だと思うわよ!▼~
:[スカサハ]|
俺はさしずめ…~
父さん似なのかもしれないなあ。▼~
**死地の雷神 イシュタル [#f80e8f1d]
***C [#jfdee63e]
:[アンナ]|
グランベル帝国の~
ユリウス皇子?▼~
:[イシュタル]|
…はい。▼~
エクラに~
伺ったところ、すでに~
アスク王国に来ていらっしゃると。▼~
:[アンナ]|
うーん、戦場で何度か~
見かけたことはあるけど~
どこにいるか私も知らないのよね。▼~
大きな戦いが起こると~
ふらりと戦場に現れて~
いつの間にか去ってしまうの…▼~
私が見た感じ、戦うというより~
自らの力を試している…~
そんな雰囲気だったわね。▼~
:[イシュタル]|
そう…ですか…▼~
:[アンナ]|
ヴァイス・ブレイヴは~
異界の英雄たちが大勢いる~
特務機関だけど…▼~
すべての英雄の行動や考え方に~
制限をかけたりはしていない…~
というか、できないの。▼~
彼ら英雄はあまりに強大で…~
私たちが無理やりどうこうできる~
存在でもないしね。▼~
:[イシュタル]|
なるほど。教えてくださり~
ありがとうございます、アンナ隊長。▼~
:(暗転)|
:[イシュタル]|
…ユリウス様…▼~
……!?~
あれは…▼~
:[アルヴィス]|
…………▼~
:[イシュタル]|
アルヴィス様!▼~
:[アルヴィス]|
……。~
お前は…フリージ家の…~
私が知るお前はまだ幼かったが…▼~
私とは異なる異界から来たのだな。~
あるいは、私が召喚されるよりも~
未来のユグドラルから来たのか。▼~
:[イシュタル]|
おそらくは後者かと。~
またお会いできて光栄です~
アルヴィス様。▼~
お伺いしたいことがございます。~
ユリウス様のご所在を~
ご存じありませんでしょうか?▼~
:[アルヴィス]|
ユリウスの居場所、か。▼~
:[イシュタル]|
私はユグドラル大陸での戦いで~
最後までユリウス様に~
お仕えすることができませんでした。▼~
せめて、このアスク王国では~
ユリウス様と運命をともに…▼~
:[アルヴィス]|
…くだらぬ。~
どんな理由かと思えば~
所詮はその程度の浅慮か…▼~
:[イシュタル]|
えっ?▼~
:[アルヴィス]|
この私はお前やユリウスが~
どのような末路を辿ったのか知らぬ。▼~
しかし、お前の口ぶりで大概の想像はつく。~
望まぬ未来に行き着いたということがな。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[アルヴィス]|
お前はこの国でも~
繰り返すつもりか?▼~
お前がこの地に召喚されたのは~
同じ轍を踏ませるためではなかろう。▼~
:[イシュタル]|
わ、私は…ただ~
ユリウス様の…▼~
:[アルヴィス]|
ユリウスの居場所は私も知らぬ。▼~
:[イシュタル]|
アルヴィス様!▼~
ユリウス様…私は…▼~
***B [#b52d09fe]
:[イシュタル]|
……▼~
ユリウス様の行方は…~
杳として知れない…▼~
…そして、私も…▼~
:[ロシェ]|
ふう、意外に多いな…~
馬車に積み切れない荷物は~
ぼくの馬で運ぼう。▼~
:[ジュリアン]|
けど、一度じゃ運び切れないぜ。~
何回か往復する必要がありそうだな。▼~
:[イシュタル]|
……。~
あの、その荷物は前線に送る~
物資なのでしょうか?▼~
:[レナ]|
いいえ、違います。~
これは孤児院に運ぶ食料。~
ヘンリエッテ様より賜ったものです。▼~
:[イシュタル]|
どうして~
ヴァイス・ブレイヴの英雄である~
あなた方が孤児院に?▼~
:[ロシェ]|
ぼくたちはヴァイス・ブレイヴに~
所属しているけど、~
戦うだけが役目じゃないんだ。▼~
:[ジュリアン]|
戦争で親を亡くした子の世話をしたり~
被災した町や村を復興したり…▼~
戦場に出る以外にも~
この国の力になる方法は~
たくさんあるのさ。▼~
:[イシュタル]|
…あの、その荷運び、~
私にも手伝わせてもらえますか?▼~
:[レナ]|
ええ、もちろん。~
ご助力に感謝致します。▼~
:[ジュリアン]|
人手はどれだけあっても~
困らないからな。~
ええと、あんたは確か…▼~
:[イシュタル]|
私はフリージ家の…~
いえ、イシュタルと申します。▼~
:[ロシェ]|
イシュタルさん、よろしく頼むよ。~
じゃあ、さっそくその荷物を~
馬車に積み込んでもらえるかな?▼~
***A [#x8b8b516]
:[レナ]|
こんにちは、イシュタルさん。~
今日も来てくださったのですね。▼~
:[イシュタル]|
このようなことは不慣れなのですが~
ご迷惑でなければお力添えしたく…▼~
:[ルセア]|
迷惑だなんてとんでもありません。~
子どもたちにはきっと~
あなたの真心は伝わっていますよ。▼~
:[ルゥ]|
そうだね。ぼくたちは~
手伝ってくれる気持ちだけで~
うれしいよ。▼~
:[イシュタル]|
ありがとうございます。▼~
:(暗転)|
:[イシュタル]|
……▼~
:[ジュリアン]|
子どもたちが~
はしゃいでいる姿っていいよな。▼~
:[イシュタル]|
はい。本当に…▼~
:[ジュリアン]|
ちょっと…~
気になってたんだけどさ。▼~
子どもたちを見る~
イシュタルさんの目…~
なんだか悲しそうだ。▼~
:[イシュタル]|
そう、ですか…▼~
:[ジュリアン]|
英雄たちは清廉潔白な奴ばかりじゃない。~
叩けば埃が出てくる連中もたくさんいる。~
あんたがそうだとは言わないけどさ。▼~
なにか事情があるんだろ?▼~
:[イシュタル]|
……▼~
子ども狩り…~
私のいた地では、そのような~
恐ろしい行いが続けられてきました。▼~
子どもをさらうことで民に絶望を与え~
その絶望を暗黒神の糧とする…▼~
:[ジュリアン]|
いるんだな…。~
どの異界にもそういう人でなしがさ。▼~
:[イシュタル]|
私は子ども狩りを命じる~
ユリウス様を諌めることができず…▼~
密かに子どもたちを逃がしました。~
ですが、それも私の目が届く~
範囲でのこと…▼~
犠牲になった子供たちは~
大勢いるのです…▼~
:[ジュリアン]|
だから、か。~
子どもたちを見る目が~
どことなく寂しそうだったのは。▼~
:[イシュタル]|
孤児院を手伝ったところで~
私の罪が消えるわけではありません。▼~
親の愛に包まれ~
幸せな子どもたちを~
無理やり引き離してしまうなんて。▼~
私は…▼~
:[ジュリアン]|
確かに、過去は変えられないし~
自分がしでかした罪は消えない。~
でも、未来はいくらだって変えられる。▼~
オレはそのことを~
大切な人から教えてもらったんだ。▼~
***S [#m90fbc3f]
:[ジュリアン]|
オレもさ、マルス様の軍に~
お供させてもらうまでは~
陽の当たる人生じゃなかったよ。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[ジュリアン]|
大切な人と出会ってからも~
正直、負い目は消えなかった。▼~
でもさ、一緒に修道院で~
子どもたちの世話をしているうちに~
少しずつ考えが変わっていったんだ。▼~
過去の罪を清算するために~
大切なのは、未来のために~
生きることなんじゃないかって。▼~
:[イシュタル]|
未来の…ために…▼~
:[ジュリアン]|
戦いがなくならない限り~
不幸な子どもたちはいなくならないだろう。▼~
でも、オレたちが~
少しでも子どもたちの力になるなら~
それはきっと明日につながる。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[ジュリアン]|
ま、罪滅ぼしか自己満足かなんて~
子どもたちにとってみれば~
どうでもいいしな。▼~
あいつらが笑顔でいられること。~
それが一番大切なことなんだからさ。▼~
:[イシュタル]|
そうですね…▼~
子どもたちが笑顔でいるために~
私になにができるのか…~
そのことを考えてみようと思います。▼~
…私がこれから選ぶ道は~
ユリウス様のご意思に~
反するものかもしれない…▼~
…ですが、今ここにいる私の…~
…この命は…▼~
…人々の未来を照らす、~
