ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記・マスターバイブル
会話集/MAP1 ウエルト上陸(ソラの港)
もくじ
オープニング
民家(左上)
民家(左上から2番目)
民家(右上)
民家(左下)
民家(左下から2番目)
民家(右下から2番目)
民家(右下)
味方2ターン目
サーシャ(NPC)が跳ね橋の手前に到着したとき
味方5ターン目
TALK ME(リュナン→サーシャ)
ルース初戦時
ルース撃破時
敵全滅後
ヴェルジェに到着したとき

最終更新日:2001/09/01

■オープニング

(リュナンたちが港へ上陸する)

(フォーカス:リュナン)

リュナン「 ……オイゲン
ウエルト王国は我々と共に
戦ってくれるだろうか?

オイゲン「 先のバルト戦役で
ロファール王は消息を断たれ
主力騎士団もそのほとんどが
壊滅したと聞きます

いかに帝国の
横暴と脅威を訴えたとしても
説得するのは
容易なことではありますまい

リュナン「 ……まずは、この国の内情を
把握すべきなのかもしれないな

オイゲン「 では、この港で情報を集めましょうか

リュナン「 そうだな、皆で手分けして
街の人たちの話を聞いてくれ
王宮に向かうのはその後だ

クライス「 はっ

アーキス「 お任せを、リュナン様

ガロ「 承知しましたぜ

(マップ西からサーシャとケイトが現れる)

(フォーカス:サーシャ、ケイト)

(背景:海岸)

ケイト「 サーシャ様!
お急ぎください、このままでは
追いつかれてしまいます!

うつむくサーシャ「 はあっ、はぁっ……

ケイト……
私、もうだめ……
これ以上、走れない……

ケイト「 気弱なことをおっしゃらないでください!
ヴェルジェまであと少しです!
今しばらくのご辛抱を!

うつむくサーシャ「 でも……足が……
ううっ……!

ケイト「 ……これは……!

足をくじかれていたのですね
これでは歩くことさえ辛いはず……
申し訳ありません
もっと早く気づくべきでした……

うつむくサーシャ「 ケイト……

ケイト「 追手はここで私が食い止めます
その間にソラの港町までお逃げください

宿にでもお姿を隠して今夜一晩休めば
痛みもおさまるはずです
そしてサーシャ様だけでも
どうかヴェルジェに……!

うつむくサーシャ「 そんな!
ケイト一人を残しては行けないわ

ケイト「 私のことならご心配にはおよびません
私はこれでも王妃様をお守りする近衛騎士
コッダの兵士などに
遅れをとるものではありません

うつむくサーシャ「 ケイトが優れた騎士なのは知っています
でも相手は大勢なのでしょう
一人で戦うなんて無謀すぎます

ケイト「 たとえ無謀であったとしても
私はサーシャ様をお守りせねばなりません
それが近衛の騎士としての私の役割……
いえ、私の誇りなのですから

うつむくサーシャ「 ケイトは死を覚悟してるのね……
だめ!
そんなこと、私、絶対に許さない!

お願い、ケイト
ソラまで、我慢するから……
私、頑張るから……
だから、一緒に行きましょう

ケイト「 サーシャ様……

■民家(左上)

じいさん「 本土ではほとんどの国が
帝国の支配下に入ったらしいな

だが帝国も、こんな辺境まで
進軍してはくるまいに
我らがロファール陛下は
リーヴェの窮地を見かねて
挙兵され、バルト要塞での
戦いで行方不明となられた

素晴らしい王であったのに……
その人の良さが災いするとは
皮肉な話だな

問題は、陛下なき後の
この国の行く末だ……
残されたリーザ王妃と
サーシャ王女の母娘だけでは
この国も長くは保てまい……

おっと、長話を聞いてくれた
お礼にこの剣を差し上げよう
ありふれた物だが
わしが使いこんだ分
切れ味がよいかもしれんぞ

(「てつの剣をてにいれた」)

■民家(左上から2番目)

大柄の男「 港に来たでっかい船
あれグラナダの私掠船だろ?