ほのかな光でありたい。~
命の輝きが終わるそのときまで…▼~
**怒りの魔法戦士 アーサー [#zce7d5de]
***C [#u3e40396]
:[アルフォンス]|
ふぅ…今日の訓練は~
このへんにしておこうか。~
みんな、お疲れ様。▼~
:[フィヨルム]|
お疲れ様でした~
アルフォンス王子。▼~
:[アーサー]|
実戦形式の訓練…~
緊張感を伴う研鑽が積めました。▼~
:[アルフォンス]|
アーサーもアスク王国に~
召喚されたばかりとは思えないほど~
いい動きだったよ。▼~
:[シャロン]|
みなさん、訓練お疲れ様でした。~
こちらは差し入れです!▼~
ちょっぴり酸っぱい果実を~
蜂蜜で漬けたものです。~
元気出ますよ~!▼~
:[アルフォンス]|
ありがとう、シャロン。~
うん、美味しいね。~
疲れた身体に酸味が染みるよ。▼~
ほかの英雄たちにも配ろうか。~
僕も手伝うよ。▼~
:[シャロン]|
はーいっ!▼~
:[アーサー]|
……▼~
:[フィヨルム]|
アルフォンス王子とシャロン王女、~
本当に仲がいいですよね。▼~
:[アーサー]|
そうですね。仲睦まじく~
見ているこちらまで~
朗らかな気持ちになります。▼~
:[フィヨルム]|
アーサーさんも、妹さんと一緒に~
アスク王国に召喚されたんですよね?▼~
:[アーサー]|
はい。幸運なことに~
妹のティニーも一緒でした。▼~
ですが…。▼~
:[フィヨルム]|
……?~
なにか心配ごとでも?▼~
:[アーサー]|
俺と妹は~
幼い頃に離れ離れになり…~
先頃、再会できたばかりなのです。▼~
長年探し回って~
ようやく再会した妹です。~
一緒に居られるのはうれしいのですが…▼~
:[アーサー]|
離れていた時間はあまりに長く、~
兄として妹にどう接すればいいのか~
まだ迷っているのです。▼~
:[フィヨルム]|
そうだったんですね…▼~
そういえば、ヴァイス・ブレイヴには~
ご兄妹の英雄が~
多いような気がします。▼~
みなさんの様子を~
伺ってみるのはいかがでしょうか。▼~
もしかしたら妹さんへの接し方が~
見えてくるかもしれませんよ?▼~
***B [#p280314b]
:[アーサー]|
ここがアスク王国の大図書館。~
こんなにたくさんの本を~
見るのははじめてです。▼~
:[フィヨルム]|
私もはじめて見たときは~
感動しました。▼~
この大図書館は今も~
蔵書が増え続けているそうですよ。▼~
ここには確か…~
あちらにいらっしゃるようですね。▼~
ラインハルトさんと~
オルエンさんのご兄妹です。▼~
:[ラインハルト]|
…なるほど。ユグドラル大陸だけではなく~
ほかの異界にも雷の魔道を宿した~
剣が存在している…▼~
:[オルエン]|
やはり、剣と雷の魔道は~
関わりが深い、~
ということでしょうか。▼~
:[ラインハルト]|
さらに詳しく調べてみる~
価値はありそうだ。▼~
:[オルエン]|
兄上は、前にも増して~
魔道の研鑽に熱が入っているご様子。▼~
もしかすると新たに召喚された~
イシュタル王女の影響でしょうか?▼~
:[ラインハルト]|
…あの方をお守りしたいという気持ちは~
アスク王国においても変わりはない。▼~
しかし最近は、戦場に出る以外にも~
ヴァイス・ブレイヴからいろいろと~
頼まれ事をするようになった。▼~
彼らの期待を~
裏切るわけにはいかないだろう。▼~
:[オルエン]|
兄上のたゆまぬ努力の姿勢…~
私も見習わねばなりませんね。▼~
:[アーサー]|
なるほど…。~
俺も彼ら兄妹の噂は~
聞いたことがあります。▼~
互いに高め合うあの姿勢…~
兄妹のあり方として~
理想的かもしれませんね。▼~
:[フィヨルム]|
はい、私も同じ意見です。~
見習うべきところは多いですよね。~
あっ、向こうにもご兄妹がいますね。▼~
:[リュート]|
おい、聞いてるのか?~
デューテ!▼~
やりたい放題をしていては~
まわりの反感を買う。▼~
ここは我々が育った辺境の村ではない。~
集団で生きていくためには~
協調性が大事なのだ。▼~
:[デューテ]|
いちいちうるさいなー!~
ボク、ちゃんと戦場で活躍してるし~
結果だって出してるんだから!▼~
:[リュート]|
活躍すればいいというものではない。~
前も言っただろう?~
強さを求めるだけではダメなのだ。▼~
俺はお前がみんなに愛される~
人間になってほしいのだ。▼~
:[デューテ]|
じゃあ、お兄ちゃんが~
みんなから愛されるようになったら~
ボクも考えることにするよ。▼~
ん~、とりあえず友だちが~
100人できてから出直してよね。▼~
:[リュート]|
あっ! こらっ! 待てっ!~
図書館で走るな!▼~
:[フィヨルム]|
……。~
つ、次に行きましょうか。▼~
:[アーサー]|
そ、そうですね。▼~
***A [#g87a5cba]
:[フィヨルム]|
…先程は少し戸惑ってしまいましたが、~
リュートさんとデューテさんのやりとりは、~
ご兄妹の信頼があってこそ…▼~
そう考えると、お二人もまた、~
理想的なご兄妹なのかもしれません。▼~
:[アーサー]|
ふむ…▼~
:[フィヨルム]|
私にも兄がいますが~
兄は私の誤りを正すために、~
叱ってくださいました。▼~
それは私を思ってのこと。~
今でもしっかりと胸に刻まれています。▼~
:[アーサー]|
なるほど。~
ときには厳しさを持って~
接することも兄妹には必要と?▼~
:[フィヨルム]|
厳しさの度合いを間違わなければ~
きっといい関係が築けると思います。▼~
あ…訓練場にいらっしゃる~
あの二人もご兄妹ですよ。▼~
:[レンハ]|
……▼~
:[サイリ]|
……▼~
:[アーサー]|
一分の隙もないにらみ合い。~
あれは剣の訓練ですか?▼~
すごいですね。~
こんな離れたところまで~
互いの気迫が伝わってくる。▼~
:[サイリ]|
兄上、今度こそ本気で~
剣を振るってもらう。▼~
ここにいるのは妹と兄ではない。~
一太刀に己のすべてを懸ける~
二人の武人!▼~
:[レンハ]|
私もまだ語り足りぬ…~
よかろう、覚悟を見せよ。▼~
:[サイリ]|
はぁぁぁっ!▼~
:[レンハ]|
ふんっ!▼~
:[アーサー]|
な、なんという激しい打ち込み…~
まるで実戦さながらの…▼~
:[フィヨルム]|
そ、そうですね…。~
あれは訓練というか、その…▼~
:[アーサー]|
!?~
あの一撃…かわすのが~
一瞬遅ければ命を落としていた…▼~
フィヨルム王女、~
止めたほうがよくありませんか?~
あれはどう見ても訓練の域を超えて…▼~
:[フィヨルム]|
そ、そうですね…~
このままではお二人の命が…▼~
:[アンナ]|
はい!~
はいはいはーいっ!~
そこまで、そこまでーっ!▼~
:[レンハ]|
むっ…▼~
:[サイリ]|
アンナ隊長…▼~
:[アンナ]|
本気で打ち合うのもいいけど~
それ以上はケガじゃ済まないわよ!▼~
:[サイリ]|
申し訳ない…~
つい熱が入った…▼~
:[レンハ]|
…今日はここまでとしよう。▼~
だが、次は容赦せん。~
志半ばで散りたくなければ~
さらに腕を磨くことだ。▼~
:[アンナ]|
だから限度があるって言ってんの!~
二人とも、ほどほどにしなさい!▼~
:[フィヨルム]|
ほっ…アンナ隊長が仲裁に入って~
よかったですね。▼~
:[アーサー]|
しかし、あのような~
兄妹のあり方もあるのですね。~
厳しさで互いを磨く…なるほど。▼~
***S [#o32a9dbe]
:[アーサー]|
ひと言に兄妹と言っても~
その間柄はそれぞれ違うようです。▼~
:[フィヨルム]|
そうですね。~
いろいろな兄妹を見て~
改めて私もそう感じました。▼~
アーサーさんも、焦らなくていいと思います。~
ティニーさんとの距離を~
少しずつ縮めていけるといいですね。▼~
? あれは…▼~
:[ティニー]|
あっ…~
フィヨルム王女、ご機嫌よう。▼~
あのっ、兄様…~
少しよろしいですか?▼~
:[アーサー]|
どうしたティニー。~
なにか困ったことでも?▼~
:[ティニー]|
困ったことというか、その…▼~
兄様、お時間がありましたら~
食事をご一緒に…▼~
:[アーサー]|