……えっ、あんたたち
あれに乗って来たってのか!?
一体何者なんだ
あんたたち……

本土からウエルトくんだりまで
何のために来たか知らないが
揉め事だけは起こすなよ

ただでさえ今
この国は、ゴタゴタの
真っ最中なんだからな……

ん? なんだ?
ああ、このクスリか?
港で拾ったんだけど
何の役に立つのかわからねぇ
いいぜ
欲しいならもってゆきな

(「WLVプラスをてにいれた」)

■民家(右上)

(背景:訓練所)

訓練所のオヤジ「 ここは水兵訓練所
海の上を我が物顔でのさばっている
海賊どもと戦う海の戦士
水軍兵を養成するところだ

※スキル「海の戦士」を習得しているユニットで訪問した場合

訓練所のオヤジ「 君はすでに立派な海の戦士だ!
ここで教えることは何もない
君の友人に
海の戦士を目指す人物がいたら
ぜひここへ連れてきてくれ!

※スキル「海の戦士」を習得していないユニットで訪問した場合

訓練所のオヤジ「 ほう、君はなかなか
才能がありそうだな
よし、海上での
戦いのコツを教えてやろう

(選択肢)
「よし!おしえてもらおう」
「かんがえなおそう」

※「よし!おしえてもらおう」を選択した場合

訓練所のオヤジ「 そもそも、海の上での
戦いというものはだな……

(画面暗転)

よし、これで君はもう
一人前の海の戦士だ!
海の上では、今まで以上に
活躍できることだろう!

頑張って
海上に巣くう悪党どもを
こらしめてやってくれっ!

(「海の戦士のスキルをおぼえた」)

※「かんがえなおそう」を選択した場合

訓練所のオヤジ「 そうか……
気が向いたらまた来てくれ!

■民家(左下)

※4ターン目までに訪問した場合

じいさん「 南の跳ね橋は
潮の満ち引きに合わせて
上がり下がりするように
なっとるんじゃ

まだ下りてないのなら
そのうち下りるはずじゃて
ちょいと
待ってみてはどうかの?

※5ターン目以降に訪問した場合

じいさん「 南の跳ね橋は
潮の満ち引きに合わせて
上がり下がりするように
なっとるんじゃ

一度下りたらもう当分は
上がることはないじゃろうて
安心して渡りなされ

■民家(左下から2番目)

(背景:木造の民家A)

じいさん「 ほほう……
ヴェルジェから来た
解放軍とはあんたたちのことか

この地は代々コッダ伯爵家の領地じゃが
今の当主は酷い奴でのぉ
わしら領民は大変な目にあっておる

ロファール王さえいてくだされば
こんなバカなことには
ならなかっただろうに……

聖騎士ロジャーもまた、憐れな男での
早くして父親を無くしたため
一族の当主となったが
それゆえに身動きが取れぬのじゃ
誠実な若者ゆえにさぞ辛かろうの

うん?
ああ、シスターメルのことか?
彼女はもともと
マルス神殿の修道女じゃったが
ふとした事から聖騎士ロジャーと
愛し合うようになっての

だが修道女に恋愛は許されぬでな
思い余ったメルは神殿を出て
彼の元に走ったというわけじゃ
いわゆるひとつの
駆け落ちというヤツかのぉ……

おっとそうじゃ
長話を聞いてくれたお礼に
この「とおいやしの杖」をやろう

遠距離でも使えるいやしの杖だから
「遠・いやしの杖」と呼ぶのじゃが
一部不届き者は
「遠い・ヤシの杖」だと思っておる
愚かなる事山の如しじゃな……

(「おまもりをてにいれた」)

■民家(右下から2番目)

娘「 つい半年前まで
このウエルトは
平和で穏やかな国でした

そう、ロファール陛下が
バルト戦役に向かわれて
国を留守にされるまでは……

陛下の留守をいいことに
宰相となったコッダ伯爵の
横暴で、この港もすっかり
活気を失ってしまいました

宰相の兵がやってきては
船の積荷に法外な税金をかけ
何もかも根こそぎ
奪ってゆくのです

こんな状態ではとても
私たちは生きてゆけません……
ああ、ロファール陛下さえ
ご健在であられたなら……

あ、ごめんなさい
初めてお会いする方に
グチを聞かせてしまうなんて

お詫びといってはなんですが
この革の盾をお持ち下さい
父の形見なのですが
お役に立てば嬉しいです

(「かわのたてをてにいれた」)

■民家(右下)

おばさん「 へえー
あんたたちがグラナダの
勇者なのかい

帝国相手に1年も
戦ったって言うから
どんなにすごい男たちかと
思ってたけど、なんだ
可愛いボウヤじゃないか

まあいいさ
せっかく来てくれたんだ
この薬草を持って行きな

(「やくそうをてにいれた」)

■味方2ターン目

(マップ西からコッダとルース率いるコッダ軍団が出現)

(フォーカス:コッダ)

(背景:森林)

コッダ「 ようやく追いついたようだな
ルースよ、あとはお前が指揮を取れ
王女を捕らえて、王宮まで連れ戻すのだ

ルース「 護衛の騎士はどうします?