食事…?▼~
:[ティニー]|
その…兄様と少しでも~
一緒にいられたら…▼~
そうすればお互いのことを~
もっと知ることができると思って…▼~
:[アーサー]|
そうか…~
すまなかったなティニー。~
お前に気を遣わせてしまって。▼~
:[フィヨルム]|
ふふ。気持ちは二人とも~
同じだったようですね。▼~
:[アーサー]|
ティニー。~
離ればなれの時間は長かったが~
この世でたった二人の兄妹だ。▼~
互いが歩み寄れば~
きっとよい関係を築けると思う。▼~
:[ティニー]|
は、はい!~
私もそう思います!▼~
**受難の雷姫 ティニー [#h687f70a]
***C [#zc920a3a]
:[レギン]|
今日も訓練がんばるの!~
みんなが必要としてくれる~
英雄になるのー!▼~
:[ティニー]|
……▼~
:[レギン]|
ん? 訓練場の前に誰かいる?~
なにしてるの?~
あなたも訓練しに来たの?▼~
:[ティニー]|
えっ!?~
い、いえ、その…~
け、見学していただけなのですが…▼~
:[レギン]|
見学? 見学なら訓練場に~
入ったほうがよく見えるの。▼~
えーと、あなたはこの前~
アスク王国にやってきた…▼~
:[ティニー]|
ティニーと言います。~
あなたはニザヴェリルの~
レギン王女…ですよね。▼~
すごく変わった鎧を~
着ていたので覚えています。▼~
:[レギン]|
ふふっ、よろしくなの~
ティニー!▼~
ティニーは魔道士…だよね?~
今ね。ちょうど訓練場で~
魔道士の英雄たちが訓練してるの。▼~
:(暗転)|
:[リンダ]|
タイミングを合わせて…~
いくわよ!▼~
:[メイ]|
私もいくよ! 決めちゃえ!▼~
:[ティルテュ]|
これでトドメ!~
よしっ!▼~
:[メイ]|
おおーっ! やったね!~
連携バッチリだったよ!▼~
:[ティルテュ]|
だんだん息が合ってきたよね~。▼~
元いた世界はみんなバラバラなのに~
ずっと前から気心の知れた~
友だちだったみたい!▼~
:[ティニー]|
……。~
ティルテュ母様があんなに楽しそうに~
笑っているところ、はじめて見た…▼~
:[レギン]|
ん? んん? もしかして~
ティルテュに用があるの?~
私が呼んで来てあげるの!▼~
:[ティニー]|
えっ! そ、その!~
レギン王女…!!▼~
:(暗転)|
:[レギン]|
ティニー!~
ティルテュを連れて来たの!~
あれっ…?▼~
:[ティルテュ]|
誰もいないね?▼~
:[レギン]|
えっ、えっ? ティニー?~
さっきまでここにいたのに。~
どこに行ったんだろ?▼~
:[ティルテュ]|
ねえ、レギン。~
あたしを見ていた子、~
ティニーって言ってた?▼~
:[レギン]|
確かにそう言ってたの。▼~
:[ティルテュ]|
ふーん、そっかー。~
ティニーか…▼~
***B [#p59b30dc]
:[ティニー]|
兄様。~
やっぱり私たちはこの世界で~
母様に会うべきでないのでしょうか?▼~
:[アーサー]|
母さんに会いたい気持ちは~
俺も同じだ、ティニー。▼~
しかし、俺たちが母さんに会えば~
母さんがその後の運命を~
知ってしまうことになるかもしれない。▼~
:[ティニー]|
……▼~
:[アーサー]|
バーハラの戦いのあと~
俺とティニーを連れた母さんは~
フリージ家には戻らなかった。▼~
でも、母さんとティニーは~
強引にフリージ家に連れ戻され…▼~
:[ティニー]|
フリージ家に戻った私が覚えているのは~
いつも悲しそうにしていた母様の顔…▼~
そして、母様は口にするのも~
おぞましい仕打ちを受け~
そのまま帰らぬ人に…ううっ。▼~
:[アーサー]|
ティニー、前にも言ったが~
フリージの民を恨んではならない。▼~
すべての元凶はブルームと妃のヒルダにある。~
俺たちが討たねばならぬのは~
フリージ家に巣食う悪辣な魂だ。▼~
:[ティニー]|
はい、兄様…▼~
:[アーサー]|
アスク王国…~
この世界に存在している母さんは~
自らの運命を存じ上げないはず。▼~
この先に起きる悲劇を知らせ~
母さんの笑顔を奪うことはできない…▼~
:[ティルテュ]|
ねえ、誰からなにを奪うのー?~
それって深刻な話?▼~
:[ティニー]|
ティルテュ母様!?▼~
:[アーサー]|
ど、どうしてここに!?▼~
:[ティルテュ]|
ねっ、あなたたち~
あたしの子どもってホント?▼~
アンナ隊長に尋ねてみたら~
アーサーとティニーは~
未来で授かる子って教えてくれたの!▼~
:[アーサー]|
くっ、アンナ隊長…~
悪い人ではないのだが…▼~
:[ティルテュ]|
すごいすごい!~
あなたたち、ホントにあたしの子なの?~
ふふっ、なんだか楽しくなってきちゃった!▼~
***A [#n158f5f9]
:[ティルテュ]|
あっ!~
そのペンダント…▼~
:[ティニー]|
はい。これは母様にもらった~
唯一の形見です。▼~
:[ティルテュ]|
それ、見覚えある!~
確かにあたしのだー!▼~
:[アーサー]|
俺も母さんから~
このペンダントを頂きました。▼~
:[ティルテュ]|
それもあたしの!~
本当に二人はあたしの子どもなのね!~
すごーい!▼~
まだ結婚もしてないのに~
こんなに大きな自分の子どもに~
会うなんて…ふふっ!▼~
:[ティニー]|
うっ…ううっ…ぐすっ…~
くっ、うううっ……▼~
:[ティルテュ]|
えっえっ!?~
ど、どうしたの、急に泣き出して。~
あたし、なにか変なこと言った!?▼~
:[ティニー]|
いえ、母様はなにも悪くありません。~
ただ…。▼~
こんなにまぶしい笑顔の~
母様を見るのは~
はじめてで…ううっ…▼~
私の知ってる母様の顔は…~
い、いつも悲しそうだったから。▼~
:[ティルテュ]|
ふーん、そうなんだ。~
むずかしいことはわかんないけど、~
何かあったのかな…▼~
あれ? というか…~
どうしてすぐに二人は~
会いに来てくれなかったの?▼~
:[アーサー]|
いえ、本当はすぐにでも~
会いたい気持ちでいっぱいでした。~
ですが…▼~
:[ティルテュ]|
……▼~
***S [#v3409053]
:[ティルテュ]|
なんとなく…わかっちゃった。~
つまり、未来のあたしに~
なにか不幸が起きるのね?▼~
:[ティニー]|
……!▼~
:[ティルテュ]|
ふーん、なるほどー。~
それをあたしに知られるのが嫌で~
会いに来なかったってこと?▼~
:[アーサー]|
……▼~
:[ティルテュ]|
あ、でも平気。~
あなたたちが気にかけているのは~
異界にいたあたしでしょ?▼~
今ここにいるあたしが~
同じ運命とは限らないし。▼~
:[アーサー]|
そ、そういうもの…なのですか?▼~
:[ティルテュ]|
えーっと、あたしも~
本当はよくわかってないんだけど…~
エクラも言ってたの。▼~
異界は未来の数だけいっぱいあって、~
ユグドラル大陸が存在する異界も~
ひとつじゃなくて…▼~
だkら、みんなの運命を違っているとか…~
なんかそんな感じの話!▼~
:[ティニー]|
じゃ、じゃあ…~
もしかしたら目の前にいる母様は…▼~
私が知っている運命とは~
別の運命を辿る可能性も…▼~
:[ティルテュ]|
うん、そういうこと!▼~
でも、アーサーとティニーは~
いい子そうだから、あなたたちを~
授かる運命は変わらないでほしいな。▼~
:[アーサー]|
そう言っていただけると…~
うれしいです。▼~
俺とティニーが知る母さんは~
とても悲しい運命を辿りました。▼~
ですが、今ここにいる母さんは~
未来を変えられる可能性もあると…▼~
:[ティニー]|
兄様、私はお会いできたのが~
別の異界の母様だとしても~
幸せな未来を掴んでほしいです。▼~
:[ティルテュ]|
大丈夫! こうして~
アーサーとティニーに出会ったことで~
もうすでにあたしの運命は変わってるかも!▼~
きっと二人はあたしの運命を変えるために~
呼ばれたんじゃないかな…なんてね!▼~
:[ティニー]|
ふふっ、母様って~
とても明るい人だったのですね。▼~
:[アーサー]|
そうだな…~
それを知っただけでも~
アスク王国に来た甲斐があった。▼~
:[ティルテュ]|
いやいや、それだけで~
満足しちゃダメだからね!▼~