コッダ「 フンッ、たかが女一人
なにほどのことがあろう
かまわぬ、殺せ!

ルース「 はっ、承知いたしました!

(背景:フィールドマップ)

(コッダがマップ西の方に行きマップ上から消える)

■サーシャ(NPC)が跳ね橋の手前に到着したとき

(フォーカス:サーシャ)

(背景:木造の橋の上A)

うつむくサーシャ「 だめ……
もう動けない……

■味方5ターン目

(フォーカス:跳ね橋)

(跳ね橋が下りる)

(フォーカス:リュナン)

(背景:酒場A)

オイゲン「 リュナン様、跳ね橋が下りたようです
そろそろ出発いたしましょう

■TALK ME(リュナン→サーシャ)

(フォーカス:リュナン、サーシャ)

リュナン「 どうしたんだ?
あの兵士たちに追われているのか?

悲しむサーシャ「 !……

オイゲン「 リュナン様
話しているヒマはありませぬぞ
まずは奴らを追い払いましょう

リュナン「 そうだな

追手は僕たちが引き受ける
君は安全な場所に……
戦いが終わったら、話を聞かせてもらう

悲しむサーシャ「 は、はい……

(サーシャが仲間になる)

※ケイト生存時

(フォーカス:ケイト)

ケイト「 異国の騎士が?……
一体何者なの……

■ルース初戦時

※サーシャと戦わせた場合

ルース「 王女に手荒な真似は
したくないのだがな……

※それ以外のユニットと戦わせた場合

ルース「 ……邪魔だては許さぬ!

■ルース撃破時

ルース「 くっ……不覚……

■敵全滅後

(背景:森林E)

オイゲン「 リュナン様
兵士たちは逃げてゆきましたぞ

リュナン「 ……あの少女は?

オイゲン「 無事、保護いたしました
こちらに……

リュナン「 大丈夫か?

サーシャ「 はい……
ありがとうございました

リュナン「 彼らはウエルトの兵士たちのようだが
なぜ君たちを追っていたんだ?
それに君は高貴な家柄の人のようだが……

オイゲン「 リュナン様
まだお気づきになられませぬか
この方はウエルト王国の王女
サーシャ様でございますぞ

リュナン「 サーシャ王女!?

サーシャ「 はい、お久しぶりです、リュナン様

リュナン「 そうだったのか……
すまない、気づかなかった……

サーシャ「 お会いしたのは
もうずいぶん昔のことですもの
忘れておられてもしかたありません

でも……私はすぐにわかりました
わずかな間だったけど、リュナン様には
優しくしていただきましたから……

リュナン「 父上と共にウエルトを訪れたのは
僕がまだ10歳のときだった

幼い王女と遊んだ記憶はあるが
それがまさか君だなんて……
すっかり見違えてしまってわからなかった

オイゲン「 いや、わたくしは覚えておりましたぞ

サーシャ「 あなたは、リュナン様の守り役だった……
えっと……

オイゲン「 オイゲンでございます、サーシャお嬢様

サーシャ「 そうだわ、オイゲン将軍ね
覚えていてくれてありがとう

リュナン「 ……サーシャ王女
事情を聞かせてくれないか
この国はどうなっている?
王女である君が
どうして追われなければならないんだ?

サーシャ「 リュナン様は
バルト戦役のことをご存知でしょうか?

リュナン「 話は聞いている
半年前、バルト要塞を巡って
西部諸国同盟と帝国の大きな戦があり
西部同盟の大敗北に終わったと……

西部同盟軍を指揮していたロファール王は
行方不明になられたとも聞いている

サーシャ「 ええ……
あの戦い以来、お父様の所在は不明です

お父様と共に出陣した諸候や騎士たちも
その多くは戦死し
国に戻れたのはほんの一握り

そのために国の治安は乱れ
野心を持つ者たちが
好き勝手なことをするようになりました

リュナン「 しかし、ウエルトほどの大国が
たった一度の敗戦で
それほど乱れるものかな

ロファール王は大陸5賢王の
一人に数えられるほどの方だ
国を離れるにあたっては
信頼できる者に留守を託したはずだが

サーシャ「 ええ、有力貴族のコッダ伯爵が
国の守りを託されました
でも、最近になって
コッダ伯爵に野心が芽生え
前宰相が老齢で病に伏せるや
自ら宰相となって
民に重税を課したり
反対する家臣たちを勝手に追放したりと
その横暴は日に日に
ひどくなるばかりで……

リュナン「 国王の留守を良いことに
王国を我が物にするつもりか
君の母上……
リーザ王妃はどうされている?