今、この国は戦いで大変なの。~
アーサーとティニーにも~
力を貸してもらうわよ。覚悟してね!▼~
:[アーサー]|
もちろんです、母さん。▼~
:[ティニー]|
母様と兄様と一緒に~
精一杯戦い抜いてみせます。~
未来の可能性を信じて!▼~
*コメント [#laf7682e]
#comment
終了行:
[[章別会話]]
*その命、輝く限り [#wf6efc50]
#contents
**その命、輝く限り [#pe43874e]
***オープニング [#s186eb85]
:[アーサー]|
ティニー、大丈夫か?~
怪我はしていないか?▼~
:[ティニー]|
はい、兄様。~
それより、イシュタル姉様は…▼~
:[スカサハ]|
彼女ならあそこだ。~
ずいぶんと突出しているな。▼~
:[イシュタル]|
王国の平和を乱す賊ども。~
【雷神】の裁き、その身で受けよ。▼~
:[シャロン]|
す、すごい! 一撃で~
大勢の敵をやっつけちゃいました!▼~
【雷神】のふたつ名は~
伊達じゃないですね!▼~
:[アルフォンス]|
あれだけの力を持つ英雄が~
力を貸してくれるのはとても心強いよ。▼~
:[アンナ]|
つねに最前線に置いてくれって言うから~
希望どおりにしてみたけど~
彼女の働きは予想以上ね。▼~
:[アーサー]|
伝説の魔法騎士トード…~
その血を引く者だけが使える~
雷の魔法【トールハンマー】…▼~
こうして間近で見ると~
恐るべき威力だ。▼~
:[スカサハ]|
不思議だな。~
あのイシュタル王女と…今はこうして~
共に戦う仲間となるなんて。▼~
:[イシュタル]|
まだ終わってはいない…~
我が雷からは逃げられぬと知れ。▼~
:[シャロン]|
あっ! イシュタルさん!~
一人で突っ込むと危ないですよっ!▼~
:[ティニー]|
イシュタル姉様…!~
兄様、私たちも追いかけましょう!▼~
:[アーサー]|
あ、ああ、わかった…!▼~
:[イシュタル]|
…私には戦いしかない。▼~
戦って、戦って、戦って…~
それが、今の私に許された~
唯一の生き方…▼~
***C [#nb96554d]
:[ティニー]|
兄様、先日はごめんなさい。~
私が至らないせいで~
ご迷惑をおかけして…▼~
:[アーサー]|
謝る必要はないよ、ティニー。~
兄妹ならば支え合うのは当然のことだ。▼~
母さんが亡くなったあと、そばにいて~
あげられなかったぶんも含めて…~
遠慮なく俺に頼ってくれ。▼~
:[ティニー]|
兄様…~
ありがとう。▼~
:[スカサハ]|
そうか…~
二人は長い間、~
離ればなれだったんだな。▼~
:[ティニー]|
はい。母様は私たち兄妹を連れて~
フリージ家から離れました。▼~
ですが、物心つかぬうちに~
私と母様はフリージ家に連れ戻されて…▼~
そのとき、兄様だけは手違いで~
置き去りにされてしまったのです。▼~
:[スカサハ]|
辛い話だな…▼~
俺は生まれたときから~
双子の妹がそばにいてくれたから~
辛い日々を乗り越えられた。▼~
:[アーサー]|
妹や母さんを奪った~
フリージ家を俺は許さない。▼~
だが、フリージ公国の民には罪はない。~
そこは履き違えないつもりだよ。▼~
:[ティニー]|
フリージ家でも…~
イシュタル姉様は~
私によくしてくれました。▼~
イシュタル姉様は本当は…~
戦いを好まない優しい方なのです。▼~
:[アーサー]|
そうは言うが…~
先ほど見せた鬼神のごとき~
イシュタル王女の戦いぶり。▼~
あれは本当に~
戦いを望まぬ者の姿だろうか?▼~
:[スカサハ]|
確かに…~
あの姿は、俺も~
鬼気迫るものを感じたな。▼~
:[ティニー]|
……▼~
アスク王国に来てからの~
イシュタル姉様のご様子は~
私から見ても…心配です。▼~
:[スカサハ]|
はたから見ると~
無謀にも見える戦いぶりだけど…~
なにか、理由があるんだろうか?▼~
:[ティニー]|
もしかしてイシュタル姉様は~
償いのために…~
命を懸けているのかも…▼~
:[スカサハ]|
償いのために…命を懸ける?▼~
***B [#j2e9ef8e]
:[スカサハ]|
あ、イシュタル王女。~
少し話してもいいか?▼~
:[イシュタル]|
私に何用でしょう?▼~
:[スカサハ]|
聞きたいことがあるんだ。▼~
今ここにいるあなたは…~
あの時の戦いを…憶えてるのか?▼~
:[イシュタル]|
……。~
はい。私の記憶に~
しっかりと刻まれています。▼~
セリス公子率いる反乱軍…~
いえ、あなたたちにしてみれば~
解放軍でしょうか。▼~
あなたたちとの戦いで、~
私の命は消えました。~
それが、私の運命だったのでしょう…▼~
:[スカサハ]|
あのとき、あなたが言った言葉を~
俺はまだ、忘れてはいない。▼~
「雷神イシュタルの~
最後の戦いを見せてやろう」…▼~
あなたはもしかして、最初から、~
あの戦いで死ぬつもりだったのか…?▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[スカサハ]|
だから、~
あなたはこのアスク王国でも~
死に場所を探して…▼~
:[イシュタル]|
……。~
私には愛する人がいました。▼~
ですが、私は…~
あの方の御命令に背いてしまった…~
あの子供たちを犠牲にできなかった…▼~
だから…私には…もう…▼~
:[ティニー]|
イシュタル姉様!▼~
:[イシュタル]|
ティニー…▼~
:[アーサー]|
すまない。~
話を聞くつもりは~
なかったのだが…▼~
:[ティニー]|
あの戦争では~
大勢の命が失われました。~
でも…▼~
みんな、姉様と同じように、~
守りたい人たちの未来のため…~
そのために戦ったんだと思うのです。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[アーサー]|
あなたが救ったのは、~
その子供たちの命だけじゃない。▼~
その子供たちの命が~
回り回ってほかの命を救う…~
そうして、未来へと繋がっていくはずだ。▼~
:[スカサハ]|
ああ。それに、未来へ繋げるべき命には…~
イシュタル王女。~
あなたも含まれているんだと思う。▼~
:[イシュタル]|
私も…?▼~
:[ティニー]|
はい。~
姉様が、私たちが今ここにいるのは、~
きっとそのためだと思うのです。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
***A [#i11141f0]
:[シャロン]|
よーし! わたしたちが優勢ですね!~
このまま一気に押し切っちゃいましょう!▼~
:[イシュタル]|
いえ、シャロン王女。~
これ以上の深追いは控えましょう。▼~
味方に被害が出る可能性もありますし~
ここは態勢を整えるのが得策かと。▼~
:[シャロン]|
あっ! そうですね!~
実はわたしもそれがいいかなーって~
思っていたんですよ!▼~
:[アンナ]|
ねえ、アルフォンス。~
イシュタル王女の戦い方…~
少し変わったわよね?▼~
:[アルフォンス]|
そうですね。以前にも増して~
活躍してくれていますが…▼~
自身の命を削るような戦い方から~
仲間と歩幅を合わせるような~
戦い方に変わってきたみたいです。▼~
:[アンナ]|
うーん。なにか~
心境の変化があったのかしら。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
私が…なぜこの世界に呼ばれたのか。~
この世界は、私になにを望むのか…?▼~
この地で何を為そうと…~
私の罪は、~
消えることはない…▼~
でも、それでも…~
私の戦いが、~
誰かの未来に繋がるのなら…▼~
この命は、そのために…▼~
**地を走る流星 スカサハ [#rca04920]
***C [#d8108c61]
:[スカサハ]|
ああ…~
俺はなんということを~
してしまったんだ…▼~
取り返しのつかないことを…~
未熟にもほどがある。▼~
:[ラクチェ]|
スカサハ、気を落とさないでよ。▼~
誰にでも間違いはあるわ。~
大事なのは同じ間違いを~
二度と繰り返さないことよ。▼~
…で、いったい~
なにをしでかしたわけ?▼~
:[スカサハ]|
実は…▼~
:(暗転)|
:[スカサハ]|
ここがヴァイス・ブレイヴ…~
俺たちがいた世界の英雄も~
大勢来ているらしいけど…▼~
ん? あれは…?▼~
ラクチェ!~
お前も一足早く~
ここに来ていたんだな!▼~
:[アイラ]|
……▼~
:[スカサハ]|
ん? 髪型を変えたのか。~
どういう心境の変化だ?▼~
男勝りなお前も~
何か思うところがあったのか。▼~
:[アイラ]|
ふむ、その瞳の形…~
そうか、お前はスカサハか。~
大きくなったな。▼~
母に向かって冗談を~
飛ばせるほど豪胆に育つとは、~
いったい誰に似たのやら…▼~
:[スカサハ]|
……!? !?~
ま、まさか…あなたは!?▼~
し、失礼しました!~
俺はなんということを…▼~
:(暗転)|
:[ラクチェ]|
……▼~
:[スカサハ]|
…と、いうわけだ。~
俺はラクチェと勘違いして~
母さんに声をかけてしまったんだ。▼~
非礼を働いた衝撃で頭が真っ白になり~
俺は全力でその場を~
立ち去ることしかできなかった…▼~
:[ラクチェ]|
要は逃げてきたってこと!?~
な、なにやってんのよ!▼~
わたしもついていくから!~
すぐに行こう! 謝りに!▼~
***B [#k9b84663]
:[ラクチェ]|
母様とはわたしたちが幼い頃に別れたし~
顔をはっきりと覚えていなくても~
無理はないかも…▼~
とは言え!~
わたしと母様を見間違えるなんて~
注意力が足りないんじゃない?▼~
:[スカサハ]|
うっ…返す言葉もない。▼~
:[ラクチェ]|
母様はいつも、森の奥で~
一人剣の修行に励まれているとか…~
こっちよ、ついてきて。▼~
:(暗転)|
:[マリータ]|
せいっ! はぁぁぁーっ!▼~
:[アイラ]|
よし、今日はここまでだ。~
先ほどの踏み込み、忘れるな。▼~
:[マリータ]|
はぁ、はぁっ…~
ありがとうございました。▼~
:[アイラ]|
む? そこにいるのは…~
珍しいな。ラクチェとスカサハか。▼~
:[ラクチェ]|
母様…!~
急に押しかけてしまって~
申し訳ありません。▼~
:[スカサハ]|
さ、先ほどは大変失礼しました!~
母さんと妹を見間違うなんて~
俺はなんと恐れ多いことを!▼~
:[アイラ]|
スカサハ、そう気に病むな。▼~
私とて、最初にラクチェを~
見たときは驚いたものだ。~
まるで鏡を見ているようだとな。▼~
:[ラクチェ]|
そ、そうだったのですか…▼~
:[アイラ]|
スカサハもラクチェも~
立派に成長してくれたな。▼~
本来なら叶うはずもなかった~
子らの成長した姿を見られて~
私はうれしいぞ。▼~
この世界での巡り合わせは~
感謝せねばなるまい。▼~
:[スカサハ]|
母さん…~
俺も母さんとこうして~
話ができて夢のようです!▼~
:[マリータ]|
……▼~
:[スカサハ]|
ん? 彼女は…▼~
:[マリータ]|
申し遅れました。~
フィアナ村のマリータと申します。▼~
訓練の合間を縫ってときおり~
アイラ様に稽古をつけてもらっています。▼~
:[アイラ]|
マリータもまた~
剣聖オードの血を引く者だ。▼~
同じ祖を持つ者同士~
ともに切磋琢磨するがいい。▼~
:[ラクチェ]|
はい!~
よろしく、マリータ。▼~
:[マリータ]|
こちらこそよろしくお願いします。~
ラクチェ王女。▼~
:[スカサハ]|
俺はスカサハ。~
アスク王国に召喚されたばかりでね。~
いろいろと教えてもらえると助かるよ。▼~
:[マリータ]|
私でよければよろこんで!~
それでは私は訓練に戻ります。▼~
:[スカサハ]|
…。~
マリータ…どことなく彼女も~
母さんと似た雰囲気を感じるな。▼~
:[アイラ]|
本来なら彼女もイザークの…~
いや、ここで語っても詮無きことだ。▼~
スカサハ、ラクチェ。~
お前たちが成すべきは~
アスクの民を守り抜くこと。▼~
ここではユグドラル大陸の~
しがらみに囚われることなく~
尽力してほしい。▼~
:[スカサハ]|
承知しました!~
母さんとともに剣を振るえるのです。~
これ以上の喜びがありましょうか。▼~
:[アイラ]|
母さん…か。▼~
:[ラクチェ]|
……?~
母様、どうかなさいましたか?▼~
***A [#r041129f]
:[アイラ]|
スカサハ、ラクチェ。~
お前たちは私のことを~
母と呼んでくれるが…▼~
私が母としてお前たちに~
接した時間はあまりにも少ない。▼~
:[スカサハ]|
……。▼~
:[アイラ]|
私にとってはまだ見ぬ未来のことだが~
幼いお前たちがここまで~
大きくなるまでの間…▼~
私は傍にいてやれなかったのだろう。▼~
私は戦いで死んだか、あるいは…~
いずれにせよ、~
親としての役割を果たせなかった…▼~
:[ラクチェ]|
で、ですが! 母様が命を懸けて~
守りぬかれたシャナン王子が~
今度はわたしたちを助けてくれました。▼~
:[アイラ]|
それも、心残りのひとつだ。~
本来なら自分が果たさなくてはならぬ~
役目をシャナンに担わせてしまった…▼~
先ほど、スカサハは私に詫びたが~
謝るのはむしろ、私のほうだ。▼~
スカサハ、ラクチェ。~
苦労をかけたな…。~
本当にすまなかった。▼~
:[ラクチェ]|
そ、そんな…!~
母様、頭をお上げください!▼~
:[スカサハ]|
そうです。母さんが謝ることなど~
ひとつもありません!▼~
:[アイラ]|
だが、私は…。▼~
:[スカサハ]|
母さんは命を懸けて~
シャナン王子を守り抜き…。▼~
そのシャナン王子が、今度は~
俺たちを守ってくれたのです。~
母さんは、俺たちに未来をくれました。▼~
:[ラクチェ]|
ええ。それ以上に~
望むものがありましょうか!▼~
:[アイラ]|
…スカサハ、ラクチェ。~
お前たちは善き師、善き友に恵まれ~
まっすぐに育ったようだな。▼~
私は母として、とても誇らしい。~
これは嘘偽りない~
心よりの言葉だ…▼~
***S [#n5fad701]
:[スカサハ]|
俺たちも同じです!~
母さんを慕う気持ちに~
嘘偽りなどありません。▼~
:[アイラ]|
私が親として~
お前たちに遺したものは~
あまりにも少ない。▼~
だが、剣士としてなら…~
これから残せるものは~
多少なりとあるだろう。▼~
:[ラクチェ]|
……!~
母様、その構えは…?▼~
:[スカサハ]|
受けて立ちます、母さん!~
お手合わせ、よろしくお願いします!▼~
:[ラクチェ]|
あっ、ずるい!~
私もお願いします!▼~
:[アイラ]|
そうだ、それでいい。~
なんなら二人がかりでも構わぬ。▼~
私に剣しかない。~
だからこそ、そのすべてを~
お前たちに伝えよう。▼~
:[スカサハ]|
わかりました、母さん。~
参ります、はあああああぁっ!▼~
:[ラクチェ]|
全力でいきます!▼~
:(暗転)|
:[スカサハ]|
……▼~
:[ラクチェ]|
…▼~
:[スカサハ]|
鋭かったな、母さんの剣。~
自分の未熟さを思い知ったよ。▼~
:[ラクチェ]|
ええ。わたしも稽古を見学させて~
もらったことがあるけど~
本気で打ち合ったのははじめてなの。▼~
:[スカサハ]|
打ち合うたびに~
母さんが歩んできた剣の道の過酷さや~
剣に懸ける覚悟が理解できたよ。▼~
言葉を並べるよりも~
剣は母さんの生き様を~
雄弁に語ってくれた。▼~
俺は、母さんと同じ剣の道を~
歩んでいてよかったよ。▼~
:[ラクチェ]|
そうね…世界には~
いろいろな親と子の繋がりが~
あると思うけど…▼~
剣で繋がる親子があっても~
いいのかもしれない。▼~
:[スカサハ]|
しかし…▼~
:[ラクチェ]|
ん? どうしたの?~
私の顔をまじまじと見て。▼~
:[スカサハ]|
ラクチェは本当に~
母さん似だったんだなあ。▼~
:[ラクチェ]|
わ、わたしは母様のほうが~
何倍も美人だと思うわよ!▼~
:[スカサハ]|
俺はさしずめ…~
父さん似なのかもしれないなあ。▼~
**死地の雷神 イシュタル [#f80e8f1d]
***C [#jfdee63e]
:[アンナ]|
グランベル帝国の~
ユリウス皇子?▼~
:[イシュタル]|
…はい。▼~
エクラに~
伺ったところ、すでに~
アスク王国に来ていらっしゃると。▼~