サーシャ「 コッダの野心に気付いた母は
彼を追放して
マーロン伯を宰相にと決意され
その命令書を作られたのですが……

リュナン「 マーロン伯?

サーシャ「 東のヴェルジェを領地とする
父の臣下の一人です

老齢ゆえにバルト出陣には
加えられませんでしたが
忠節の志し厚く、国民も慕う立派な方です

父上は出陣にあたり、マーロン伯に
宰相を務めるよう求められましたが
伯は「その器にあらず」と固辞され
今もまだ、ヴェルジェ砦に
引き込まれたままなのです

リュナン「 そうか……それで
サーシャがその命令書をたずさえて
ヴェルジェに行こうとしているのか

サーシャ「 お母様は近衛騎士のケイトに
命令書を託されたのですが
もしことが知れた場合に
私が人質になることを恐れて
一緒に行くようにと言われました

リュナン「 事情はだいたいわかった
それなら僕たちもヴェルジェに行こう
そのマーロン伯といわれる方に
僕もお会いしたい

サーシャ「 でもどうしてリュナン様がウエルトに?
グラナダで帝国軍と戦っておられることは
噂で聞いていましたが……

リュナン「 それはまた後で話そう
コッダの増援が来ないうちに
出発したほうがいいだろう

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(背景:ワールドマップ)

(フォーカス:ウエルト王宮)

(背景:王室)

コッダ「 リーザ王妃様、ご機嫌は如何でしょう
至らぬことがあれば、なんなりと
このコッダにお申しつけ下さい

リーザ「 伯爵、私をいつまでこのような部屋に
閉じ込めておくつもりなのです
ロファール王の家臣として
恥ずかしくはないのですか

コッダ「 いえ……これは……

リーザ「 聞けば
あなたは帝国に和を請うつもりだとか
そのようなことをロファール王が
お許しになると思いますか
あなたは王が帰国されたら
どのように弁明するおつもりですか?

コッダ「 リーザ様、まことに残念ではありますが
ロファール王はすでに亡くなられたのです
私は宰相として、この国を守らねば
なりませぬゆえ……

リーザ「 王はご存命です
妻である私にはわかるのです……

コッダ伯爵、民を苦しめるのはやめなさい
もうこれ以上
過ちを繰り返してはなりません

コッダ「 むっ……いくら王妃とはいえ
それはあまりなお言葉ですな
私がいくらお人よしでも
限度と言うものがありますぞ

リーザ「 私を脅すつもりですか
ならば一思いに殺しなさい
あなたは謀反人として、後世まで
その名を残すことになりましょう

コッダ「 うっ……

リーザ「 コッダ伯爵、御用がお済みなら
もう休ませていただけませんか
少々、疲れましたゆえ……

(背景:王座の間A)

コッダ「 くっ……
王妃め、言わせておけば……
いっそ一思いに……

側近「 それはなりませぬぞ
今、王妃様を害すれば
日和見の諸候たちも
コッダ様に敵対いたしましょう

ウエルト王家は
サザーラント将軍以来の名門
敵に回すことは得策ではありませぬ

コッダ「 では、どうしろというのだ

側近「 王妃の強気はマーロン伯あってのこと
マーロンさえ亡き者になれば
王妃も折れてまいりましょう

コッダ「 そうだな……
マーロンとの決戦を急がねばならん
このままでは日和見の諸候どもが
裏切るかも知れぬでな……

(背景:ワールドマップ)

(フォーカス:ヴェルジェ)

(背景:屋内・部屋)

ラフィン「 父上、準備が整いました
これより出発いたします

マーロン「 まて、ラフィン
ソラの港から連絡が入った
サーシャ王女は無事
こちらに向かっておられるそうだ

ラフィン「 どういうことです?
コッダの追手が迫っていると
聞いていましたが……

マーロン「 ソラの港に上陸した騎士団が
王女を保護してくれたらしい
数十人の少勢らしいが
なかなか勇猛であったそうだ

ラフィン「 騎士団が?
まさか帝国の侵攻では……

マーロン「 いや、青き聖竜の旗を
掲げていたということだ

ラフィン「 青き聖竜の旗といえば
リーヴェの紋章……

マーロン「 リーヴェ本家、あるいは4公国の
騎士団ということになるが
おそらくラゼリア公国軍であろうな
数日前にリーヴェ最後の砦であった
グラナダが陥落したそうだ