:[アンナ]|
うーん、戦場で何度か~
見かけたことはあるけど~
どこにいるか私も知らないのよね。▼~
大きな戦いが起こると~
ふらりと戦場に現れて~
いつの間にか去ってしまうの…▼~
私が見た感じ、戦うというより~
自らの力を試している…~
そんな雰囲気だったわね。▼~
:[イシュタル]|
そう…ですか…▼~
:[アンナ]|
ヴァイス・ブレイヴは~
異界の英雄たちが大勢いる~
特務機関だけど…▼~
すべての英雄の行動や考え方に~
制限をかけたりはしていない…~
というか、できないの。▼~
彼ら英雄はあまりに強大で…~
私たちが無理やりどうこうできる~
存在でもないしね。▼~
:[イシュタル]|
なるほど。教えてくださり~
ありがとうございます、アンナ隊長。▼~
:(暗転)|
:[イシュタル]|
…ユリウス様…▼~
……!?~
あれは…▼~
:[アルヴィス]|
…………▼~
:[イシュタル]|
アルヴィス様!▼~
:[アルヴィス]|
……。~
お前は…フリージ家の…~
私が知るお前はまだ幼かったが…▼~
私とは異なる異界から来たのだな。~
あるいは、私が召喚されるよりも~
未来のユグドラルから来たのか。▼~
:[イシュタル]|
おそらくは後者かと。~
またお会いできて光栄です~
アルヴィス様。▼~
お伺いしたいことがございます。~
ユリウス様のご所在を~
ご存じありませんでしょうか?▼~
:[アルヴィス]|
ユリウスの居場所、か。▼~
:[イシュタル]|
私はユグドラル大陸での戦いで~
最後までユリウス様に~
お仕えすることができませんでした。▼~
せめて、このアスク王国では~
ユリウス様と運命をともに…▼~
:[アルヴィス]|
…くだらぬ。~
どんな理由かと思えば~
所詮はその程度の浅慮か…▼~
:[イシュタル]|
えっ?▼~
:[アルヴィス]|
この私はお前やユリウスが~
どのような末路を辿ったのか知らぬ。▼~
しかし、お前の口ぶりで大概の想像はつく。~
望まぬ未来に行き着いたということがな。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[アルヴィス]|
お前はこの国でも~
繰り返すつもりか?▼~
お前がこの地に召喚されたのは~
同じ轍を踏ませるためではなかろう。▼~
:[イシュタル]|
わ、私は…ただ~
ユリウス様の…▼~
:[アルヴィス]|
ユリウスの居場所は私も知らぬ。▼~
:[イシュタル]|
アルヴィス様!▼~
ユリウス様…私は…▼~
***B [#b52d09fe]
:[イシュタル]|
……▼~
ユリウス様の行方は…~
杳として知れない…▼~
…そして、私も…▼~
:[ロシェ]|
ふう、意外に多いな…~
馬車に積み切れない荷物は~
ぼくの馬で運ぼう。▼~
:[ジュリアン]|
けど、一度じゃ運び切れないぜ。~
何回か往復する必要がありそうだな。▼~
:[イシュタル]|
……。~
あの、その荷物は前線に送る~
物資なのでしょうか?▼~
:[レナ]|
いいえ、違います。~
これは孤児院に運ぶ食料。~
ヘンリエッテ様より賜ったものです。▼~
:[イシュタル]|
どうして~
ヴァイス・ブレイヴの英雄である~
あなた方が孤児院に?▼~
:[ロシェ]|
ぼくたちはヴァイス・ブレイヴに~
所属しているけど、~
戦うだけが役目じゃないんだ。▼~
:[ジュリアン]|
戦争で親を亡くした子の世話をしたり~
被災した町や村を復興したり…▼~
戦場に出る以外にも~
この国の力になる方法は~
たくさんあるのさ。▼~
:[イシュタル]|
…あの、その荷運び、~
私にも手伝わせてもらえますか?▼~
:[レナ]|
ええ、もちろん。~
ご助力に感謝致します。▼~
:[ジュリアン]|
人手はどれだけあっても~
困らないからな。~
ええと、あんたは確か…▼~
:[イシュタル]|
私はフリージ家の…~
いえ、イシュタルと申します。▼~
:[ロシェ]|
イシュタルさん、よろしく頼むよ。~
じゃあ、さっそくその荷物を~
馬車に積み込んでもらえるかな?▼~
***A [#x8b8b516]
:[レナ]|
こんにちは、イシュタルさん。~
今日も来てくださったのですね。▼~
:[イシュタル]|
このようなことは不慣れなのですが~
ご迷惑でなければお力添えしたく…▼~
:[ルセア]|
迷惑だなんてとんでもありません。~
子どもたちにはきっと~
あなたの真心は伝わっていますよ。▼~
:[ルゥ]|
そうだね。ぼくたちは~
手伝ってくれる気持ちだけで~
うれしいよ。▼~
:[イシュタル]|
ありがとうございます。▼~
:(暗転)|
:[イシュタル]|
……▼~
:[ジュリアン]|
子どもたちが~
はしゃいでいる姿っていいよな。▼~
:[イシュタル]|
はい。本当に…▼~
:[ジュリアン]|
ちょっと…~
気になってたんだけどさ。▼~
子どもたちを見る~
イシュタルさんの目…~
なんだか悲しそうだ。▼~
:[イシュタル]|
そう、ですか…▼~
:[ジュリアン]|
英雄たちは清廉潔白な奴ばかりじゃない。~
叩けば埃が出てくる連中もたくさんいる。~
あんたがそうだとは言わないけどさ。▼~
なにか事情があるんだろ?▼~
:[イシュタル]|
……▼~
子ども狩り…~
私のいた地では、そのような~
恐ろしい行いが続けられてきました。▼~
子どもをさらうことで民に絶望を与え~
その絶望を暗黒神の糧とする…▼~
:[ジュリアン]|
いるんだな…。~
どの異界にもそういう人でなしがさ。▼~
:[イシュタル]|
私は子ども狩りを命じる~
ユリウス様を諌めることができず…▼~
密かに子どもたちを逃がしました。~
ですが、それも私の目が届く~
範囲でのこと…▼~
犠牲になった子供たちは~
大勢いるのです…▼~
:[ジュリアン]|
だから、か。~
子どもたちを見る目が~
どことなく寂しそうだったのは。▼~
:[イシュタル]|
孤児院を手伝ったところで~
私の罪が消えるわけではありません。▼~
親の愛に包まれ~
幸せな子どもたちを~
無理やり引き離してしまうなんて。▼~
私は…▼~
:[ジュリアン]|
確かに、過去は変えられないし~
自分がしでかした罪は消えない。~
でも、未来はいくらだって変えられる。▼~
オレはそのことを~
大切な人から教えてもらったんだ。▼~
***S [#m90fbc3f]
:[ジュリアン]|
オレもさ、マルス様の軍に~
お供させてもらうまでは~
陽の当たる人生じゃなかったよ。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[ジュリアン]|
大切な人と出会ってからも~
正直、負い目は消えなかった。▼~
でもさ、一緒に修道院で~
子どもたちの世話をしているうちに~
少しずつ考えが変わっていったんだ。▼~
過去の罪を清算するために~
大切なのは、未来のために~
生きることなんじゃないかって。▼~
:[イシュタル]|
未来の…ために…▼~
:[ジュリアン]|
戦いがなくならない限り~
不幸な子どもたちはいなくならないだろう。▼~
でも、オレたちが~
少しでも子どもたちの力になるなら~
それはきっと明日につながる。▼~
:[イシュタル]|
……▼~
:[ジュリアン]|
ま、罪滅ぼしか自己満足かなんて~
子どもたちにとってみれば~
どうでもいいしな。▼~
あいつらが笑顔でいられること。~
それが一番大切なことなんだからさ。▼~
:[イシュタル]|
そうですね…▼~
子どもたちが笑顔でいるために~
私になにができるのか…~
そのことを考えてみようと思います。▼~
…私がこれから選ぶ道は~
ユリウス様のご意思に~
反するものかもしれない…▼~
…ですが、今ここにいる私の…~
…この命は…▼~
…人々の未来を照らす、~
ほのかな光でありたい。~
命の輝きが終わるそのときまで…▼~
**怒りの魔法戦士 アーサー [#zce7d5de]
***C [#u3e40396]
:[アルフォンス]|
ふぅ…今日の訓練は~
このへんにしておこうか。~
みんな、お疲れ様。▼~
:[フィヨルム]|
お疲れ様でした~
アルフォンス王子。▼~
:[アーサー]|
実戦形式の訓練…~
緊張感を伴う研鑽が積めました。▼~
:[アルフォンス]|
アーサーもアスク王国に~
召喚されたばかりとは思えないほど~
いい動きだったよ。▼~
:[シャロン]|
みなさん、訓練お疲れ様でした。~
こちらは差し入れです!▼~
ちょっぴり酸っぱい果実を~
蜂蜜で漬けたものです。~
元気出ますよ~!▼~
:[アルフォンス]|
ありがとう、シャロン。~
うん、美味しいね。~
疲れた身体に酸味が染みるよ。▼~
ほかの英雄たちにも配ろうか。~
僕も手伝うよ。▼~
:[シャロン]|
はーいっ!▼~
:[アーサー]|
……▼~
:[フィヨルム]|
アルフォンス王子とシャロン王女、~
本当に仲がいいですよね。▼~
:[アーサー]|
そうですね。仲睦まじく~
見ているこちらまで~
朗らかな気持ちになります。▼~
:[フィヨルム]|
アーサーさんも、妹さんと一緒に~
アスク王国に召喚されたんですよね?▼~
:[アーサー]|
はい。幸運なことに~
妹のティニーも一緒でした。▼~
ですが…。▼~
:[フィヨルム]|
……?~
なにか心配ごとでも?▼~
:[アーサー]|
俺と妹は~
幼い頃に離れ離れになり…~
先頃、再会できたばかりなのです。▼~
長年探し回って~
ようやく再会した妹です。~
一緒に居られるのはうれしいのですが…▼~
:[アーサー]|
離れていた時間はあまりに長く、~
兄として妹にどう接すればいいのか~
まだ迷っているのです。▼~
:[フィヨルム]|
そうだったんですね…▼~
そういえば、ヴァイス・ブレイヴには~
ご兄妹の英雄が~
多いような気がします。▼~
みなさんの様子を~
伺ってみるのはいかがでしょうか。▼~
もしかしたら妹さんへの接し方が~
見えてくるかもしれませんよ?▼~
***B [#p280314b]
:[アーサー]|
ここがアスク王国の大図書館。~
こんなにたくさんの本を~
見るのははじめてです。▼~
:[フィヨルム]|
私もはじめて見たときは~
感動しました。▼~
この大図書館は今も~
蔵書が増え続けているそうですよ。▼~
ここには確か…~
あちらにいらっしゃるようですね。▼~
ラインハルトさんと~
オルエンさんのご兄妹です。▼~
:[ラインハルト]|
…なるほど。ユグドラル大陸だけではなく~
ほかの異界にも雷の魔道を宿した~
剣が存在している…▼~
:[オルエン]|
やはり、剣と雷の魔道は~
関わりが深い、~
ということでしょうか。▼~
:[ラインハルト]|
さらに詳しく調べてみる~
価値はありそうだ。▼~
:[オルエン]|
兄上は、前にも増して~
魔道の研鑽に熱が入っているご様子。▼~
もしかすると新たに召喚された~
イシュタル王女の影響でしょうか?▼~
:[ラインハルト]|
…あの方をお守りしたいという気持ちは~
アスク王国においても変わりはない。▼~
しかし最近は、戦場に出る以外にも~
ヴァイス・ブレイヴからいろいろと~
頼まれ事をするようになった。▼~
彼らの期待を~
裏切るわけにはいかないだろう。▼~
:[オルエン]|
兄上のたゆまぬ努力の姿勢…~
私も見習わねばなりませんね。▼~
:[アーサー]|
なるほど…。~
俺も彼ら兄妹の噂は~
聞いたことがあります。▼~
互いに高め合うあの姿勢…~
兄妹のあり方として~
理想的かもしれませんね。▼~
:[フィヨルム]|
はい、私も同じ意見です。~
見習うべきところは多いですよね。~
あっ、向こうにもご兄妹がいますね。▼~
:[リュート]|
おい、聞いてるのか?~
デューテ!▼~
やりたい放題をしていては~
まわりの反感を買う。▼~
ここは我々が育った辺境の村ではない。~
集団で生きていくためには~
協調性が大事なのだ。▼~
:[デューテ]|
いちいちうるさいなー!~
ボク、ちゃんと戦場で活躍してるし~
結果だって出してるんだから!▼~
:[リュート]|
活躍すればいいというものではない。~
前も言っただろう?~
強さを求めるだけではダメなのだ。▼~
俺はお前がみんなに愛される~
人間になってほしいのだ。▼~
:[デューテ]|
じゃあ、お兄ちゃんが~
みんなから愛されるようになったら~
ボクも考えることにするよ。▼~
ん~、とりあえず友だちが~
100人できてから出直してよね。▼~
:[リュート]|
あっ! こらっ! 待てっ!~
図書館で走るな!▼~
:[フィヨルム]|
……。~
つ、次に行きましょうか。▼~
:[アーサー]|
そ、そうですね。▼~
***A [#g87a5cba]
:[フィヨルム]|
…先程は少し戸惑ってしまいましたが、~
リュートさんとデューテさんのやりとりは、~
ご兄妹の信頼があってこそ…▼~
そう考えると、お二人もまた、~
理想的なご兄妹なのかもしれません。▼~
:[アーサー]|
ふむ…▼~
:[フィヨルム]|
私にも兄がいますが~
兄は私の誤りを正すために、~
叱ってくださいました。▼~
それは私を思ってのこと。~
今でもしっかりと胸に刻まれています。▼~
:[アーサー]|
なるほど。~
ときには厳しさを持って~
接することも兄妹には必要と?▼~
:[フィヨルム]|
厳しさの度合いを間違わなければ~
きっといい関係が築けると思います。▼~
あ…訓練場にいらっしゃる~
あの二人もご兄妹ですよ。▼~
:[レンハ]|
……▼~
:[サイリ]|
……▼~
:[アーサー]|
一分の隙もないにらみ合い。~
あれは剣の訓練ですか?▼~
すごいですね。~
こんな離れたところまで~
互いの気迫が伝わってくる。▼~
:[サイリ]|
兄上、今度こそ本気で~
剣を振るってもらう。▼~
ここにいるのは妹と兄ではない。~
一太刀に己のすべてを懸ける~
二人の武人!▼~
:[レンハ]|
私もまだ語り足りぬ…~
よかろう、覚悟を見せよ。▼~
:[サイリ]|
はぁぁぁっ!▼~
:[レンハ]|
ふんっ!▼~
:[アーサー]|
な、なんという激しい打ち込み…~
まるで実戦さながらの…▼~
:[フィヨルム]|
そ、そうですね…。~
あれは訓練というか、その…▼~
:[アーサー]|
!?~
あの一撃…かわすのが~
一瞬遅ければ命を落としていた…▼~
フィヨルム王女、~
止めたほうがよくありませんか?~
あれはどう見ても訓練の域を超えて…▼~
:[フィヨルム]|
そ、そうですね…~
このままではお二人の命が…▼~
:[アンナ]|
はい!~
はいはいはーいっ!~
そこまで、そこまでーっ!▼~
:[レンハ]|
むっ…▼~
:[サイリ]|
アンナ隊長…▼~
:[アンナ]|
本気で打ち合うのもいいけど~
それ以上はケガじゃ済まないわよ!▼~
:[サイリ]|
申し訳ない…~
つい熱が入った…▼~
:[レンハ]|
…今日はここまでとしよう。▼~
だが、次は容赦せん。~
志半ばで散りたくなければ~
さらに腕を磨くことだ。▼~
:[アンナ]|
だから限度があるって言ってんの!~
二人とも、ほどほどにしなさい!▼~
:[フィヨルム]|
ほっ…アンナ隊長が仲裁に入って~
よかったですね。▼~
:[アーサー]|
しかし、あのような~
兄妹のあり方もあるのですね。~
厳しさで互いを磨く…なるほど。▼~
***S [#o32a9dbe]
:[アーサー]|
ひと言に兄妹と言っても~
その間柄はそれぞれ違うようです。▼~
:[フィヨルム]|
そうですね。~
いろいろな兄妹を見て~
改めて私もそう感じました。▼~
アーサーさんも、焦らなくていいと思います。~
ティニーさんとの距離を~
少しずつ縮めていけるといいですね。▼~
? あれは…▼~
:[ティニー]|
あっ…~
フィヨルム王女、ご機嫌よう。▼~
あのっ、兄様…~
少しよろしいですか?▼~
:[アーサー]|
どうしたティニー。~
なにか困ったことでも?▼~
:[ティニー]|
困ったことというか、その…▼~
兄様、お時間がありましたら~
食事をご一緒に…▼~
:[アーサー]|
食事…?▼~
:[ティニー]|
その…兄様と少しでも~
一緒にいられたら…▼~
そうすればお互いのことを~
もっと知ることができると思って…▼~
:[アーサー]|
そうか…~
すまなかったなティニー。~
お前に気を遣わせてしまって。▼~
:[フィヨルム]|
ふふ。気持ちは二人とも~
同じだったようですね。▼~
:[アーサー]|
ティニー。~
離ればなれの時間は長かったが~
この世でたった二人の兄妹だ。▼~