ラフィン「 では、リュナン公子が手兵を連れて
逃れてきたと言われるのですか?
しかし、なぜ我が国へ……

マーロン「 ラゼリア大公とロファール陛下は
共に大陸5賢王と呼ばれた親しい間柄だ
このたびの出兵も、陛下には
仇討ちの気持ちがあったのだろう

そのラゼリア大公の子息が国を失い
我がウエルト王国を頼ってきたのだ
別に不思議なことではあるまい

ラフィン「 リュナン公子といえば
帝国の大軍を相手に戦い抜いた
若き英雄だと言われていますが
父上はどう思われます?

マーロン「 まだ二十歳にもならぬ若者だ
英雄と呼ばれるには早かろう
民衆は、非業の死を遂げた
英雄グラムドの姿を公子に重ね
過大な期待を抱いておるのだろう

ラフィン「 グラナダの若き英雄は虚像だと……

マーロン「 おそらくな……
だが、その騎士たちが何者であっても
王女救出の礼は言わねばならぬ

ラフィン、お前は城門に出て
彼らを迎え入れよ
相応の礼儀は必要じゃ……

ラフィン「 はっ、承知いたしました

エステル「 兄上、私もご一緒していい?
それともお邪魔かしら?

ラフィン「 エステル、それはどういう意味だ?

エステル「 王女とは久しぶりの再会でしょう
二人っきりのほうがいいかなと思って

ラフィン「 バカを言うな
俺はウエルト王国の騎士として
王女に忠誠を誓っている
ただそれだけの事だ

エステル「 ふふっ、相変わらずね
こんなときこそ、優しい言葉の一つも
かけてあげれば王女も喜ぶのに……

ラフィン「 エステル
余計なことに気を回している暇があるなら
もっと修練に励んではどうだ

父上はお前が騎士になることに反対だった
だが俺は、父上の力になりたいと言う
お前の言葉を信じて賛成したのだ

俺はいずれ祖国へ帰らねばならぬ
いつまでも、お前を
守ってやれるわけではないのだぞ

エステル「 私は一度だって
守ってくれなんて頼んでないわ!

(効果音:去っていく足音)
ラフィン「 待て! エステル!

マーロン「 ラフィン
お前はエステルを甘やかしすぎる
妹だとはいえ、血は繋がっておらぬのだ
他の騎士たちの目もある、注意せよ

ラフィン「 は……
申し訳ありません……

(背景:ワールドマップ)

(フォーカス:ソラの港)

(背景:街道)

サーシャ「 そうだったの……
ではグラムドおじさまも……

リュナン「 ああ
ミュースのブレスに焼かれて死んだ

父は戦いを止めようと必死だった
ようやく休戦の調印ができると
喜び勇んでノルゼリアに向かったのに
そこで帝国が復活させた
聖竜ミュースに襲われて
数千人の人々と共に
一握りの灰になってしまった……

サーシャ「 そんなこと……
あの優しかったグラムドおじさまが……

リュナン「 サーシャ?

サーシャ「 ……おじさまは何度もウエルトを
訪ねてくださいました
私には、自分の娘であるかのように
優しくしていただいて
最後にお会いしたときなどは
ラゼリアに遊びに来ないかとまで
言ってくださいました

オイゲン「 グラムド大公はサーシャ様が可愛くて
たまらなかったようですな

できることなら
我が公国の嫁にほしいものだと
おっしゃっておられましたが
サーシャ様はウエルトの
ただ一人の王位継承者ゆえ
それもなるまいと
ため息をついておいででした

サーシャ「 えっ、オイゲン、本当なのですか?
私は王位など継がないわ
父もそんなことは望んでいなかった

おじさま……
言ってくださればよかったのに……

オイゲン「 ではサーシャ様は
ラゼリアに来てくださいますと?

サーシャ「 え?

リュナン「 ……オイゲン、先を急ごう

オイゲン「 おおっ、これは失礼いたしました

■ヴェルジェに到着したとき

(背景:砦前)

ラフィン「 サーシャ王女、お待ちしていました

悲しむサーシャ「 ラフィン!!
どうして迎えに来てくれなかったの
ラフィンが迎えに来てくれると信じて
脱出したのに、放っておくなんて酷い!