互いが歩み寄れば~
きっとよい関係を築けると思う。▼~
:[ティニー]|
は、はい!~
私もそう思います!▼~
**受難の雷姫 ティニー [#h687f70a]
***C [#zc920a3a]
:[レギン]|
今日も訓練がんばるの!~
みんなが必要としてくれる~
英雄になるのー!▼~
:[ティニー]|
……▼~
:[レギン]|
ん? 訓練場の前に誰かいる?~
なにしてるの?~
あなたも訓練しに来たの?▼~
:[ティニー]|
えっ!?~
い、いえ、その…~
け、見学していただけなのですが…▼~
:[レギン]|
見学? 見学なら訓練場に~
入ったほうがよく見えるの。▼~
えーと、あなたはこの前~
アスク王国にやってきた…▼~
:[ティニー]|
ティニーと言います。~
あなたはニザヴェリルの~
レギン王女…ですよね。▼~
すごく変わった鎧を~
着ていたので覚えています。▼~
:[レギン]|
ふふっ、よろしくなの~
ティニー!▼~
ティニーは魔道士…だよね?~
今ね。ちょうど訓練場で~
魔道士の英雄たちが訓練してるの。▼~
:(暗転)|
:[リンダ]|
タイミングを合わせて…~
いくわよ!▼~
:[メイ]|
私もいくよ! 決めちゃえ!▼~
:[ティルテュ]|
これでトドメ!~
よしっ!▼~
:[メイ]|
おおーっ! やったね!~
連携バッチリだったよ!▼~
:[ティルテュ]|
だんだん息が合ってきたよね~。▼~
元いた世界はみんなバラバラなのに~
ずっと前から気心の知れた~
友だちだったみたい!▼~
:[ティニー]|
……。~
ティルテュ母様があんなに楽しそうに~
笑っているところ、はじめて見た…▼~
:[レギン]|
ん? んん? もしかして~
ティルテュに用があるの?~
私が呼んで来てあげるの!▼~
:[ティニー]|
えっ! そ、その!~
レギン王女…!!▼~
:(暗転)|
:[レギン]|
ティニー!~
ティルテュを連れて来たの!~
あれっ…?▼~
:[ティルテュ]|
誰もいないね?▼~
:[レギン]|
えっ、えっ? ティニー?~
さっきまでここにいたのに。~
どこに行ったんだろ?▼~
:[ティルテュ]|
ねえ、レギン。~
あたしを見ていた子、~
ティニーって言ってた?▼~
:[レギン]|
確かにそう言ってたの。▼~
:[ティルテュ]|
ふーん、そっかー。~
ティニーか…▼~
***B [#p59b30dc]
:[ティニー]|
兄様。~
やっぱり私たちはこの世界で~
母様に会うべきでないのでしょうか?▼~
:[アーサー]|
母さんに会いたい気持ちは~
俺も同じだ、ティニー。▼~
しかし、俺たちが母さんに会えば~
母さんがその後の運命を~
知ってしまうことになるかもしれない。▼~
:[ティニー]|
……▼~
:[アーサー]|
バーハラの戦いのあと~
俺とティニーを連れた母さんは~
フリージ家には戻らなかった。▼~
でも、母さんとティニーは~
強引にフリージ家に連れ戻され…▼~
:[ティニー]|
フリージ家に戻った私が覚えているのは~
いつも悲しそうにしていた母様の顔…▼~
そして、母様は口にするのも~
おぞましい仕打ちを受け~
そのまま帰らぬ人に…ううっ。▼~
:[アーサー]|
ティニー、前にも言ったが~
フリージの民を恨んではならない。▼~
すべての元凶はブルームと妃のヒルダにある。~
俺たちが討たねばならぬのは~
フリージ家に巣食う悪辣な魂だ。▼~
:[ティニー]|
はい、兄様…▼~
:[アーサー]|
アスク王国…~
この世界に存在している母さんは~
自らの運命を存じ上げないはず。▼~
この先に起きる悲劇を知らせ~
母さんの笑顔を奪うことはできない…▼~
:[ティルテュ]|
ねえ、誰からなにを奪うのー?~
それって深刻な話?▼~
:[ティニー]|
ティルテュ母様!?▼~
:[アーサー]|
ど、どうしてここに!?▼~
:[ティルテュ]|
ねっ、あなたたち~
あたしの子どもってホント?▼~
アンナ隊長に尋ねてみたら~
アーサーとティニーは~
未来で授かる子って教えてくれたの!▼~
:[アーサー]|
くっ、アンナ隊長…~
悪い人ではないのだが…▼~
:[ティルテュ]|
すごいすごい!~
あなたたち、ホントにあたしの子なの?~
ふふっ、なんだか楽しくなってきちゃった!▼~
***A [#n158f5f9]
:[ティルテュ]|
あっ!~
そのペンダント…▼~
:[ティニー]|
はい。これは母様にもらった~
唯一の形見です。▼~
:[ティルテュ]|
それ、見覚えある!~
確かにあたしのだー!▼~
:[アーサー]|
俺も母さんから~
このペンダントを頂きました。▼~
:[ティルテュ]|
それもあたしの!~
本当に二人はあたしの子どもなのね!~
すごーい!▼~
まだ結婚もしてないのに~
こんなに大きな自分の子どもに~
会うなんて…ふふっ!▼~
:[ティニー]|
うっ…ううっ…ぐすっ…~
くっ、うううっ……▼~
:[ティルテュ]|
えっえっ!?~
ど、どうしたの、急に泣き出して。~
あたし、なにか変なこと言った!?▼~
:[ティニー]|
いえ、母様はなにも悪くありません。~
ただ…。▼~
こんなにまぶしい笑顔の~
母様を見るのは~
はじめてで…ううっ…▼~
私の知ってる母様の顔は…~
い、いつも悲しそうだったから。▼~
:[ティルテュ]|
ふーん、そうなんだ。~
むずかしいことはわかんないけど、~
何かあったのかな…▼~
あれ? というか…~
どうしてすぐに二人は~
会いに来てくれなかったの?▼~
:[アーサー]|
いえ、本当はすぐにでも~
会いたい気持ちでいっぱいでした。~
ですが…▼~
:[ティルテュ]|
……▼~
***S [#v3409053]
:[ティルテュ]|
なんとなく…わかっちゃった。~
つまり、未来のあたしに~
なにか不幸が起きるのね?▼~
:[ティニー]|
……!▼~
:[ティルテュ]|
ふーん、なるほどー。~
それをあたしに知られるのが嫌で~
会いに来なかったってこと?▼~
:[アーサー]|
……▼~
:[ティルテュ]|
あ、でも平気。~
あなたたちが気にかけているのは~
異界にいたあたしでしょ?▼~
今ここにいるあたしが~
同じ運命とは限らないし。▼~
:[アーサー]|
そ、そういうもの…なのですか?▼~
:[ティルテュ]|
えーっと、あたしも~
本当はよくわかってないんだけど…~
エクラも言ってたの。▼~
異界は未来の数だけいっぱいあって、~
ユグドラル大陸が存在する異界も~
ひとつじゃなくて…▼~
だkら、みんなの運命を違っているとか…~
なんかそんな感じの話!▼~
:[ティニー]|
じゃ、じゃあ…~
もしかしたら目の前にいる母様は…▼~
私が知っている運命とは~
別の運命を辿る可能性も…▼~
:[ティルテュ]|
うん、そういうこと!▼~
でも、アーサーとティニーは~
いい子そうだから、あなたたちを~
授かる運命は変わらないでほしいな。▼~
:[アーサー]|
そう言っていただけると…~
うれしいです。▼~
俺とティニーが知る母さんは~
とても悲しい運命を辿りました。▼~
ですが、今ここにいる母さんは~
未来を変えられる可能性もあると…▼~
:[ティニー]|
兄様、私はお会いできたのが~
別の異界の母様だとしても~
幸せな未来を掴んでほしいです。▼~
:[ティルテュ]|
大丈夫! こうして~
アーサーとティニーに出会ったことで~
もうすでにあたしの運命は変わってるかも!▼~
きっと二人はあたしの運命を変えるために~
呼ばれたんじゃないかな…なんてね!▼~
:[ティニー]|
ふふっ、母様って~
とても明るい人だったのですね。▼~
:[アーサー]|
そうだな…~
それを知っただけでも~
アスク王国に来た甲斐があった。▼~
:[ティルテュ]|
いやいや、それだけで~
満足しちゃダメだからね!▼~
今、この国は戦いで大変なの。~
アーサーとティニーにも~
力を貸してもらうわよ。覚悟してね!▼~
:[アーサー]|
もちろんです、母さん。▼~
:[ティニー]|
母様と兄様と一緒に~
精一杯戦い抜いてみせます。~
未来の可能性を信じて!▼~
*コメント [#laf7682e]
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