ラフィン「 申し訳ありません
王女脱出の知らせが入ったのは昨夜
急なことゆえ準備に手間取り
出発が遅れました

悲しむサーシャ「 ラフィンは私のことなんて
どうでもいいのね
信じていたのに酷い……

ラフィン「 申し訳ありません……

サーシャ「 ふふっ
うそよ、ラフィン
ちょっとからかってみただけ

ラフィン「 ……

サーシャ「 あ、怒ったの?
だってラフィンはいつも冷静なんだもの
慌てる様子が見たかったの

でも、怒ったのなら謝ります
ごめんなさい……

オイゲン「 ……サーシャ様
よろしければご紹介願えませんかな

サーシャ「 あ……はい……
この方は……

ラフィン「 ヴェルジェの領主マーロンの子
ラフィンです

お話を伺う前に
まずは館にお入りください
父上もお待ちしております

(背景:屋内・部屋)

マーロン「 ……
なるほど、そのような事情でしたか

青き聖竜の軍旗と聞き
もしやと思っておりましたが
やはりリュナン殿でしたか
それで当地へは、兵を募りに
参られたわけですな

オイゲン「 さようです
ラゼリアはリーヴェ4公国の一つとして
大陸でも有数の
騎士団を擁しておりましたが
相次ぐ戦いによってそのほとんどを失い
今や数十名の兵士を残すのみ

これでは祖国奪回もままならず
かねてより親交厚いウエルト王国に
援助を求めて参ったのです

マーロン「 だが、すでにご存知の通り
我が国も内乱のさなかにあります
ウエルト王宮は、親帝国派の宰相に
牛耳られ、王妃の安否さえ不明です
これでは兵をお貸しするなど
とても不可能ですな

リュナン「 マーロン伯爵、コッダ宰相とは
どのような人物なのですか?

マーロン「 国祖サザーラント家の血を引く
名門貴族で、王都の北に広大な領地を
持っております

ただ、その性格は軽薄にして残忍
領民に過酷な税を課し、娘を奪い
逆らうものはみな処刑するという
有り様です

リュナン「 そのような男を
なぜ野放しにしておくのです
なぜ王宮から追放できないのです?

マーロン「 ご存知のように
我が国は半年前のバルト戦役で
多大な損害をこうむりました

出陣にあたっては
コッダを始めとする諸候の大半が反対し
休戦を求める帝国との
平和共存を望んだのですが
邪教ガーゼルと手を組んだ帝国を
そのまま放置すれば、やがて世界は
破滅に向かうと国王は申されて
王家に忠誠を誓う、心有る諸候たちは
みな王と共に出陣いたしました

オイゲン「 なるほど
それで生き残った諸候たちは
コッダのようなくだらぬ
男ばかりというわけですか

マーロン「 さよう
恥ずかしながら、私も
生き残った一人でありますが……

リュナン「 王はあなたを信頼して
留守を託されたのでしょう
コッダの野望を
阻止する方法はないのですか?

マーロン「 これまで何度も諫めてまいりましたが
彼は聞く耳を持ちませぬ
この上は、武力をもって
王都の解放をなすしかありませぬが
我がヴェルジェの兵力だけでは
それもかなわぬのです

リュナン「 コッダの兵力はそれほど大きいと?

マーロン「 それもありますが
我がヴェルジェの主力騎士団は
長男と共にバルトへ出陣し
今残っているのは、次男ラフィン配下の
わずかな兵士だけなのです

その上
我らが身動きできぬのをよいことに
トーラスの山賊どもが出没し
日々、村々を襲っております
私には彼らを守る義務があり
この砦を空けることすら
容易ではないのです

リュナン「 ……わかりました
その山賊討伐は我らがいたしましょう
しばらくは立ち上がれぬ程度に
討伐してまいります
その上で、ウエルト王国解放の
ご相談をさせていただけませんか

マーロン「 むろん私に異存はございませんが
お願いしてもよろしいのですか?

リュナン「 はい、お任せください!

マーロン「 ではラフィン、お前も行くがよい
ラゼリアの方たちだけでは
地理も不案内であろう……

ラフィン「 はっ……

エステル「 父上、私もまいります!

ラフィン「 だめだエステル
お前は砦に残っていろ!

マーロン「 いや……
よかろうエステル
騎士となったからには戦いは避けられぬ
我が娘として恥ずかしくない戦いをせよ

エステル「 はい、父上!

マーロン「 リュナン殿、有能な者をあと1名
お付けいたします
どうぞ、こちらへ

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Thanks!!

本文を提供してくださった、飛竜さん、小泉八雲さん
追加・修正してくださった、雪風翔さん
編集を手伝ってくださった、飛竜さん


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